監査役

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推薦図書「監査役の仕事(知らなかったでは済まされない)」ほか、島村昌孝氏著(インターワーク出版)
インターネット書店
著者は元横河電機(株)常務取締役、元横河エンジニアリング常任監査役、前大和證券社外常勤監査役を歴任し、現役時代「モノ言う監査役」として広く知られ、現在は、日本経営倫理学会監事として日本企業の経営倫理を研究されている方です。監査役時代の経験を生かして、監査役の実務面で有効に機能するように具体的に監査役の仕事を分かり易く纏められています。現役監査役の方に是非一読をお薦めします。
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はじめに

我が国の監査役には、すでに強い権限が与えられています。下記に条文を示しているとおり、監査役はいつでも取締役や従業員から報告を求めることができますし、会社の業務や財産の状況を調査できます。必要に応じて取締役会を招集したり、取締役会で自由に発言することもできます。

さらに、必要に応じて、弁護士や会計士などの専門家を雇って調査することが可能です。会社は、監査に必要な経費は支払う義務があります(商法第279条の2)。

監査役とは何か。監査役は何をしなければならないか。監査役に就任し戸惑うことが多いようです。そこで、監査役に就任したら、少なくとも商法および商法関連の規定を踏まえて、適法に監査役の仕事を全うしていただきたいところからこのページを作成しました。監査役が良い仕事をする最大のポイントは、(@)監査役が法的な権限等を熟知すること、(A)取締役、部長ウ、課長などに監査役の職務及び権限を理解してもらっているいること。社内の理解者なしに監査役の良い職務を行うことはできません。敵対的な状況になっては最悪の事態であることを理解しておく必要があります。トラブルは当事者の無知から生まれます。

また、監査役は取締役の業務執行をチェックする立場から「取締役」についても別途ホームページを公開しています。お役に立てれば深甚です。

なお、「内部監査のアウトソーシング」のホームページに株主代表訴訟などの情報も掲載しています。企業不祥事の温床は内部統制の不備にあります。「内部統制のチェックリスト」に解説を試みています。参考になるものと信じます。

2000年3月期から連結中心主義に変更されます。企業の財務情報の外部への情報公開は、当然のこととして、監査役の責任にも影響することになります。「新しい連結決算」がより広範囲の情報公開を行い、投資を促し市場経済を活性化する流れはますます重要となります。

同時に、日本的「コーポレート・ガバナンス」の一翼を担う監査役の重要性は、ますます高くなります。

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あなたは監査役ですか、それとも閑散役ですか?

監査役に就任しました。さてどうしたらよいでしょう?年度末に監査報告書を提出するだけでよいのでしょうか?他人は、年度末まで何をしているか分からないあなたを見て閑散役と思うでしょう。

監査役に就任したらすぐに何をどうするのか文章にして社長宛に提出すれば、監査役がこの1年間何をどのようにするのか理解できますし、自らも行動指針を明確にすることでもあります。つまり、閑散役から自他共に認める監査役に変身することです。

つまり、監査役に就任したらすぐに、「監査計画書」という書面に具体化して社長に提出しておくことです。監査計画書の作成は、自らを監査実務に駆り立てることになり、実のある監査役の仕事をせざるを得なくなることです。

監査計画には、監査対象となる会社全体の理解、内部統制が整備し機能しているかどうか、監査対象(勘定科目、支店、営業所、子会社、関連会社)、有価証券の実査、実地たな卸、固定資産の実在性の検証、内部監査人との協働、往査日程、監査結果の報告などを明記します。内容は定型のものではなく、その会社に相応しいものとする必要があります。

まず、監査役に就任したら監査計画書を作成し、監査計画書にしたがって監査を実施、年度末に監査の結果を報告書(期中で発見したものは速やかに報告し改善する)に纏め、日本型コーポレート・ガバナンスの担い手である監査役として誇りを持って職務を遂行していただきたいものです。

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商法改正案の概要

政府は、商法等の一部を改正する法立案を国会に提出した。平成12年(2000年)4月1日より適用するとしている。内容は次ぎの通り。

創設内容 概要 施行日
@ 株式交換による親子会社関係の創設 A社がB社を子会社とするために、B社の株主にA社の株式と交換することで完全子会社にできる仕組みを創設するもの。企業買収に資金を必要とせず、株式交換によって達成できるというもの。
(ソニーのケースが該当する。)
株式を活用した経営戦略の色々」を参照
99年10月1日から施行
A 株式移転による完全親会社の設立 A社の株主に、A社の株式を現物出資して甲社を新設し(甲社の株式発行とA社株を交換する)、甲社はA社の完全親会社とする仕組みを創設するもの。既存の企業が、自社を子会社とする持ち株会社を創設しやすくする仕組み。
(興銀、第一勧銀、富士銀行の統合に利用が予定されている。)
株式を活用した経営戦略の色々」を参照
99年10月1日から施行
B 子会社の業務内容等の開示 株主総会、取締役会の議事録、定款、計算書類、会計帳簿等について、親会社の株主の閲覧を認めることとした。親会社の監査役の職務として子会社の業務及び財産に関する調査権を追加するもの。
監査役の監査報告書には、子会社に対し営業の報告を求めたり、子会社の業務及び財産の調査を行った場合は、その方法・結果を記載することとした。
99年10月1日から施行
C 資産(金融商品)の時価評価 株式、社債、金銭債権等の「金融商品の時価会計」の創設により、商法の取得原価主義を変更することとなったもの。「市場の相場がある金銭債権、社債、株式等については、時価で評価することができる。」「時価評価による含み益は、配当することはできない。」 99年10月1日から施行

株式の交換に関して、平成11年度税制改正の要綱に、企業組織変更への対応として、次のように記述している。意味不明の文書である。株式を発行する側は資本取引となり課税問題は生じない。したがって、既存株主が交換する株式の譲渡所得に関して課税の繰延べをする趣旨で、株式交換と交付される金銭(端株部分であろう)との合計額の95%以上であることが条件となる。

@ 株式交換又は株式移転が行われた場合において、その株式交換又は株式移転により子会社となる会社の株式の親会社となる会社における受入価額が株主の帳簿価額の合計額以下であると認められる等の要件を満たすときには、子会社の取得価額の引継ぎによる課税の繰延べを認める。
A 株式移転により子会社となる会社(新子会社)が親会社となる会社(新親会社)に対して、その株式移転後に譲渡する全額出資の子会社の株式について、新親会社が新子会社の譲渡直前の帳簿価額を取得価額とすること等の要件を満たすときには、譲渡益に対する課税を行わない。

商法の改正で株式交換制度が99年10月1日施行が決まったことにより、ソニーがSME、ソニーケミカル、SPTの上場3社を2000年1月1日にをメドにソニーの株式(新株発行)と交換に完全子会社化すると報じている(99年8月7日)。今回、商法が改正され株式の交換による買収ができることになる。

会社分割制度等
日本でも、2000年5月24日の参議院本会議で会社分割法案が可決成立し、2001年4月から施行する。

会社分割とは、@新設分割とA吸収分割に大別され、新設分割を物的分割と人的分割に、吸収分割を物的分割と人的分割とに分かれる。
新設分割で物的分割とは、部門等を現物出資し、対価として株式を分割会社に交付して親子会社関係となる方法。株式を分割会社の株主に交付する場合を人的分割といい、分割された会社と分割会社との資本関係はなくなり、株主は分割会社の旧株式と新設会社の株式の双方を保有することになる。米国のスピンオフ(企業分割)は、分離する事業を別会社(既に子会社にしている場合が多い)にし、子会社の株式を親会社の株主に交付する方法。完全に分離するため親子会社関係はなくなる。日本の商法の人的分割と呼ばれるものと類似はしているが、米国が連結決算ベースでのスピンオフ(企業分割)であるのに対し、日本の商法は単独法人ベースであるため相違がある。

自民党では、株主代表訴訟を制限、取締役が3ヶ月に1回以上業務状況を監査役に報告することとし、3人以上置くよう義務付ける監査役の半数以上をその企業や子会社と関係ない社外監査役とする、ことを検討されています。

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産業構造審議会の「企業法制分科会報告書」

会社法制整備について(00年12月8日)

2000年12月8日、産業構造審議会総合部会新成長政策小委員会は、「企業法制分科会報告書」をまとめ会社法制の整備について報告した。
78ページに及ぶ長文の報告書で、広範な整備を要請している。なかんずく、「監査役の適用除外」の項には、次のような文章となっており、ナスダックのコーポレートガバナンスの要請の内容と類似したものとなっている。
「現行の監査システム(取締役会と並立・独立の機関として、適法性モニタリングのもを担う監査役を設置)に加え、取締役会内部に、社外取締役が過半数を占める監査会を設置することにより一定の独立性を保ちつつ、直接的かつ一元的に監査を行うことを選択することも認め、このシステムを採用した会社については、定款の定めにより監査役制度の適用を除外する。」

2002年の商法改正に反映されると予想される。詳細は、経済産業省(旧通商産業省)白書・報告書に掲載されています。

法務省の商法改正案(02年2月13日)

社外取締役制度及び執行役制度の任意導入へ
2002年2月13日、法務大臣の諮問機関である法制審議会(会長・竹下守夫駿河台大学教授)は,会社法制の大幅な見直しを内容とする商法等の一部を改正する法律案要綱(以下「要綱」という。)を取りまとめ た。平成14年5月22日、この法案は参議院で可決・成立した。

要綱によれば、社外取締役及び執行役に関する事項は次の通り。

適用対象会社:
資本金が5億円以上または負債が200億円以上の大会社(約1万4百社)

