第3節 ある教科書が自ら身を置いた窮境
〔注6−20〕
例えば、同教科書では、そこには「可動性[mobility]」(第二章第5節参照)が備わっていないと判断し得るがゆえに形容詞要素という地位がいわば保証されている(6−12)(Many ships and planes have mysteriously disappeared in this area, known as the Bermuda Triangle. )中の-ed分詞句と、文頭に移すことが可能であるが故に副詞要素であるとも感じられる(1−1)(A big Martin Marina rescue plane, containing a crew of 13 men, quickly took off.)中の-ing分詞句が同列に置かれているのである([6−18]参照)。また、暗黙の主辞の直後に位置する分詞句の一部は「名詞句の後置修飾要素[postmodifiers]とはなりえない。」(CGEL, 15.61)([6−19]参照)という指摘が行われていることも想起せねばならない。
更に、暗黙の主辞と隔たった位置にある分詞句が副詞要素として機能する場合、カンマが要件であるとはみなされないこともある。
それら(補足節[supplementive clauses])と非制限的関係詞節[nonrestrictive relative clauses]との類似性にもかかわらず、補足節は文末の位置に現れる場合、抑揚によって[intonationally]その母型節[matrix clause]と切り離される必要はない。したがって次の例は、同一の文[the same sentence]の代替的表出[alternative renderings]であり、相違点は文例[1]では情報面で二つの焦点があるが、文例[2]では一つしかない、ということだけである。
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