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唐突だが、「青春」ということばの反対語をご存知だろうか。 なぜこんなことから書き出すかというと、これがこれから数回の内容に関わることだからだ。 昭和52年から「11PM」を担当するようになって1年以上経っても、私たちは毎月巡ってくる担当回の企画に苦慮していた。 そんな時、和泉国泰さんなる人が、筆者がアシスタントとしてついていた吉武ディレクターのところにひょっこり現れた。 元はテレビの音楽番組で編曲をする一方、ピアノを弾いていた。吉武さんとは旧知の仲という人だった。 和泉さんは競馬が趣味、というより死ぬほど好きで、全てのレースを当てる方法はないかといろいろな占いを調べた。 そこでめぐり合ったのが算命占星学という中国の占星術だという。 和泉さんが最初に我々に説明してくれたのは、占いというものの考え方だった。 一般に占いというものは統計学だといわれる。 だが、4,000年も前に、どれほどの統計が取れたか。それが本当に正確なデータだったか。 それに対して中国の帝王学に源を発する算命占星学は徹底した分類に基づいているという。分類することなら古代でも可能だ。 この方法に基づけば、旗手の運気はもちろん、競馬馬の運命も当てられる。 そして、自分は競馬で食っていけると思ってこの占いを深く研究した。 するとこれがたいへんな学問であることが分かってきたという。 そして、和泉宗章として算命占星学による占いを仕事とするようになったのである。 冒頭の質問は和泉さんから教えられた算命占星学の基本的哲学によるものだ。 例えば、古代より中国では春夏秋冬を青赤白黒という色で表した。 そしてそれぞれを一日に置き換えると朝昼夕夜となり、対応する動物(想像上のもの)は龍鳳虎亀だという。 高松塚古墳に青龍と玄武の絵が描かれていること、内裏の南側の門を朱雀門というのもこれに由来しているという。 こうしてみると、朝青龍は無敵の横綱だが、朝赤龍は前頭どまりなのも名前のせいなのだろうか。 ということで、冒頭の質問の答えは「白秋」。 さて、これを機に、私たちはその後世間を席巻した『天中殺』ブームを作ることになる。 そのきっかけが競馬だったなどということを知っているのは、今は数えるほどしかいなくなってしまった。 |
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昭和54年、月曜イレブンを担当していた筆者たちのグループは、ようやく独自の企画といえるような端緒を見つけられそうだった。 和泉宗章という元ミュージシャンで、その頃には算命占星学という占いを生業にしている人とめぐり合ったからだ。 筆者たちはほぼ週二回、日本テレビの7階にあったパーラーでお茶を飲みながら、和泉さんから算命学の講義を受けていた。 ちょうどその頃、彼は『算命占星学入門』という本を出版されていて、その本が教科書だった。 算命学には、「天中殺」という、なにをやってもうまくいかない時期が年に2ヶ月あるという考え方がある。 それは、その人の生年月日によって決められた運命的なものだ。 この時期に新しいことを始めてもそれはけっしてうまく行かない。 古代の中国の皇帝はこの先祖の供養に専念し、新しいことをしなかったいうのだ。 我々はこれが「イレブン算命学シリーズ」の第1回目のキーワードだと直感した。 そこで近い将来を予言する分かりやすくて衝撃的な事例はないかといろいろな人の誕生日を調べた。 そこででてきたのが、当時読売巨人軍監督となった長島茂雄氏だった。 彼の天中殺は10月と11月。監督に就任したのは、シーズン終了後だから当然この時期だし、日本シリーズも一致する。 そこで、「長島巨人軍は日本一になれない!」というテーマでゆくことに決定した。 長島茂雄氏をモデルに天中殺というものを解説した算命学シリーズの第一回は大反響を巻き起こした。 司会の大橋巨泉さんと松岡きっこさんもたいへん強く興味を示してくださり、番組の手ごたえは十分だった。 それを証明するかのように、生放送中にもイレブンのデスクには問い合わせの電話が殺到し、放送終了後も深夜2時過ぎまで対応に追われた。 もちろんその中には「巨人軍を応援すべき日本テレビがなんという番組を放送するのか!」という巨人ファンからの抗議の電話も数多くあったが…。 その週から和泉さんの本はベストセラーのトップを数ヶ月続けるほどの大ヒットとなった。 また、天中殺ということばが流行語のようになっていった。 そしてこの年長島巨人軍は日本一にはなれず、和泉さんの予言は的中。 算命学のヒットに拍車がかかることになる。 |
