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みかきもりの気ままに小倉百人一首

2023/02/11 百人一首の現在

『百人一首の現在』(中川博夫、田渕句美子、渡邉裕美子編/青簡舎)のまえがきで、
専門の研究者にとっては、秀歌撰の一つ、歌集の小品ではあっても、一部研究者や
愛好者の間では、『百人一首』をあたかも小宇宙のようにとらえて論じる向きもある。
と記載されています。私も後者の一人なのかもしれません。

No. 作者 コメント
97藤原定家来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ
[みかきもり]
『百人一首の現在』の編者は、百人一首の撰者・成立に関して定家撰ではないという考えです。
定家が生きた鎌倉期当時の文献的手がかりは以下の物になり、物証が少ない中での研究で、そうした中でも
『百人秀歌』の定家撰は共通理解になっているようです。
 『百人一首の現在』:『百人秀歌』とは何か(田渕句美子氏)より
  1) 『明月記』文暦二年(1235)五月二十七日条
  2) 百人一首と和歌97首・歌人98人が一致する『百人秀歌』
  3) 小倉色紙

個人的には以下のように考えています。
①百人一首は年代順のアンソロジー
・百人一首は天智天皇・持統天皇から後鳥羽院・順徳院まで(7世紀から13世紀前半まで)、作者が年代順
 になっており、作者を通じて日本の歴史を感じます。
・歌番号97「来ぬ人を」~歌番号100「ももしきや」の歌順に古事記を感じたり、歌番号42「契りきな」に
 貞観地震を感じたり、歌番号に定家の自分史を感じたり、百人一首は歌番号や歌順にもストーリーがあり
 多層で複雑な構成になっていると感じます。
 <みかきもりの気ままに小倉百人一首>
  1. begin「来ぬ人を」~end「百敷や」
  4. 8人の天皇
  14. 「末の松山」
  36. 「いちご白書」をもう一度

②百人一首、百人秀歌の成立時期
・新勅撰集、百人一首、百人秀歌は三幅対のように、定家が同時期に作成したと考えます。
・定家でない後世の人が、後から百人秀歌をもとに歌順の並べ替えや歌の差し替えを行って百人一首に
 多層で複雑な構成をとったストーリーを持たせるのは非常に困難であると感じます。
 <みかきもりの気ままに小倉百人一首>
  28. 薔薇の本数と百人一首
  32. 清原氏の氏祖

③嵯峨中院障子色紙形
・嵯峨中院障子色紙形は、定家が百人一首または百人秀歌からセレクトし蓮生に贈ったと考えます。
・明月記には何首贈ったか記載されておらず不明ですが、天智天皇、家隆、雅経は含んでいるのだと
 思います。
・当時の政治的背景から後鳥羽院・順徳院の和歌はセレクト対象外であることは十分推測できます。
 <みかきもりの気ままに小倉百人一首>
  21. 六歌仙と猿丸大夫

④百人一首の作者名について
・定家は百人一首を編纂したがそれには当時の政治的背景から作者名がなく、後世に百人一首が
 発掘された後、流布するために誰かが作者名を加えたと考えます。

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パソコンは多くのハードウェアモジュールやソフトウェアモジュールなどで構成されますが、それぞれの
モジュールだけを見てもパソコンのことは分かりません。
またパソコンも半製品でそれで完成でなく、ユーザーがパソコンにどのようなソフトウェアを導入し
どのように使うかで一つの完成形となります。(それにとどまらずバージョンアップする)
ちょっと百人一首とパソコンは似ているのかもしれないと思いました。


みかきもりの気ままに小倉百人一首 「52. 動物語呂合わせ」について、
昨年12月発売の『ちはやふる第50巻』の「ちはやふる番外編 はなのいろは」を
読まれた方は下記を
 ・新しく登場した1年生の長良凛月(ながら りつ)くん
 ・菫ちゃんと新が原田先生のところで練習している時の「鬼」の言葉
 ・菫ちゃんと新がいっしょに帰っている時の「あまのはら」の新の言葉
 ・菫ちゃんが千早を見て「太陽みたいに光って」と思う
また現在ニチアサを見られている方は下記を
 ・ひろがるスカイ!プリキュア(空のプリキュア)
 ・仮面ライダーギーツ(動物をモチーフ)
 ・暴太郎戦隊ドンブラザーズ(桃太郎をモチーフ)
イメージするかもしれません。
ちなみに歌番号75「契りおきし」の75(ナーゴ)はまったくの偶然ですが、
仮面ライダーナーゴ(猫)との犬猫つながりで歌番号75を覚えることができました(笑)
リアルタイムでなければ感じられないこともいろいろあるだろうと思います。

昨年7月奈良で大きな事件が起こった時、安倍仲麿(天の原)、山上憶良(貧窮問答歌)を
連想しました。そして『百人一首の現在』で山部赤人でなく山上憶良となっている箇所を
見て、ちょっとぞわっとしました。
[2023/3/15]
トロントたきのおと会のホームページのはるかなさんから「北斗七星信仰」のページを更新
した旨のご連絡をいただき、じっくりと拝見しました。はるかなさんは百ト一首(百人一首
+101藤原為家)と百人秀歌の歌番号をつないでいくとグルーピングできることに気づいて、
この「北斗七星信仰」のページを作成されています。
このページにある「牽牛星と織女星10首(5X2)・天の川25首(5X5)」について、リンクした
PDF文書(milkyway.pdf) に記載の通り、新たに解釈を行いました。
織女星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)が天の川で別れているのを鵲が橋を架けます。
鵲の星には夏の大三角(ベガ、アルタイル、デネブ)の一つであるデネブがあります。
この明るく輝くデネブと為家をオーバーラップさせており、定家の叶わなかった願いを
為家にかなえてほしいという定家の想いを感じます。

■参考文献
・百人一首の現在         中川 博夫、田渕 句美子、渡邉 裕美子 編(青簡舎)
・ちはやふる第50巻        末次 由紀(講談社)
・百人一首 全訳注        有吉 保(講談社学術文庫)
・全訳古語辞典(第二版)     宮腰 賢、桜井 満(旺文社)

■参考URL
・Wikipedia ひろがるスカイ!プリキュアWikipedia 仮面ライダーギーツWikipedia 暴太郎戦隊ドンブラザーズWikipedia 山上憶良トロントたきのおと会Wikipedia 夏の大三角Wikipedia 藤原基俊Wikipedia 源俊頼Wikipedia 俊恵Wikipedia 藤原顕輔Wikipedia 藤原清輔Wikipedia 藤原定家Wikipedia 藤原為家


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