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連結決算と子会社管理の基礎となる連結資料について |
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1997年6月6日、大蔵省企業会計審議会は、親会社中心の単独決算を2000年3月期より連結財務諸表を中心とした財務情報の開示に変更する旨決定しました。年度決算ばかりでなく、中間財務諸表も同様に連結財務諸表が中心となります。(連結決算中心主義に方針転換した背景は、「国際会計基準」に記載していますので参照してください)
従って、従来親会社単独の財務諸表中心であった時代には、親会社の経営者は、親会社単独の財務諸表にのみ興味を示す傾向が強かったのですが、2000年からは子会社を含めた連結決算が主流になることから、興味は必然的に連結決算へシフトせざるを得なくなってきています。
連結財務諸表(中間・年度)は、子会社の理解・協力を得て正しい連結財務諸表ができます。「連結及び持分法会社の範囲の確定」、「税効果会計」、「キャッシュフロー計算書」、「退職給付(企業年金含む)の会計」、「金融商品の時価会計」など新たな会計基準の導入に対してどう連結決算を進めるか、海外子会社の中間財務諸表は正確で適時に入手できるかなど問題が山積しています。子会社の理解・協力を得るには時間がかかります。適用初年度に体制を整えようとしても不可能です。連結体制は早期に樹立し時間を掛けて精度を高めることになります。
上場準備会社及び店頭登録準備会社も連結中心となる:
証券取引法適用会社である上場会社は当然のことですが、連結決算が中間及び年度で作成し公表することが義務つけられます。日本証券業協会の店頭登録企業も同様に連結ベースでの審査登録が中心となることが明らかにされました。1998年11月2日付け「株式店頭市場の改革に向けて」と題する報告書によれば「純資産は、連結、単体ともに直前事業年度末2億円以上とする」と明記し連結した純資産をも株式公開基準としています。上場準備会社および店頭登録準備会社も連結中心となります。
連結子会社等の協力が得られず、親会社の経理が連結財務諸表を参考書を見ながら鉢巻して作成している会社が散見されます。これでは、いつまでたっても精度の高い正しい連結財務諸表は作成できませんし、また、いくら時間があっても足りません。つまり、不効率・不正確なものしか作成できません。
子会社から正確な資料が迅速に入手できて、はじめて効率的で正確な連結財務諸表作成の基礎を得ることができます。そのためには、子会社の理解と協力を得る体制が必要なのです。そのキーポイントは「連結資料」が簡潔・明瞭に設計できていて、子会社の理解を求めやすくなっていることにあります。
連結作業は、通常、次のような手順で行います。「連結資料(Consolidation package)」が正確で十分な情報を提供していて初めて効率的な連結作業となります。
東京証券取引所の新興企業向け市場である「Mothers(99年11月開設)」、大阪証券取引所の中に「ナスダック・ジャパン(00年6月開設)」市場、店頭登録市場「通称ジャスダック(JASDAQ)」では、適時な情報開示として四半期報告書の開示が求められるようになった。
中間連結財務諸表に関する会計基準は存在するが、半年を想定されて設定されており、四半期報告については会計基準は整備されていないが、証券取引所の規制として導入された。マザーズとナスダック・ジャパンの四半期報告書の開示内容に相違するが、会計基準の設定が望まれる。
なお、金融商品取引法(旧証券取引法)改正により、2008年4月(2009年3月期)から四半期報告書の作成が求められました。(四半期報告書 参照)
この四半期報告書は、米国のフォーム・テン・キュウ(Form10Q)を模倣するものであろう。米国の、連結四半期報告書は会計基準(APB意見書28号「Interim Finanial Reporting」、SFAS3号、16号など)により四半期報告書を作成し45日以内にSECの電子開示であるエドガーデータベースに登録が義務付けられている。国際会計基準では、IAS34号「中間財務諸表」に規定がある。
いずれにしても、資本市場の健全な発展には四半期報告書の開示は欠かせないものとなっている。3ヶ月ごとに連結が必要となるので、子会社・関連会社からの四半期ごとの「連結資料」の入手、連結資料のチェック、連結修正仕訳の集計、分析、監査など、連結決算体制(マニュアルを作成)を確立しておくことが不可欠となる。特に、監査人のレビューに絶えられるだけの証跡(Documentation)が残る必要がある。
連結作業手順 | 連結会社 | 関連会社(持分法適用) | |||||||||
親会社 財務情報 |
A子会社 連結資料 |
B子会社 連結資料 |
C子会社 連結資料 |
D子会社 連結資料 |
x関連会社 連結資料 |
y関連会社 連結資料 |
z関連会社 連結資料 |
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@連結資料の入手 | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | |||
