家族で巡るアガサ・クリスティ・カントリー

第3日(トーキー)

朝ご飯のニシン

 朝ご飯はホテルのイングリッシュブレックファスト。本日はキッパー(薫製ニシン)と焼きマッシュルームもあるとのこと(どれだけ食べても差額はとられない)。かねてより、イギリスでは朝ご飯にニシンを食べると聞いていましたが、ニシンの干物とトーストと紅茶の取り合わせはどうもうまくイメージできませんでした。しかし、軽くスモークしたニシンをローストしたものを実際に一口食べると、これはいける。生臭さは全然なし。大皿から取り分けてくれるのをおかわりして、一気に2切れを食べました。ほかに、トースト、卵、シリアルなど。食前にはフルーツもあり。
 娘にはトーストの上に柔らかいスクランブルエッグを載せたものを作ってくれました。
 ダンナはコーヒーを注文したのですが、泥水のようでいただけません。イギリスではどこに行ってもコーヒーがおいしくありませんでしたね。一説には水のせいとのことですが、ほんとかな?


今日はたくさん乗り物に乗る日

 トーキー滞在2日目は、「アガサ・クリスティ・マイル」というモデルプランのなかのひとつを回ってみることにします。トーキーの隣の駅、支線の終点であるペイントンまでまずタクシーで移動。続いてペイントン駅から発車する蒸気機関車に乗りますが、その前にペイントン駅で、蒸気機関車とダート川クルーズ、ペイントン駅まで戻るバスを組み合わせたラウンドロビンという割引チケットを購入しました。おとな1人9ポンド90ペンス(約2000円)。5歳未満は無料です。
 ちなみに、ペイントンはレアールの野本さんが語学留学していた街です。
 チケットを受け取ると、窓口の係員が、「すぐ次の汽車が出るよ」と教えてくれたので、予定より早い列車に乗ることにしました。列車内はカジュアルな服装の観光客で満員です。クリスティもこの路線のチャーストンという駅から汽車に乗り、よく旅を楽しんだのだとか。チャーストンは『ABC殺人事件』の「C」ですね。
 ペイントン・ダートマス・スチームレールウェーは、民間のボランティアによって運営されている保存鉄道のひとつです。イギリスにはこうした保存鉄道が全国各地にあり、なかには機関車の運転を体験できる路線やトーマスの引く列車が走るイベントを行なっているところもあります。今回の旅行ではほかに、トットネスという駅で、故障中とのことで乗車はできませんでしたが、サウス・デボン・レイルウェーという保存鉄道を見学してきました。


■ペイントン・ダートマス・スチームレールウェー、終点のキング
スウェア駅のにぎわい。対岸のダートマスまではフェリーで渡る


■ダートマスからは船に乗る。ダート川をさかのぼるクルーズ船か
らの眺め。ビュッフェで「ホットコーヒーください」と言ったら変
な顔をされた。イギリスにはアイスはないらしい。船からはクリス
ティの旧宅グリーンウェイハウスも見える(らしいが、見逃した)


ダートリバークルーズの終点、トットネスの町並み。この街を気
に入って住み着いたという日本人のホームページを見たことがある。
ここから2階建てバスでペイントンへ戻る。桟橋からバス乗り場ま
では距離があり、ちょっと迷ってしまった


ボリュームたっぷり。シーフードのサンドイッチ

 昼食はダートマスの船着き場近くの公園で食べることにしました。天気も上々。公園内の小さなステージではブラスバンドの演奏をやっています。サンドイッチ屋でサーモンサンドとエビサンドを注文したところ、店員が、「エビはまだかちんこちんに凍ってるんだよー」とフリーザーを指さしながら愛嬌たっぷりに教えてくれました。そこでカニサンドに変更。食べてみると、カニみそまで入っていて少しびっくり。あんまり口にあいませんが、ジューシーでボリュームもすごい。サーモンサンドはスモークサーモンがどっさりでとてもおいしい。


美学なき盛りつけ

 夕ご飯はペイントンで。ペイントンは、ちょうど、海水浴場のある小さな町という風情。通りの左右に小さなレストランやみやげ物屋、ゲームセンターなどが並んでいます。
 カジュアルな感じのレストランに入ってダンナはローストビーフ、私はラムステーキ・ミントソース添え(イギリス料理のスタンダードのひとつということだ)、娘はチキンナゲットを注文。まもなく、くたくたになるまで茹でた野菜に肉類がどかどか乗った皿が登場。この、美学なき盛りつけはなんとかならんもんかね。大味でイマイチですが、おなかが空いているので味は無視して食べます。しかし、あまりの量に途中でギブアップしてしまいました。隣の席をちらりと見ると、熟年の上品なご夫婦が またたくまにに皿を空にするのを見て、イギリス人との胃袋の大きさの違いを実感。
 デザートは別腹と、アップルクランブルを注文。いちど食べてみたかったイギリスのお菓子です。柔らかく煮たりんごに、ビスケットを砕いたような、はたまた甘いパイのかけらのようなものがまぶしてあります。おなかがいっぱいじゃなかったらもっとおいしくいただけたでしょう。
 娘にオレンジジュースを注文しようとしたところ、デザートのメニューにはないとのこと。ジュース類は食前酒扱いのようですね。そこでウェートレスさんが勧めてくれたのは、オレンジにシロップをかけたもの。オレンジのみのフルーツポンチといったところでしょうか。私もつまんでみましたが、こってりとした食事のあとによくあうさっぱりとした味つけです。
 以前、ハワイで食べたアメリカのお菓子は、どれも強烈な甘さで頭がくらくらするほどでしたが、イギリスのお菓子やデザートは日本の物と変わらない味付けですね。


レストランでお金はどうやって払う?

 レストランで食事をしたあとちょっと迷うのが、お金の払い方です。テーブルに伝票は来ていないし、店内をぐるりと見回しても、レジらしきものが見当たりません。他の客の様子ををちらりちらりと観察していると、テーブルにウェイトレスを、「チェック・プリーズ」と言って呼び、お勘定を頼むようようです。呼ばれたウェイトレスは伝票を載せた小皿をテーブルに置いてくれます。その小皿にクレジットカードなり現金なりを置くと精算してもらえるという仕組み。チップを渡すときは釣り銭から数枚コインを抜き取ってお皿に残せばオーケー。


おみやげ

 ブランド品にはぜんぜん興味がないものの、小さいものかわいいものにはめっぽう弱いので、イギリスではもっぱら小物を買いあさりました。トットネスでは木製の船の模型を購入(私の実家へのおみやげ)。キングスウェア駅の売店では懐中電灯、ボールペン、ホイッスル、マグネット、スプーン、トーマスのマーカーセットなどのSLグッズを大量に購入したところ、トーマスの旗をおまけしてくれました。


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