監査役制度の廃止(任意規定):
下記の三つの要件を満たし、定款に「委員会等設置会社」の設置すれば、監査役制度を廃止することができる
@ 取締役会のなかに、取締役候補の選任・解任のための指名委員会、取締役報酬を決める報酬委員会、監査を担当する監査委員会(米国の各種Committeeに該当)を設置
A 上記各種委員会は3人以上で構成し、社外取締役が過半数となるようにしなければならない(各委員会は、兼任が可能で社外取締役は最低限2名必要となる)。
B 業務を担当する執行役制度を導入する(取締役は、執行役を兼ねることができる)。
注:業務執行役について:
業務執行役は取締役会が選任・解任を行う。 執行役は委員会等設置会社の業務を執行する。取締役会が委員会等設置会社の代表執行役を選任する(共同代表も可)。株主代表訴訟の被告になる。
取締役の任期は、現行の最長2年から1年に短縮される。執行役の任期は1年。

大会社については、連結財務諸表を作成し株主総会に報告することが義務付けられました。当面は、証券取引法第24条の有価証券報告書作成企業が対象となるようです。


自己株式(金庫株)解禁2001年6月22日参議院本会議可決成立

商法等の一部を改正する等の法律の概要


T 自己株式の取得及び保有制限の見直し

1 自己株式の取得(改正商法第210条)
(1)取得の範囲
会社は、定時総会の決議をもって、配当可能利益及び法定準備金の範囲内で、次の定時総会の終結の時までに取得できる自己株式の種類、総数及び取得価額の総額を定め、これに基づいて自己株式を取得することができる。

[注] 法定準備金については、株式総会の決議及び債権者保護手続きを経て、その減少手続きをした上でなければ、これをもっ て自己株式を取得することはできない。

(2)取得の方法
市場価格のある株式は、原則として、市場取引又は公開買付によるが、売主につき株主総会の特別決議を経、他の株主にも売主になる機会を与えれば、市場価格のない株式と同様に、相対取引によることもできる。

(3)取締役の責任
取締役は、営業年度の終わりにおいて資本の欠損が生じるおそれがあるときは、自己株式の買受けをすることができない。
営業年度の終わりに欠損が生じた時は、自己株式を買受けた取締役等は、その欠損額等を上限として賠償責任を負う。ただし、取締役等が注意義務を怠らなかったことを証明すれば、その責任を負わない。

2 自己株式の保有
会社は、取得した自己株式を、期間、数量等の制限なく保有することができる。

3 自己株式の処分等
(1)自己株式の消却 (改正商法第212条)
保有する自己株式については、取締役会の決議により消却することができる。

(2)自己株式の処分
ア 保有する自己株式については、代用自己株(合併等の際に発効する新株に代わるもの)として利用することができる。
取締役会決議により自己株式を処分することができる。この場合には、新株発行の規定を準用する(この規定による自己株式 の処分は、平成14年4月1日から行うことができる)。

[注] 市場売却を認めるかどうかについては、インサイダー取引及び相場操縦に関する実効性のある規制の可否等と併せてなお 検討する。

U 株式の単位の見直し

1 会社設立時の制限の撤廃 (商法第168条の3削除)
会社の設立に際して発行する株式の発行価額が5万円を下ることができないとの規制を撤廃する。

2 株式分割時の制限の撤廃 (商法第218条第2項改正)
株式の分割に際して、額面総額が資本額を超えることができないとの制限及び分割後の1株当たりの純資産額が5万円を下るこ とができないとの制限を撤廃する。

3 額面株式の制度の廃止 (商法第199条、202条 削除)
額面株式の制度を廃止し、無額面株式に統一する。

4 単位株制度の廃止
株式の大きさを引き上げるための暫定的かつ過渡的な制度として導入された単位株制度を廃止する。

5 単元株制度の創設 (改正商法第221条)
会社では、定款で一定の数の株式をもって1単元の株式とする旨を定めることができることとし、この場合には、1単元の株式につ き、1個の議決権を有する。

6 端株制度の整備
端株券の廃止等端株制度を整備する。

株主代表訴訟で役員の賠償責任軽減(01年12月成立)

商法改正⇒株主代表訴訟で役員の損害賠償責任に上限(01年12月5日成立)
2001年12月5日、参議院で株主代表訴訟で取締役らの役員の賠償責任に上限を設定することを盛りこんだ改正商法が成立した。
大和銀行ニューヨーク支店に関する高額な損害賠償判決が相次いでいることから、経済界からの要望を受け入れた形となった。
2002年5月の施行が予定されている。

(1)取締役等の株主代表訴訟の賠償責任の上限
代表取締役については、犯罪行為を除いて、報酬の6年分を上限とする。
・代表取締役以外の社内取締役については、犯罪行為を除いて、報酬の4年分を上限とする。
社外取締役及び監査役については、犯罪行為を除いて、報酬の2年分を上限とする。

取締役等の責任軽減には、次の二通りの方法がある。
(イ)株主総会で責任軽減を決議するための条件を3分の2の賛成が必要な特別決議とする。
または、
(ロ)定款の規定によって取締役会が責任軽減決議する。ただし、決定に反対の株主の持ち株比率が3%以上に達すれば決定を無効にできる

(2)商法特例法の大会社(資本金5億円以上か負債200億以上の会社)について、監査役の半数(最低2人)を社外から起用、取締役会への出席や意見表明を義務ずける。

上記の通り、2001年12月5日、参議院では「株主代表訴訟における役員の賠償責任の上限」を決めた商法改正案を成立させ、2002年4月の施行が予定されている。これにより、代表取締役は、6年分の報酬額を上限として賠償責任が解除されることとなった。米国のプロキシ・ルールにある「経営責任者の報酬(Executive Compensation)」があるが、日本の場合は、役員の賠償責任の上限が商法改正によって決まったことから、米国のように、役員報酬の個人別情報開示を求める声が高まろう。「株主に対する情報開示」参照。

平成14年商法改正に伴う「商法施行規則」の改正(平成14年11月12日)
法務省は、平成14年11月12日、平成14年商法改正に伴う「商法施行規則改正案」を公表し、平成15年1月5日(日)までにコメントを求めて、次のように記している。(法務省「平成14年商法改正に伴う「商法施行規則」の改正に関する意見募集」 参照)

 第154回国会において,商法等の一部を改正する法律(平成14年法律第44号。以下「改正法」といいます。)が成立し,平成14年5月29日に公布されました。改正法は,商法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成14年政令第216号)により,平成15年4月1日から施行されることとされています。
 改正法においては,財産価額の評価方法等の規定が法務省令へ委任されたほか,連結計算書類制度,委員会等設置会社制度等が導入されましたので,その施行に伴い,商法施行規則(平成14年法務省令第22号)の一部を改正する必要が生じました。
 さらに,改正法の施行に伴う一部改正に関連して,関係各界からの要望が強い財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」といいます。)等のいわゆる証券取引法会計に関する諸規定との調整や,株主総会の招集通知に添付すべき参考書類に関する規定の整備等を行うことも検討しています。
 その内容は,商法施行規則改正案のとおりですので,これに対する皆様の御意見をお寄せください。  なお,いただきました御意見につきましては,当参事官室において取りまとめた上,規則制定の際の参考にさせていただきますが,その内容を公開する可能性があること,個々の御意見に直接回答することはないことをあらかじめ御了承願います。  法務省民事局参事官室

第154回国会において、2002年4月に衆議院を可決し、参議院に回付された商法改正案は、抜粋すると次のようになっている。

(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部改正)
(連結計算書類)  
第十九条の二 大会社の取締役は、当該大会社の決算期における当該大会社並びにその子会 社及び連結子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものと して法務省令で定めるもの(以下「連結計算書類」という。)を作成しなければならない。

計算書類・附属明細書の作成・監査に関する条文⇒商法第二百八十一条の改正案
第二百八十一条に次の一項を加える。   
第一項第一号乃至第三号ニ掲グルモノ及同項ノ附属明細書ニ記載又ハ記録スベキ事項及其 ノ記載又ハ記録ノ方法ハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム

計算書類の承認・株主総会召集通知書に添付に関する条文⇒商法第二百八十三条の改正案
第二百八十三条に次の一項を加える。   
第四項ノ要旨ノ記載方法ハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム

つまり、大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)は、法務省令に定めた規定に従って連結計算書類を作成し(監査特例法第19条の2)、取締役会の承認を要する計算書類(商法第281条)、株主総会召集通知書への添付(商法第283条)の具体的内容は法務省令で定めることなっている。法務省令は、平成14年11月12日、平成14年商法改正に伴う「商法施行規則改正案」として公表された。法務省令の連結財務諸表は、キャッシュフロー計算書は不要で、単年度のみの開示(期間比較の比較財務諸表となっていない)となっている。

配当制限条項である商法第290条では、連結計算書類作成により影響されていないので、単独財務諸表を基礎とした配当制限の規定のままとなっている

連結計算書類の作成時期:

2003年4月1日が施行日とされ、商法特例法附則8条により、その次の決算期からとなり、3月期決算であれば、平成17年(2005年)3月期からとされています。4月決算の場合は、平成16年(2004年)4月期からとなります。

連結計算書類の作成が義務付けられるのは、商法特例法上の大会社で有価証券報告書を提出している会社に限定されています(商特19条の2@、同附則9条A)。

● 連結計算書類は取締役会の承認後、監査役及び会計監査人の監査を受けなければなりません(商法特例法第19条の2第2項3項)。
● 連結計算書類は定時総会に提出し、その内容を報告しかつ監査の結果を報告しなければなりません(商法特例法第19条の2第4項)。
● 連結計算書類は定時総会の招集通知に含める必要があります(商法特例法第19条の2第5項)。

