|
財政投融資の仕組みを中心として 財政投融資の仕組みが2001年4月から新制度となった |
|
|
|
|
|
|
|
|
「独立行政法人」 | 「公益法人」 |
「公会計基準・・政府部門の会計基準」 | 「地方自治体の外部監査」 |
「内部監査のアウトソーシング」 | 「内部統制のチェックリスト」 |
「監査役」 | 「取締役」 |
ホームページへ戻る |
●「会計・税金・財務情報(ディスクロージャー)」へ | ||
会計基準・財務情報開示の総合情報サイト |
国民 | 預託⇒ | 郵便貯金255兆円 厚生年金・国民年金144兆円 簡易保険ほか39兆円 合計438兆円 (平成11年度) |
預託⇒ | 財務省 資金運用部特別会計 |
融資⇒ | 公庫145兆円 (住宅金融公庫、日本政策投資銀行他) 公団110兆円 (日本道路公団他) 地方公共団体83兆円 特別会計等73兆円 特殊会社等3兆円 合計414兆円 |
一部自主運用↓ | ||||||
金融市場 |
国民が預けた郵便貯金等の資金438兆円は、特別会計資金運用部に預託され、特別会計資金運用部から公庫・公団・地方公共団体、特殊法人等に融資されていた。
国民から預かった郵貯等の438兆円(平成12年3月末残高)の規模は、次の数値と比較しても巨額な数値となっている。
平成13年度末長期借入金(地方含む) | 666兆円 (GDP比128.5%) |
国と地方の借金である「長期債務残高」は、 平成14年度末には約693兆円にも。 「国及び地方の長期債務残高」参照 「財政事情の国際比較」参照 |
平成13年度末長期債務(国のみ) | 506兆円 | |
平成13年度国家予算・一般会計 | 82兆円 (国債28兆円発行含む) |
|
平成13年度国債利息等の支払 | 17兆円 (一般会計の20%) |
|
出展:財務省の国家「予算・決算」より | ||
国内総生産(GDP) 2000年度 名目 | 512兆円 | |
出展:内閣府経済社会研究所「GDP速報」より |
つまり、438兆円は国家予算(一般会計)の5倍の資金を取扱っている。これが、「財政投融資」といわれるもので、「国の第二の予算」といわれるものである。
個人金融資産が危ない?
郵便貯金 | 民間貯金 | 保険・年金 | 株式 | 投資信託 | 現金 | その他 | 合計 | |
平成12年度末 | 249兆円 | 470兆円 | 390兆円 | 64兆円 | 34兆円 | 37兆円 | 141兆円 | 1,386兆円 |
割合 | 18.0% | 33.9% | 28.1% | 4.6% | 2.4% | 2.7% | 10.2% | 100% |
出展:郵便貯金のホームページより 「個人金融資産に占める株式の比率・・日本・米国・英国・ドイツとの比較」 参照 |
わが国の個人金融資産は、平成12年度で1,386兆円といわれている。うち、249兆円(18%)が郵便貯金に預け入れられている。その融資先は、公団、公庫、特殊法人に融資され道路・橋・空港の建設、中小企業や住宅融資などに運用(?・・利益を生まない)されている。
通常、民間銀行への預金であれば、銀行で運用し銀行の儲けから預金利子を支払い元本保証されていた(平成14年4月からペイオフ解禁)。一般に、銀行は情報公開されその儲け具合が預金者に分かる仕組みとなっている。
国の発行する国債は一般会計の予算に事前に計画され、発行時に一般会計に入り、利息等の支払は一般会計から支払われる。平成13年度では28兆円の発行と、17兆円(一般会計予算の2割)の国債費として支払われる。
郵便貯金の場合はどうであろうか? 公社・公団・特殊法人は、利益を目的に事業を展開しているわけではない。そうしたところに融資して、貯金利息の支払と元本の保証がどうしてできるのであろうか? 行政の一部を担っているため運営費交付金や補助金を通じて税金を投入して元利保証をしている仕組みである。
バブル崩壊後は、この仕組み自体に本質的な欠陥が生じていることに気づき、特殊法人の情報公開と、特殊法人の見直しに動いている。
上記個人金融資産の19%が郵便貯金である。個人の預貯金のうち実に36%(=260兆円/260兆円+454兆円)が国家経営の郵便貯金である。一方、個人金融資産のうち株式に88兆円(6.4%)に過ぎない。投資信託のうち株式信託の投資金額が不明であるが、投資信託のすべてが株式信託である仮定しても、株式市場で運用しているのは、8.7%(=88兆円+31兆円/1,368兆円)に過ぎない。
1996年11月、橋本内閣時代に打ち上げた「金融ビッグバン」は、「東京市場をニューヨークやロンドン市場に匹敵する国際市場に育成することが大きな狙い」であったはずである。その目的は、一向に効果を挙げていない数値となっている。
小泉首相が主張する郵政事業(郵便貯金、簡易保険、郵便の郵政)の民営化は、上記数値を見る限り自然の主張なのである。
郵政三事業の在り方について(平成15年4月から郵政公社へ)
郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)については、中央省庁再編により、企画立案及び管理を所掌する総務省郵政企画管理局と、実施事務を所掌する外局としての郵政事業庁に再編成されました。
郵政事業庁は、平成15年中に郵政公社に移行することとなっていますが、民営化問題を含め郵政三事業のその後の在り方について具体的な検討を進めるため、首相官邸は、平成13年6月4日に「郵政三事業の在り方について考える懇談会」の第1回会合を開催し、1年程度かけて具体案を取りまとめる予定となっています。
平成14年9月6日 、首相官邸の「郵政三事業の在り方について考える懇談会」は報告書を公表した。
上記報告書を受けて、総務省、郵政事業庁は、「日本郵政公社スタート」というホームページを開いて郵政三事業について質問に答えている。平成15年4月1日より、郵政事業庁は日本郵政公社へ変わりました。
