作業手順
配線はコイル側は一般的なねじ込み式、プラグキャップ側は、金具をハンダ付けしてある形式です。プラグキャップにケーブルをねじ込む形式だと、徐々に緩んだり、水分でリークしたりする可能性がありますが、完全にキャップ内に金具があるこの形式なら、その可能性も殆どないと思います。VTが未だに現役で動いているのも、こうした細かい配慮の積み重ねが大きいのでは? と思います。
まずこの金具を、再使用するため純正ケーブルから外します。
純正の分解方法は、マイナスドライバでプラグキャップ内の金具を外し、抵抗と一緒に抜き取ります。ハイテンションコードをプラグ装着側に引き出すと、コードに取り付けられた金具が出てきます。これは中心に穴の開いた円盤状の金具で、芯線を通して広げた後、ハンダ付けされ(ハンダで半球状に盛り上げられ)ています。そこで、ハンダを熱して吸い取り線などで取り除き、残りはカッターナイフで削りました。この金具を取ると、プラグキャップからコードを抜けます。コイル側は、単純にねじ式のケーブルキャップを外せば、コードも外せます。
最初にノーマルケーブルを引き抜き、コイル側はケーブルに抜け止めの出っ張り部分と、さらに密閉用リングもあるので、外すときに注意します。新ケーブルの先端に金具を通して、純正形状と同じになるようにハンダ付け・ヤスリがけしました(こんな感じ)。エンジンの熱で溶けたりはしないでしょう、多分。
コイル側はノーマルの固定方法と同じようにするために、ホットメルト(グルーガン)を使い、固定のための出っ張りをケーブルに作りました。あらかじめリングとコイル側キャップ、プラグキャップを通しておくのをお忘れなく。金具のハンダ付けは、ケーブルをプラグキャップに通した後にした方が楽です。あとは元通りに組み上げるだけです。
なおケーブルの脱着は、コイル車載のまま行えました。ただしフロント側のプラグケーブルは、エアクリーナーボックスの上半分(プラスチック部分)を取り外さないと、通すことはできないと思います。純正ケーブルは、プラグキャップを外せないので。
作業結果
とりあえず近所を乗ってみると、まず排気音がはっきり力強くなりました。
中古車の純正ケーブルは、基本的に生産時から無交換でしょうから、相当劣化しているはず。またケーブルだけでなく、金具に緑青が発生していれば、かなりの電気損失です。
アクセルの開け具合は確実に少なくなっていますが、燃費に違いが出るほどではありませんでした。良いことに違いはないのですが。あと、シリコンケーブルは大変柔軟なため、プラグ交換の際に取り回しがすごく楽になりました。古いケーブルは何かと気を遣いますからね。
と書いていたのですが、このケーブルを使用していると、何回ケーブルを交換しても、数ヶ月で芯線に緑青が発生して、半年もすればエンジンが不調になります。やはり純正が最も良いようです。と言う訳で、後バンクはVTR用を組み替えて(VTR用はプラグキャップが赤なのですが、純正の黒にしたかった)、前バンクは純正の旧ケーブルを使っています。以降、トラブルは全くありません。
(2008. 7)