人身事故を起こし相手に怪我を与えた場合、その事故
の経緯と相手方の怪我の度合いによっては刑事処分が課せられます。人身事故において最も重度な
処罰事項として、暴走行為など悪質な違反行為を犯してかつ相手を死に至らしめた場合は危険致死罪の適用、運転者に過失による結果の場合は業務上過失致死罪
等があり ます。 また特殊な場合を除き人身事故における罰金刑
が下される場合は最低でも12万円以上といった極めて厳しい処分が科せられます。尚、人身事故を犯した場合は必ずしも刑事処分が科せられるわけではありません。事故の内容に
よっては相手の怪我の程度が比較的軽く更に被害者が加害者に対し罪を軽減
させてほしいといった申し出があった場合刑事処分が課せられない可能性もあります。
もし事故を起こした後に(約 2〜3ヶ月後)検察庁から事故に関する出頭要請があった場合は刑事処分が科せられる可能性が極めて高いと考えられます。
それは事故の実態を事情聴取しどの程度の求刑が妥当かを判断するために呼び出されるということだからです。加害者から直接話を聞くことでその後の措置がどうあるべきかを判断することが目的です。
事情聴取に基づき検察官が調書を作成し
、事故内容からして加害者に対し処罰すべきであると判断された場合、起訴されることになります。起訴とは検察官が裁判所に対し刑事事件として提起することをいいます。提起するためには起訴状を裁判所に提出することが必要です。
逆を返せば検察庁からの出頭要請がなければ起訴するための事情聴取は必要ないということであって結果として起訴猶予(刑事処分は科せられないということ
)になったと判断することができます。該当事故が起訴処分になるのか、起訴猶予になったのかは呼出がない状況では当事者にとって事前に判断すること
ができません。一般に事故を起こしてから
半年以上ほど検察庁からの出頭要請がなければ、ほぼ大丈夫と判断できます。(半年以上経過しても突然検察庁から呼出がある場合もあります)
起訴される場合で比較的軽微な事故と検察官が判断した場合は、略式裁判による提起が斡旋されます。略式裁判を承諾すれば後日簡易裁判所から判決文が送付された書面が特別送達により送付されます。そこに送付される判決文に記載された罰則金分の振込用紙も同封されています。もし定められた期間内に一括納付できないときは,納付の通知をしている検察庁の「徴収事務担当者」に相談してください。経済的に納付が不可能な場合は留置場
(刑務所)で一日5000円換算で労務する選択もあります。

表 人身事故に関する刑事処分の相場(起訴猶予の場合は除く) |
事故の度合い |
付加点数 |
刑事処分(参考・目安) |
死亡事故(専ら) |
20 |
懲役刑(5年以下)
禁固刑 |
専らの原因で治療期間3月以上の重傷事故、又は特定の後遺障害が伴う事故 |
13 |
懲役刑・禁固刑及び
罰金刑500000円 |
専らの原因で治療期間30日以上
3月未満の重傷事故 |
9 |
罰金刑300000〜500000円 |
専らの原因で治療期間15日以上
30日未満の軽傷事故 |
6 |
罰金刑200000〜500000円 |
専ら以外の原因で治療期間15日以上
30日未満の軽傷事故 |
4 |
罰金刑150000〜200000円 |
専らの原因で治療期間15日未満の軽傷事故又は建造物損壊に係る交通事故 |
3 |
罰金刑200000〜300000円 |
専ら以外の原因治療期間15日未満の軽傷事故又は建造物損壊に係る交通事故 |
2 |
罰金刑120000〜150000円 |
(1)
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この表は人身事故を起こし起訴された場合における参考額です。従って事故を起こしても事故の内容により
起訴猶予となる場合もあれば起訴されても上記の金額以外の判決が下される場合もあります。 |
(2) |
酒酔い及び酒気帯び運転中における人身事故の場合は刑事処分の中でも限りなく重い罪が科せられます。上記の刑事処分の中でも最も重い処分に該当します。
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(3)
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歩行者に対し横断歩道上における人身事故(歩行者用信号機が赤などを除く)においては大半が起訴の対象となります。
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(4)
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死亡事故及び
重傷事故にて専ら以外の場合は事故の状況により大きく差が出ます。例えば被害者が故意
に横断禁止などの道路へ飛び出し運転者が回避不可能といった場合は不起訴処分になります。 |
(5)
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上記の違反以外にひき逃げや当て逃げ行為があった場合はこれらの範囲を越える処分が課せられます。例えば救護義務違反(ひき逃げ)の場合は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられ
、酒気帯び運転や無免許運転、大幅な速度超過が原因で事故を起こした場合で結果危険運転致死傷罪と判定された場合、1年以上15年以下の懲役及び行政処分:45点+欠格期間5年となります。 |
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