(メールマガジン2001年12月から)
イスラエルがパレスチナを爆撃しても、米国はやはりイスラエル寄りだ。
米国の顔色を窺ってパレスチナを見捨てるのでなく、解決の道筋を考える必要がある。
1 パレスチナ全土の併合が(イスラエル)シャロンの狙い、国連特別代表を選び、早急に解決を!!
(1)70年代後半から、「パレスチナ国土>占領地>入植地」に入植地を作り始めたのは、当時農相だったシャロンだそうだ。
シャロンはもともと、イスラエルが奇襲した第3次中東戦争(1967年)後の「パレスチナ全域をユダヤ人が支配する」という「大イスラエル主義(=リク−ド)」を持ち続けている。
「イスラエルとパレスチナがともに国家として共存する」というオスロ合意は93年だが、この内容はシャロンの考えに反する。
シャロンは自ら首相になったことで、自分本来の意向どおりに進めている。9月11日の以前から、意図的な強行方針を行っている。それは、「自爆テロがあったから」とか「アラファトがテロを抑えないから」とかではなく、既定方針を進めているだけで、空爆や幹部暗殺によりパレスチナ側の抵抗を引き出しながら、それを口実に既定方針を進めるというやり方だ。
(2)「イスラエルもパレスチナも”ともに”停戦を」などというのは、上記のイスラエルの策略にはまっている。或いはその策略を充分に知りながら、それに加担している者が言うことだ。
問題を解決するのは、「パレスチナ国土>占領地>入植地」という現実から、「イスラエルが占領地、入植地から一方的に出ていく」ことでしかない。「ならず者国家=イスラエル」問題の国連特別代表を選び、早急に解決を!!
(3)クウェートに侵攻したイラクは、多国籍軍に攻撃され、国連の制裁を受けた。
パレスチナの地に建国し、その後にも占領地を拡げ、入植地を作るイスラエルは、何らの制裁も受けない。
本来なら政府にあたるパレスチナ自治政府の高官を空爆しても、民間人を殺してもテロとは呼ばれない。
2 入植者は非戦闘員か?
(1)入植者に対する攻撃を「民間人を犠牲にする」などと論評することが、どんなに見当外ずれかを、見ておかなけらばならない。「パレスチナ国土>占領地>入植地」という現実がある。この占領地で「畑を作る(入植)」ことが、純粋な民間人の行為か?イスラエル軍と共同した侵略行為の一部だろう。
(2)例えば、日本が旧満州(中国東北部)を占領したとする。そこで「畑を作り(入植)」永久に占領する意志を示した場合に。中国人が日本軍と入植者に対して反日闘争を行う。それはテロではなく、反植民地、解放闘争だろう。
(3)例えば、アメリカのマンハッタンをカナダが占領したら(カナダさん失礼)、「畑を作って(入植)」永久に占領する意志を示したら、アメリカ人はどうするか?
家の中から銃を持ち出して、「畑を作る」者を追い出すだろう。そのアメリカ人はテロリストと呼ばれるか?「英雄的行為」と賞賛されるだろう。何しろそれはアメリカにとって「自衛戦争」なのだから。
「自衛戦争」はどこで行うことまでを、許されるのか?アメリカ国内だけか?いや(アメリカ人にとっては)アフガニスタンまで出かけても構わない。たとえアフガニスタンが当事者でなくても、「犯人を匿っていれば同罪だ」となるから。
(4)であれば、ましてや「パレスチナ国土>占領地>入植地」という現実があれば、「パレスチナ国内」「占領地」「入植地」で「畑を作る」者を追い出すことは当たり前だし、「犯人を匿う」どころか「当事者そのもの」であるイスラエルまで出かけて(パレスチナが)「自衛戦争」を行っても構わないことになる。イスラエルという国が当事者なのは、イスラエル国民が当事者なのだから、戦闘に巻き込まれることはある。
いや、戦時中でも戦闘員と非戦闘員は区別した方が良い。なるほど、アフガニスタンの空爆は民間人を殺していないか?路頭に迷う難民を生み出していないか?
