4 分子軌道法

 ここで分子の電子状態を調べるために用いた、「分子軌道法」について説明したいと思います。分子軌道は「シュレーディンガーの波動方程式」(HΨ=EΨ)を解くことで得られます。Hはハミルトニアン、Ψは波動関数で、これが分子軌道の状態を表します。またEはエネルギー固有値で、分子軌道のエネルギーを表します。この式は水素分子以外は解析的に解くことはできないため、分子軌道法ではこれらを近似的に計算します。
 分子軌道法は大きくわけて「非経験的分子軌道法」と「半経験的分子軌道法」にわけられます。非経験的分子軌道法とは、実験などで得られた経験的な情報をまったく取り入れずに計算する方法です。代表的な方法にはab initio(アブイニシオ)法やXα法などがあります。今回は、ほとんどの元素に適用でき、光の吸収スペクトルの計算に適したDV-Xα法を用いました。
 それに対して、経験的なパラメータを導入し、計算を簡略化したものが半経験的分子軌道法です。代表的な方法にはPPP法や、INDO法があります。本研究にはPM3法とMNDO-d法を使用しました。これは分子の「構造最適化」に適した方法です。

分子軌道法

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細見 隆昭 <E-mail hosomi@hi-ho.ne.jp