総務省は、「郵政事業の公社化に関する研究会」を立ち上げ、そのうち会計については、平成14 年7月、「財務会計制度ワーキンググループ」が最終報告書を出している。
原則として、企業会計原則を基礎に、@貸借対照表、A損益計算書、B利益の処分又は損失に関する書類、Cキャッシュフロー計算書、D附属明細書などが基本財務諸表とされている。無論、連結財務諸表を含み、事業区分ごとの財務諸表も求めれている。
独立行政法人の会計基準が求めている「行政サービス実施コスト計算書」の作成は、独立採算性をとっており国からの運営費交付金は想定されていないことから「行政サービス実施コスト計算書」の作成の意義は乏しいとしている。
日本郵政公社の成立時貸借対照表(2003年4月1日現在)公表 | ||||||||||||||||||||||||||
2003年 9月26日(金)、日本郵政公社は、「本日、本年4月1日現在における公社の貸借対照表(以下、「成立時貸借対照表」という。)を総務大臣へ届け出ました。」として、2003年4月1日現在の開始貸借対照表を公表した。郵貯や共済(保険事業)を含んでいることから負債は414兆2565億円と総資産に対して99.7%を占め、資本金は1兆2688億円で総資産に対して0.3%である。 事業別の貸借対照表を見ると、郵便事業では債務超過▲5782億円となって設立時資産・負債差額としている。 退職給付引当金については、「退職給付に係る会計基準(平成10年6月16日企業会計審議会)」を適用して、公社成立時における退職給付債務の見込額により公社成立時に発生していると認められる額を算出しています。
〔成立時貸借対照表の作成等について〕 1 成立時貸借対照表の作成について (1) 公社が国及び簡易保険福祉事業団から承継する資産・負債について、総務大臣が任命した評価委員により9月25日(木)に評価が行われ、資産・負債の価額が決定されました。 (2) 公社においては、この決定を受けて、日本郵政公社法施行規則で定められた退職給付引当金及び賞与引当金を計上して資本金の額を確定し、成立時の貸借対照表を作成して、本日、総務大臣へ届出を行いました。 (注): 退職給付引当金については、「退職給付に係る会計基準(平成10年6月16日企業会計審議会)」を適用して、公社成立時における退職給付債務の見込額により公社成立時に発生していると認められる額を算出しています。 2 成立時貸借対照表の公表について 成立時貸借対照表は官報に公告するとともに、本社、支社及び沖縄事務所に備えて置き、五年間、一般の閲覧に供します。 日本郵政公社の成立時貸借対照表(2003年4月1日現在)公表 参照 |
ドイツ・ポストAGはドイツ取引所の上場会社 |
米国すら経験していない郵政事業の民営化を果たした国がある。
ドイツでは、90年に旧郵政省の現業部門が郵便、貯金、通信へ3分割され、95年に株式会社へ組織変更した。郵便事業を営むドイツポストは、2000年11月に株式公開し、これを機に巨大物流会社へ生まれ変わろうとしている。
(日経ビジネス2002.01.18 海外に学ぶ民営化後の姿 「『民営化=郵便局消滅』はウソ」 ) Deutsche Post AG(AG : Aktiengesellschaft 株式会社)は、ドイツ取引所のプライム・スタンダード(Prime Standard最も優れている基準)で株式を上場しており、傘下には海外小包郵便のシェア6割を握るとされるDHL社を所有し海外戦略にも積極的である。(ドイツ取引所の株価情報等 国際会計基準(IAS⇔IFRS)で作成の年次報告書および四半期報告書 参照) フランクフルト証券取引所(ドイツ取引所が運営)は、プライムスタンダードとゼネラル・スタンダードに区分される。プライム・スタンダードとは、国際会計基準または米国会計基準、四半期報告書の開示、英語でも開示するなど透明性の高い市場とし、ゼネラル・スタンダードとは国内基準で開示する市場をいう。 ☆ドイッチェポスト社、DHLへの出資増加(2002年7月7日) ジョーダン・チームの実質的なメイン・スポンサーであるドイツ最大の郵便会社『ドイッチェ・ポストAG』が、傘下のDHL社への資本参加の割合をさらに増加させた。 これはドイツの航空会社『ルフトハンザ社』が持つ株式25%を約6億ドル(約750億円)で購入したもので、これにより同社はDHL全体の75%を保有することになる。 ドイツポストが積極的経営に乗り出している背景は、「物流王国オランダの光と影 (1) 2001年2月号 合従連衡が続く欧州物流業界 」(篠原正人氏筆)に詳しい。 ドイツポスト:アジアで事業強化へ 日中などに850億円投資(2002年11月04日 (毎日新聞)参照) その他資料: 総務省調べ(平成14年2月)諸外国における郵政事業の現状 平 成 1 4 年 諸外国における提携・出資等の動向 首相官邸 郵便民間参入政策ワーキンググループ関係参考資料 ⇒総務省調べと同じもの 国民生活政策のホームページ 資料7 内外価格差の動向⇒郵便料金も国際比較されている。 |
平成13年4月からの新制度
平成13年4月から財政投融資が次のように新制度に移行した。
国民 | 預託⇒ | 郵便貯金厚生年金・ 国民年金簡易保険 |
⇒ 自主運用 |
金融市場 | ⇒資金 @財投機関債発行 ⇒資金 A政府保証債発行 |
公庫・公団ほか 特殊法人 |
B財投債発行↓資金 | ↑ | |||||
財務省 財投融資資金特別会計 |
----------------------↑B融資 |
郵便貯金等は金融市場で自主運用する。 特殊法人の資金調達は、@ 財投機関債を発行して金融市場から調達する、A 政府保証債を発行して金融市場から調達する、B財投融資資金特別会計が財投債(国債)を発行し資金調達しこれを特殊法人に融資する。政府(財投融資資金)が発行する財投債は、郵便貯金が購入する。
Bの財投融資資金特別会計が発行する財投債は郵貯が購入するため、あまり変わらないように見える。しかし、郵貯が特殊法人の経営を考えずに資金運用できる仕組みはいずれなくなる。