いや、それどころか、イスラエルは病院、放送局、学校を空爆して、民家を打ち壊している。石を投げれば大人も子供も撃ち殺す。
3 パレスチナ難民がバスでイスラエルへの帰還を強行したらどうなるか?
(1)イスラエル建国により追い出されたパレスチナ難民は紛れもない民間人だ。その民間人が「バスに乗ってイスラエルへの帰還を強行」したらどうなるか。イスラエル軍に途中で止められる。その制止を振り切って進んだらどうなるか。殺されるだろう。民間人だろうと。
4 当事者が支配する国連、その汚名の返上を!!
(1)イスラエル建国の歴史を見ていくと、1244年の第5次十字軍の後、ついこの間の1917年に、イギリスがオスマン帝国を破る。この間、ヨーロッパ人によるユダヤ人への迫害が、シオニズム(パレスチナにユダヤ人国家を作る考え)を生む。その迫害の極限であるナチスによる虐殺を経て、第2次大戦後の1948年にイスラエルが建国宣言するが、その前の1947年に、ホロコーストへの償いを意識して、欧米を中心とする国連がパレスチナをユダヤ人国家、アラブ人国家に分割を決議する。
つまり、欧州も、その英国も、米国も(更に国内のユダヤ社会が強い)、当事者そのものであり、それらの当事者が引き続いて国連の大勢を押さえている。
即ち、イスラエルがなにをやってもテロにはならず、「パレスチナ国土>占領地>入植地」という現実がありながら、パレスチナの抵抗行為、戦闘行為は「自衛戦争」とは呼ばれない。
(2)米国は、2001年12月14日の国連安全保障理事会での「暴力停止、監視メカニズム設置決議案」を、拒否権で否決させた。今の国連では、イスラエルに不利ないかなる決定も通らない。
パレスチナ国家にとって、国連は国際社会の良識を代表する機関ではなくて、イスラエルの利益を擁護する機関にすぎない。
そもそも国連を改革して、拒否権は「決議全体を葬り去る権限」ではなく、「自らが拘束されない宣言」に限るべきだ。
アフガニスタン攻撃の理由が、「民主主義という共通の価値観の共有」素晴らしい!
攻撃の作戦名が、「不屈の自由」素晴らしい!!国際社会を挙げての二重基準!!
私もあなたもこういう世界に生きていることから、目を逸らすな!利己的な国益を覆い隠す美辞麗句に陶酔するな!!
(3)「ならず者国家=イスラエル」問題の国連特別代表を選び、早急に解決を!!
パレスチナ国家は既に88年に独立宣言しているし、複数の国が承認している。
(アラブ諸国、中国、ロシアなどは既に承認済)
93年のオスロ合意は、「イスラエル国家とパレスチナ国家の共存」を互いに認めたものだ。
欧米、日本及び国連加盟国の多数も、追加のパレスチナ国家承認を即時に行うべきだ。
欧州は、歴史を変えようとしているのではないのか?当事者が支配する国連、その汚名の返上を!!