日本監査役協会・会計委員会 参考資料
「連結計算書類制度の Q&A」の公表にあたって 平成 15 年 6 月 12 日 会 計 委 員 会 委員長 伊藤 進一郎
連結計算書類の監査役監査要綱 」平成15年9月24日 (社)日本監査役協会・会計委員会


会社法制の現代化に関する要綱試案
平成15年(2003年)10月、法務省は、2005年に予定している商法改正の試案として「会社法制の現代化に関する要綱試案」を公表し、平成15年10月29日(水)〜平成15年12月24日(水)の期間にコメントを求めている。現行の最低資本金規制(株式会社1千万円、有限会社で3百万円)の撤廃案を含んでいる。(法務省の『「会社法制の現代化に関する要綱試案」に関する意見募集」』参照)

平成14年9月〜平成15年10月
  法制審議会会社法部会(部会長:江頭憲治郎東京大学法学政治学研究科教授)における検討
平成15年10月〜12月
  会社法部会「会社法制の現代化に関する要綱試案」公表パブリック・コメント募集
平成16年7月28日
  要綱案の内容につき実質的に合意(有限会社が原則廃止、会計参与制度の創設が要試案と異なる)
平成16年9月・・中小企業庁中小企業の観点からの商法の現代化の在り方について」を公表、会計参与制度を紹介

今後の予定:
平成16年10月27日・・・会社法部会にて要綱案決定
平成17年1月〜 ・・・・・通常国会に法案提出
平成18年4月・・・・・・・・新会社法施行予定
会社法要綱案決定、要綱、会社法案2005年2月9日、3月22日

法制審、会社法要綱案を決定・会社経営の規制を緩和

 法相の諮問機関である法制審議会の会社法部会2004年12月8日、商法や有限会社法など会社制度に関する法律をまとめて新たに定める「会社法制の現代化に関する要綱案」を決定した。株式会社は最低資本金制度の撤廃などで設立要件を緩和する一方、有限会社制度は廃止する。合併時の対価に外国株を認めるなど組織再編も容易にし、経営の自由度を大幅に高めた。2005年年2月9日に法制審が「会社法制の現代化に関する要綱」を答申、政府は次期通常国会に会社法案を提出2006年の施行を目指す。

 要綱案では、株式会社の設立要件について、設立時の資本金を原則1000万円以上とする最低資本金規制を撤廃し、資本金1円でも設立できるようにする。2003年に施行した中小企業挑戦支援法で特例として認められている制度を恒久化する。

 3人以上とされている取締役の人数規制や、取締役会の設置義務も原則として撤廃する。株式会社が設立しやすくなることで、存在意義が薄れる有限会社の制度は廃止する。ただし、現在ある有限会社は引き続き名称を使用できる。 (日本経済新聞2004年12月9日 19:40)

会社法要綱案のポイント
@ 会社制度の見直し
【株式会社】・・設立が容易に(会社法第25条〜49条)
・取締役の人数、取締役会の設置義務は廃止
・最低資本金制度の廃止、資本金1円でも設立可能(北米では、従来から資本金1ドルで設立できる。)
【有限会社】・・制度廃止
・株式会社に一本化。現行の会社は商号利用可能
【合同会社】(日本版LLC)・・新設(名称は仮称)(会社法第578条)
・有限責任の出資者が、話し合いで役員の権限を決定
経済産業省「有限責任事業組合制度の創設の提案(中間とりまとめ)」平成16年12月17日
A 組織再編に関する規制緩和
・合併対価として外国株や現金などを認可(海外の親会社株式などを使って日本企業を買収できる「三角合併」の解禁を明記
・取締役会決議でできる簡易合併・分割の要件を緩和
・親会社が9割以上の株を持つ子会社の組織再編は子会社の株主総会の決議が不要に
B 株主代表訴訟
・株主が不正な利益を目的とする場合には制限
C 経営の健全性向上
・税理士らが取締役と共同で財務諸表の作成に携わる会計参与(仮称)制度を創設(会社法第374条〜380条)
(2005年3月23日、経済産業省「「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会」の設置について)
「今通常国会に提出された「会社法案」の中で、会計に関する専門的識見を有する者が、取締役・執行役と共同して計算書類を作成する会計参与制度の新設が予定されている。そのため、会計専門職である会計参与が拠るべき会計に資することを目的として、中小企業庁、日本税理士連合会および日本公認会計士協会の公表した「中小企業に関する会計」の3つの報告書の統合化の作業を行う。」として、経済産業省中小企業庁財務課は、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会を集めて、「中小企業の会計に関する指針」を作成するための検討委員会を今月22日に設置しました。中小企業庁もオブザーバーとして参加するこの検討委員会について四団体が共同で報道発表した。
2005年8月3日、中小企業の会計実務に関与している民間団体である日本公認会計士協会日本税理士会連合会日本商工会議所及び企業会計基準委員会は、「中小企業の会計に関する指針」を公表した。学識経験者、経済産業省中小企業庁も参加して、去る3月22日に「「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会」(以下「委員会」という。)を設置していたもの。指針は、会社の規模に関係なく会計基準が適用されるべきである。本指針は、基本的に、このような考え方に基づいている。しかし、@単年度表示で、比較財務諸表になっていない、Aキャッシュフロー計算書は商法で求められていないが作成することが望ましいとし、B現在参議院で審議中の商法改正で求めている「株主持分計算書」には言及していない。国際会計基準第1号「財務諸表の表示」が求めているものとは程遠い。
参考資料:「会計参与の業務監視に係る責務について」「お笑い会計参与制度

2005年3月22日、「会社法案」は法務省が第162回通常国会衆議院へ提出された。参議院で6月29日に成立。2006年に施行予定。
有限責任事業組合(LLP)契約に関する法律案(経済産業省)2005年2月4日

法律制定の目的
(1)海外では、創業を促し、企業同士のジョイント・ベンチャーや専門人材の共同事業を振興するため、LLP(Limited Liability Partnership:有限責任組合)やLLC(Limited Liability Company:有限責任会社)という新たな事業体制度が整備されており、大きな効果を上げている。
LLPなどの3つの特徴
@ 有限責任制 ・出資者が出資額までしか責任を負わない。
A 内部自治原則 ・利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されない。
・取締役会や監査役のような経営者に対する監視機関の設置が強制されない。
B 構成員課税 ・LLPに課税されずに、出資者に直接課税される。(LLPに法人課税が課せられた上に、出資者への利益分配にも課税されるということがない。)

【LLPなどの効果】
@ 米国のLLC ・ここ10年間で、株式会社が100万社誕生したのに匹敵する80万社のLLCが誕生。
・IBM、インテルなどの共同研究、投資会社、映画製作会社などが活用。

A 英国のLLP ・2000年に創設され、1万社を超えるLLPが誕生。
・KPMGなど会計事務所、デザイン事務所、ソフト会社などが活用。

(2)ところが、我が国では、こうした3つの特徴を兼ね備えた事業体は存在しない。そこで、民法組合の特例として、出資者全員の有限責任制を定めた有限責任事業組合法(LLP法)を制定し、3つの特徴を持つ新たな事業体制度を整備する。

経済産業省資料概要:
1.有限責任事業組合契約に関する法律案について(概要)(PDF形式:56KB)  参議院可決成立平成17年5月6日公布
2.〜リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(Limited Liability Partnership)制度の創設〜(PDF形式:120KB)
3.有限責任事業組合契約に関する法律案について(要綱・条文・理由・新旧対照条文・参照条文)(PDF形式:188KB)


●合同会社(LLC)と有限責任組合(LLP) 


会社法・法務省令で早期監査終了が可能となった(ただし、証券取引法監査は変更なし)
現行法においては,計算書類を監査役等に提出する期日は,定時株主総会の期日を起点として「○週間前」と規定されているため,監査開始のために計算書類を提出する時点で定時株主総会の期日を逆算して定めなければならないこととなっていたが,本省令においては,監査報告の通知期限として,計算書類を受領した日から「○週間を経過した日」等と規定することにより,現行法と同様の監査期間を各監査機関に確保しながら,監査役等による監査が早期に終了した場合には,定時株主総会を早期に開催することを可能にしている(省令13条1項19条1項21条1項26条1項。)
なお,監査役等と取締役の合意による監査期間の短縮も認めている。

株式会社の監査に関する法務省令案の概要  株式会社の監査に関する法務省令案)参照
2006年2月7日、突如公布された規則は、「会社法施行規則」「会社計算規則」「電子広告規則」の三本
法務省は、平成18年2月7日,「会社法施行規則(325ページ)」,「会社計算規則(274ページ)」及び「電子公告規則(20ページ)」の三本が公布されました(施行日は,会社法の施行の日とされています)。

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会社法(2006年5月1日施行)


監査役の設置は任意となった。中小会社は、一人の取締役だけで設立可能となり、企業規模が拡大するにしたがって相応しい機関設計を整備することが可能となった。

(株主総会以外の機関の設置)
第三百二十六条  株式会社には一人又は二人以上の取締役を置かなければならない
 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。

すべての監査役は、業務監査権限を有し、会計監査だけでなく業務監査も行わなければならない。ただし、公開会社でない株式会社では、下記の条文で、定款の定めによって、会計監査に限定することができる。

(監査役の権限)
第三百八十一条  監査役は取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する

非公開会社の監査役は定款により「会計監査」に限定できる
ただし、従来の小会社は、会社法整備法53条により、会社法389条1項の規定による定款(監査役の権限を会計監査権限に限定する旨)の定めがあるものとみなされる。