少ない財投機関債
機関名 | 発行予定額 |
住宅金融公庫 | 2,000 |
農林漁業金融公庫 | 150 |
公営企業金融公庫 | 1,000 |
日本政策投資銀行 | 1,000 |
国際協力銀行 | 1,000 |
都市基盤整備公団 | 300 |
帝都高速交通営団 | 439 |
地域振興整備公団 | 100 |
社会福祉・医療事業団 | 100 |
日本私立学校振興・共済事業団 | 60 |
日本育英会 | 100 |
日本道路公団 | 1,500 |
首都高速道路公団 | 100 |
阪神高速道路公団 | 100 |
日本鉄道建設公団 | 100 |
新東京国際空港公団 | 500 |
運輸施設整備公団 | 60 |
水資源開発公団 | 100 |
商工組合中央金庫 | 2,249 |
電源開発株式会社 | 100 |
合計 | 11,058 |
出展:週刊ダイアモンド4/28、5/5合併号より |
主力の資金調達源であるはずの財投機関債の発行に各特殊法人は及び腰で、資金調達は結局、財投債に依存せざるを得ない状態。 財投改革で財投機関債の発行で金融市場から資金調達する割合を増やすことになっているが、今年度に20の特殊法人が発行する財投機関債は1兆1千億円で、必要資金の3%にすぎない。財投機関債の発行額が少ないために、郵貯が資金運用の中心を財投債から財投機関債に変更できないおそれもある。
また、財投機関債は発行額が少ないとはいえ、特殊法人の経営破綻すると損失が発生する。特別会計が負っている運用リスクを郵貯が抱えることになる。
財投債(国債)
政府は、2001年度に財投融資資金特別会計から財投債(国債)を約44兆円の発行し、特殊法人等に融資する計画である。マーケットで消化されるのは11兆円、4分の3にあたる33兆円は、郵貯、簡保、年金資金が引受ける。つまり、金の出所は従来とほとんど変わらない。
資金の行き先である特殊法人の情報公開は必須の状況にある。
加えて、政府は、来年(平成14年)3月までに「特殊法人整理合理化計画」を作成する。計画では、経営が行き詰まっている法人の廃止も検討することになっており、その分だけ郵貯資金の行き場は減る。
経営見なおしの対象となっている特殊法人は多い。
本州四国連絡橋を建設し運営している本四公団は平成12年3月末で2000億円を超える債務超過の状態。4兆円近い有利子負債を抱えており年間の金利負担だけでも通行料収入の1.5倍に達する。
二本目の滑走路建設を進めている関西空港会社についても計画の圧縮や、地元自治体、財界を含めた資金計画の見なおしが必要な状態にある。
財政制度審議会(財務大臣の諮問機関)は特殊法人の会計制度の見直し作業開始。
特殊法人の実態が見えないと言う批判から、政府は、平成13年2月9日、財政制度審議会企業会計ワーキンググループを発足させ、特殊法人の会計見なおしの実質的論議をスタートさせた。
平成13年6月19日、財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公企業会計部会 公企業会計小委員会で「特殊法人等に係る行政コスト計算書の作成について」が公表された。 内容は独立行政法人の「行政サービス実施コスト計算書」と同じとなるとしている。適用開始時期は、平成13年3月期より9月までに作成するよう求めている。なお、昭和62年に、財政制度審議会公企業会計小委員会により「特殊法人等会計処理基準」は見なおしされてなく従来どおりとなり、重複したような財務諸表が作成される(理解する上で、6月4日の委員会議事録が各委員の認識の程度が参考となります)。「財政制度等審議会」参照
事務局である財務省は、@行政コスト計算書(民間の損益計算書に該当)の作成、A子会社との連結決算、B時価評価を採用するなど方向は固めている。このほか、C退職給与引当金の十分な計上、D政府系金融機関は民間並に貸倒引当金を計上(政府系金融機関は不良債権が手付かず)、E販売用土地など評価方法の変更などを検討するとしていたが、事務局の公表の通りに纏められた。
現在は、石油公団、道路公団、農林漁業金融公庫、宇宙開発事業団の4つの特殊法人で具体的な検討が行われており、6月をメドに特殊法人の新たな会計基準をまとめる方針である。4法人に新たな会計基準を適用し、10月までにすべての特殊法人に新たな財務諸表の作成を求める方針である(日本経済新聞5月2日報道)。
2001年6月19日、財政制度等審議会は「特殊法人に係る行政コスト計算書作成指針」という報告書を公表したことになっている(財政制度等審議会のホームページからPDFファイルで公表している)。また、指針に準拠して作成された特殊法人等に係る行政コスト計算書は財政制度等審議会のホームページ経由で各特殊法人へリンクし特殊法人等に係る行政コスト計算書の開示状況(平成13年11月10日現在)について閲覧するようになっている。
公社・公団、特殊法人、認可法人のリスト
指針によれば、@行政コスト計算書、A仮定貸借対照表及び仮定損益計算書、Bキャッシュフロー計算書、C仮定利益金処分計算書(仮定損失金処理計算書)、D連結行政コスト計算書、E附属明細書、F財務書類の注記などを規定している。仮定貸借対照表や仮定損益計算書など、「仮定」がつく財務諸表は珍事であろう。読者はどう解釈するのであろう。行政コスト計算書には連結行政コスト計算書があり、連結は、なぜか連結貸借対照表(財政状態を示す計算書)など他の計算書にはない。不思議な財務諸表である。また、企業会計原則を引用しており「会計慣行に従う(=横並び方式・適正開示は二の次となっている)」という色彩が強いものとなっている。
行政特有のインフラ整備コストは資産か・・日米の相違点 |
