VT250 SPADA 整備 フロントフォーク

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フロントフォークのオーバーホール





Two Ream Jack
全バラ状態。右から左へ、@フォークボルト Aカラー
Bワッシャ Cスプリング Dフォークパイプ(インナー
チューブ。パイプブッシュ付) Eピストンシール Fフォ
ークピストン(リバウンドスプリング付) Gオイルロックピース Hダストシール Iストップリング Jオイルシール Kバックアップリング Lスライダブッシュ Mフォークスライダ(アウターチューブ)。上記以外に、FとMをアウター下部で連結するボルト(フォークソケットボルト。ワッシャ付)があります。
VT250SPADA Rear Suspension Link
アウターチューブです。左が分解してちょっと拭いた後。右が洗浄して磨いた後。 ちょっと汚れが残っていますが、摺動部分ではないのでよしとします。
VT250SPADA Link Plate
あたっていた部品も磨き込みました。スプリングはいずれ社外品 に交換するかも知れませんが、一応、磨いておきました。
VT250SPADA Link Plate
今回手配した部品。スライドメタル(左、51415-MN4-003 \1,008/2個)と、 シールセット(右、51490-KAZ-003, \2,646/2Set)。価格は2004年2月現在。

フロントサスペンション部分のメンテナンスです。

定期的に分解整備が必要です。最低2万キロごと、できれば1万キロくらいで実施したい感じです。 基本的にごみが詰まることにより、オイルが漏れてきます。フォークプロテクターがない車種は、2万キロは持たないかも?


ブレーキング時に、フロントが「ズボッ」と沈んでしまうため、オーバーホールに挑戦しました。 工具や手順の準備さえしっかりしておけば、割と楽にできるかな?やり方は以下の通りです。


必要な道具

  • レンチ類(12,14mm および六角ボルト用 6,8,17mm)、トルクレンチ、ジャッキ、
  • メスシリンダー(フォークオイル計量のため)、注射器とシリコンチューブ(無くても可)、
  • 万力(無くても可)、あとオイルシール打ち込み用に、スライドハンマー(特殊工具。代替品
    として塩ビパイプとハンマー)を用意します。


分解手順

まず、ジャッキアップしてフロントをばらします。
ハンドル取付ボルト、トップブリッジ割締ボルト(ワイヤー類を外さないなら、ブレーキ側は12mmメガネレンチが必要)を緩めた後、17mm六角レンチでトップキャップを緩めます。外す必要はありません。六角レンチは長ナット(\90位)で代用しました。あとはどんどん外してしまいます。ブレーキキャリパ、ハンドルは紐などで固定しておきます。

トップキャップを外して、オイルを排出します。ストロークさせて、なるべく全部出しておきます。もとは赤いオイルは.....白濁して、古い油粘土のような臭いを発していました。底部のボルトは、本職はインパクトで外すようですが、そんなものはないのでトップキャップをつけ、ばねのテンションを掛けて外します。こうすると中のパーツ(フォークピストン)が空回りしません。急がば回れ、です。

ダストシールを外すと、オイルシールが見えます。これをとめているストップリング(Cクリップ状のもの)を、ドライバなどでこじって外します。アウターチューブに沿わせてドライバを滑らせると、インナーチューブを傷つけず、楽に取れます。あとはアウターとインナーを引っ張り(私はカツンカツンと、勢いをつけて何度か叩いて出しました。良くないかも。)、完全に分解します。インナーチューブの下端についているパイプブッシュは、交換時のみ外すので、そのままにしておきます。新品を調達しておいたのですが、コーティングも綺麗なままでした。結構、丈夫みたいです。

バックアップリングと、ダストシールの鉄芯は真っ赤に錆びていました。ダストシールがひび割れていたため、雨が浸入したのでしょう。オイルが白濁していたのもこのせいか?


部品チェック等

外した部品は、綺麗に清掃しておきます。これが一番大変かも知れません。今回は錆び落とし後、全ての部品を中性洗剤で洗って拭き上げた後、インナーチューブ下端など水気を取りきれない所のみ、パーツクリーナーで水分を飛ばしました。なお、オイルロックピース上端、スプリング外周など、作動時にこすれる部分を耐水ペーパーで磨きました。始め800番、仕上げに1000番くらいで磨くと良いです。最後にピカールで磨き上げました。

マニュアルによる部品のチェック項目は、

  • スプリング自由長(341.3mm)/横にして自重で縮まないように測定。長期保管車では、 長さが規定値であってもへたっている可能性あり。
  • バックアップリング/内側が、斜めに削れたりしていないか(エッジが立っているか)を確認する。
  • スライダーブッシュ/アウターにつく方は内側、インナーにつく方は外側にあるテフロンコーティングが、しっかりついていることを確認。
  • ピストンシール/新品は合口の隙間が開いていて張力あり。

組み立て

いよいよ組み立てです。ダンパーシリンダーをインナーチューブに入れ、下からダンパーの顔が出たら、オイルロックピースを嵌めます。そのままアウターチューブと合体させましょう。ボルトでダンパーをアウターチューブに固定します。これが最もナメやすいボルトです。長い六角レンチを使うので、慎重に作業しましょう。今回はアウターチューブに布を巻き、万力で固定してから作業しました。正直、それでもナメかけたので(反対側は分解前からなっていた)、次回は新品を手配する予定。

あとは上からスライダブッシュ、バックアップリングを入れます。オイルシールのリップを保護するため、インナーチューブ上端に薄いビニールを被せ、グリスを塗ったオイルシールを嵌め込みます(メーカー刻印が上)。このままだとスライダブッシュなどもはまっていないので、上から塩ビパイプ(1mで\200位)をあてがい、ハンマーでオイルシール外周を均等に叩いて、ストップリングを止める溝が完全に見えるまで打ち込みます。その後、ストップリング、ダストシールを装着します。

オイルは値段の安さ(^^)からカワサキの10番を使用(1L入りでKawasaki \1,300、Honda \2,500位?)。同じ番手でもメーカー毎に粘度が多少異なり、カワサキのはホンダ純正より柔らかめのようです。

後で調整するのが嫌なら、しっかり計量して入れましょう(371cc)。それからスプリングなどは入れない最も縮めた状態で、インナーチューブ上端から油面までの距離を測ります。スパーダは 103mmです。ここで多めに入っているオイルを注射器で吸い出します。

あとは基本的に分解の逆です。なお、スプリングは直径の小さい方(巻きの密な方)が下です。


規定トルク


  • フォークボルト(トップキャップ)/2.3kgfm
  • フォークソケットボルト/2.0kgfm(ねじロック使用)

  • トップブリッジ割締ボルト/2.3kgfm
  • ボトムブリッジ割締ボルト/3.5kgfm
  • ハンドル割締ボルト/1.2kgfm


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