(定款の定めによる監査範囲の限定)
第三百八十九条  公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる

株式会社の機関設計
株式会社の機関設計の原則
@ すべての株式会社には、株主総会のほか、取締役を設置しなければならない(326条1項)。
A 取締役会を設置する場合には、監査役(監査役会を含む)又は三委員会等のいずれかを設置しなければならない。ただし、大会社以外の譲渡制限会社(すべての種類の株式が譲渡制限株式である株式会社)において、会計参与を設置する場合には、この限りでない(327条)。
B 株式譲渡制限会社以外の株式会社には、取締役会を設置しなければならない(327条1項)。
C 監査役(監査役会を含む)と三委員会等とをともに設置することはできない(327条4項)。
D 取締役会を設置しない場合には、監査役会及び三委員会等を設置することができない(327条1項2号・3号)。
E 会計監査人を設置するには、監査役(監査役会を含む)又は三委員会等(大会社であって株式譲渡制限会社でない株式会社にあっては、監査役会又は三委員会等)のいずれかを設置しなければならない(327条3項・5項)。
F 会計監査人を設置しない場合には、三委員会等を設置することはできない(327条5項)。
G 大会社には、会計監査人を設置しなければならない(328条)。

以上の原則の下で、各機関(取締役会、監査役・監査役会、会計参与、会計監査人又は三委員会等)を任意に設置することができる。

「株式会社の機関設計」について
機 関 設 計
公開大会社
取締役会+監査役会+会計監査人
取締役会+三委員会等+会計監査人
公開中小会社
取締役会+監査役
取締役会+監査役会
取締役会+監査役+会計監査人
取締役会+監査役会+会計監査人
取締役会+三委員会等+会計監査人
非公開(株式譲渡制限)大会社
取締役+監査役+会計監査人
取締役会+監査役+会計監査人
取締役会+監査役会+会計監査人
取締役会+三委員会等+会計監査人
非公開(株式譲渡制限)中小会社
取締役
取締役+監査役
取締役+監査役+会計監査人
取締役会+会計参与
取締役会+監査役
取締役会+監査役会
取締役会+監査役+会計監査人
取締役会+監査役会+会計監査人
取締役会+三委員会等+会計監査人

* 会計参与は、原則としていずれの機関設計においても任意に設置可能。
* 以上の4類型20種類であるが、会計参与をおく場合を加えると39種類、さらに監査役の権限を会計監査に限定する類型を合計すると43種類になる。
* 現行法上の小会社は、「監査役の権限を会計監査に限定する定款の定めがあるものとみなす」(会社法整備法53条)。
* 会社法施行後の「新株式会社(委員会設置会社を除く)の定款には、取締役会及び監査役を置く旨の定めがあるものとみなす」(会社法整備法76条2項)。


●監査役の選任に関する監査役の同意

@ 従来、監査役の選任については、大会社に限り監査役会に同意権が付与されていたが、中会社及び小会社の監査役については同意権を有していなかった。会社法により、大会社でなくとも、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならないとされた(会社法343条1項)。監査役の選任に関する議題請求及び議案請求をする場合についても同様である(同2項)。監査役会設置会社にあっては、監査役会の同意(=過半数決議)である(同3項)。 なお、この権限は、監査役の権限を会計監査権限に限定した場合であっても、なお有する。

A 監査役の選任に関する同意権が中小会社の監査役についても付与されたことから、中小会社の監査役には、この趣旨を踏まえた監査職務の遂行が求められる。

●監査役の任期

監査役の任期は4年と変わらないが、公開会社でない株式会社においては、定款によって、監査役の任期を選任後10年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結のときまで伸長することができる(会社法336条2項)。

監査役会設置会社の監査役は3名以上、過半数は社外監査役でなければならい(会社法335条3項)。
 社外監査役については、定款の定めによる責任限定契約を締結することが出来ます(会社法427条)。

委員会設置会社の各委員会(監査委員会など)の過半数は、社外取締役でなければならない(会社法400条3項)。監査委員会の監査委員は、委員会設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役または委員会設置会社の子会社の会計参与若しくは支配人その他使用人をかねてなならない(会社法400条4項)

監査等委員会」設置会社制度の創設、平成27年5月1日以降 

新制度は、「監査等委員会設置会社」という名称で、取締役会の中に監査等委員会を設けて、適切に業務運営がなされていることをチェックする。取締役会の決議に参加できる社外取締役が監査を担う欧米の仕組みと同じとなることで、海外の投資家には理解しやすくなる。これにより、従来の監査役と比べると監査機能を強化し意思決定が迅速にできるようになる。

参考:「監査等委員会」制度の5月施行で実務上の利点は何かby西村あさひ法律事務所 弁護士 泰田 啓太

大和総研調べ)
会社法改正法には、2012 年9月に法制審議会が採択した「会社法制の見直しに関する要綱」を踏まえ、@社外取締役・社外監査役の社外要件の見直し、A多重代表訴訟制度の創設、B監査等委員会設置会社制度の創設、C支配株主の異動を伴う第三者割当に対する規制、D特別支配株主の株式等売渡請求制度の創設などが盛り込まれている。

【企業統治(コーポレート・ガバナンス)関連】
@監査等委員会設置会社制度(注1)の創設
◇株式会社の機関設計として、監査役を置かず、3人以上の取締役(過半数は社外取締役)によって構成される監査等委員会を設置する「監査等委員会設置会社」制度を創設する(改正
後の会社法326 条2項など)。
◇それに伴い、現行の「委員会設置会社」は、「指名委員会等設置会社」に呼称を変更する(同2条12 号など)。

A社外取締役・社外監査役の要件の見直し
◇親会社等(注2)の一定の関係者、親会社等の子会社等(注3)の一定の関係者、取締役等の一定の親族については、「社外」と認めない(同2条15 号、16 号)。
◇その会社又は子会社の出身者につき、10 年の冷却期間を認める(退任後10 年経過すれば、原則、「社外」と認められる)(同2条15 号、16 号)。
◇いわゆる責任限定契約(会社に対する損害賠償責任を一定の範囲に限定する契約)が締結できる範囲が、いわゆる非業務執行取締役、(社内を含む)監査役まで拡大される(同427 条)。

B社外取締役を置いていない場合の理由の開示
◇事業年度の末日において、監査役設置会社(公開会社(注4)であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって、その発行する株式について有価証券報告書の提出義務が課されるものが、社外取締役を置いていない場合、その事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない(注5)(同327 条の2)。

C会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定
◇監査役設置会社(監査役会設置会社)においては、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任等に関する議案の内容は、監査役(監査役会)が決定するものとする(同344 条)。

【親子会社(企業結合)関連】

D最終完全親会社等の株主による責任追及の訴え(いわゆる多重代表訴訟)制度の創設
◇6ヵ月前(注6)から引き続き最終完全親会社等の総議決権又は発行済株式の1%以上(注7)を有する株主は、その最終完全親会社等の一定の子会社の役員等の責任(特定責任)に係る
責任追及等の訴え(特定責任追及の訴え)の提起を、その子会社に対して請求することができる(同847 条の3第1項)。
◇上記の請求の日から60 日以内に、その子会社が特定責任追及の訴えを提起しないときは、請求を行った株主が、その子会社のために特定責任追及の訴えを提起すること(いわゆる代表
訴訟)ができる(同847 条の3第7項)。

E親会社による子会社の株式等の譲渡
◇親会社が、一定の子会社の株式等を譲渡する場合(注8)は、その効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議による承認を受けなければならない(同467 条1項2号の2)。

【M&A関連】
F特別支配株主の株式等売渡請求(いわゆるキャッシュ・アウト)
◇総株主の議決権の90%以上(注9)(注10)の議決権を有する株主(特別支配株主)が、会社の承認の下に、他の株主全員に対して、その有する株式の全部を売り渡すことを請求すること
ができる制度を創設する(同179 条〜179 条の10 など)。
◇特別支配株主から保有する株式等の売渡しを請求された売渡株主等は、価格に不満がある場合は、裁判所に対して、価格決定の申立てを行うことができる(同179 条の8)。

G支配株主の異動を伴う募集株式の発行等(第三者割当て規制)
◇公開会社(注4)は、ある引受人(親会社等を除く)に募集株式を割り当てることにより、その引受人が(増資後に)総株主の議決権の過半数を有することとなる場合(株主割当てによる場合を除く)、払込期日の2週間前までに、株主に対し、その引受人の氏名・名称などを通知又は公告を行わなければならない(注11)(同206 条の2など)。
◇上記の通知・公告(注12)から2週間以内に10%以上(注13)の議決権を有する株主が反対する旨を通知した場合は、払込期日の前日までに、株主総会決議(いわゆる普通決議)による承認を受けなければならない。ただし、その会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、その会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りではない(同206 条の2第4、5項)。

H全部取得条項付種類株式の取得(全部取得)手続の見直し
◇全部取得条項付種類株式の取得(全部取得)手続について、開示手続(書面等の備置、株主への通知・公告)や裁判所への価格決定の申立手続(申立ての時期)などを見直す(同171条の2〜173 条の2)。

I株式買取請求があった場合における価格決定前の支払制度の創設
◇組織再編などにおいて株式買取請求があった場合、株式の価格決定があるまでに、株主に対し、その会社が公正な価格と認める額を支払うことができる(注14)。(同786 条5項など)
【その他】
J株主名簿等の閲覧請求の拒絶事由の見直し
◇会社が株主名簿等の閲覧請求を拒絶できる事由から、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」を削除する(同125条3項など)。
K新株予約権無償割当てに関する割当通知
◇新株予約権無償割当てに関する割当通知の通知期限を、効力発生日後遅滞なく、かつ権利行使期間の末日の2週間前まで(現行、権利行使期間の初日の2週間前まで)とする(同279条)。
◇これによりライツ・オファリングに必要な期間が短縮されることが期待されている。