2000年10月、大蔵省は「国の貸借対照表(試案)」を公表した。国の貸借対照表には、特殊法人に対する出資金や貸付金、地方公共団体への貸付金がそのまま計上され、特殊法人や地方公共団体と連結決算をしなければ国の実態はわからないという批判が相次いだ。 行政府が行う道路、橋、港湾整備などインフラ整備の行政サービス・コストを「資産」と見るのか「行政コスト」と見るのかという点である。道路、橋、港湾など、一見資産のように見えるが会計的視点で見ると道路や橋などのインフラ資産は、貸借対照表に計上する資産ではなく「行政コスト」という考え方がある。 米国の連邦政府の会計基準によれば、貸借対照表の資産計上要件は、譲渡可能な資産に限るというものである。譲渡可能というのは、資金に換えることができ負債に計上されている国債・公債の償還や借金の返済に充てることができるもののみを有形固定資産として計上できるというものである。 道路、橋、港湾設備などのインフラ整備は、次世代に承継するもので譲渡することで換金することは予定されていない。このような譲渡できないインフラ整備のコストは「行政コスト」であって資産ではないというもので、連邦政府の貸借対照表には計上していない。 一方、一般に譲渡可能な事務所要土地、建物、設備、機械、什器備品など民間の有形固定資産と同様の有形固定資産は、有形固定資産として貸借対照表に計上し耐用年数にわたって減価償却している。 日本の場合、昨年10月公表の「国の貸借対照表(試案)」では、道路、橋港湾などを資産として計上しており、日本道路公団等の特殊法人の会計でも取得原価で資産に計上し減価償却を行っていない。「建設国債」と公共投資の政策的背景があるようである。 財政改革・行政改革を進めるためにも、公共投資の見直しと同時に、道路、橋、港湾設備などのインフラ整備に係るコスト(土地、建設費など)を「行政コスト」とする公会計基準を確立すべき時にきている。 特殊法人、地方公共団体及び国の会計は、行政部門の連結決算を視野に入れて、相互に整合性ある会計基準が求められている。 |
現行の会計基準
昭和62年に、財政制度審議会公企業会計小委員会により「特殊法人等会計処理基準」が定められている。対象は、国の出資または運営費補助金等が交付されている特殊法人(株式会社を除く)及び認可法人。
趣旨は、特殊法人等について、国の政策目的達成と整合性を図りつつ、作成に関する統一的な会計処理にかかる基準を設けること。
財政制度審議会公企業会計小委員会の議事録を見ると、特殊法人等会計処理基準の適用状況
、特殊法人等の退職給与引当金計上状況、特殊法人の貸倒引当金計上状況
、特別の法令に基づく引当金・準備金等調 が資料として添付されている。特殊法人によって異なり整合していないことが覗える。
2001年(平成13年)6月19日、財政制度等審議会 法制・公企業会計部会 公企業会計小委員会は、民間企業と同様の会計処理による財務諸表の作成と行政コストの開示を目的として報告書を作成し「特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針」として公表した。この指針により作成した行政コスト計算書は「(参考) 特殊法人等に係る行政コスト計算書の開示状況(平成15年9月24日現在)[閲覧場所及びホームページアドレスを掲載]」としている。
「独立行政法人会計基準」の改訂について(平成14年7月10日財務省) | ||
「独立行政法人会計基準」の改訂について
平成14年7月10日財務省 ○ 特殊法人等の会計は、財政制度審議会・公企業会計小委員会が取りまとめた「特殊法人等会計処理基準」(昭和62年10月2日)に拠っている。 他方、既存の独立行政法人の会計は、総務大臣が開催する独立行政法人会計基準研究会が作成した独立行政法人会計基準に拠っている。 ○ 特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日 閣議決定)では、特殊法人・認可法人に係る組織見直しの方針の1つとして独立行政法人化が挙げられており、これにより、特殊法人等としてこれまで相当の財政資金を受け入れ、独立行政法人化後も多様な財政資金の受入れが想定される法人が独立行政法人化することになる。 ○ このため、従来の特殊法人等会計処理基準との整合性、財政資金受入れと会計処理のあり方等の論点を総合的に検討し、現行の独立行政法人会計基準について改訂する必要がある。 ○ 以上を踏まえ、財政制度等審議会・公企業会計小委員会及び独立行政法人会計基準研究会の共同ワーキング・チームを近日中に立ち上げることとする。 ○ 共同ワーキング・チームにおいては、本年末を目途に結論を出し、財政制度等審議会・公企業会計小委員会、独立行政法人会計基準研究会にそれぞれ報告する予定。 連絡・問い合わせ先 主計局法規課
|
平成19年11月19日の改定案 | ||||||
平成19年11月19日、財政制度等審議会 財政制度分科会法制・公会計部会、公会計基本小委員会 及び 公企業会計小委員会合同会議 特殊法人関係は次の案が提出された。
議事録を見ると次のような議論が行われ、読むものを驚かされる。公会計になぜ複数の会計基準が存在するのか、真剣に検討して国際基準のように一つの会計基準にしようとする意欲は全く感じられない。 〔 半田会計制度調査官 〕 特殊法人は減損はやっていないです。独立行政法人は減損会計をやっておりますけれども、特殊法人はやってないです。 〔 森公会計室長 〕 特殊法人につきましては、法定財表ということもございまして、確かにご指摘の趣旨はございますが、今のところ、減損につきましては、適用されていないというところでございます。 〔 会田委員 〕 私がどこまで発言できるのかよくわからないですが、先ほどから各委員ご発言のとおりで、そもそも特殊法人等会計処理基準と行政コスト作成指針と2つの基準を同一の主体が公表している。それでいいのかといった問題もあろうかと思います。これはいろいろ、これまでの経緯もありますけれども。先ほど公会計のフレームワークの議論もありましたし、また、これから会計基準の設定主体、このまま財政制度等審議会が公会計全体を全部取り仕切るのか、また、適用対応をどこまで考えるのか、そういった議論ももっと深めていかなくてはいけないのだと思います。私の任期ももう少しなので、ぜひ次の方にその辺の検討をお願いしたいと思っております。 |
