家族で巡るアガサ・クリスティ・カントリー

第5日(ソルカム)

ソルカムは雨模様

 ソルカム2日目の朝も、トースト、卵、ベーコンなど、たっぷりのイングリッシュブレックファストでスタート。宿の主が半熟卵の食べ方を教えてくれました。エッグスタンドの卵をこんこんとスプーンでたたいて割れ目を入れ殻をむいたら、細長く切ったトーストで黄身をすくいながらいただくそうです。娘もこの食べ方を気に入ったみたい。
 今日はとくに予定もなく、のんびり過ごす日。といっても天気は最悪。冷たい雨が降っています。
 ぱっとしない天気のうえ、旅行の疲れも多少出てきたため、午前中は部屋で洗濯をしたり、日本に送る荷物をまとめたり、ガイドブックを読んだりしながらだらだらと過ごしました


郵便局へ

 お昼近くになって、さて散歩にでも出かけるかとホテルを出発。雨は降ったりやんだりです。雑貨屋を兼ねる郵便局へ行って、おみやげやもう着ない服などを日本に送ることにします。
 イギリスでは郵便局内の売店が充実しています。小包みを送るための箱やテープ類、封筒、絵はがきなどはもちろんペンなどの文房具も売っているため、送りたいものを持っていくだけでよく、荷造りの心配はいりません。ただし小包み用の箱はちょっと頼りない感じ。売店で購入したテープでぐるぐる巻きにして梱包しました。支払いにはクレジットカードが使えます。日本まで4.6kgの荷物を航空便で送るのに41ポンド80ペンス(約8400円)かかりました。


■雨でした


パブのお昼ご飯

 パブで出される昼食がなかなかいけるらしいと聞いていたので、お昼はパブでとることにしました。外から店をのぞき込んでみると、お子様連れでもオーケーな模様。最初どうやって注文するのか迷いましたが、店内の黒板やメニューをじっくり眺めてから、カウンターで好きなものを頼み、その場でお金を払えばよいようです。飲み物は自分で、食事はウェートレスさんが運んできてくれます。
 テーブルでメニューを眺めながら電子辞書を操作していると、隣の席の上品そうなご婦人が話しかけてきました。「それは計算機?」「いえ、これは辞書なんです。ほら、日本語が出てくる」「まあ、計算機かと思っちゃったわ。お国のお金でいくらになるのか計算しているのかと。ところで私、外国で食事するときは『イギリスのお金でいくらなの?』でいつもすませちゃうのよ。ははは」。
 メニューから選んだのはステーキ&キドニーパイ、チキンナゲットなど。チキンナゲットはお子様メニューの定番のようです。
 ステーキ&キドニーパイならぬ、ステーキ&キドニープディングは、クリスティの短編『24羽の黒ツグミ』で登場人物のひとりが食すもの。こってりした食べ物の象徴として出てきます。ステーキといってもいわゆるステーキが入っているわけではありません。牛肉の角切りが入ったシチューをパイやプディングで覆ったものです。
 多少塩辛い味付けでしたが、例のくたくた野菜にからめながら食べるとけっこういけました。


■パブ、フォーテスキュー。ここで昼食を食べた。 NHK の『名探
偵ポワロ』の『エンドハウスの怪事件』にもこの店の看板が映って
いるシーンがある


買い物

 ソルカムにはソルカム・チョコレート・ファクトリーという店があり、いろんな種類のチョコレートを売っています。おやつ用と、おみやげ用に何種類か購入。
 おもちゃ屋では、娘に、ビニール製の船のセットを買ってやりました。さすがヨットマンの町、船関係のおみやげが充実しています。
 スーパーマーケットでは、いちど食べてみたいと思っていたクランペットを見つけました。包装紙の説明を読むと、オーブンで温めて食べるとおいしいとのこと。これは日本に戻ってからの朝ご飯にしましょう。クリスティの長編、『ヒッコリーロードの殺人』の冒頭でポアロ氏は、召使のジョージに四角いクランペットを焼かせています。
 おやつはやはりアイスクリーム。少々肌寒いけれど、おいしいねー。

 ソルカムで最大の買い物は「やかん」です。手作りの銅製品を製造販売している店を見つけ、しっかりとした作りと、武骨さと繊細さが同居する不思議な形に魅かれ、買いました、やかん。店主のものと思われる「ポール」というサイン入り。たしか49ポンド。店主が、「飾りに使うのか?」と尋ねるので、「いーえ、いーえ、キッチンで毎日使います」と答えると、すごくうれしそうににっこり笑ってくれました。約束通り、ほぼ毎日、コーヒーをいれるのに使っています。注ぎ口が細く、いい感じにお湯が出てきます。底が楕円形をしているため、ガス台の後ろにぴたりと収まりまるのもうれしい。
 夕食はデボンシャー名物ペイスティー(肉まん、ピロシキの堅いパン版と思いなせい。)、サンドイッチ、焼き立てのソーセージなどのテイクアウトものを適当に買ってきて部屋でいただきました。


さよならデボン

 デボンとも明日でさよならです。イギリスを離れるまでにも72時間を切りました。リコンファームは必要ないとのことでしたが、ホテルから念のため全日空のロンドンの支店に電話しました。この電話の使いかたが始めよくわからず、コインを何枚も無駄にしてしまいました。最初にコインを1枚だけ入れ、相手が出たら「A」ボタンを押して、追加のコインを入れるのが正しい使い方です。そういえばクリスティの作品にも電話の「A」ボタンを押す場面がありました。
 何回かの挑戦の末、全日空のロンドン支店にやっと電話をかけることができました。「日本語話せる人は?」と聞くと、日本人らしき人に代わってくれ、帰りの便の予約確認をすることができました。

■これは公衆電話。「A」ボタンはありません



1日目を読む2日目を読む3日目を読む4日目を読む6日目を読む7日目を読む8日目を読む
ホームへもどる