(注1)「要綱」では「監査・監督委員会設置会社(仮称)」とされていた。
(注2)「親会社等」とは、「親会社」及び「その会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの」をいう(会社法改正法に基づく会社法2条4号の2)。
(注3)「子会社等」とは、「子会社」及び「会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」をいう(会社法改正法に基づく会社法2条3号の2)。
(注4)会社法上の公開会社をいう。すなわち、定款上、譲渡制限のない株式を発行できる会社のこと(会社法2条5号)。
(注5)「要綱」では、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を事業報告で開示することを提言していた(後述3参照)。こちらは、今後の法務省令改正で対応されるものと思われる。
(注6)定款により引下げ可能(会社法改正法に基づく会社法847 条の3 第1 項)。なお、公開会社でない最終完全親会社等については、6ヵ月の継続保有要件はない(同847 条の3 第6 項)。
(注7)定款により引下げ可能(会社法改正法に基づく会社法847 条の3 第1 項)。
(注8)効力発生日において、親会社が(その子会社の)議決権の過半数を有しないときに限る。
(注9)定款により引上げ可能(会社法改正法に基づく会社法179 条1項)。



目次
商法(すべての株式会社に適用)

監査役の
選任・解任
監査役の任期 監査役の員数 監査役の権限 取締役の報告義務
取締役会への出席義務
子会社の監査権限 株主総会に対する
意見報告
取締役に対する
差止請求権
会社と取締役間の
訴えの代表
監査役の兼務禁止
監査役の会社に対する
損害賠償責任
監査役と取締役の
連帯責任
監査役の報酬 監査費用 監査役の欠員


商法監査特例法(大会社の場合・・資本金5億円以上又は負債200億円以上に適用)

商法監査特例法=「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の略称としています
監査役の員数 監査役会の組織 監査役会の権限 監査役会の招集
監査役会の決議方法 監査役会の議事録 監査役の
監査役会への
報告義務
監査役の損害賠償責任


商法監査特例法(小会社の場合・・資本金1億円以下に適用)
22条
監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する書類を調査し、株主総会でその意見を報告しなければならない(同条1項)
監査役は、何時でも、会計帳簿及び書類の閲覧もしくは謄写をし、又は、取締役及び支配人その他使用人に対して会計に関する報告を求めることができる(同条2項)
監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査することができる(同条3項)
前3項の規定は、会社の清算の場合について準用する(同条4項)
23条
取締役は、定時総会の5週間前までに、商法第281条第1項各号に掲げる書類(計算書類)を監査役に提出しなければならない(同条1項)
取締役は、前項の書類を監査役に提出した日から2週間以内に、商法第281条第1項の付属明細書を監査役に提出しなければならない(同条2項)。
監査役は、1項の書類を受領した日から4週間以内に監査報告書を取締役に提出しなければならない(同条4項)。
取締役は、定時総会の1週間前から5年間商法第281条第1項の書類及び監査報告書を本店に備え置かなければならない(同条4項)。



監査役の選任・解任

選任
監査役は株主総会において選任する(商法第280条、商法第254条1項)。

監査役は、株主総会において、監査役の選任又は解任について意見を述べることができます(商法第275条の3)。

解任
監査役は何時にても株主総会の決議をもって解任することができますが、任期の定めある場合は、正当な事由なく解任したときは、監査役は会社に対して解任によって生じた損害賠償の請求をすることができます。(商法第280条、商法第257条第1項)。解任決議は、定款変更の決議(商法第343条)の決議方法によります(同条第2項)。

監査役の職務遂行に関し、不正の行為又は法令もしく定款に違反する重大な事実があるにもかかわらず、株主総会においてその監査役を解任する議案が否決された時は、6ヶ月前より引き続き発行済株式の総数の100分の3以上を有する株主は、30日以内にその監査役の解任を裁判所に請求することができます(商法第280条、商法第257条第3項)。

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監査役の任期

監査役の任期は就任後4年内(改正により平成15年3月期の定時総会で選任された監査役から4年、それ以前は3年が任期)の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとする(商法第273条第1項)。

最初の監査役については、就任後1年内の最終の決算期に関する定時総会の終結のときまでとする(商法第273条2項)。

定款をもって、任期満了前に監査役を退任する場合、補欠として選任された監査役の任期は退任した監査役の任期満了すべき時までとすることができます(商法第273条第2項)。

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監査役の員数

商法に監査役の員数を規定していない。従って、下記の大会社以外は、1人以上の監査役を選任する必要があります。

ただし、大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社)は、監査役は人以上で、その内1人以上は、その就任の前5年間会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人であってはならない(監査特例法第18条1項)。

大会社は、監査役の互選をもって常勤の監査役を定めなければならない(監査特例法第18条2項)。


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監査役の権限


取締役会は業務執行を決定し、取締役が実行するが、それらを監督するのが監査役である。

監査役は、取締役の職務の執行を監査する(商法第274条1項)。

監査役は、何時でも取締役及び支配人その他の使用人に対して営業の報告を求め又は会社の業務及び財産の状況を調査することができます(商法第274条2項)。

取締役の監査役への報告義務

取締役は、会社に著しく損害を及ぼす恐れある事実を発見したときは直ちに監査役に報告することを要す(商法第274条の2)

監査役の取締役会への出席義務

監査役は、取締役会に出席しなければならない(商法第260条の3第1項)。ただし、資本金1億円以下の会社の監査役は適用がない(特例法第25条)。

取締役は、三ヶ月に1回以上、業務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない(商法第260条第4項)。

子会社の監査権限

親会社の監査役は、その職務を行うために必要があるときは子会社に対して営業の報告を求め又は子会社の業務及び財産の状況を調査することができます(商法第274条の3第1項)。


株主総会に対する意見報告

監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案及び書類を調査し、法令若しくは定款に違反し又は著しく不当なる事項があると認められるときは、株主総会にその意見を報告しなければなりません(商法第275条)。


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取締役に対する差止請求権


取締役が会社の目的の範囲にあらざる行為、その他法令又は定款に違反する行為をしたことにより、会社に著しい損害を与える恐れがある場合は、監査役は取締役に対して、その行為を止めるべきことを請求することができます(商法第275条の5第1項))。

裁判所は、仮処分をもって、取締役に対しその行為を止めるべきことを命ずるには、担保を立てることを要しない(商法第275条の5第2項)。


上記の「会社の目的の範囲」とは、商法第166条1項の定款に記載する「会社の目的」をいい、定款に記載してある事業の内容です。


会社と取締役間の訴えの代表

会社と取締役との間で訴訟する場合は、監査役が会社を代表する。取締役の責任を追及する訴えの提起(商法第267条第1項)も同様である(商法第275条の4)。


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監査役の兼務禁止

監査役は、会社又は子会社の取締役又は支配人その他の使用人となることはできません(商法第276条)



監査役の会社に対する損害賠償責任

監査役がその任務を怠りたるときは、その監査役は会社に対して連帯して損害賠償することになります(商法第277条)。


監査役と取締役の連帯責任

監査役が会社又は第三者に対して損害賠償の責に任ずべきときは、取締役もその責に任ずべきときは、その監査役及び取締役は連帯して債務者となります(商法第278条)



監査役の報酬

監査役の報酬は、定款にその額を定めないときは株主総会の決議によります(商法第279条第1項)。監査役が数人の場合は、監査役の受けるべき報酬の額は定款の定め又は総会の決議がない場合は、前項の範囲内で、監査役の協議により決めます(同条第2項)。

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監査費用

監査役が、職務執行につき費用の前払いを請求したときは、会社はその費用が監査役の職務の執行に必要ではないと証明しない限り、拒否することはできません。監査役が職務の執行につき費用の支出をした場合で支払までの利息を請求した場合も同様です。また、債務を負担しその債務を弁済すべきこと、債務が弁済期にない場合で相当の担保を供すべきことを請求した場合も同様です(商法第279条の2)。

この規定により、監査役による監査費用は、会社が不要であると証明できない限り会社が負担しなければならない。監査役が、外部の弁護士や会計士を雇ってチェックさせることができ、専門的知識を備えた人々の支援により実質的な監査役としての職務が遂行できることになります。(「内部監査のアウトソーシング」参照)



監査役の欠員


法律又は定款の定めた監査役の員数を欠いた場合は、任期満了又は辞任によって退任した監査役は新たにされる監査役の就任までは監査役の権利義務があります(商法第280条、258条1項)。裁判所は、必要と認めた場合は利害関係人の請求によって一時監査役の職務を行うべき者を選任することができます。この場合、本店ないし支店の所在地でその登記することが必要です(商法第280条、258条2項)。



大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社)

監査役の員数

大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社)は、監査役は人以上で、その内1人以上は、その就任の前5年間会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人であってはならない(監査特例法第18条1項)。

社外監査役は過半数にしなければならない
(監査役の員数等)
第十八条  大会社にあつては、監査役は、三人以上で、そのうち一人(半数)以上は、その就任の前五年間(前に)大会社又はその子会社の取締役、執行役又は支配人その他の使用人でなかつた(となつたことがない)者でなければならない。