日本銀行の資本金は1億円である(法第8 条第1項)。そのうち55,005千円(平成18年3月末現在)は政府出資であり(注)、残りは民間等の出資となっている(図表1)。
(注)法第8条第2項では、「日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。」と定められている。
(単位:千円<単位未満切捨て>) | ||
(平成18年3月末現在) | ||
区分 | 出 資 金 額 | 構成比(%) |
政府 | 55,005 | 55.0 |
個人 | 39,167 | 39.2 |
金融機関 | 2,717 | 2.7 |
公共団体等 | 291 | 0.3 |
証券会社 | 87 | 0.1 |
その他法人 | 2,730 | 2.7 |
民間等計 | 44,994 | 45.0 |
合計 | 100,000 | 100.0 |
日本銀行の出資者に対しては、経営参加権が認められていないほか、残余財産の分配請求権も払込資本金額等の範囲内に限定されている(法第60条第2項、附則第22条第2項)。また、剰余金の出資者への配当は払込出資金額
に対して年5%以内に制限されている(法第53条第4項)。
日本銀行は、対外説明・広報として「平成17年度の業務概況書」の中で、第121回決算の状況を開示し、財務諸表として財産目録(250〜251ページ)【貸借対照表とほぼ同じで情報としての価値があるのであろうか】、貸借対照表(252ページ)、損益計算書(253ページ)、重要な会計方針(254ページ〜257ページ)、日銀法52条1項に基づく「監事の意見書(258ページ)」、利益処分表(259ページ)、財務諸表に係る附属明細書(260ページ〜271ページ)
一方、日本銀行は、国からの出資を受けている認可法人としての性格に鑑み、「特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針」(平成13年6月、財政制度等審議会財政制度分科会法制・公企業会計部会公企業会計小委員会公表)に基づき、平成17年度における行政コスト計算書を作成、公表することとしました。
行政コスト計算財務書類と法定財務諸表の主な相違点
行政コスト計算書には、「民間企業仮定貸借対照表」、「民間企業仮定損益計算書」、「キャッシュ・フロー計算書」、「民間企業仮定利益処分計算書」、「附属明細書」を添付しています(これらの計算書類を「行政コスト計算財務書類」と総称)。従来から、日本銀行は、日本銀行法や政策委員会が定める会計規程等に基づいて法定財務諸表を作成していますが、行政コスト計算財務書類の作成に当たっては、企業会計原則に準拠することが求められているため、民間企業であると仮定して、日本銀行法で特別に認められている引当金の取扱いや金銭の信託(信託財産株式)の評価方法等を修正しています(下表参照)。行政コスト計算財務書類が、法定財務諸表と様式・計数面で異なっているのはこうした理由によるものです。
▽ 法定財務諸表と行政コスト計算財務書類との主な相違点
法定財務諸表上の取扱い | 行政コスト計算財務書類上の取扱い | |
債券取引損失引当金、外国為替等取引損失引当金および株式取引損失引当金の取扱い | 日銀法等に基づく引当金として、負債の部に計上 | 引当金ではなく、任意積立金として資本の部に計上 |
金銭の信託(信託財産株式)の評価方法 | 原価法 | 時価評価した上で、評価差額は全額資本の部に計上 |
二つの財務諸表は必要か? また、日本銀行の財務諸表は単年度表示で比較財務諸表にはなっていない。同じようなものが多量に開示されており読みにくい。欧米の年次報告書のように簡潔明瞭に纏め上げられないものか。
参考:
日本銀行金融研究所/金融研究/2005年7月「中央銀行の財務報告の目的・意義と会計処理をめぐる論点」by古市峰子/森毅氏⇒よい論文であるが現物の財務諸表の改善提案になってはいない。現物を見ているのか疑問。
日本銀行金融研究所/金融研究/2005年7月「ワークショップ「中央銀行の財務報告のあり方」の模様」
実態が見えない特殊法人
2001年2月、財務省は、財政制度等審議会で特殊法人の会計制度の見直しに入った(財務省は、2001年4月に、「情報アクセスガイド」として主要な特殊法人の財務諸表を公開している)。その中から、一部の財務情報を見てみると、特殊法人の実態が見えない状況が覗える。
(1) 道路建設のコストを資産計上し減価償却しない。
日本道路公団の財務情報を例に見ると、総資産37兆4223億円のうち道路資産(高速道路及び一般有料道路の合計)32兆2926億円で計上されている。実に86%を道路資産で占めている。
減価償却に替えて、「道路資産への投下資金の回収(借入資金の償還)に充てるため、「日本道路公団法施行規則」第3条第3項の規定により、各年度の道路の収益が費用を超える額の累計額を計上している。」と注記があり、平成11年度末で8兆6353億円計上している。
また、有利子負債25兆円と巨額な道路債券の発行残と長期借入金を抱えている。
経営的視点から道路資産を把握していない。
道路公団の財務会計では、道路建設に必要となった借入金を決められた期限までに返済することを目標に料金設定する「償還主義」の原則が導入されている。このため、道路資産の価値を借入金額で測定する。
道路資産を借入金額で把握している結果、減価償却などの概念を排除するだけでなく市町村に引き渡された道路や災害で失われた資産も借入金の見合いとして資産に計上している。
借入金の償還計画作成では過去の事業結果を起訴として将来を予測し新たに高速道路を建設するたびに計画を改定する。このため、計画と実績の乖離を継続的に検証することは極めて困難である。長期の投資活動でありながら事業の抱えるリスクやコストの実態を知ることはできない。