A連結資料のチェック | チェック | チェック | チェック | チェック | チェック | チェック | チェック | チェック | |||
B連結資料の集計・仕訳作成 | ↓ | | | |||||||||
イ)合算財務諸表の作成 |
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ロ)連結修正仕訳の集計、キャッシュフロー資料及び注記事項の集計 | 連結資料より下記事項作成 1)投資と資本の消去資料の集計・仕訳作成 2)少数株主持分の集計・仕訳作成 3)連結会社間取引の消去の集計・仕訳作成 4)連結会社間債権債務の消去・仕訳作成 5)連結会社間取引の未実現利益の集計・仕訳作成 6)連結会社間債権消去に伴う貸倒引当金の戻入集計・仕訳作成 7)持分法の集計・仕訳作成 8)税効果会計の集計・仕訳作成 9)退職給付(年金)会計の集計・仕訳作成 10)金融商品の時価会計の集計・仕訳作成 11)その他連結修正すべき事項の集計・仕訳作成
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← | 連結資料より下記事項作成 7)持分法の計算、集計・仕訳作成 関連会社の財務諸表を修正する必要があれば修正して持分法を適用する。 例えば,税効果会計、退職給付の会計、金融商品の時価会計を反映するなど。 |
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連結修正仕訳を反映 ↓ |
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C連結精算表の完成 |
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キャッシュフロー計算書作成 ↓ |
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D連結キャッシュフロー計算書の作成 |
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E連結財務諸表の注記事項の作成 |
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F分析し正確性を再確認 | 連結財務諸表・キャッシュフロー計算書・注記事項の期間比較等により分析し正確性を確かめる。 分析の結果は文書化しておく。 |
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G連結決算結果の報告 | 連結決算結果の役員への報告 |
@ 連結資料(Consolidation package)の入手⇒ A 連結資料のチェック⇒ B 連結資料の集計・仕訳作成(試算表集計、投資と資本の消去資料の集計・仕訳作成、少数株主持分の集計・仕訳作成、連結会社間取引の消去の集計・仕訳作成、連結会社間債権債務の消去・仕訳作成、連結会社間取引の未実現利益の集計・仕訳作成、連結会社間債権消去に伴う貸倒引当金の戻入仕訳作成、持分法の集計・仕訳作成、税効果会計の集計・仕訳作成、その他連結修正すべき事項の集計・仕訳作成、キャッシュフロー計算書作成資料の集計、税効果会計・退職給付の会計・債務保証等の偶発事象・セグメント情報等の注記事項の集計等)⇒ C 連結精算表の完成⇒ D 連結キャッシュフロー計算書の作成⇒ E 連結財務諸表の注記事項の作成⇒ F 連結財務諸表・キャッシュフロー計算書・注記事項の期間比較等により分析し正確性を確かめる⇒ G 連結決算結果の役員への報告
なお、子会社が連結資料作成後何らかの理由で修正が入り、連結資料と商法決算書と相違する場合は、重要な修正項目は連結修正として加える必要があります。連結作業終了前に、子会社の連結資料と商法決算書の期末剰余金と照合して一致することを確かめます。
米国では、証券取引所に上場している企業およびナスダック企業には、年度決算だけでなく、タイムリー・デイスクロージャーとして四半期(3ヶ月)ごとに45日以内に米国証券取引委員会(SEC)に登録することと、四半期報告書を株主に報告する義務を負っています。
この四半期報告書は連結ベースで作成することを要求されます。 当然のこととして、海外の子会社を含めた連結財務諸表となります。
四半期報告書は、年度決算よりも要約した財務諸表になりますが、3ヶ月ごと連結財務情報(経営内容)の開示が求められます。
3ヶ月ごとに四半期報告書を株主に報告するためには(年度決算も同様に)、すべての子会社から財務情報を入手して連結財務諸表を作成するに必要な仕組みが必要となります。
具体的には、連結資料を事前に各子会社および関連会社(20%以上所有している会社)に配布しており、報告の期日を定めて連結資料を入手し、内容をチェックして連結財務諸表を作成します。
作成された連結財務諸表については、業績、財政状況、資金状況の前期比較・予算比較して、何故変動したのか詳細に分析します。
