個人旅行者向け
タイの上手な旅の仕方の基礎知識

タイの実体験をエッセイ風、レポート風にまとめました

《SECOND EFFORTの活動》
お暇でしたらこちらもどうぞ

タイの日本人向け新聞「バンコク週報」に掲載しているエッセイを再構成しています。
店主のテレビ屋時代のエピソードを中心に書き綴っているエッセイです。今だから笑える失敗談や、今では信じられないテレビの制作現場のこと。
番組の立ち上げ秘話やタレントとの交流の話など、実際にあったことを一つづつ記憶を紐解きながら、店主の成長記録のように書いています。
不定期ですが、今も書き足していますから時々覗くようにしていただくと嬉しいです。


こちらは今の仕事のページです

会社案内ビデオや商品紹介ビデオ、社員の研修や教育のためのビデオを制作します。
映像プロモーションは企業のコンプライアンスの醸成に大きな効果をもたらします。
30年以上テレビの番組制作に携わってきた店主にお手伝いさせてください。長年培ったその経験を活かして、きっとご満足いただけるような作品をつくります。
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ただしご連絡だけはくださいね。
タイに関心のある方どんどん情報交換して、タイフリークの輪を広げましょう!

日本人感
日本人のタイに対するイメージ 日本人の国際感覚に外国人は失笑
出来心ではすまない万引きの代償 ニューハーフショーに見る日本人気質
日本に帰ってきたと実感すること タイを傷つけてしまっている日本的施しの心
『食感』花盛りの日本語に異議あり!
日本人のタイに対するイメージをまとめました (2006/4/30)
《日本人のタイに対するイメージは?》という質問にお答えいただいた皆さんのコメントをまとめてみました。3月から6週間にわたり皆さんのタイからイメージする物事を伺いました。ご回答いただいたのは、のべ823名様にのぼりました。ご協力ありがとうございました。
もちろん複数回お答えいただいた方もあり、またお一人でいくつも書かれていた方もありました。複数回ご回答いただいた方はそれぞれ1件づつとしました。お一人で一回につき複数のコメントがあった分についてはそれを一つづつ分けて集計しました。その結果コメント数はのべ2646件になりました。
特筆すべきは、お一人で31ものイメージを書いてくださった方もいらっしゃったこと。本当にありがとうございました。
ご旅行の際のエピソードなど書かれていた方については、そのテーマからイメージに分類しました。その他、ちょっと強引に分類したところもあるのですが、それらを集計した結果、皆さんのタイについてイメージする物事のトップ5は以下のようになりました。
複数回答がありますので、100%にはなりません。
  1. タイ料理に関するコメント
    (例)タイ料理大好き、トムヤムクン、カレー(中にはインドと間違えているのでは?というのもありましたが)、辛い、屋台で食べた経験など  72.4%
  2. 象に関するコメント
    (例)象、象に乗りたい、象大好き、「像」と書かれた方もここに入れました  52.0%
  3. 気候に関するコメント
    (例)暑い、蒸し暑い、スコール  48.0%
  4. 仏教・風俗に関するコメント
    (例)仏教国、神秘的、笑顔  36.6%
  5. リゾート地に関するコメント
    (例)プーケット、チェンマイ、サムイ  42.3%
これらに次いで多かったのは「ムエタイ(タイ式キックボクシング)」「交通渋滞」「果物」などでした。これだけを見ているとガイドブックそのもののように感じられます。
店主が嬉しかったのは、いろいろとエピソードを書いた下さったものです。
  • 仏像を描いたクッションを使っていたらワインをこぼし、洗ってもワインのあとは落ちないでサイズが縮んで使えなくなった、これは仏様の祟りかというコメント。
  • 「怖い」というコメントにご主人と昔話をして思い出したことを書いてくださった方。
  • 苦手だったパクチーもタイにいったら食べられたという方。
  • 初めてのタイ旅行でお腹をこわしてしまったというお話。
  • ボッタクリタクシーにやられた!
これらのエピソードも楽しく読ませたいただきました。
ただ、楽しく読んでばかりもいられない。そう、当店のメイン商品であるタイシルク(またはシルク)をイメージされた方が少ないではないですか!(ジムトンプソンを含め16.6%)その他当店でご紹介している商品アイテム、ハンドメイドの雑貨や陶器などをイメージされた方もごく少数派で、シルクを含め全部合計しても約25%にとどまります。これはちょっとショックでした。もう少しは多く書かれると予測していたのですが、タイシルクってあまり浸透していなのかな?これは当店の存在意義につながります…ピンチ!です。ここは声を大にして「タイといえばやっぱりタイシルクです!」と叫ばしていただきます。

それと同時に、目に付いたのが「アンコールワット」(カンボジア)「アオザイ」「バッチャン焼」(ベトナム)「タージマハル」(インド)などタイ周辺国についての記述が多かったこと(約8%)。それから「貧困」「発展途上国」など現実とそぐわないイメージを持っているものもありました。ちょっと残念でした。
欧米人が、日本には今でも刀を差した侍が歩いていると思っているというくらいに情報不足ということでしょうか。それとも、東南アジアというエリアが一緒くたに考えられているということなのでしょうか。
タイの伝統と文化を正しく伝えたいというポリシーを持つ当店としては、まだまだやらなければいけないことはたくさんありそうです。少しづつでもタイシルクのよさを皆様にご理解いただきたい。天然素材を上手く使った、ぬくもりのある製品の数々をご紹介していきたい。市内や空港のおみやげ物屋よりも、シッカリとした品質のものをご提案していきたい。
何とかせねば…と意を強くした店主でした。
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日本人の国際感覚に外国人は失笑 (2006/8/30)
8月15日朝のバンコクドンムアン国際空港は厳しい緊張が漲っていました。というのも、数日前ロンドンで飛行機内に爆発物になる物質を持ち込み、飛行中の爆破を狙ったテロが発覚したためです。加えて、犯人逮捕の情報源がパキスタンということもあり、アジアのハブ空港として重要なポジションであるバンコク空港は、その警備が従来以上に徹底されていたわけです。

空港ビルへの入り口は迷彩服を着た軍隊が常時パトロールし、自動ドアからビル内に入ったところにもまた兵隊。機内預けの荷物をチェックするところにも兵隊が立って警戒していました。もちろん、チェック態勢も厳しかったようで、普段よりもバッグを開けて中をチェックさせている人の数が多かったように感じられました。
そのような厳戒態勢の空気が充満する中、さすが楽観主義社の店主もちょっと緊張感を持ちながらチェックインをし、出国審査に向かいました。
当然のことながら出国時の審査も、いつものようにポンポンとスタンプを押されてハイさようならというわけにはいきません。写真や、データを相当厳しくチェックされていたようです。時間はまだ朝の7時前、担当係官の数もさほど多くなかったこともあって、出国審査を待つ列は長くなっていました。

ダラダラと進んで出国審査が終わったあとにも関門が待っていました。ターミナルに入る通路に兵隊が2人危険物探知機を持ってボディーチェックが行われていたのです。このボディーチェックは、兵隊の前に両手両足を開いて、ちょうど大の字のように広げて受けなければなりません。
さすが欧米人はこうしたボディーチェックになれているようで、持っていた手荷物をおろしてきっちり大の字に広げていました。兵隊たちはかなりテキパキと、しかし厳重にひとりひとりチェックしていました。とはいえ、次々と審査が終わって出てくる旅行者でここでも渋滞が起こっていたのはいたし方ありません。旅行者たちも整然と、そして当然のごとく順番を待っていました。

そんな中、40代後半と思しき日本人のオバチャンたち3名。この列を無視して、小走りにターミナルに入っていこうとしたのです。「ほらほら早く免税品を買いに行かなくちゃ」などといいながら…。
当然、兵隊たちはこの強行突破する女性たちを身を挺して止めます。
するとこの女性たち、日本語で「私はいいの」とか「ショッピング、ショッピング」をくりかえしながらそこをすり抜けようとするではありませんか。並んでいる欧米からの旅行者たちは何事が起きたのかとちょっと騒然としてきました。これがもしアメリカだったら、銃を突きつけられてホールドアップさせられても不思議ではない状況ですから、騒然とするのも当然です。
兵隊は最初は後ろに並ぶよう指示していましたが、このオバチャンたちには一向に通じる気配がないため、両手と両足を広げるように身振りで指示しました。温情といってよいのでしょう、割り込みを許可したのです。それでもオバチャンたち「わたしはいいのよ」を繰り返してなおもすり抜けようとします。ようやく日本人の男性が両手を広げるように伝えたようで、彼女たちは渋々ボディーチェックを受けていました。そして、そのあとそそくさと免税品店に急いだのはいうまでもありません。
この様子を多くの並んでいた人たちは呆れ顔で見ていたのですが、店主の前に並んでいた別の日本人のオバチャンたちのグループの話していた内容にもっとビックリ。「あの兵隊なにやっているの?」「なんでこんなに厳しいんだろう」などとのん気なことをいっていました。
ちょうど日本航空の東京便の時間で、日本人の観光客が多かったこともあり、こんな風な騒動が日本人のグループが通るたびに起こるのです。店主が出国審査からボディーチェックを受けるまでになんと4組もこうした日本人のグループが騒動を起こしていたのです。これにはびっくりするというより、呆れるばかり。

これがすべての日本人とはおもいませんが、この人たちの国際感覚ってどうなっているのでしょうか。あれほど大々的に報道もされ、アメリカに行く旅行者は機内にパスポートと財布以外荷物を持ち込めないという厳戒態勢が敷かれているという時期にそんなことはお構いなし。免税品を買うことのほうが大事というのは…。
店主の後ろに並んでいたアメリカ人男性が、店主に向かって首を振りながら失笑とウィンクをしていたのが妙に印象に残っています。あ〜恥ずかしい!
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出来心ではすまない万引きの代償 (2007/5/10)
日本には「旅の恥はかき捨て」ということばがありますが、そう一言では済まされない記事が日本人向情報紙に掲載されました。
「バンコク週報」という、タイで最も古くに創刊され多くの読者をもつ週刊の情報紙があります。その1面のトップに『日本人の万引き 軽い出来心でも重罪』という記事で、ここ数年の日本人旅行者による空港内のショップでの万引きについて書かれていました。
もちろんその数は年間のタイ旅行者の数、約130万人からすれば5人とか3人とかですが、これは一概に数字だけで割り切ることはできないと思います。それも、逮捕されているのは50歳代の高年齢の男女に多いといいますから、ちょっと頭を傾げたくなります。
バンコク週報の記事によると、今年捕まった男性はやはり50歳代の男性で、12,000バーツ(約42,000円)の腕時計をスワナプームの空港の免税店で万引きして逮捕されたそうです。この人は20万バーツの保釈金を払い保釈されたものの、現在判決を待っている状態。また昨年逮捕された50代の女性はやはり12,000バーツのサングラスを万引きして逮捕され、懲役6ヶ月の実刑判決を受けたといいます。

逮捕されると、費用面では保釈金、判決が出るまでのタイでの生活費、弁護士費用などがかかります。日数では逮捕されてから裁判、そして判決が出るまで数ヶ月。仮に有罪となれば懲役刑で約半年。あわせて1年近い日数日本に帰れなくなります。。当然これだけ日本に帰れなければ、職を失うということも考えられます。
また、退去強制、再入国禁止などもついてきます。一度退去強制などの処罰を受けると他の国にも入れなくなるケースも多いようですから、こうした人たちはもう海外旅行はできなくなってしまう可能性が高くなります。盗んだ商品の価格から考えれても、とても大きな代償です。

せっかく何ヶ月も前から準備してきたタイ旅行。それも、あと7時間程度で日本の土を踏めるというのに、なんでこんなことをするのでしょうか。楽しい思い出だけを持って帰れるはずだったのに。
同行した人たちのショック、そしてタイの思い出も苦いものにしてしまったに違いありません。それも分別のあるはずの50歳代の人たちが…。理解に苦しみます。

この記事を読んでいて、以前店主が高架鉄道に乗っている際に日本人旅行者の高齢の女性が話していたことを思い出しました。何も、電車の中でそんなことを大きな声で話さなくても良いだろうにと思ううちに、もっとたいへんな問題を持った発言のように思えてもきました。
「いろいろきれいなものは目に付くけど、お金を払ってまでして買うほどではない」というのが彼女たちの話題でした。これは、ある意味タイ人の文化や伝統が培ってきたものに対する冒涜にも当たるのではないかということです。
もちろん彼女たちはそんなことを意図して話していたわけではないでしょう。
きっとその前に立ち寄ったおみやげもののショップの感想を話し合っていたのだと思いますが、日本語の分かるタイ人が聞いたらどう思うでしょうか。無神経すぎる発言であると思いました。

同時に今回の記事に照らし合わせて、こうした考え方が根底にあったら、街中での万引きなどはもっとすごい数に上るのではないかという危惧も起こります。今回の記事は空港の免税店について書かれていたものなので、これはごくごく一部の事例に思えてなりません。
King Duty Freeは万引犯に対してはすべて示談には応じず、即刻起訴すると宣言しているそうです。
でも、普通のおみやげ物屋さんでは、こんなに強い姿勢では対応できないはずです。また、起訴して裁判で係争するなんて面倒くさいと考えるでしょう。その前に、商品の価格よりちょっと多くお金を払えばOKというケースも多くあると思います。

ゴールデンウィークを前にして日本大使館の領事部が発表した注意を元にして書かれた記事から、日本人のタイをはじめとする東南アジアの国々に対する見る目。お叱りを覚悟してあえていえば、傲慢さのようなものに思いが広がった店主でした。あわせて、当店の商品も同様に「お金を払ってまでして買うほどではない」と思われていたならどうしよう…、と背筋に冷たいものが流れてしまいました。
いずれにせよ、海外旅行は楽しく、美しい思い出とするようにしたいものです。
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ニューハーフショーに見る日本人気質 (2007/5/20)
バンコクから東南に2時間ほど行ったところに世界的に有名なパタヤというリゾート地があります。パタヤはリゾート地としての一面に加えて、ニューハーフのメッカとしても知られています。パタヤへ行ったら一度はニューハーフショーへ行くというのはひとつの観光ルートにもなっているほどです。
このパタヤで、5月11日ニューハーフのミスコンテストが行われました。このコンテスト模様はタイのテレビでも放映されるほどの人気イベントで、結果は有名大学の20歳の学生が優勝したそうです。

ニューハーフのことをタイ語ではカトゥーイといいますが、レディーボーイという呼び方も一般的です。
タイではニューハーフは日本よりもしっかり市民権を得ています。町の中で働いているカトゥーイたちは、日常から必ずしも女装しているわけではありません。普通の男性のファッションですが、身のこなしは女性的で、お化粧もしっかりしています。レストランなどに行くと、必ずといってよいほどカトゥーイがウェイターとして働いています。また一般企業などでも働いている人も多いといいます。
一緒に働いている人も、お客も彼等を色目で見ることはほとんどありません。個人の主義や主張というのに干渉しないタイ人の文化の一端が表れていると思います。まあ、陰ではあの子はカトゥーイだから…なんていうこともいわれることもあるにはあるのですが。

昔バンコクにはカリプソというカトゥーイショーを行っている劇場が人気で、日本人や欧米の観光客で賑わっていましたが、今はショーパブのようになっているようです。今でもそのほかにマンボーという劇場や数件のショーパブが営業しているようです。
そんなタイの中でも、パタヤのカトゥーイショーに出演している人たちは特に美しいので有名なのです。ということで、「カトゥーイショーといえばパタヤ」とまでいわれています。
そのパタヤにはアルカザールとティファニーという2件の劇場があります。アルカザールはちょっとコメディータッチの演出、ティファニーはタカラヅカ風の演出で個性を主張しています。

昨年のことになりますが、久しぶりにパタヤのアルカザールに行く機会がありました。日本から友人が来て、ぜひ行ってみたいということで、案内したのです。そこで、店主は時の流れというものを実感してしまったのです。
以前、アルカザールでは日本の楽曲を使用することが多かったのです。欧米系のヒットチャートを賑わす曲と半々くらいだったのではないでしょうか。都はるみさんはじめ演歌系の音楽が多く使われ、それに着物やドレスの女性(?)が登場しあて振りをするというものです。時には観客席の中まで入って行き、はげ頭の人の頭にくっきりとキスマークをつけるというのもお決まりの演出でした。

ところが…
久々に行ったアルカザールでのオープニングはなんとアリラン。その後も韓国の楽曲を中心に、チマチョゴリで着飾った踊りなどが中心となっていました。確か、この日は日本の楽曲は全くなかったと記憶しています。
これは由々しき問題です。
客層に敏感に反応するタイのショービジネス界ですから、演出の中心が韓国調になっているということは、パタヤが韓国の観光客に席巻されているということになります。実際、この日も韓国人ツアーが大型バスで乗り付けて大量に押し寄せていました。
もちろん、人それぞれに興味を持つことは違いますから、日本人がパタヤへいってもカトゥーイショーに足を運ばなくなったといえばそれまでのことです。でも、それよりも大きな理由があるように感じられてならなかったのです。
日本人はこうしたショーを見ても本当に楽しんでいるのかどうか分からない。反応が薄いのです。その根底にはカトゥーイ(オカマ)ショーを蔑んできている目があるように感じられてなりません。それに対して、欧米人や韓国人たちは本当にショーを楽しみます。
カトゥーイショーはある意味タイの文化でもあります。その文化を心から楽しむことは恥ずかしいことでもなんでもないはずです。実際、タカラヅカのショーを私たちはエンターテイメントのひとつとして受け入れ、人気を博しているではないですか。

せっかくの旅行です。心を開いて、日本の固定観念にとらわれず、1,000人以上収容の大きな劇場で夜毎開催されるショーを心から楽しむことも必要だと思うのですがいかがでしょう。
全くいやらしくなくて、あっけらかんとした楽しいショーですよ。
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日本に帰ってきたと実感すること (2007/11/20)
11月16日、ほぼ2ヶ月ぶりに日本に帰ってきました。
タイと日本を行ったり来たりしている店主には「ああ日本に帰ってきたんだな」と実感するいくつかのことがあります。それはもちろん、日本人だらけだとか、タイ語の看板や掲示板がない、なんていうことではなく、いかにも日本的だなと感じる物事なのです。

帰国して最初に実感するのが、エスカレーターのスピードの遅さ。
成田空港の、特に地下の駅に行くときのエスカレーターの動きの遅さは、安全第一という日本らしさが表れています。到着ターミナルから駅までカートも乗せられますから、その安全を考えれば遅くても当然というのが日本的な考え方なのでしょう。特に先月、子供が首を挟まれたなんていう事故があれば、なおさら運転は慎重になるのでしょう。

以前もご紹介したことがありますが、バンコクのエスカレーターはとても早いのです。中でもMRTという地下鉄のエスカレーターはすこぶる早い。店主の感じるところでは、東京駅のコンコースから中央線に上がる長いエスカレーターは国内で一番早いのではないかと思います。でも多分それよりも早い!
それから、そのエスカレーターを歩く人がいるというのも日本に帰ってきたなと感じるところです。まあ、これはロンドンやニューヨークなどでもそうした人たちがいるので、日本に限ったことではないかもしれません。
バンコクでは、エスカレーターを歩くなんていう人はほとんどいません。ですから、歩きたくない人は歩く人のために片側を明けておくなんていうことはしません。これは、けしてタイ人が日本人ほど忙しくないから、というわけではないようです。
「黙っていても動くものに乗っているのに、何でそこを歩かなければならないの?」というのが店主の友人のタイ人言い分です。多分、ほとんどのタイ人の考え方なのでしょう。

次に、日本を実感するのが、電車に乗るときに整列すること。そして降りる人が先で、乗る人は後というルール。
最近はバンコクのBTSという高架鉄道やMRTでも整列乗車をマナーとして奨励しています。電車を待っている間は並ぶ人も多くなりましたが、乗るときとなると、降りる人がまだいるのにどんどん乗り込んで行きます。座席を取るためというのでもないのに、せっかちに乗り込んで行くのです。日本のルールに慣れている店主が前のほうに並んでいて、おりる人が終わるのを待っていたりすると、その脇を「チッ!」とか舌打ちされてすり抜けて乗り込みます。こんなところにタイ人の個人主義の姿勢が歴然と表れるのです。
その反面、日本人は降りる人が終わったら我先にと席取りに走りますね。こんな光景もタイでは見たことがありません。まあ、日本では1時間近くも電車に乗らなくてはならない通勤客というのが多勢いますから、そういう人にとっては何とか座って、寝て行こうと思うのも無理のないことです。タイでは一番長い距離を走っているMRT(地下鉄)でさえ、端から端まで40分程度ですからどうしても座りたいという人は少ないかもしれません。それと、タイの電車の座席はニューヨークの地下鉄の座席同様プラスチックの硬いものなのです。だから、長時間座るというのはかえって苦痛なのです。

もう一点。
日本に帰ってくると、店主が歩いているときに追い越す人がたくさんいます。というより、ほとんどの人が追い越すといったほうが良いでしょう。タイ人の歩くペースに慣れてしまった店主は知らず知らずのうちに歩くスピードが落ちているのでしょう。でも、こんなゆっくり歩きになってしまった店主ですが、バンコクでは追い越されることはごく稀。いつもタイ人の歩くのが遅いことにイライラしているのです。「うーん、やっぱり日本人は歩くのが早い!」と実感するわけです。

帰国するたびに、日本の味にホッとしつつも、なんだかタイの生活に馴染んでしまった自分に、日本での居場所のなさを感じ始めている今日この頃です。
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タイを傷つけてしまっている日本的施しの心 (2007/12/10)
タイではアメリカのように明確なチップの風習はありません。会計の際には、日本同様サービスチャージをとられていますからチップを払う必要はないのです。でも、実際はチップを出すのが一般的です。
とはいえ、アメリカのようにウェイターやウェイトレスがチップ収入によって生活しているわけではありませんから、それ程高額ではありません。だいたい、お釣りの中で硬貨など小銭を置いてゆくのが一般的です。例えば、会計が187バーツで200バーツ払ったら、お釣りの13バーツを置いてゆくという具合です。870バーツで1,000バーツ払ったら、100バーツだけ受け取って30バーツを置いておいた方がよいでしょう。
キャッシャーもこうした事情を考えて(としか思えません)上手に硬貨の小銭をお釣りに混ぜてきます。半ば、この小銭分はチップとして置いていってねという無言の要求です(笑)。このチップはキャッシャーの募金箱のような箱に集められていて、だいたい週末ごとに従業員たちがほぼ平等に分けるようです。ちょっとしたお小遣いになるわけです。

こうしたチップの風習というのはいろいろなところにあって、例えばゴルフコースのキャディーにもキャディーフィー以外にチップが必要です。どこのコースも、キャディーフィーというのは200〜250バーツをチェックインの際に払うのですが、この中でキャディーの手元に入るのは160〜180バーツぐらい。チップ収入があることで想定されているわけです。以前にもご紹介しましたが、タイでは1人のプレーヤーに1人のキャディーが付きます。当然日本よりもずっと充実したサービスが受けられます。
だいたい今はキャディーへのチップは300バーツが一般的なのですが、プレーが終わって、キャディーにチップを渡す際に日本人たちの対応は二通りに分かれます。
サービスに満足してなのでしょうか、500バーツも払う人。
確かに、日本でクラブを渡すだけのオバチャンキャディーに4,000円も払うわけですから、500バーツ(約1,700円)くらい安いものでしょう。ましてサービスも充実しているのですから、そう思ってしまうのも理解できます。
もう一方はチップという言葉を「心づけ」というように考えているのでしょうか、100バーツ程度しか出さない人。
さすがに、キャディーたちはもっとチップが欲しいと要求します。シブシブ、もう100バーツを渡しているところを目にしたことも度々です。こういう客に限って、シャワーを浴びた後にレストランでビールを飲みながら、しようもないキャディーだったと大声で悪口を言ったりするのです。そうした光景を見るたびに、やっぱり相場というのは理解していただきたいと思ってしまいます。

店主が危機感を覚えているのは、実は小額のチップを出す人に対してではないのです。相場以上にお金を与える人に対してです。ひとときの旅人が良かれと思ってしたことが、結果的に悲劇的な状況を作り出してしまった経過を見てきているからです。

それはタニヤというエリアで起こったのです。

タニヤは日本人通りともいわれ、日本人のためのカラオケクラブが数多く集まっているエリアです。ここでは今もホステスと客との間の自由恋愛を認めているお店が数多くあります。客は気に入ったホステスがいると、オフといって店を早退させます。店にはオフ代として概ね500バーツを支払います。そこから二人は自由恋愛ということになるのです。こうした行為はタイの歓楽街では今も公然と行われています。
自由恋愛という言葉を使ってはいるものの、男性たちの求めるものは一つです。一緒にホテルに戻って、そして…。男性は、夜を共にした相手に対してお金を払い、その日の恋愛は終わります。
店主はこうした現実を否定するつもりはありません。逆に、ひどいことだと眉をしかめる人たちをこそ否定します。
もちろんそうした行為が正しいこととは思いません。そしてエイズや、父親の分からない子供を身ごもった女性など、幾多の悲劇を生んできたことも事実です。でも、残念ながらこうした方法でも収入を得なければ、自分の生活も、そして田舎にいる両親や家族たちをも守れない女性たちの現実があるのです。異論はあると思いますが、こうした現実は現実として踏まえてください。

こうした女性たちに悲劇が訪れたのはもうかれこれ5〜6年前のことです。日本から来た男性たちが、彼女たちの献身的な振る舞いに満足して相場以上の金を渡すことが多くなったのです。当時の謝礼の相場はだいたい一晩で2,000〜2,500バーツでした。ところが、4,000バーツ。5,000バーツと払う男性が出てきたのです。
タイに限らず、アジア圏では口コミや噂というのが情報源として大きな意味を持っています。タニヤという街で、一晩にそれまでの2倍以上のお金をもらった女性たちがいるという情報は瞬く間に広がりました。そう、そうして相場が跳ね上がったのです。
その結果、タニヤに足を運ぶ人たちが激減しました。観光客ばかりか、バンコクに駐在しているビジネスマンたちの足も遠のきました。街全体が賑わいを失い、閑古鳥が鳴くような状況になったのです。80人もの女性をかかえているのに客は2〜3人、などという店も珍しくなくなりました。そうして、収入の道を失いもっと悲惨な社会に身を置くようになった女性たちを店主は何人も知っています。
ちょっと通りすがりの異邦人にとってはたいしたことではないこと。そのときの感謝の気持ちからしたこと。心の片隅にある施しの心から、良かれと思ってした一つひとつのことが慢性的な悲劇を生み出してしまった現実があったことを、店主は無視することはできません。
もちろんそうした現実を変えて行かなければならないことは当然です。そうした売春まがいのことをしてはいけないことも間違いのないことです。でも正論は正論として、それにそぐっていない現実があることを知っておく必要もあると思うのです。そうした生活をしなければならない、女性たちがいることを卑下し、無視してはならないとも思うのです。これに似たことは、私たち日本人だって戦後という時期に経験したことなのですから。

いま、相場がおさまってきたのでしょうか、それとも高騰した相場自体が当たり前となったためでしょうか、タニヤが賑わいを得始めています。そして、日本人男性とカップルで歩くタイ人女性の姿が目立つようになってきています。
もう、つまらない悲劇的なことが起こらないようにと、タニヤを歩くたびに思ってしまう店主です。
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『食感』花盛りの日本語に異議あり! (2007/1/20)
前々回にも書いたのですが、店主はバンコクに滞在している間、NHKワールドの番組を見ている時間が長いです。それも、あまり仕事がないのでジックリと見ています。ニュースからドラマ、ドキュメンタリーにいたるまで、相当シッカリ見ています。こんなにテレビをジックリ見るというのは何年ぶりでしょうか。
こんな風にジックリ見ていて、とても気になってきていることがあります。今やそれは、ほとんど気に障るというといってもいいレベルとなっています。
それは言葉使いです。

海外にいると当然日本語に接する機会は減ります。それは同時に日本語に対して敏感になるということになってくるのですね。不思議なことです。
そんな店主が今、聞いていて今一番気になっているのは「食感」という言葉です。「食感を楽しむ」とか「食感がよい」なんていうことばが、それこそ料理番組から旅番組で現地の郷土料理を食べた時など頻繁に出てきます。レポーターはおろか、料理人までこの言葉を使います。この言葉って変だと思いませんか?

言葉は生き物だと思っていますから、その時代ごとに新しい表現ができてくるというのは理解できます。だから、一時期流行った「まったり」とか「…みたいな」はまだ許せるのです。でも、「この食感がたまらない」とか「独特の食感」、「食感を楽しむ」といわれて、その料理や材料の味わいが理解できますか?
日本には「歯ごたえ」とか「舌触り」とかという言葉があるではないか!まして、そこに感じられたことを表現する形容詞もたくさんあります。「しこしこ」とか、「こりこり」とか…。ちょっと気が利いた人は「シコシコした食感」といってくれますが、それは「しこしこした歯ごたえ」だろう!と思ってしまうわけです。
この「食感」という言葉を使う人に限って、料理を食べた時の第一声は「おいしい!」といいます。そりゃ、一流の店や、厳選した新鮮な材料で作ったものなのだからおいしいのは当たり前だろう!なんて思ったことありませんか。「食感」という言葉は「おいしい」と同じくらいどうしようもない、《伝わらない》表現だと思ってしまうのです。

NHKではファミリーレストランなどのマニュアル言葉について批判的です。あの「○○になりま〜す。」というあれですね。でも「食感」という言葉はテレビに出る人のマニュアル言葉といってもよいのではないかといいたいのです。NHKの料理番組でアナウンサーが「たまらない食感ですね」なんていうと、イライラしてきます。こんな言葉なら、若い少女たちが作った「超○○」の方がよっぽど伝わってくる。暇なものですから、そんなことまで思いが飛躍してしまうのです。

こんな風に重箱の隅をつつくように見ていると、いくつものテレビ的なマニュアル言葉が気に障り始めます。「頑張る」、「感動した」、「しっかり」、「う〜ん、なんだろう」etc.。今や、一般の人たちへのインタビューを聞いていてもこれらのことばが連発されます。特に「頑張る」と「感動した」は辟易するほど耳にします。
展覧会やコンサートなどを見た後のインタビューで「感動しました。これからも頑張って下さい。」のように。これをマニュアル語といわずして何というか!(プンプン)と1人で怒っているのです。
「う〜ん、なんだろう、頑張って作った料理で、しっかりした食感に感動した」。こんな表現が、きっと近いうちに旅番組で郷土料理を味わうレポーターたちから発せられることでしょう。食べたこともない料理をこんな風に表現されても、現地へ行って食べてみたいと思いますか?

タイ語には日本語のように多様な形容詞はないようです。おいしい、塩辛い、甘い、辛い、硬い、柔らかい…。あといくつあるでしょうか。英語でも多分そうだと思います。日本語のような「舌触り」「歯ごたえ」というような表現はないのではないでしょうか。

前にも書きましたように言葉は生き物。時代に合わせた言葉の表現がでてくるというのは理解できます。でも、しっかりと具体性を持ったことばを捨てることはない。それは日本人だけがもった豊かな文化が反映しているものだから。日本人が自ら率先して2000年を超える歴史が育んできた言葉を捨てる必要はないと思うのです。それが日本の文化を否定することにつながらなければ良いと祈ってさえいる毎日です。
海外でグテ〜っと暇にしていると、こんなどうでも良いようなことに意識がいってしまうのです。
有限会社 SECOND EFFORT
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