これらにより、外部の人が貸借対照表や損益計算書を分析することは困難となる。
例えば、99年度決算の道路公団の貸借対照表では、高速道路資産は約27兆円となっている。しかし、企業会計方式で減価償却、除却費を含めると20兆円程度に減少する。損益計算書では、減価償却費などの経費が6000億円増加して実質的な利益は3分の1にとどまる(北海道大学教授宮脇淳教授の試算−日本経済新聞3月29日)。
こうした、財務情報の質の問題は、資本と負債を混同している「借入資本金」という概念を導入している地方公営企業にも共通して指摘できる。
道路公団の有利子負債は高速道路事業ですでに収益の10倍を上回っている。
道路公団と同様なものに、本州四国連絡橋公団の決算書がある。 本州四国連絡橋公団の決算書では、通行料金が少なく「償還主義」の原則が破綻している現状がよく分かる。
(2)貸倒引当金は法定の繰入率を限度として繰り入れている。
住宅金融公庫を例にとると、74兆5413億円の貸付に対して貸倒引当金は742億円と0.01%を計上しているに過ぎない。
これは、「公庫の国庫納付金に関する政令(昭和26年政令第162号)第1条第4項の規定に基づき、大蔵大臣が別に定めたところにより、当該事業年度末の貸付金残高の6/1000(0.6%)の範囲で計上しており、本年度の計上率は0.9/1000である」旨の注記があり、加えて、地帯債権額として「貸付金のうち、遅滞債権額(弁済期限を6ヶ月以上経過して遅滞となっている貸付けの元金残高)は、4,163億円となっている。」旨の注記がある。
つまり、不良債権額4,163億円に対し742億円の貸倒引当金を引当てているに過ぎない。
明かに、政令が実態を示しているとは言えないし、貸借対照表で実態を示そうとする努力が全く感じられないものとなっている。
(3)特別損失金7,465億円が資産計上し、損益計算書で利益計上?
特別損失金として7465億円が資産計上され、当期分として損益計算書に1402億円が収益計上されている。表現が適切ではないのか意味するところが不明である。
暗黙の政府保証がつく財投機関債
情報開示により自己責任で財投機関債を発行するのが原則であるが、
@ 情報開示の未成熟 A 行政を担っている部分があり国家の予算と密接不可分である
ことなどから、財投機関債を発行するに際して格付け機関から格付けを取得している。
例えば、日本道路公団はスタンダード・アンド・プアー社からダブルAプラスの高格付けを得た。ちなみに、東京三菱銀行はシングルAマイナス、日本生命はダブルAである。
この高格付けの背景には「政府からの現行のツ容易支援態勢が維持される」(スタンダード・アンド・プアー社)という事情がある。
法務省は「特殊法人も倒産しうる」との法解釈をしているが、そもそも特殊法人の設立根拠となった法律は国がつくっており、出資も国が全額出資というケースがほとんどである。
特殊法人の経営が危機に瀕すれば、国が面倒を見ることは明らかである。
「財投機関債は、暗黙の政府保証がついているのだから、発行機関自体の財務状況はほとんど債券価格に影響を与えないだろう」(大手証券)つまり、「金融市場の評価を受ける」という財投機関債の発行意義はほとんど期待できない。
しかしながら、従来のように財政投融資から直接資金を受け入れていた当時よりも、財投機関債を発行するためには目論見書の作成も必要であり、情報開示の時代に入ったことは確かである。
また、国の借金が666兆円に加えて、財投の438兆円の融資先(特殊法人等)の財務内容によっては、第二の国鉄がいくつもあるといわれており、安易に公的資金を投入することに国民は敏感になりつつある。
特殊法人等整理合理化計画 |
特殊法人等改革については、昨年12月に策定された「行政改革大綱」及び先の通常国会で成立した「特殊法人等改革基本法」に従い、一年間にわたり見直し作業が進られてきたが、平成13年12月18日に特殊法人等改革推進本部(第5回)・行政改革推進本部(第8回)(いずれも本部長は総理大臣)合同会議が開催され、その場で「特殊法人等整理合理化計画」が策定された。
翌19日に閣議決定された同計画は、163の特殊法人及び認可法人を対象に、事業及び組織形態の見直し内容を個別に定めるとともに、各特殊法人等に共通的に取り組むべき改革事項について掲げている。
今後は、本計画に従い、内容の具体化が図られることとなるが、原則平成14年度中に法制上の措置その他必要な措置を講じ、平成15年度には具体化を図ることとしている。 平成13年12月18日 行政改革推進事務局 |
道路関係四公団民営化について 道路関係四公団民営化推進委員会の意見書公表(02年12月6日) |
首相官邸の道路関係四公団民営化推進委員会は、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に代わる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について一体的に検討するため、法律により設置された機関です。 2002年12月6日、道路関係四公団民営化推進委員会は意見書をまとめ小泉首相に提出した。土壇場で、今井敬委員長(日本経済団体連合会名誉会長新日本製鐵代表取締役会長)は、意見の決定に先立ち、委員長を辞任し、委員会を退席した。また、中村委員は、意見に反対した。意見書に、その旨明記された。 政治家側からは「まる投げ」と批判されたが、政策等に左右されず、利害関係の無い人たちが中立的な立場で議論し結論を導き出すことができたことは意義深い。前書きには、次のように記している。 道路関係四公団民営化推進委員会は、国民に対して開かれた委員会にすべき と考え、審議のプロセスを原則公開した。約40 兆円もの債務の中心となってい る郵便貯金等は国民から借りたものであり、高い通行料金を支払って高速道路 を利用するのは国民なのだから当然である。