作成上の誤りがないか確認して完了します。
連結財務諸表中心主義とは、年度決算では、連結キャシュフロー計算書、税効果会計、退職給付(企業年金含む)会計、および金融商品の時価会計の導入に伴い、連結での注記事項が従来の連結とは一段と充実しなければならないこと、中間決算では、年度決算よりは省略されますが、新たに子会社等から中間決算資料を入手する仕組みを構築しなければならないからです。
連結財務諸表作成には、適時に子会社等から得る正確で統一した様式による個別財務諸表と連結修正に必要な資料を含んだ「連結資料」が必要となります。連結資料は、@ 正確であること、A 適時に入手できること、B 連結作業(注記情報も含む)に十分な情報を含んでいること、C 分析可能な前年実績や予算との比較分析できるようになっていることが必要です。
連結資料は、二つの役割を持っています。
連結資料作成目的 | |
1 | 連結財務諸表を作成する基礎資料 |
2 | 子会社管理の資料 |
一つは、当然のこととして、連結財務諸表を作成する基礎資料という役割ですが、もう一つの役割は、経営管理目的です。
連結財務諸表は、連結資料より技術的に子会社を集計しますが、一方で、子会社の経営内容を明らかにして経営の現状を的確に把握し、適時に改善を図り利益の最大化を目指すものでなければなりません。
従って、単に連結財務諸表の作成資料として捉えるのではなく、経営内容を明らかにして経営改善の手段になっている必要があります。
売上状況、利益の状況、在庫に過剰在庫が発生していないか、債権に不良債権が発生してないかが分かるようになっている必要があります。こうしたシステムは、半年に1回ではなく月次に報告を受け、タイムリーに改善できるようにな仕組みが望まれます。
企業の利益の最大化の命題は、個々の子会社の利益の最大化の積み上げなのです。
同業他社の決算発表などで、決算発表の日程は決まります。タイムリーディスクロージャーを求められるところから、作業日程は短縮される運命にあります。公表の日までに、正確な連結決算を終了するためには、如何に効率的・効果的に正確な連結財務諸表ができるかにかかっています。
3月決算を例にすると、連結財務諸表作成の日程は、連結・単独決算の同時発表を想定すると、次のようになります。ただし、最近は、インターネットで連結資料(Excel ファイルにしておく)を転送し、EDI(Electronic
Data Interchange、電子データ交換)を利用して1週間以内に連結資料を入手し10日以内に連結している企業が出てきています。
商法計算書類では、「質」「量」「内容」「日程的」に連結財務諸表作成には使えません。詳細は「商法計算書類では連結はできない」をご覧ください。連結資料がどうしても必要となります。
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連結決算日程 | |||||
子会社から連結資料の入手 | 4月25日 | |||||
連結資料のチェック | 25日⇒ | 27日 | ||||
連結精算表の作成 | 28日⇒ | 5月6日 | ||||
連結精算表監査(会計監査人) | 7日⇒ | 11日 | ||||
一次締め連結財務諸表分析 (役員への報告用−最終で修正する) |
7日⇒ | 11日 | ||||
子会社の商法計算書類を入手しチェック (連結資料と重要な差異がある場合修正) |
5月7日 | |||||
監査結果による修正を入力 | 5月10日 | |||||
連結精算表完成、 キャッシュ・フロー計算書作成、 注記の作成開始 |
10日⇒ | 12日まで | ||||
連結財務数値の公表 | 5月20日 |
商法の規定による計算書類などは、子会社が商法の日程にしたがって作成されるもので、親会社の連結財務諸表作成には「質」「量」「内容」とも不足し連結財務諸表作成には使えません。上記の通り、日程的にも連結作業に間に合いません。計算書類は、最終的に「連結資料」の数値と一致していることを確認するために使用されます。一致しない場合は、何らかの理由で追加の取引が決算に取り入れられたことを意味しますので、重要なものについては連結決算で取り込むことになります。
無論、企業の規模、子会社の数、子会社の所在地(国内外)、により作業日数も異なります。半期連結が始まると年度より要約した中間連結財務諸表が要求されますが、連結作業の多くは上記のような日程になろうかと思われます。
なお、上記は外部報告における国内制度ですが、連結経営という経営者の視点から見れば、半期と年度の年2回の連結では不充分な場合が考えられます。経営面から3ヶ月ごとに連結し、連結業績を把握しておくことも必要な場合があろうかと思われます。現に、米国SEC登録の日本企業では既に外部報告として四半期報告書を作成している先進企業もあり、国際競争力の強い会社が見うけられます。
1999年11月17日日本経済新聞は、日立製作所(連結子会社1000社を超える)が決算後1ヶ月以内(4月中)に、連結及び単独決算の発表を行うことを報じた。中間決算も同様に、1ヶ月以内(10月中)としている。米国で行われているプレスリリース(Press
