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CBR600F モデルチェンジ内容

F3(PC25) → F4(PC35前期)

   
写真 説明
CBR600F 1998

CBR600F 1999

F3からはフルモデルチェンジなので、鉄製メインフレームのアルミ化、ピンスライド式キャリパーの対向ピストン化、ホイール、カウル等、ほぼ全てが変わっている。車重は17kgほど軽量化。完全に別物である。

  • アルミフレーム化により、大幅に軽量化(-17kg)。スイングアームピボットをフレームとクランクケースの両側で支えるコンパインド・ピボットレス・アルミフレームを採用
  • フレームを覆うフルカバードカウル廃止、ラムエアダクトをヘッドライト下からサイドカウルへ移設
  • フロントサスペンション圧側減衰力調整機構を追加
  • ブレーキキャリパーを対向4ポットキャリパー化
  • ホイールスポーク6本→3本へ
  • リヤインナーフェンダー廃止(改悪)
  • ヘッドライトのマルチリフレクター化



F4(PC35前期) → F4i(PC35後期)

F4からF4iはフルモデルチェンジだが、見た目には変更は少なそうに見える(特にダブルシートモデル)。が、内部は意外と変わっていることも多い。しかし共用できるパーツも多く存在する。ここではPC35前期キャブモデルに流用して強化できそうか?という点を重視してみていきたい。

写真 説明

CBR600F4 Chasis
F4シャーシ

CBR600F4 Alminum Frame
F4フレーム単体

CBR600RR Alminum Frame
RRフレーム単体

フレーム各所のリブ補強

F4iフレームはF4に単純置換可能(但し国内仕様はF4銀、F4i黒と色違い)。もとのF4でもかなり剛性のあるフレームなので、レースユーザー、それもかなりのレベルでないと、この部分での不満は出ないはず。


CBR600F4 Frame Stiffening Rib1

鋳造ピボットプレート部のリブ補強

もともと複雑なリブがあったが、追加で補強が行われた。

当時ホンダはドゥカティ対抗「ピボットレスフレーム」にご執心で、旗艦CBR954RRもピボットレス。しかしトップレーサーからピボット剛性が弱く、限界領域で突然破綻するという不満も出ていた模様。

F4ではレース対応しつつ、しなやかさを求めたセミピボットレスフレームのため954同様、剛性に不満が出たと思われ、F4iにおいて対策された。


CBR600F4 Frame Stiffening Rib2

ヘッド周りのフレーム補強

こちらも裏側にリブを追加するカタチとなっている。小さなリブだが、ブレーキング時の安定性などかなり違いがあるそうだ。

F4は恐らく80年代から続いてきた、旧世代フレームの最終形。次作RR(PC37)から製法を含めガラリと変わり、縦剛性を高めつつ、横剛性は逆に落として更に運動性能(入力応答)の良いフレームにしている。

(画像は本田技研CBR600F4iファクトブックより転載)

  
CBR600F front view

CBR600F4 PC35前期
CBR600F4i Headlights

CBR600F4i MeterPanel

TriumphTT600

ヘッドライト二灯化

他にウィンカーのマルチリフレクター化。メーターがインナーカウル埋め込みから、タコメーターを中心に配置したレーサー風に。

カウル両側のエアインテイクは大型化、吸気効率は上がったが、切り返しの抵抗は増えた。アマチュアレースでは旧型(キャブレタ)のトップスピードが上という話もあり、全体的な空力は若干落ちているかもしれない。ただしそれ以外の中間加速、レスポンス等は全面的に新型が向上している。

新型はアグレッシブだが、旧型もPC25辺りから徐々に磨かれてきた良いデザインだと思う。この辺りは好みもあるが...。

個人的には少し後に出た英トライアンフTT600(写真下)は、完全にF4を意識したものとわかる(そのせいかすぐモデルチェンジしたが)。ホンダは外国の物真似デザインが多い気がするが、ぜひ真似される位のモノを作ってほしい。

   
CBR600F Direct-Air Induction
F4とF4i比較図

CBR600F Direct-Air Induction
CBR600F4i FI Unit
FIユニット

CBR600F4i Engine
F4iエンジン

キャブレター廃止、FI化

PC35前期モデルからの最大の変更点。燃料供給をキャブレターから燃料噴射装置に変更。アクセルレスポンスが向上し、馬力を絞った国内仕様も、不自然さがなくなった。

エンジンのバルブスプリングを二重化、クラッチ容量増加(7→8枚)、カムシャフトを変更するなど、カタログスペック的変更は無いものの、各部の限界性能を高めた。

ラムエア(ダイレクト・エア・インダクション)システムも、流入路の拡大、エアクリーナーボックス容量増加、エアインテーク付近にサブチャンバーを増設しスロットル急開時のレスポンス向上を図った。

変更が多岐にわたるため、前期型をFI化するのは、エンジンやハーネスごと総取替えするしかない。部品交換による強化も、エンジンを開けなければならないため、整備コストを掛けられるか、自分で整備できる人に限られる。

他にACジェネレータ強化(発電容量20%増 29A)、フライホイール軽量化も行われている。この辺りのパーツは流用できそうだ。エアインテーク周りの改善も参考にはなるが、材質が難接着性であり流用加工は難しい。