カッコ( )内は、「平成13年12月12日法律第149号」(商法特例法)の改正で、社外監査役は半数以上とされました。施行は平成17年5月1日となっています。3月決算では、2006年の株主総会から実施。
この改正においても、社外監査役には会社や子会社に在籍したことがなければ就任できるため、親会社の出身者を置いている場合があり、海外から独立性に疑問を呈する意見がある。
独立性について小出しに改善しているが今なお抜け道がある。

法制審議会委員神田 秀樹東京大学 教授「監査役制度について」参照
社外取締役と独立取締役」 
私見ですが、当初、日本で商法に社外取締役制度を導入した際、独立性についての制限が無く、独立性を無視した社外取締役の登用などの弊害から、その後、「その会社の従業員や役員でない者」という制限を付した経緯を見ると、当初に「Independent Director」 の翻訳に困惑した学者またはマスコミが日本流に誤訳したのではないかという懸念を持っている。なぜならば、日本の商法改正(1993年(平成5年)改正・・大会社で社外監査役・監査役会導入)の「トレッドウェイ委員会報告」(1987年10月公表)に「独立的な監査委員会の設置の義務付け」を勧告し、その中で「独立的な取締役からのみで構成される監査委員会の設置を全上場会社に要求しているのはニューヨーク証券取引所だけである」との記載があり、米国では「独立」の用語に重要な意味を持っていることが明らかであった。2001年5月現在でも、米国政府から「独立性」について、ニューヨーク証券取引所の上場規定と同じもの(「独立取締役」の定義は以下の者を除外しています:(1)当該企業の使用人および役員、(2)当該企業の使用人および役員等の直系親族(雇用関係が終了してから三年まで)、(3)パートナーズ、支配的株主、当該企業と業務関係を有する企業の役員、(4)当該企業とある一定の兼任役員会関係を有する企業の取締役。)にすることを要求されている。
上場企業に社外取締役義務付け・取引所規則改正へ

 金融庁は、取引所に上場するすべての企業に対し、経営陣から独立した社外取締役の起用を義務付けるルールを採用するよう、東京証券取引所など主要な取引所に要請する。上場の条件などを定めた「取引所規則」の改正を求める。企業経営を巡る事件や買収攻防などが増える中で、第三者のチェック機能が重要になるためだ。ただ、外部人材登用の実効性を疑問視する声もあり、産業界に波紋を広げそうだ。

 2005年4月15日の金融審議会(首相の諮問機関)で基本的な考え方を示した。6月までに論点をとりまとめる。現在の取引所規則は合併など経営にとって重要な事実が生じた際の適時開示に関するルールが中心で、経営体制に関する規定はない。米ニューヨーク証券取引所(NYSE)には社外取締役の設置義務やその要件を定めたルールがあり、同じような仕組みの導入を目指す。
 
 日本経済新聞2005年4月16日付(07:00)より

資料3−6 社外取締役に関するニューヨーク証券取引所のルール(NYSE company manual)(PDF:113KB)
● 
ニューヨーク証券取引所・上場会社マニュアル(原文 参照


大会社は、監査役の互選をもって常勤の監査役を定めなければならない(監査特例法第18条2項)。


「社外監査役」を1名以上必要とします。上記の通り「社外監査役」なる用語を商法は使っていません。米国における考えでは、「独立(Independent)」という用語を使っています。社外であっても独立性がない場合は、不適当であるということです。趣旨は、我が商法も同様で、「社外」であっても「独立」している監査役が望ましいのではないでしょうか。

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監査役会の組織

会社にあっては、監査役の全員で監査役会を組織する(監査特例法第18条の2第1項)。

監査役会は、決議をもって、監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる。ただし、監査役の権限の行使を妨げることはできない(同条第2項)。


監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告しなければならない(同条第3項)。


監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う(監査特例法第18条の3)。
ただし、会計監査人の解任(監査特例法第6条の2)の決議は、監査役の全員の一致をもって行う(監査特例法第18条の3)。

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監査役会の権限

(1)会計監査人に関する権限

監査役会は、会計監査人の選任、解任および一時代行者の選任について権限を有します。

取締役は、会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。
監査役会は、その決議をもって、取締役に対し、会計監査人の選任を株主総会の会議の目的とすることを請求することができる。会計監査人の選任に関する議案の提出についても、同様とする(監査特例法第3条)。

会計監査人は、次の一つの該当するときは、監査役会の決議をもって解任することができる(監査特例法第6条の2)。

1.職務上の義務に違反し又は職務を怠ったとき。
2.会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。
3.心身の故障のため、職務の遂行に支障があり又はこれに耐えられないとき。


(2)報告を受ける権限

監査役会は、会計監査人または取締役から報告を受ける権限を有します。


会計監査人が、その職務を行うに際して、取締役の職務の遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、その監査人は、これを監査役会に報告しなければならない(監査特例法第8条)。


取締役は、定時総会の会日の8週間前までに、商法第281条第1項各号に掲げる書類(計算書類等)を監査役会及び会計監査人に提出しなければならない(監査特例法第12条第1項)。

取締役は、前項の書類を提出した日から3週間以内に、その付属明細書を監査役会及び会計監査人に提出しなければならない(監査特例法第12条第2項)。


会計監査人は、計算書類および付属明細書を受領した日から4週間以内に、監査報告書を監査役会及び取締役会に提出しなければならない(監査特例法第13条)


(3)監査報告書の作成

監査役会は、各監査役から監査の報告を受け、取締役と会計監査人に対して「監査報告書」を提出しなければならない。

監査役は、会計監査人の監査報告書の調査その他の監査を終えたときは、監査役会に対し第3項各号に掲げる事項について報告しなければならない(監査特例法第14条第1項)。

監査役会は、会計監査人の監査報告書を受領した日から1週間以内に各監査人の報告に基づき下記の監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない(監査特例法第14条第2項)。

前項の監査報告書には、第1項の各監査役の報告に基づき次の事項を記載しなければならない。この場合において、各監査役の意見を付記することができる(監査特例法第14条第3項)。
1.会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果
2.会計以外の業務の監査の方法の概要
3.商法第281条の3第2項第6号及び第8号から第12号までに掲げる事項(同項第6号、9号及び第11号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)


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監査役会の招集

監査役会の招集権者
商法第259条第1項に、取締役会の招集をする者の規定がありこれを準用(監査特例法第18条の3)することとされていますので、監査役会は、各監査役が招集することができます。ただし、監査役会において、招集をなすべき監査役を定めた場合はその監査役が招集することになります。


監査役会の招集方法
監査役会の招集通知は、商法第259条の2の取締役会の招集通知の規定を準用(監査特例法第18条の3第2項)することとされていますので、監査役会を招集するには、その開催日より1週間前に、各監査役に通知を出さなければなりません。ただし、定款でその期間を短縮することはできます。また、監査役全員の同意があれば招集手続きを省略して開催することもできます(監査特例法第18条の3第2項)。



監査役会の決議方法


監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う(監査特例法第18条の3)。
ただし、会計監査人の解任(監査特例法第6条の2)の決議は、監査役の全員の一致をもって行う(監査特例法第18条の3)。

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監査役会の議事録

監査役会の議事録は、商法第260条の4の取締役会の議事録と閲覧の規定が準用(監査特例法第18条の3第2項)されますので、次のようになります。

1.議事録の作成
監査役会の議事について、議事録を作成しなければなりません。
2.議事録の署名
議事録は、議事の経過と概略およびその結果を明瞭に記載し、出席した監査役が署名しなければなりません。
3.議事録の備置
監査役は、監査役会の議事録を10年間本店に備え置かなければなりません。
4.株主または債権者の議事録の閲覧
株主は、権利を行使するため、必要があるときは裁判所の許可を得て、議事録の閲覧または謄写を求めることができます。また、会社の債権者は、取締役または監査役の責任を追及するため、必要があるときは、同様に裁判所の許可を得て議事録の閲覧または謄写を求めることができます。
5.閲覧について裁判所の不許可
議事録の閲覧または謄写により、会社または子会社に著しく損害を生ずるおそれあり場合には、裁判所は許可をすることができません。

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監査役の監査役会への報告義務

監査役は、会計監査人の監査報告書の調査およびその他の監査を終了した場合には、会計監査人の監査の方法等の法定事項(監査特例法第14条3項に規定の事項)について監査役会に報告しなければなりません(監査特例法第14条1項)。

監査役会は、上記の各監査役から監査報告書を受領した日1週間以内に、監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければなりません(監査特例法第14条2項)。


監査役会の監査報告書には、各監査役の監査報告書に基づき下記の事項を記載しなければならない(監査特例法第14条3項)。

会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果
会計以外の業務の監査の方法の概要
商法281条の3第2項6号及び第8号から第12号までに掲げる事項(同項第6号、第9号及び第11号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る)
具体的には次のようになります:
営業報告書が、法令及び定款の規定に従って、会社の状況を正しく示したものであるかどうか(商法第281条の3第2項第6号)
利益処分案(または損失金処理案)が、法令又は定款の規定に適合しているが、会社の財産の状況やその他の事情に照らしてみて著しく不当である場合のその旨(同項第8号)
付属明細書に記載すべき事項の記載がなかったり、不実の記載があったり、会計帳簿や計算書類の記載と違った記載がある場合のその旨(同項第9号)
取締役の職務遂行について不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実がある場合のその事実(同項第10号)
第274条の3第1項の規定により子会社に対して営業の報告を求め又は子会社の業務及び財産の状況を調査したるときは其の方法及び結果(同項第11号)
監査のため必要な調査ができなかった場合には、その旨と理由(同項第12号)
上記1(第6号)、3(第9号及び5(第11号)については、会計に関する部分以外の部分に限られます。