release)が、日本の決算発表(決算短信)に該当するが、米国では古くから決算日から1ヶ月以内にプレスリリースを行っている企業が多い。米国連結実務では、連結資料の作成日程表にプレスリリースの日程を付記して子会社の理解得ている。 なお、米国SECは現在規則の見直しをしているが、年次報告書(Form10-k日本の有価証券報告書に該当)の登録を現在の90日以内から60日ないし70日に大幅短縮する案が出ている。また、四半期報告書(Form10-Q)の登録は、現在の45日以内から30日ないし35日以内に短縮しようというものである。 コンピュータ、通信技術、ソフトの発達で、従来の手書き時代の日程を短縮させ、情報の早期公表により投資家の利便性を高めようとするものである。連結決算の日程を短縮する必要性は今後ますます高まるであろう。 ある日本企業では、海外を含め約300の連結子会社があるが決算日後5日間で連結決算はでき連結財務諸表の分析で数日間を要するため約10日間で連結決算を終了するところが出てきている。表計算ソフトのExcelで作成した「連結資料」をインターネット経由で収集し(Electronic Data Interchange、EDI)データを連結決算システムに連動して作成している。 |
連結資料は、四半期報告書と年度決算では資料の量が異なります。 連結四半期報告書が要約した財務諸表ですので連結資料も量的に簡素化したものになります。
一方、年度決算に際しては詳細な勘定明細を含めたものになります。
また、四半期をまとめて3ヶ月ごとに報告させれば良いのですが、比較的重要な子会社については管理目的のために、Monthly
Reportとして月次で報告させます。
通常は、つぎのようになりますが、業種業態により管理項目に合わせて付加したり削除します。
報告書名 |
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月次報告 | 損益計算書、貸借対照表 |
四半期報告 または中間決算 |
損益計算書、貸借対照表、連結消去仕訳資料(連結会社間の債権債務および取引資料、未実現利益の消去資料)、キャッシュフロー計算書作成資料 前年同期比変動説明、予算と実績の変動説明、 |
年度決算報告 | 損益計算書、貸借対照表、勘定明細、連結消去仕訳資料(連結会社間の債権債務および取引資料、未実現利益の消去資料)、キャッシュフロー計算書作成資料 前年同期比変動説明、予算と実績の変動説明、債権の年齢調べおよび不良債権の明細、在庫状況(過剰在庫、不良在庫の有無および処理の状況) |
イ)連結資料の作成および配布
親会社が「連結資料」の統一した様式を作成し、子会社に送付します。
勘定体系、決算仕訳の仕方、月次報告、四半期報告、年度報告の様式、作成日、作成者名および報告期日などを記載したものを作成します。
なお、重要な子会社が月次報告をするためには、月次決算体制にあることが必要です。
日本で特に注意する点:
1 | 親会社社長から子会社の社長宛てに連結資料の作成協力のお願いをしておくこと 親会社の最高経営責任者(社長)から、子会社の社長宛てに連結資料の作成に協力していただきたい旨の文書を添付することが肝要です。 従来、日本の会社は個別財務諸表を中心としていた為、子会社の経理は親会社の連結作業に余計な時間を使いたくないといった傾向がります。そのため、子会社の協力を得る為には、子会社のトップの理解を得ておくことが重要な要素となります。 |
2 | 連結資料の親会社への提出期限が商法規定と異なり早い 商法は、定時株主総会の8週間前に計算書類を会計監査人へ提出しなければならない。会計監査人は、受領した日から4週間以内に監査報告書を提出しなければならない、など商法の規定に従って親会社及び子会社が決算を行っていては連結作業は遅れることになります。 従って、子会社からの連結資料の提出期限(通常事業年度終了の日から3週間から4週間以内)は連結財務諸表の公表予定日から逆算して決まりますが、厳守することを理解してもらうことが重要になります。 |
ロ)親会社で連結資料の責任者を特定し、必ず目を通し疑問点を問い合わせる
子会社から報告された連結資料が単に集計されるだけでは作成した子会社の人はいいかげんなものを作成するようになります。必ず、親会社の責任者が、リアクションとして不明な点を問い合わせ、親会社で注意深く見ていることを示す必要があります。
ハ)その他考慮すべき点
次に重要なことは、報告様式を簡潔明瞭なものにしておくことです。
複雑であれば正確なものは期待できなくなります。不必要な資料を削除したり、重複を避けたり、簡潔明瞭なものにして、作成者に過大な負荷をかけないことです。
特に毎月の作業となる事項は特に注意すべきです。
かといって、重要な事項が不明瞭にならないことも重要なことでですので、その程度の加減は慎重に行う必要があります。
最小のコストで迅速で正確な情報を入手できます |