東京湾アクアライン、本州と四国 を結ぶ3 本の橋、その通行料金は常軌を逸しているが、それだけではなく多く の不採算路線の建設はいずれも密室で作成された非科学的で無責任な需要予測 と高コストの建設費がもたらした。 われわれはこうした過ちの原因を審議の過程でできるかぎり示してきた。そ して二度と同じ失敗を犯さないために、国民負担が少なくなるような債務の返 済方式と必要性の乏しい道路はつくらない仕組みを考察した。 政府においては、この意見を尊重して早急に実施に必要な措置を講じ、遅く とも、2004 年の通常国会までに関係法律を提出し、2005 年4 月1 日に新たな組 織を発足させるとともに、政府における施策の具体化にあたっては、本委員会 は、委員会設置法に基づき適切に監視機能を発揮する。今後とも、政府及び関 係四公団に対しては、本委員会に対して積極的な協力を行うよう求める。 |
特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について |
平成14年10月18日 、行政改革推進事務局 は「特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について」を公表した。 特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月18日 特殊法人等改革推進本部決定。以下「整理合理化計画」という。)のうち、事業について講ずべき措置は平成14年度から既に実施しているところであるが、組織形態については、同計画において、原則として平成14年度中に法制上の措置その他必要な措置を講じ、平成15年度には具体化を図ることとしているところである。 このため、今般、別表1に掲げる特殊法人等について、廃止・民営化等を行うとともに、別表2に掲げる独立行政法人について、同表に掲げる期日に設立等を行うこととし、別表3に掲げる法律案を今臨時国会に提出することとする。 特殊法人・公益法人等の改革については、「行政改革推進事務局」参照 |
道路関係4公団が民営化され、地域ごとに6分割された新会社が1日、発足した。 発足したのは、日本道路公団(JH)を3分割した「東日本」(本社・東京都)「中日本」(名古屋市)「西日本」(大阪市)と、「首都」(東京都)「阪神」(大阪市)「本州四国連絡」(神戸市)の計6高速道路会社。
各社のトップ(CEO=最高経営責任者)には民間企業出身者が就任したが、他の役員の大半は、旧公団や国土交通省など中央官庁出身者。道路資産と債務は、同日発足した独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」が引き継ぐ。新会社6社は、通行料収入から管理費を除いた金額を機構に支払い、債務を返済していく。
民営化によって、国から道路建設を命令される仕組みは基本的に廃止され、新会社の経営判断で建設を決める。だが、新会社が建設を拒否しても、国の判断で建設が決まる枠組みが残るため、「無駄な建設はしない」という原則が貫けるのか不透明だ。また、代表取締役の選任に国土交通相の認可が必要など、国の関与は残っている。
新会社は1日午前、各本社で記念行事を開催。道路公団総裁から中日本会社の会長に就任した近藤剛氏は、「第2東名はじめ高速道路のネットワーク化は、45年の債務返済計画が許す限り、最大限の知恵と工夫で進めるべきだが、走りたくなる仕掛けを考えなければいけない」などとあいさつ、談合事件には一切触れなかった。また、東日本の八木重二郎会長(元新日本製鉄副社長)は談合事件について「信頼回復は並大抵ではないが、やるべき時にやるべきことを実行していけば必ず報われる日が来る」と述べ、職員に奮起を求めた。【瀬尾忠義、町田明久】
(毎日新聞) - 10月1日17時24分更新
6社の株式は当面、国と地方自治体がもつが、収入増とコスト削減を進め、10年後の株式上場をめざす。
本社 | 新会社6社 | (カッコ内は前職) |
東京都 | 東日本高速道路株式会社 | 八木重二郎会長(元新日本製鉄副社長) |
名古屋市 | 中日本高速道路株式会社 | 会長に就任した近藤剛氏(伊藤忠商事常務) 社長には道路公団出身の高橋文雄氏 |
大阪市 | 西日本高速道路株式会社 | 石田孝会長(神戸製鋼所専務執行役) |
東京 | 首都高速道路株式会社 | 長谷川康司会長(トヨタ自動車専務) |
大阪 | 阪神高速道路株式会社 | 松下電器産業出身の会長田中宰氏(64) 阪神高速道路公団理事長から社長となった木下博氏(62) |
神戸 | 本州四国連絡高速道路株式会社 | 堀切民喜会長(住友信託銀行副会長) |
確実な債務の返済目指す 高速機構の理事長が会見
日本道路公団など道路4公団の民営化に伴い発足した独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」の勢山広直理事長は1日、記者会見し「品質の高い道路を次の世代に引き継ぐため、メンテナンスや債務の返済を確実に進めていきたい」と述べた。
機構は、4公団から高速道路資産と37兆4000億円の債務を引き継いだ。民営化会社6社に高速道路を有料で貸し出し、貸付料収入で債務を返済していく。
貸付料は半年以内に6社と結ぶ協定で決めるが、勢山理事長は各社の経営努力に応じて設定する意向を表明。各社に対し、人件費などのコストで具体的な数値を盛り込んだ削減目標を明示するよう求める考えを示した。
さらに、各社の経営内容を厳しくチェックしていくほか、機構自体も情報公開に努めていくことを強調。談合事件に関しては「各社の会長の不正防止に向けた決意は強いと感じており、期待している」と述べた。 (共同通信) - 10月1日18時12分更新
米国の連邦政府による支援企業は、Goverment-Sponsored Enterprises, GSE と呼ばれ、個々の支援企業は根拠法令にて設立されている。住宅取得、農業、教育の分野で活用されている。
