10 吸収波長予想図

 AlとTiの結果から、今回の計算法は実測値に近い値が算出できることが確認できました。そこですでに実験されている化合物だけでなく、未確認のものについても計算を行い、その光吸収を予想することにしました。
 この図は、さきほど示したAlのアルコキシドについて、横軸に計算値により求められた第一吸収波長を、縦軸に実測値をプロットし、近似線を引いたものです。実際の計算値と実測値は完全には一致しませんが、極めてよい相関があります。グラフから様々な置換基をもつβ-ジケトンで安定化した金属アルコキシドについて、その吸収波長を予測できることになります。たとえば、プロピル基を置換したものでは、計算値が296ですが、実測値は280nmと予想できます。
 このような予想図を様々な金属アルコキシドについて作成することで、例えば、Al,Ti,Zrなど数種類のアルコキシドを組み合わせた薄膜を作成する場合、すべてのアルコキシドの吸収波長をそろえるためにはどのような置換基を用いればよいのか一目でわかることになります。これは今後の薄膜作成に応用できると思われます。

10

[1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11]
[←もどる] [次へ→] [TOP PAGEにもどる↑]
細見 隆昭 <E-mail hosomi@hi-ho.ne.jp