連結資料を入手する仕組みを構築することで、短時間で正確な子会社情報を入手できることになります。 子会社から入手した商法決算書では不充分な情報しか入手できないため、親会社の連結チームが人手と時間をかけて連結作業を行っているのを多く見かけます。作業時間の合計値は多大なものがあります。また、作業時間と同様に重要なことに正確性の問題があります。システム化されていないため、正確性に疑問が生じていても既に多大な時間を消費してしまっているため時間切れで終わっているケースを目の当たりにすることがあります。 2000年3月期からの連結中心主義は、従来のやり方では対応できなくなります。税効果会計、キャッシュフロー計算書、年金会計、金融商品の時価会計等が求められ、これらに関連する連結上の修正や注記事項が加わるからです。 連結資料を基礎とした連結決算の体制(システム)を確立し、短時間で正確な連結決算を行うことが企業経営者に求められています。 |
経営情報をタイムリーに入手できます |
連結資料を様式化し、子会社から定期的に入手する報告システムを構築することで、子会社の財務情報及び経営情報の入手が容易となります。経営情報の容易な入手が可能になれば、親会社からの出向者を少なくすることで、人件費の省力化が図れることになります。
欧米企業が日本へ進出する際、日本人経営者に委任して本国から常任の経営者を置かないケースがありますが、こうした書面による財務報告システムが機能していることも大きな要素です。 |
現地経営者の出現を可能にします |
言葉、習慣、文化、宗教のまったく異なる国で、知識もなく日本人が行おうとすると事業リスクは飛躍的に高まり、事業を軌道に乗せることさえ至難となります。そのため、日本人が常駐して情報を本国へ報告することになります。
一方、欧米企業は、財務の報告様式を利用して情報の交換を密に行っているため、現地人の経営者が出現してます。 欧米企業が海外進出する場合同様、現地人を有効に活用することが肝要です。 |
不正および誤謬の未然の防止及び発見(巨額の損失を未然に防止する |
月次に経営内容を把握しておくことで、重要な不正または誤謬の発見及び防止が図れます。 経営の失敗、不正、誤謬などで、突然巨額な損失を子会社が計上するようなケースが報道されることがありますが、経営情報が的確に入手できる仕組みがある場合には、未然に防止することができます。 業種や企業規模にもよりますが、不正、誤謬を最小限にとどめる為には、内部監査人の監査を1年に一度ないし数年に一度行うことも必要となることがあります。 |
下記の連結資料は参考として作成したものです。
企業ごとに適切なものに変更して使えるようにしています。日本語版にしていますが、英語版にして使うことも可能です。年度決算用の「連結資料」EXCEL版を参考に別途用意しています。
海外子会社については、年度決算では現地会計士の監査済み財務諸表がかなり使用でき、追加資料のみ取り寄せれば連結できますが、中間決算では現地会計士が関与しないため、中間の財務情報を独自に現地から入手する必要が生じます。
現地から財務情報を入手するための、中間決算用の「英文連結資料」EXCEL版を参考に別途用意しています。
2008年4月から連結ベースで四半期報告書の開示が始まります。連結子会社から3ヵ月ごとの「連結資料」を入手して連結財務諸表を作成する必要があります。持分法適用関連会社からも持分法の損益計上をするため「連結資料」の入手が必要となります。
なお、この連結資料は、2000年から適用されるキャッシュフロー計算書、税効果会計、企業年金、金融商品の時価会計などを想定しています。
キャシュ・フロー計算書、税効果会計および企業年金の会計が導入された場合は、次の資料が必要となります。
イ)連結キャッシュフロー計算書作成には、次の資料が必要となります。
1 | 現金および現金同等物の内容が示されるように、現金に含まれる3ヶ月を超える定期預金を除き、有価証券などに含む3ヶ月以内の現先などの内容が分かるような内訳明細にしておくこと。 |
2 | 非流動資産及び負債について、期中の増減明細が必要となります。 例えば、長期借入金は期中に新規借入た金額、当期返済額、期末残高の1年内返済額および5年間の1年ごとの返済額などの明細が必要となります。 |
ロ)税効果会計については、次の資料が必要となります。会計処理ばかりでなく,注記による開示事項を作成する上で必要な資料となります。
1 | 会計上の税引前利益から課税所得の計算書。場合によっては、申告書別表四で代替できます。 |
2 | 一時的差異の内容を記載した明細。期首、期中増減、期末残高を示した明細で、場合によっては、申告書別表五で代替できます。 |
ハ)企業年金の会計(退職給与引当金を含む)は、注記項目の資料が子会社から必要となります。
ニ)金融商品の時価会計は、子会社がすべて適用しているかどうか確認する必要があり明細を入手する必要があります。
ホ)研究開発費等の会計基準では,製造費用又は一般管理費に含まれる研究開発費を注記することを求めており、子会社から研究開発費の情報を入手しておく必要があります。
ヘ)借入金等の明細表を「連結附属明細表」の一つとなり、平均利率及び連結決算日後5年間における1年ごとの返済予定額を記載することになります。子会社からこれらの情報を入手することになります。
連結資料の作成に際して管理目的の情報を入手すべき項目は次の通りです。
・ 業績の予算・実績比較表・・業績管理
