『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第七章 開かれた世界から

第6節 何が曖昧なのか

その七 「相[aspect]」の曖昧さ


〔注7−86〕

   例えば、並置分詞句に展開されていることがらと母節の表す事態との間には基本的に時系列は含意されていないことを体験するのに好都合な事例としては、分詞句の暗黙の主辞が母節全体であると判定し得るような事例(文例は[1−9], [2−1], [6−9], [7−70]参照)や文形式A(S[=分詞の暗黙の主辞]+V…,+分詞句.)第六章第4節「その四」参照)中の-ed分詞句がある。。

The siren sounded, indicating that the air raid was over. [‘…which indicated that …’] 〈サイレンが鳴り響き、空襲の終わったことを告げた。〉(15.59)(下線は引用者)
   サイレンの鳴ったということが、即ち、空襲は終わったという合図だったのである。
   -ed分詞句の文例を一例挙げておく(-ed分詞句の文例については更に[4−6]及び第五章第3節の文例(5−3)参照)。

Police launched dozens of teargas canisters into the crowd, but demonstrators on the steps of the parliament responded by charging into the building, led by Cedomir Jovanovic, a leading member of the Opposition.
〈警官隊は群集の中に数十発の催涙弾を打ち込んだ。しかし、それに応じて議事堂の階段上にいたデモ隊は議事堂内に突入、率いていたのは野党連合の指導者の一人セドミール・ジョバノヴィッチであった。〉
(Good evening, liberated Serbia By Misha Glenny, The Times Online, OCTOBER 6, 2000)

(〔注7−86〕 了)

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