5 イスラエル問題の解決方針(私案)
国連は、イスラエル問題にあたる特別代表を選び、早急に解決をすべきだ。
(1)即時決定する事項
ア 欧米、日本及び国連加盟国の多数によるパレスチナ国家の即時承認
(なおアラブ諸国、中国、ロシアなどは既に承認済)
イ 国境は、67年の第三次中東戦争前の境界
(イスラエルが、ヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムを占領した)
ウ 88年国連決議のとおり「イスラエルは占領地から撤退する」、「占領地からの撤退と引換えに、イスラエルの生存権を認める」
エ 入植地に、イスラエルは何らの権限も持たない、入植地は、パレスチナの主権下に入る
(入植者は、当面、パレスチナの主権下で止まる)
オ 難民が、パレスチナ国家に住むことを援助する
(イスラエル内の、もともと住んでいた場所には帰れないが)
カ 国連が治安維持を担保する
(2)留保する事項
ア 入植地、入植者の長期的な扱い
(イスラエルが希望すれば、後日に、領土の等価交換を原則にする国境の再確定交渉には応じる)
(入植者が入植地に長期的に止まる場合は、パレスチナ国家に土地の購入にあたる「財産的補償」を行う、ただし主権はあくまでパレスチナ国家にある)
イ パレスチナ難民の、イスラエル帰還
(48年のイスラエル建国により追い出されたパレスチナ人60〜70万人、その子、孫を含め370から400万人)
(帰還権断念は、パレスチナ側に批判する意見が強い)
(48年に国連は、「難民早期帰還」を決議、帰還しない場合は「財産的補償」)
ウ エルサレム帰属の協議
(ただしイスラエルが占領した東エルサレムはパレスチナの主権下に入る)
6 関係者の見解(参考)
(1)自治政府自治評議会議長アフマド・クレイ
ア 欧米、日本及び国連加盟国の多数によるパレスチナ国家の即時承認
(なおアラブ諸国、中国、ロシアなどは既に承認済)
イ 国境は、67年の第三次中東戦争前の境界
(イスラエルが、ヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムを占領した)
ウ 入植地は、パレスチナの主権下に入る
(入植者は、当面、パレスチナの主権下で止まる)
(イスラエルが希望すれば、後日に、領土の等価交換を原則にする国境の再確定交渉には応じる)
(2)パレスチナ解放機構エルサレム代表サリ・ヌセイベ
ア 国境は、67年の第三次中東戦争前の境界
(イスラエルが、ヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムを占領した)
イ パレスチナ難民の、イスラエル帰還は断念する
(48年のイスラエル建国により追い出されたパレスチナ人60〜70万人、その子、孫を含め370から400万人)
(帰還権断念は、パレスチナ側に批判する意見が強い)
(48年に国連は、「難民早期帰還」を決議、帰還しない場合は「財産的補償」)
ウ 難民は、パレスチナ国家に住む
(イスラエル内の、もともと住んでいた場所には帰れないが)
エ 入植地に、イスラエルは何らの権限も持たない
(3)88年国連決議
ア イスラエルは占領地から撤退する
イ 占領地からの撤退と引換えに、イスラエルの生存権を認める
ウ パレスチナ解放機構は、決議受け入れと同時に、パレスチナ独立を宣言した
(4)イスラエル外相ペレス(労働党)
ア パレスチナ国家の独立を暫定措置に組み込み、和平交渉を継続する
イ ガザ自治区の入植地解体と、イスラエル軍撤退
ウ エルサレム帰属の協議延期
エ 治安維持の共同機関
オ 難民問題の国際委員会
(5)イスラエル首相シャロン(リク−ド党)
ア 入植者は首相の支持基盤で、入植地撤去を拒否している
イ エルサレムはイスラエルの主権下
ウ パレスチナ内に、安全保障地帯
(6)イスラエル前外相ベンアミ、前保健相ラモン(労働党)
ア 入植地解体、暫定境界設定「一方的分割」案
(7)イラン副大統領モハマド・アリ・アブタヒ
ア テロを避難する場合でも、イスラエルの行為が避難されることは決してない
米国は擁護さえする、二重基準が問題だ
イ 「文明の衝突」に代わり「文明間の対話」が必要だ、「暴力と戦争」に代わり「対話と相互理解」が必要だ
国連がそれを担保し、実行あるものにするべきだ
(8)シリア大統領アサド
ア パレスチナ人の抵抗と国際テロとを混同しないこと
(9)英国首相ブレア
ア アラブ世界の、彼らの懸念はいわゆる二重基準にある
パレスチナ人に対する不公正の解消に取り組む用意がないこと
(10)日本外務省イスラム研究会
ア 文明対話戦略
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