・ 債権管理・・不良債権の管理
・ 在庫管理・・過剰在庫の管理
・ 有価証券などの投資リスク管理
・ 予算管理・・特に業績面(売上高、原価、経費など)
・ 税金対策・・必要な場合
○○○グループ | |||
連結資料 |
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(連結パッケージ) | |||
年度用 | |||
会社コード 0001 | |||
会社名 ABC (株) | |||
自 平成 年 月 日 | |||
至 平成 年 月 日 | |||
作成者 連結太郎 | |||
作成日 平成 年 月 日 | |||
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目次 |
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資料番号 | 資料内容 | ||||
A | −−−− | 連結資料作成指示書 | |||
財務諸表 | |||||
A1 | −−−− | 貸借対照表ー資産 | |||
A2 | −−−− | 貸借対照表ー負債・資本 | |||
A3 | −−−− | 損益計算書 | |||
A4 | −−−− | 株主資本等変動計算書 | |||
勘定内訳 | |||||
B1 | −−−− | 現金及び預金 | |||
B2 | −−−− | 受取手形 | |||
B3 | −−−− | 売掛金 | |||
B4 | −−−− | 有価証券 | |||
B4a | −−−− | 有価証券等の時価・簿価比較表 | |||
B5 | −−−− | 棚卸資産 | |||
B6 | −−−− | 前払費用 | |||
B7 | −−−− | 繰延税金増減明細(税効果会計) | |||
B8 | −−−− | その他流動資産 | |||
B9 | −−−− | 貸倒引当金 | |||
B10 | −−−− | 有形固定資産増減明細 | |||
B11 | −−−− | 無形固定資産増減明細 | |||
B12 | −−−− | 投資その他の資産 | |||
B13 | −−−− | 繰延資産 | |||
B15 | −−−− | 支払手形 | |||
B16 | −−−− | 買掛金 | |||
B17 | −−−− | 短期借入金 | |||
B18 | −−−− | 未払法人税・住民税・事業税 | |||
B18a | −−−− | 課税所得の計算 | |||
B19 | −−−− | 未払費用 | |||
B20 | −−−− | その他の流動負債 | |||
B21 | −−−− | 長期借入金:5年間の返済計画含む | |||
B21a | −−−− | 長期借入金増減明細 | |||
B22 | −−−− | 退職給付引当金 | |||
B23 | −−−− | その他の固定負債 | |||
B30 | −−−− | 販売費及び一般管理費 | |||
B40 | −−−− | 営業外収益・費用の内訳 | |||
B50 | −−−− | 特別利益・損失の内訳 | |||
B60 | −−−− | 重要な会計方針 | |||
B70 | −−−− | 偶発債務の明細 | |||
連結修正仕訳基礎資料 | |||||
C1 | −−−− | 連結会社間債権・債務の明細 | |||
C2 | −−−− | 連結会社間取引(費用・収益)の明細 | |||
C3 | −−−− | 連結会社間有形固定資産売買の明細 | |||
C4 | −−−− | 棚卸資産ー未実現利益消去基礎資料 | |||
貸借対照表 |
A1 | ||||
資産の部 | |||||
会社コード | |||||
平成 年 月 日現在 | 会社名 | ||||
単位:千円四捨五入 | |||||
前年度 | 当年度 | 勘定 | |||
年 月末 | 年 月末 | 内訳 | 対前年比較 | 対前期比較 | |
科目 | 金額 | 金額 | 番号 | 増減額 | 増減理由 |
流動資産: | |||||
現金及び預金(注2) | B1 | ||||
受取手形 | B2 | ||||
売掛金 | B3 | ||||
貸倒引当金 | B9 | ||||
有価証券 | B4 | ||||
棚卸資産 | B5 | ||||
前払費用 | B6 | ||||
繰延税金資産 | B7 | ||||
その他 | B8 | ||||
流動資産合計 | |||||
固定資産: | |||||
有形固定資産: | |||||
建物 | |||||
構築物 | |||||
機械装置 | |||||
車両運搬具 | |||||
工具器具備品 | |||||
土地 | |||||
建設仮勘定 | |||||
計 | |||||
減価償却累計額 | |||||
純有形固定資産 | B10 | ||||
無形固定資産 | B11 | ||||
投資その他資産 | B12 | ||||
貸倒引当金 | B9 | ||||
繰延資産 | B13 | ||||
資産合計 | |||||
注:主要な前期比較増減がある場合は、その内容を記載してください。余白が不十分な場合は、メモを添付してください。