   
CBR600F4i FrontFork
フロントサスペンション

CBR600F4i RearSuspension
リヤサスペンション

サスペンション強化

フロント、リアとも外観上の変化はほぼないものの、特に高荷重域を意識した特性変更が加えられている。フロントフォークは43mmカートリッジ式正立タイプで変わらないが、ダンパーシリンダーのアルミ化(軽量化)、ダンパー特性(シム)、スプリング特性が変更されているようだ。

なお、ダンパー流用には、同じく品番変更になっているオイルロックピース、トップキャップ等もセットで用意した方がいいかもしれない。特にオイルロックピースは底付き近辺での作動特性に影響するため、ダンパーと一組で使用したほうが良いだろう。

リヤはスプリング色が赤→黄に変更、ダンパー特性(シム)も変更され、ホイール、ブレーキキャリパー軽量化とあわせ、PC35前期型から大きく性能向上させた。

ただし、モディファイ用に部品を調達する場合、2005年モデル以降は、コストダウンのため調整機構が省かれてしまっているので、注意が必要。

CBR600F4i Front Wheel
フロントホイール

CBR600F4i Rear Wheel
リヤホイール

ホイール軽量化

フロント・リヤ共に軽量化のため、新作されている。

ブレーキディスクの軽量化、ダンパー小型化に伴うハブの小型軽量化が図られた。特にリヤは1.2kgほど軽量化され、路面追従性向上に大きく寄与している。

より軽い純正ホイールは魅力。ハブ部分から総取替えになるが、流用できるはず。


ブレーキキャリパー軽量化

CBR954RR同様、特殊コーティングされたアルミピストンへ変更され、軽量化のみならずフィーリングが大きく向上。同様のアルミピストンを採用しているブレンボキャリパーの評判が良いのも頷ける。

ピストン径に変更は無いため、PC35前期型に同ピストンを組むことができる。明らかにブレーキタッチが向上し、固着も少なく汚れも落ちやすいのでお勧めのモディファイである。

だが現在、補修部品としてF4i用ピストンを注文すると、F4用鉄製ピストンに読み替えられてしまうこともあるようなので、発注には注意が必要だ。

CBR600F4 Pivot Shaft
F4ピボットボルト

CBR600F4i Pivot Shaft
F4iピボットボルト

ピボットベアリング変更

スイングアーム支持ベアリングの、右側のボールタイプ部分を、耐荷重性の高いニードルローラータイプへ変更。

恐らくコストの関係でPC35前期型ではスイングアーム右の支持をボールタイプ2個+カラー(左の支持はニードルローラータイプ1個)で行っていたが、これをボールタイプ+ニードルローラータイプ1個に改めた。

パーツリスト番号から、スイングアーム本体は変更されていないのがわかり、内部部品を組みかえれば、新型と同じ装備に出来る。カラーとニードルローラーベアリング、ダストシールを用意すればよい。


ピボットボルト強化

中空ピボットシャフトの内径を小さく(肉厚に)して、剛性を高めた。先のフレームピボット部分の強化とあわせて、ピボット部の剛性アップ策として採用。材質等は変更されていないようだ。パーツリスト図の形状を見る限り、外径・形状は内径を除き変更されていないようなので、PC35前期にそのまま使えそうである。

  • ボルト,スイングアームピボツト(F4i用) 品番:52101-MBW-E10 \2,100
CBR600F4 Shift Pedal
F4(PC35前期)シフトペダル

CBR600F4i Shift Pedal
F4i(PC35後期)シフトペダル
   

シフトレバー軸強化

シフトリンク部分のピロボールを大径化し、剛性アップ。シフトフィールをよりかっちりとしたものに改善してある。チェンジアーム側だけでなく、エンジン側アームも同様に大径化が図られている。

シフトロッド接続部が、写真上のように丸いものが旧型、写真下のように四角く直接工具が掛けられるようになっているものが新型である。

いずれも部品交換で、そのまま流用可能。

  • ペダルCOMPギヤーチェンジ(F4i用) 品番:24705-MBW-D20 \3,680
  • アームCOMPギヤーチェンジ(F4i用) 品番:24710-MBW-D20 \3,520

Improved CBR600F4 Clutch Release Lever
改良版クラッチレリーズレバー

Broken Clutch Release Lever
破損したレバー。
中空軸の切り欠き部分から折損。
   

PC35最大の問題点。

初期のキャブレター車両において、軽量化のためクラッチリフター部品(クラッチレリーズレバー:写真)を中空軸にしていたが、これが強度不足で、2万km超えあたりで破損するトラブルが多発した。

設計ミスと思われるこの部品は、こっそり中空軸から無垢素材へ構造変更され、リコール対応されていない。一般に国内ユーザーは走行2万キロに達する前に手放すことが多く、負担するリコール工賃も馬鹿にならないため、無視を決め込んだと思われる。

破断前の予兆としては、クラッチの遊びが急に増えたら危険信号。部品交換で、当然そのまま装着使用できる。該当部品を使用している車両はもう少ないと思われるが、破損前に対処するのが吉。

  • レバーCOMP.,クラッチ(対策品) 品番:22810-MBW-J21 \2,723
  • レバーCOMP.,クラッチ(欠陥品) 品番:22810-MBW-000