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昭和54年夏に放送した月曜イレブン「算命占星学シリーズ〜長島巨人軍は日本一になれない〜」は、その結果が当たったこともあり、大きな反響を巻き起こした。 また「天中殺」ということばは流行語にもなった。 しかし、視聴率的にはもうひとつという結果だった。 確か、6%台だったと記憶している。 当時としては深夜番組の範疇に入るもだから数字だけ見ればまずまずなのだが、同じ月曜イレブンの「性の探訪者シリーズ」や「UFOシリーズ」の10%以上という数字から比べると見劣りがしたのは否めない。 この結果はその後の筆者のテレビ屋人生に大きな意影響を与えた。 その頃テレビのゴールデンタイムといわれる時間帯に放送される番組は視聴率20%台がノルマのようになっていた。 そんな中、たった6%の視聴率の番組が社会的なムーブメントを巻き起こしたのだ。 テレビの影響力の大きさを新米のテレビ屋が実感したきっかけとなったのだ。 筆者たちのチームは『算命占星学シリーズ』の第2回目を制作するにあたって、より鮮烈なテーマを求めるか、それとも「天中殺」の理解度を深めるかという、二つの方向に意見が分かれた。 算命学を究めてゆくと、人の死ぬ年まで分かるという。 筆者と構成の南川泰三さんはこれに強く惹かれた。 衝撃的な事例を元に、算命学の深みを追求してゆこうと考えていた。 しかし、和泉宗章さんと吉武ディレクターは前回の放送で「天中殺」ということが正しく理解されていないので、これをもう一度しっかり伝える内容にすることを主張した。 結果、第2回目はその方向で進んだ。 算命学でいう「天中殺」は、四柱推命の「空亡」、気学の「暗剣殺」に通じる考え方だ。 四柱推命や気学ではこの時期を忌み嫌うものとしている傾向が強いのに対し、算命学では何もしないで先祖の供養に専心するべきと教えているという。 だから、けして畏れるものではない。 ただ、新しいことを始めもうまくいかない。 そうした内容を具体的に説明する番組にした。 「天中殺」ということばが独り歩きしている状態を修正しようと試みたのだ。 視聴率的には前回同様のレベルだった。 世間の天中殺ブームの流れから考えると寂しさを感じ得ない数字だった。 |
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月曜イレブンでセンセーショナルに紹介した「算命占星学」は社会にひとつのムーブメントを巻き起こした。 そこまで、算命学のシリーズは確か2ヶ月に1度くらいのペースで放送し、内容的には相当にディープなところまで突き詰めていたと思う。 ある種、古代中国哲学に近いところまでいっていた。 ところが、内容に比べて視聴率が上がらない。 視聴率が全てとは思っていないものの、はやり数字というのは気になるものだ。 そこで我々はもう一度長島茂雄氏をテーマにした番組を作ることにした。 それまで絶好調でセリーグのトップを走っていた巨人軍が、それでも日本一になれないというテーマで番組を制作したのだ。 結果、この年長島巨人軍は念願の日本一を達成、和泉宗章さんの予想は外れたことになった。 世の中では、この予想が外れたことで和泉さんが算命学をやめることになったと思われている。 確かに、結果的に最後となった算命学シリーズの番組の中で和泉さんは占いの道を去る表明をした。 大橋巨泉さんは「ひとつくらい予想が外れたからといって止めることはない。占いというのはそういうものだ」と和泉さんに翻意を促した。 しかし和泉さんが算命学から離れる決意をした本当の理由はそこにはない。 実は、算命学の決定的な矛盾点に突き当たってしまったのだ。 算命占星学というのは4,000年の歴史を持つ中国の帝王学に源を発しているといわれている。 とすれば、4,000年前の中国というのは当然太陰暦だったはずで、現在私たちが使っている太陽暦とは違う。 これは生年月日を元にして占う算命占星学の根幹を揺るがす大問題だ。 明治時代にはいって旧暦から太陽暦になった時にどのように日時が換算されたのか。 正確に旧暦での生年月日が決められない限り、算命占星学というものは成り立たないという現実を乗り越えることができなかった。 これが、彼が算命占星学と決別した本当の理由なのだ。 これを知るのはもう筆者しかいない。 この後、和泉さんは自ら社会に影響を与えたことの「禊」といって、全国各地で講演会を行い、占いというものとの接し方を説いて回った。 今は故人となってしまったが、算命学で予見されていた自分の死の年と同じだったのか今は知る術はない。 |
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