(注2)現金及び預金 |
貸借対照表 |
A2 | ||||
負債・純資産の部 | |||||
会社コード | |||||
平成 年 月 日現在 | 会社名 | ||||
単位:千円四捨五入 | |||||
前年度 | 当年度 | 勘定 | |||
年 月末 | 年 月末 | 内訳 | 対前年比較 | 対前期比較 | |
科目 | 金額 | 金額 | 番号 | 増減額 | 増減理由 |
流動負債: | |||||
支払手形 | B15 | ||||
買掛金 | B16 | ||||
短期借入金 | B17 | ||||
一年内長期借入 | B21 | ||||
未払法人税等 | B18 | ||||
未払費用 | B19 | ||||
その他 | B20 | ||||
流動負債合計 | |||||
固定負債: | |||||
長期借入金 | B21 | ||||
退職給付引当金 | B22 | ||||
その他固定負債 | B23 | ||||
負債合計 | |||||
純資産の部: | |||||
資本金 | A4 | ||||
資本剰余金 | A4 | ||||
利益剰余金 | A4 | ||||
自己株式 | A4 | ||||
純資産合計 | |||||
負債・純資産合計 |
注1:純資産の部のうち、評価差額等の”その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地評価差額金および新株予約権”があるときはその増減について加えてください。
注2:主要な前期比較増減がある場合は、その内容を記載してください。余白が不十分な場合は、メモを添付してください。
損益計算書 |
A3 |
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平成 年 月 日終了の一年間 | 会社コード | ||||
会社名 | |||||
単位:千円四捨五入 | |||||
前年度 | 当年度 | 勘定 | |||
年 月終了 | 年 月終了 | 内訳 | 対前年比較 | 対前期比較 | |
科目 | 金額 | 金額 | 番号 | 増減額 | 増減理由 |
売上高 | |||||
売上原価 | |||||
売上総利益 | |||||
売上総利益率% | |||||
販売費及び | |||||
一般管理費 | B30 | ||||
営業利益 | |||||
営業外収益: | |||||
受取利息 | |||||
受取配当金 | |||||
その他 | |||||
計 | B40 | ||||
営業外費用: | |||||
支払利息 | |||||
その他 | |||||
計 | B40 | ||||
経常利益 | |||||
特別利益 | B50 | ||||
特別損失 | B50 | ||||
税引前利益 | |||||
税引前利益率% | |||||
法人税等: | |||||
申告税額 | B18 | ||||
法人税等調整額 | B7 | ||||
計 | |||||
税金引当率% | |||||
当期純利益 | A4 | ||||
純利益率% |
注:主要な前期比較増減がある場合は、その内容を記載してください。余白が不十分な場合は、メモを添付してください。
株主資本等変動計算書 |
A4 |
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平成 年 月 日終了の一年間 | 会社コード | ||||
会社名 | |||||
単位:千円四捨五入 | |||||
前年度 | 当年度 | 勘定 | |||
年 月終了 | 年 月終了 | 内訳 | 対前年比較 | 対前期比較 | |
科目 | 金額 | 金額 | 番号 | 増減額 | 増減理由 |
資本金: |
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期首残高 | |||||
増資 | |||||
(株式数) | ( )株 | ( )株 | |||
期末残高 | A2 | ||||
発行済株式数 | 株 | ||||
資本剰余金: |
|||||
期首残高 | |||||
増資 | |||||
期末残高 | A2 | ||||
利益剰余金: |
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期首残高 | |||||
当期純利益 | A3 | ||||
利益処分: | |||||
期末配当金 | |||||
中間配当 | |||||
期末残高 | A2 | ||||
自己株式: | |||||
期首残高 | |||||
購入 | |||||
購入株数 | ( )株 | ( )株 | |||
交付 | |||||
交付株数 | ( )株 | ( )株 | |||
期末残高 | A2 | ||||
株数 | ( )株 | ( )株 |
注1:株主資本等変動計算書のうち、評価差額等の”その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地評価差額金および新株予約権”があるときはその増減について加えてください。