なお、「大会社の監査報告書に関する規則」が法務省令として出されており、会計監査人および監査役会の監査報告書はそれに従う必要があります(監査特例法第14条4項)。規則の監査役会の監査報告所に関する部分の内容は、下記の通りです。


「大会社の監査報告書に関する規則」の規定

後発事象の記載 監査役会の監査報告書には、営業報告書に記載されていない決算期後に生じた会社の状況に関する重要な事実について取締役から報告があったときは、その事実を記載しなければならない。ただし、会計監査人の監査報告書に記載があるものについては、この限りではない(規則第6条)
競業取引等についての監査に関する事項 取締役の職務遂行について不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実がある場合のその事実(商法第281条の3第2項第10号)の記載をする場合は、次に掲げる事項につき取締役の義務違反があるときは各別にしなければならない(規則第7条第1項)
商法第264条第1項の取引(競業取引−自己又は第三者の為に会社の営業の部類に属する取引をするには取締役会の承認を得なければならない)及び同法第265条第1項の取引(取締役・会社間取引および利益相反取引)(同項1号)
会社が無償でした財産上の利益の供与(反対給付が著しく少ない財産上の利益の供与を含む)(同項2号)
会社がした子会社又は株主との通例的でない取引(同項3号)
自己株式の取得及び処分又は株式失効の手続き(同項4号)
上記の事項は、その事項ごとに監査の方法の概要を記載しなければならない(同条第2項)。


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監査役の損害賠償責任

取締役が会社に対して責任を負う場合(商法第266条第1項、第2項及び第3項)、監査役が監査役会の決議に基づいて行った場合に準用されます(監査特例法第18条の4第1項)。

つまり、監査役会において監査役の決議について、賛成した監査役はその違法行為をしたものと「見做」され(商法第266条第2項)、議事録に異議を止めざりし者は賛成したものと「推定」される(商法第266条第3項)ことになりました(監査特例法第18条の4第1項)。


監査役の任務懈怠による会社に対する損害賠償責任(商法第277条)についても、「見做し」および「推定」が監査特例法第18条の4第1項で明示されました。

監査役の職務執行について、悪意または重大な過失がある場合の第三者に対する損害賠償責任(商法第280条1項、商法第266条の3第1項)についても、「見做し」および「推定」が監査特例法第18条の4第1項で明示されました。


監査役会の監査報告書において「虚偽記載」があった場合には、監査役会の決議に賛成した監査役は無論のこと、議事録に反対の記載がない監査役は、「賛成したものと推定され」責任を負うことになります(監査特例法第18条の4第2項)

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参考:監査役制度の歴史的背景

(1) 商法の概要
会社法は、明治32年(1899年)3月9日法律第48号、商法第二編として制定され現在に至っている。商法の会社規定は、ドイツ法に基づいて定められたものである。

しかし、商法の株式会社に関する規定は、第二次大戦後の昭和25年(1950年)に大改正を受けて、アメリカ法の強い影響を受けることになった。その後、数回の改正を受けて、昭和49年(1974年)から、大会社及び小会社の特別法である「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(監査特例法)が制定されて、会社法の特例法となって商法の株式会社に関する規定を修正している。(参考文献:並木俊守「平成2年改正 会社法入門」) 現在は、ドイツ法とアメリカ法の一部を取り入れた日本独特のものとなっている。

(2) ドイツの監査役
ドイツ旧法は、監査役は監督以外に定款を持って他の職務を持たせうるとして、大株主会(Verwaltungstrat)の変化したものである沿革と相俟って、事実上むしろ業務執行を主とし、業務執行の監督を従とし、高等業務執行機関として取締役を指揮するのを常としていた。(参考文献:田中誠二「会社法」及び石井照久「会社法」)

現在は、ドイツでは、現在、監査役は公認会計士(CPA)が行っている(上智大学教授 ロベール・ジェー・バロン教授、日経新聞6月30日版より)。

(3) イギリスの監査役
イギリスにおいては、監査役に当るものはオウディター(Auditor)といい、もっぱら会計に関する監査をし、毎年株主総会で選任される(1948年法)。イギリスにおいては公認会計士(Chartered Accountants)という会計監査を職業とする者があって、auditorとして会計監査にあたっており、うまく機能している。

(4) 日本の公認会計士制度
アメリカの公認会計士制度にならって、昭和23年(1948年)、公認会計士法を制定し、自由職業としての公認会計士制度の確立を帰しているが、終戦直後の当時は、なお十分に活用するに到っていなかった。

(5) 戦後の商法の監査役
わが国は、ドイツの監査役という形式は導入したが、@ドイツのように大株主会の変化したというような沿革がないこと、Aまた監査役に執行権限を与えないために実際上監査役の勢力は取締役に比べ著しく劣り、取締役の風下に立ち、その指揮を受けるか又は一味徒党であるのを常とするため機能しないものとなった。

また、イギリスを参考としようとしたが、イギリスのように会計監査のプロである公認会計士制度が定着していなかったため公認会計士を監査役とすることが出来なかった。そのため、わが国の監査役制度は、会計士でない監査役制度となった。

その後、昭和49年(1974年)の改正により、大会社の会計監査は、公認会計士の外部監査が法制化された(商法274条、監査特例法14条及び商法281条の3)。

ただし、大会社の場合は、会計に関する事項は、実質的には会計監査人が担当するものとされ、監査役はその結果に依拠するという構造になっている。つまり、監査役は、会計監査人の監査の方法および結果が相当であると認められる場合は、監査報告書に会計に関する事項について何の記載をする必要がない(監査特例法14条)。ただし、会計監査人の監査の方法又は監査の結果が相当でないと認められるときは、その旨及び理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果を記載する必要がある(監査特例法14条)。

多発する大企業の企業不祥事のため、平成5年(1993年)、監査役制度の強化が行われた。

監査役を3人以上とし、そのうち1人以上は、就任前5年間会社又は子会社の取締役又は使用人でなかったものでなければならない(監査特例法18条)。
監査役全員で監査役会を組織することとした(監査特例法18条の2第1項)。
取締役の会計監査人選任の議案に関して同意又は議案を提出することが出来(特例法3条第2項、3項)、監査役会は、決議をもって会計監査人を解任することが出来ることとした(監査特例法6条の2第1項)。
監査役会は、会計監査人から報告及び監査報告書の提出を受けることとした(監査特例法8条第1項及び13条1項)。
監査役会は、取締役から報告並びに計算書類及びその附属明細書の提出を受けることとした(監査特例法12条及び19条1項)。
監査役会は、監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない(監査特例法14条2項)

(6)平成11年(1999年)改正法
平成11年10月改正では、子会社の業務内容の開示として、株主総会や取締役会の議事録、定款、計算書類、会計帳簿等について親会社の株主の閲覧権を認めることとした。親会社の監査役の職務として子会社の業務及び財産に対する調査権を追加した。 監査役の監査報告書には、営業の報告を求めたり、子会社の業務及び財産の調査を行った場合は、その方法・結果を記載することとした。
この改正の背景には、同時に改正され導入された、@株式交換による完全親会社の創設、A株式移転による完全親会社の設立がある。

株式交換とは、ソニーを例にとると、ソニーが行った上場子会社2社の株主から、上場子会社の株式とソニーの株式を交換することで、上場2社はソニーの完全子会社(子会社から見るとソニーが完全親会社となる)となった。

株式移転とは、日本興業銀行、第一勧業銀行及び富士銀行が統合を予定しており、それぞれの株式を現物出資して新設会社を設立し、既存株主に新設会社の株式を交付することで、新設会社は3行の完全親会社となる方法である。

証券取引法が、連結決算中心主義となったこと、株式移転制度による持ち株会社の創設などにより、必然的に、親会社の監査役に子会社の調査権を強化することは必然であった。 平成11年10月1日から施行される。

加えて、証券取引法の財務諸表において、平成12年4月1日以後開始する事業年度から、金融商品の評価が時価会計に変更されるに伴い、商法も金融商品について時価会計を認めると同時に、金融商品の時価会計に伴う未実現の利益に対して配当制限を加えることとなった。

(7) 米国ナスダックのコーポレート・ガバナンス規定による監査委員会・・参考
米国ナスダック上場基準に、コーポレート・ガバナンス要請の規定があります。 規定によれば、複数の独立取締役(Independent directors)を取締役会のメンバーとし(取締役会での議決権を持つ)、独立取締役が過半数となる監査委員会(Audit Committee)を持つこととなっています。

つまり、監査委員会のメンバーは取締役であり、かつ、過半数が独立取締役で占められており、監査委員会の独立性が確保されていることと、取締役会で議決権を持っていることから機能しやすい仕組みとなっている。

ナスダックのコーポレート・ガバナンス規定は、日本の商法では、取締役の兼業禁止規定で、「監査役は会社又は子会社の取締役又は支配人その他の使用人を兼ねることを得ず(商法第276条)」となっており、取締役が監査役を兼業することは商法違反となってしまう。

なお、米国の仕組みを考える場合、確立した会計士の制度、会計基準、監査基準、内部監査制度、内部統制の充実などが企業の中に根付いており機能していることを考えると、単純には日本と比較できない状況にある。

特に、内部監査の体制は日本とは比較にならないほどである。その、背景には、公認会計士の数が大きく影響している。日本では公認会計士が約13千人、会計士補が3千人合計16千人であるのに対し、米国公認会計士は33万人である。その内訳は、下記の通りです。なお、日本でも会計士制度50年を超え定着しています。「内部監査のアウトソーシング」に相応しい人材が育っています。

