1998.8.2
はて、こんな紹介で、貴方は見てみたいと思うだろうか。
<解説>
マサラ(マサ−ラ−)映画と言い、各種スパイスを配合してある刺激的な映画のこと。ほとんど必ず盛り
込まれるのが、歌、踊り。それから9つの要素「色気、勇猛さ、笑い、悲しみ、驚き、恐怖、怒り、憎悪、
平安」がある。さらにブル−ス・リ−を模写した格闘シ−ン。
今回、主人公を演じる俳優には、「ス−パ−スタ−・ラジニ」と冠される。中年のおじさんだが、
その人気の有り様は、安心して必ず笑える「寅さん映画」の車寅次郎の世間のしがらみ(金、地位)に
捕らわれない人生観、「高倉健映画」の健さんの勧善懲悪観を混ぜたものだろうか。そしてブル−ス・リ−
のカンフ−。男はやはり物理的にも強くないといけないか。まあ、そうだが、ムトウが悪役と比べて村人に
人気があるのは、その怒り、悲しみ、喜びといった心ゆえだろう。
シネマライズ(渋谷パルコ3前 03-3464-0051 )で、1998.11.20まで上映。
主人公は、吉 幾三に似た俳優。徹頭徹尾、娯楽映画で、他のレッテル貼りを許さない。
映画が終わったとき、一人で見に行っていたぼくは、「面白い、面白い、面白い」と、心の中で
3回繰り返した。東京、渋谷のシネマライズ、この街のどこにでも居そうなカップルや、幅広い年齢層が
埋めた客席から拍手が起こる。「みんな、けっこういい感性しているじゃないか」と思った。
これはインド映画。インドは24の州で構成し、言語が方言を含み200〜300あり、公用語だけで
18ある。映画も各言語で製作されていて、年間製作本数は800本前後になる。
大きく分けると、芸術映画と娯楽映画で、通常、日本に紹介されるのは芸術映画で、今回のは娯楽映画。
インドで大多数を占めるのは、娯楽映画。娯楽映画の主な製作地はボンベイ(ヒンディ−語)、マドラス
(タミル語)、ハイダラ−バ−ド(テルグ−語)などがある。
上映時間が3時間弱と長く、これを冷房が効いた映画館で見る。
銀幕の中の展開に呼応して、客席でもリズムを取り、笑い、手に汗を握り、怒り、喜び、感嘆する。勧善
懲悪だから、「結構、人生っていいぞ」と、楽観主義的な満足感に満たされて劇場を出る。
どこから見ても娯楽映画であることが一番の魅力だが、そこはそれ、数字の「ゼロ」を生んだインド、
シャカの八正道のインドだからこそ、その確固たる独自性から、欧米文化への対抗軸になっている。
銀座シネパトス(03-3561-4660)、横浜シネマベティ(0120-198-009)で、上映(1998.11.21から)。
いよいよ、ビデオレンタル開始、1999.2.11から。
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