注2:利益準備金について
新連結会計基準では、利益準備金の区分経理は求めておらず、連結利益剰余金に含めることになっています。
連結資料の様式には、利益準備金を入れず利益剰余金に含めてもらう方法もありますし,理解しやすいように、個別財務諸表作成者には利益準備金を記入してもらい、連結作業で連結剰余金とする方法もあります。
勘定明細及び連結修正仕訳の資料を例示するのは省略しますが、各社工夫して自社グループに対応した様式を作成します。
新連結財務諸表には、税効果会計、企業年金の会計、キャッシュフロー計算書の新たな会計基準の適用があります。これらの新たな会計基準は、従来の会計基準にはなかった脚注による注記事項が求められています。連結注記事項は、当然のこととして連結子会社の分も含めますので、連結資料で注記事項に必要な情報を入手しておく必要があります。 また、新たな有価証券報告書には、連結付属明細書として借入金等明細書を作成し、長期借入金等の平均利率及び連結決算日後5年間における、1年ごとの返済予定額を開示することが求められますので、連結資料でそうした情報を入手しておく必要があるのです。 |
こうした連結資料を合算して、連結修正(投資と資本の消去および少数株主持分の計上、連結会社間債権債務の消去、連結会社間取引の消去、連結会社間から生ずる未実現利益の消去、持分法による投資損益の計上、税効果会計の計上などの修正仕訳を加えて連結財務諸表は作成されます。連結貸借対照表が確定してから連結キャッシュフロー計算書が作成されることになります。
連結財務諸表を、パソコンの表計算ソフトで作成している場合、連結用ソフトで作成している場合、大型のERPシステムで作成している場合、いずれにしても基本的な入力基礎資料(連結資料)は必要となります。子会社から連結資料を入手する方法も、書類(ハードコピー)で貰うケース、フロッピーデイスクで貰うケース、電送(EDIなど)して貰うケース、直接コンピュータ・トゥ・コンピュータで行う場合など、子会社管理システムにより異なりますが、可視的に見えるハードコピー1部は、チェック作業上(入力データが正しいかどうかのチェック)必要となります。(保存は別として・・・)。
なお、連結財務諸表(中間・年度)を作成する会社は、適用年度までに体制つくりをしておく必要があります。適用直前に体制を作ろうとしても無理があります。適用初年度までは準備段階として連結体制の整備・確立するため、内部目的として本格的な連結決算をしておくことが肝要です。連結子会社の理解を求めるのに時間を要しますので早期の準備をお勧めします。
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上記の「連結資料」の様式Excel 版(A4で45ページ、税効果会計、キャッシュフロー計算書、退職給付(年金)会計、金融商品の時価会計に対応しています。)を10000円でE−mailにて頒布しています。長年の実務経験を基礎にしたノウハウを提供してます。経理は理論が判るだけでは実務はできません。実務は理論を具体的な形にしなければならないのです。しかも誰にも分かる明快な形に具体化することです。
2008年4月から連結ベースで四半期報告書の開示が始まります。連結子会社から3ヵ月ごとの「連結資料」を入手して連結財務諸表を作成する必要があります。持分法適用関連会社からも持分法の損益計上をするため「連結資料」の入手が必要となります。四半期用の連結資料の場合は、その旨を明記してください。明記されない場合は、上記の年度の連結資料を送付します。料金は10,000円です。
なお、海外子会社等に関しては年度決算書が会計士の監査済み財務諸表を入手でき、連結に不足する追加資料を入手すればよいのですが、中間決算では現地の会計士は通常関与しません。会社は、中間の「英文連結資料」を独自に入手する必要があります。
中間決算の「英文連結資料」の様式Excel版は、別途15000円でE-mailにて頒布しています。
キャシュフロー計算書資料の入手、税効果会計の資料の入手、退職給付引当金の注記の資料入手を反映しています。なお、会社によって勘定科目等が区々ですが、自社の実態に即して修正し使用できるものと思います。
ご希望の方は、下記E-mailにてご注文ください。なお、入金確認後のE-mail送付となりますのでE-mailアドレスを併記してください。振込先は、みずほ銀行
新松戸支店 普通預金 口座番号 1577705 名義
横山明
日米双方の連結実務の豊富な経験を基礎にキーポントを上記に記しました。本格的な連結決算制度の体制確立に参考となれば幸いです。なお、企業に合わせ正確かつ効果的・効率的な連結決算体制の確立について支援しています。興味がありましたら、下記宛てご連絡ください。
横山会計事務所
公認会計士 横山 明
Tel 047-346-5214 Fax 047-346-9636
E-mail: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp
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