大きな特徴は、資本市場や証券市場から資金を調達して、それぞれの施策に利用されてる。経営は民間に委ねられておいるが、経営者の3分の1が大統領の指名による政府側の取締役となっている。日本の財投機関債のように独自に債券の発行をするが政府の明示的な保証はない。財務省の裁量によって国庫からの借入は可能(与信限度が設定されている)となっているが現実には実行されていない。
政府支援企業の株式は、政府が保有しておらず証券取引所に上場されているが、通常の上場会社とは異なり、証券取引委員会(SEC)への財務情報の登録が免除されているが、SECが上場会社に求めている情報は、通常の上場会社と同様にインターネットでインフォーメーション・ステートメント(Information
Statement)として開示されている。
また、連邦政府の法人税の免税はされていないが、州の税金は免税されている。連邦政府からの一般会計から補助金等は原則としてない。
代表的な例として、住宅担保貸付(モーゲージ)を買取りを目的として設立されたファニーメイ("Fannie Mae" Federal National Mortgage Assosiation)やフレディマック(Freddie Mac・・「株主情報」「株価情報」「財務情報」「外部取締役による不正経理調査報告のプレスリリース、2003年7月23日」参照)がある。
ファニーメイは、住宅購入者の抵当貸付けを金融機関から購入し金融機関に住宅資金の供給をする。ファニーメイの資金は、ニューヨーク証券取引所(普通株式のシンボルはFNM)で公募増資で株式発行や、債権の発行、モーゲージ付き債券の発行などで証券市場から資金の調達を行っている。詳細については下記のホームページをご覧ください。特に、年次報告書には詳細な情報が記載されています。財務情報は米国会計基準を適用し監査報告書が添付されています。
Fannie Mae のホームページ |
Fnannie MaeのInvestor Relations |
Fannie Mae の株価情報 |
Fannie Mae のSECに登録した財務情報(年次報告書等) |
日米の主な違いは、日本の住宅金融公庫の資金源が郵便貯金で高金利を支払い、住宅貸付けで低金利の収入に対して逆鞘部分を国家予算の一般会計から補助金を受けるのに対して、米国は上場会社となって証券市場より低コストで資金を調達して銀行の住宅貸付証券(モーゲッジ)を購入して賄い、銀行は低金利で貸し付けるという証券市場のメカニズムを活用と金融商品を開発することで国から補助金を受けず自立していることである。 |
ファニーメイ会計問題、責任は元経営陣に=内部調査報告書 2006年02月24日07時55分(asahi.com) |
[ワシントン 23日 ロイター] ウォレン・ラドマン元上院議員は23日、110億ドル(約1兆2900億円)の利益水増しにつながったとされる連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) ラドマン元委員による報告書は、ファニーメイの元最高財務責任者(CFO)、ティモシー・ハワード氏と元会計監査役のリアン・スペンサー氏に不正会計の責任があるとしている。 元最高経営責任者(CEO)のフランクリン・レインズ氏については、同社会計が通常の慣行から著しく逸脱していたことを認識していなかったという所見を示した。 しかし報告書は「レインズ氏は着実な利益の伸びを不適切に強調する風潮の一端を担ったといえる。1999─2004年の会長兼CEOとして、同期間中に起こった不祥事の最終責任はレインズ氏にある」としている。 ファニーメイの粉飾問題を巡っては、米証券取引委員会(SEC)などの金融・司法当局が調査を続けている。直接の監督当局である米連邦住宅公社監督局(OFHEO)も近く、独自調査をまとめる見通しだ。(Nikkei Net) |
[ニューヨーク 2010年6月16日 ロイター] 米連邦住宅金融局(FHFA)は16日、米政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)とFNM.N連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.Nを上場廃止にすると発表した。株価がニューヨーク証券取引所の基準を満たさなくなったため。今後は店頭市場で取引されることになる。ファニーメイとフレディーマックは2008年9月から公的管理下にある。FHFAは両社に対し、普通株と優先株をすべての国内取引所で上場廃止するよう指示した。(ニュース 参照)
2008年 07月 18日、ロイターは、「日本の金融機関が保有する米GSE関連債、農中の残高は5.5兆円」として「米当局が政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.N、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.Nの2社の支援策を打ち出した。GSEの関連債券について、2008年3月末現在の日本の主要金融機関の保有状況を調査したところ、農林中央金庫は、GSE2社の機関債と住宅ローン担保証券(RMBS)の合計で5.5兆円で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)の3.3兆円を上回り、国内最大規模の保有額となった」と報道していたが、現在は保有していないのかしら?
● | 「会計・税金・財務情報(ディスクロージャー)」へ |
会計基準・財務情報開示の総合情報サイト |
公認会計士・税理士 横山明
Tel 047-346-5214 Fax 047-346-9636
E-mail: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp