商法計算書類では連結決算はできない

2000年3月期より、世界標準である連結決算が本格化

連結決算体制の準備はできてますか?


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はじめに


1997年6月6日、大蔵省企業会計審議会は、親会社中心の単独決算主義を、2000年3月期より連結財務諸表を中心とした財務情報の開示に変更する旨決定しました。グローバル化の波に乗ることになりました。

連結財務諸表は、親会社の単独財務諸表に子会社の個別財務諸表を合算し、連結修正仕訳を行い、また、関連会社からの個別財務諸表から持分法による損益等を計上して、連結財務諸表は作成されます。

連結財務諸表を作成する基礎資料である子会社及び関連会社の個別財務諸表は、商法計算書類からは作成できません。その理由は、次の通りです。

従来の連結決算とは本質的に異なります。本質的な違いは、主に次の取りです。

内容が充実する
連結決算の内容(税効果会計、企業年金の会計、キャッシュフロー計算書、注記事項の充実など)が充実する。従来は、新たな会計基準はほとんど無くまた開示項目も少なく単なる合算財務諸表に連結特有の修正仕訳を入れて作成すればよかったのが、税効果会計、企業年金の会計、キャッシュフロー計算書の作成、金融商品の時価会計など、それぞれ高度な会計知識と連結技術を必要とするようになります。加えて、下記の時間的制約が出てきます。
連結決算の公表が早まる 連結決算の公表が早まる。従来は、単独決算後おもむろに連結決算を行っていましたが、欧米型の連結中心主義では、タイムリーディスクロージャーとして連結財務情報の開示が早まります。
中間決算は、商法に規定は無い 新たに、中間連結財務諸表が求められるようになりました。商法には、中間連結財務諸表の制度はありませんので、半期決算書は連結目的に新たに作成する必要があります。

新たな会計基準の適用

大蔵省企業会計審議会は、下記の新たな会計基準を設定し、新連結決算中心主義に変更するこになりました。

新たな会計基準 実施時期
新連結財務諸表(年度) 平成10年4月以後開始する事業年度から偶発債務の注記,表示科目の統合等について実施し、平成11年4月以後開始する事業年度から本格的に実施(2000年3月期から本格的に実施)
中間連結財務諸表 平成12年4月1日以後開始する中間会計期間から実施(2001年3月期から実施)
連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い(平成10年10月30日) 平成11年4月1日以後開始する事業年度から適用。(2000年3月期から実施) ただし、早期適用も認める、としています。
原文は、大蔵省(http:www.mof.go.jp/singikai/kaikei/top.htm)より入手できます。
研究開発費等の会計 平成11年4月1日以後開始する事業年度から実施(2000年3月期から実施)
キャッシュ・フロー計算書 平成11年4月1日以後開始する事業年度から実施(2000年3月期から実施)
中間キャッシュフロー計算書は、平成12年4月1日以後開始する中間会計期間から実施
(2001年3月期から実施)
退職給付(企業年金)の会計 平成12年4月1日以後開始する事業年度から実施(2001年3月期から実施)
税効果会計 平成11年4月1日以後開始する事業年度から実施(2000年3月期から実施)
ただし、早期適用を認める。
金融商品の時価会計 平成12年4月1日以後開始する事業年度から実施(2001年3月期から実施)

従来の連結決算とは質・量とも異なります。税効果会計、キャッシュフロー計算書、退職給付(企業年金)の会計など、従来日本に無かった会計基準であると同時に、それぞれ、知識を会得し実務に適用するまでに時間を要します。また、それぞれの会計基準は欧米型のように注記事項による開示情報が必要となります。これは、従来の日本の会計基準には無かったものです。


つまり、商法決算書類では、下記の三点で連結決算に利用できません。

1 商法計算書類では、連結決算に必要な財務情報が入手できません。
  • キャッシュフロー計算書の情報
  • 税効果会計、退職給付の会計、金融商品の会計等の注記事項の情報
  • 連結会社間取引・債権債務、その他未実現利益の計算の情報
2 商法決算の日程では遅すぎる・・・商法で定められている決算日程を待っていては、親会社では連結財務諸表の作成は相当に送れることになります。 タイムリーディスクロージャーが求められる時代に逆行はできませんし、早期ディスクロージャーはますます求められます。既に先進的企業は、連結単独同時発表をしており、連結中心主義は同様のタイミングで公表を求められることになります。
3 中間決算は商法規定にはありません。したがって、中間連結決算を行うには、半期決算報告が必要となります。


連結決算体制の準備はできていますか?

連結決算は、上記の事項すべてが整理検討され、事前に結論を得ておく必要があります。 具体化するまでには、時間の要する仕事になります。 したがって、連結決算体制を確立するため、制度上の外部報告する前に連結決算体制を確立して本番さながらに実際に連結決算を行うとよいでしょう。

連結決算体制とは

連結決算体制は、仕組みを構築することと、連結決算方針を決定することから始めます。

連結決算の仕組みを構築すること
  • 子会社・関連会社から連結情報を入手する仕組みの構築
  • 海外子会社・関連会社からの中間決算の財務情報の入手の方法の構築
  • 連結決算を連結決算をコンピュータで行うかどうかの決定・・・コンピュータで行う場合はソフトの選択、導入、トレイニングなど
連結決算方針を決定すること
  • 連結子会社の範囲の決定、持分法を適用の関連会社の範囲の決定
  • キャッシュフロー計算書、税効果会計、退職給付の会計、金融商品の会計を適用する子会社、関連会社の範囲の決定(連結時で修正として取り上げる会社の決定でもある)
  • その他の会計方針の決定など


連結決算のキーポイントは、「連結決算体制の確立」および「連結財務諸表作成の基礎」に具体的かつ詳細に記述してあります。ご覧ください。


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日米双方の連結実務の豊富な経験を基礎にキーポントを上記に記しました。本格的な連結決算制度の体制確立に参考となれば幸いです。なお、企業に合わせ正確かつ効果的・効率的な連結決算体制の確立について支援しています。興味がありましたら、下記宛てご連絡ください。

横山会計事務所
公認会計士 横山 明

Tel 047-346-5214 Fax 047-346-9636
E-mail: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp


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