会計士の半数以上が企業、政府、教育界に従事し、半数に満たない会計士が大・中・小の会計事務所に均等に従事している。

米国公認会計士の統計
1987 1991 1995 1999
Total AICPA Membership(excluding student andother affiliates) 米国公認会計士協会会員合計(学生及びその他関係者を除く) 254,910 301,410 323,779 336,635
Public Accounting 会計事務所 47.6% 43.2% 40.7% 39.5%
Business & Industry 企業 39.5% 40.7% 41.7% 46.2%
Education 教育界 2.8% 2.8% 2.4% 2.4%
Government 政府 3.4% 3.9% 4.4% 4.3%
Retired & Miscellaneous 退職その他 6.7% 9.4% 10.9% 7.6%
Membership in Public Practice 会計事務所に従事している会員 121,349 130,078 131,887 133,036
Firms with one member 個人事務所 25.6% 24.1% 23.2% 22.8%
Firms with 2-9 members 会員2人から9人の事務所 34.0% 35.2% 36.5% 34.7%
Firms with 10 or more members, except the 25 largest firms 会員10人以上25人以下の事務所 15.5% 18.8% 20.4% 21.6%
25 largest firms 会員25人以上の大型事務所 24.9% 21.9% 19.9% 20.9%
出所:米国公認会計士協会(AICPA)の年次報告書

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参考:監査役監査報告書

参考資料
(出所:日本監査役協会提供のものを若干校正しました)
監査報告書のサンプルに関する注意

1. サンプルは参考に供しているもの この監査報告書のサンプルは、監査役(大会社においては監査役会)が監査報告書を作成する際の参考に供する目的で、その様式、用語等を示しました。従って、各社の監査報告書は監査の実状に即して作成されるものであり、その記載内容が画一化されることを意図したものではありません。

2. 監査の方法の概要の記述 監査役の監査の方法の概要については、監査の信頼性を正確に判断できるように配慮しながら、監査役が実際に行った監査の方法について明瞭かつ簡潔に記載しなければならない。このサンプルでは、通常実施されていると思われる方法を示しています(小会社を除く)。  また、監査報告書は監査役の善管注意義務履行を前提として作成されるものであることはいうまでもありませんが、監査役は、当該義務を果たしたことを裏付けるために、監査の基準を明確にし、監査の記録・監査役会の議事録等を整備しておきます。

3. 監査の結果の記述 「監査の結果」の項に関して指摘すべき事項がある場合には、その旨とその事実について明瞭かつ簡潔に記載する必要があります(小会社を除く)。

4. 監査のため必要な調査をすることが出来なかったときはその旨及び理由の記述 商法第281条ノ3第2項第11号(監査のため必要な調査をすることが出来なかったときはその旨及び理由)にいう必要な調査ができなかった場合には、その旨及びその理由を該当する項に記載することになっています(小会社を除く)。

5. 監査役会と意見が相違する場合の記述 大会社において、監査役会と異なる意見がある場合には、「監査の結果」の次の項に当該監査役の氏名を記載し、異なる意見とその理由を明瞭かつ簡潔に記載します。

6. 後発事象 大会社の監査報告書には、取締役から後発事象として報告があったときは、その事実を記載しなければなりません。ただし、会計監査人の監査報告書に記載があるものについては、この限りではありません。

なお、大会社等の会計監査人の監査報告書は監査基準が改定されたことに伴い変更となっています。監査役協会が、商法監査における「会計監査人の監査報告書文例の変更について(平成15年5月26日 会計委員会)」を公表し「改訂した会計監査人の監査報告書」を例示して解説していますので参考としてください。


大会社(商法特例法第2章の適用を受ける)場合
平成○年○月○日 ○○○○

○○○○株式会社
代表取締役社長○○○○殿

監 査 報 告 書

 当監査役会は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第14条第2項の規定に基づき、○○○○株式会社の平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の取締役の職務の執行に関して各監査役から監査の方法及び結果の報告を受け、協議の上、本監査報告書を作成し、以下のとおり監査報告いたします。

1. 監査役の監査の方法の概要
 各監査役は、監査役会が定めた監査の方針、業務の分担等に従い、取締役会その他重要な会議に出席したほか、取締役等から営業の報告を聴取し、重要な決裁書類等を閲覧し、本社及び主要な事業所において業務及び財産の状況を調査し、必要に応じて子会社から営業の報告を求めました。また、会計監査人から報告及び説明を受け、計算書類及び附属明細書につき検討を加えました。
 取締役の競業取引、取締役の会社間の利益相反取引、会社が行った無償の利益供与、子会社又は株主との通例的でない取引並びに自己株式の取得及び処分等に関しては、上記の監査の方法のほか、必要に応じて取締役等から報告を求め、当該取引の状況を詳細に調査いたしました。         

2. 監査の結果
(1)会計監査人○○○○(監査法人の名称又は公認会計士の事務所名若しくは氏名)の監査の方法及び結果は相当であると認めます。
(2)営業報告書は、法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認めます。
(3)利益処分に関する議案は、会社財産の状況その他の事情に照らし指摘すべき事項は認められません。
(4)附属明細書は、記載すべき事項を正しく示しており、指摘すべき事項は認められません。
(5)取締役の職務遂行に関する不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実は認められません。  

なお、取締役の競業取引、取締役と会社間の利益相反取引、会社が行った無償の利益供与、子会社又は株主との通例的でない取引並びに自己株式の取得及び処分等についても取締役の義務違反は認められません。

3. 監査役○○○○の意見(異なる監査意見がある場合)    

4. 後発事象(重要な後発事象がある場合)                  

○○○○株式会社 監査役会
(自 署)
監査役(常勤) ○ ○ ○ ○ 印
監査役(常勤) ○ ○ ○ ○ 印
監査役 ○ ○ ○ ○ 印
監査役 ○ ○ ○ ○ 印
                                                                                
(注)監査役○○○○及び監査役○○○○は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第18条第1項に定める社外監査役であります。


中会社(商法特例法の適用を受けない会社)の場合
平成○年○月○日
○○○○株式会社
代表取締役社長○○○○殿
監 査 報 告 書
 
私たち監査役は、商法第281条ノ3第1項の規定に基づき、○○○○株式会社の平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の取締役の職務の執行を監査いたしました。その結果につき以下のとおり報告いたします。

1. 監査の方法の概要
 監査役は、取締役会その他重要な会議に出席したほか、取締役等から営業の報告を聴取し、重要な決裁書類等を閲覧し、本社及び主要な事業所において事務及び財産の状況を調査し、必要に応じて子会社から営業の報告を求めました。また、会計帳簿等の調査を行い、計算書類及び附属明細書につき検討を加えました。

2. 監査の結果
(1) 会計帳簿は、記載すべき事項を正しく記載し、貸借対照表及び損益計算書の記載と合致しているものと認めます。
(2) 貸借対照表及び損益計算書は、法令及び定款に従い、会社の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めます。
(3) 貸借対照表(又は損益計算書)脚注××に記載のとおり、当営業年度に○○○に関する会計方針を××から△△に変更しておりますが、この変更は……の理由により相当なものと認めます。
(4) 営業報告書は、法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認めます。
(5) 利益処分に関する議案は、法令及び定款に適合し、かつ、会社財産の状況その他の事情に照らし指摘すべき事項は認められません。
(6) 附属明細書は、記載すべき事項を正しく示しており、指摘すべき事項は、認められません。
(7) 取締役の職務遂行に関する不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実は認められません。             

 
○○○○株式会社 
(自 署)
監査役(常勤) ○ ○ ○ ○ 印
監査役(常勤) ○ ○ ○ ○ 印
監査役 ○ ○ ○ ○ 印
    


小会社(商法特例法第3章の適用を受ける会社)の場合
平成○年○月○日
○○○○株式会社
代表取締役社長○○○○殿

監 査 報 告 書
 
 私たち監査役は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第23条第4項の規定に基づき、○○○○株式会社の平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の 貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分に関する議案及び附属明細書を監査した結果、適法かつ正確であることを認めます。

                          
○○○○株式会社 
(自 署)
監査役 ○ ○ ○ ○ 印
監査役 ○ ○ ○ ○ 印
                    

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監査委員会監査報告書のひな型について(平成16年1月8日)

社団法人日本監査役協会は、平成16年1月8日、監査委員会に関する小委員会委員長によって「監査委員会監査報告書のひな型について」をまとめ監査委員会報告書のひな型を公表した。監査委員会に関する小委員会は以下の理由によって設置されたものである。

平成14年5月に「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(以下、「商法特例法」という。)が改正され、平成15年4月1日より施行された。それ以降、同法によって新たに創出された委員会等設置会社に移行した会社は70社を超えている。この委員会等設置会社では、執行役に対する業務執行権限の大幅な委譲が認められ、業務執行と監督を担う機関をそれぞれ執行役と取締役会とに分離することによって機動的な経営が可能とされている一方で、監査役・監査役会は存在せず、これに代えて取締役会内部に取締役および執行役の職務執行について監査を行う監査委員会が設けられる。加えて、その監査委員会の構成員の過半数は社外取締役であることが要求されるなど、従来の監査役設置会社とは大幅に異なる監査体制となっている。本「監査委員会に関する小委員会」(以下、「小委員会」という。)は、平成15年10月に、このような委員会等設置会社の監査委員会に求められる監査のあり方等について検討を行い、各社の参考に供すべき監査委員会向けの監査基準、監査報告書のひな型、および監査委員会規則のひな型等を策定する目的で設置された。

平成16年1月8日公表の「監査委員会監査報告書のひな型」(PDFファイル)参照
平成18年9月28日公表の会社法に基づく「監査役(会)監査報告のひな型」(PDFファイル)参照

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