ここでは、これから芹沢氏の作品に親しもうとお考えの方々のために、芹沢文学の簡単な手引きをさせていただいています。自分に合った方法でご覧ください。タイトルをクリックすると、作品表の該当欄へ移動します。
芹沢文学は最も取り組みやすい日本文学のひとつであると思います。その理由は「誰にでもわかる言葉」で書かれているためです。優れた作品を書く作家は何人もいますが、誰にもわかる言葉で書く作家はそう多くはないような気がします。誰にでもわかる言葉で、無言の神の代弁者として書くという氏の姿勢は、幅広い年齢層、職業、階級にこだわらない多くの人たちに受け入れられています。私感ですが、作家には光の作家と影の作家と二通りあるように思います。神の代弁者たろうとした氏はまぎれもなく光の作家であり、その作品は幸福への鍵を持ったものばかりです。フランスで実証主義を学んだ精神を生かした明瞭で感情的でない文章でありながら、人間への深い洞察と愛を感じさせる文章はほかの誰に書けるものでもありません。
これから芹沢氏の作品を読まれる方は、子供のような素直なこころで向かってほしいと思います。そうすることで文章の奥に潜んだ愛情や真理が鮮明に浮かび上がってくるからです。特に文学好きの方や知的な職業に就かれている方は自分の物差しを外すように注意して読んでいただければと願います。
当館も芹沢氏に習って、誰にでもわかる言葉を使って作成しています。
最新刊をお探しの方は
2006年の『神と人間』以来、途絶えていた待望の新刊です。芹沢文学作品が初めてフランスで出版され、ヨーロッパに一大センセーションを巻き起こした記念碑的作品でもあります。本作と次回作『一つの世界-サムライの末裔-』でノーベル賞を取ってもおかしくなかったと思いますが、芹沢氏が自らそういった活動をされる方ではなかった為に、実現には至りませんでした。詳細を上記タイトルをクリックしてリンクをご覧ください。
代表作を読みたいとお考えの方は
『人間の運命』(日本芸術院賞・芸術選奨受賞作)
全3部14巻という大作で、当時日本にも初めて大河小説が生まれたと話題になりました。芹沢氏の代表作です。作者と似た境遇の森次郎を主人公に、明治、大正、昭和の3代にわたる時代の記録でもあります。これを深く読めば、芹沢文学の根本精神がわかるとも言える作品です。宗教、貧困、学問、戦争、渡仏、政治、文学というあらゆるジャンルの元で、厳しい環境にも負けない人間の成長を描いて、多くの読者のこころを揺さぶり続けてきました。
本作に関わる作品を通して読みたいという方は、『海に鳴る碑』、本作、『遠ざかった明日』の順に読まれてみてください。『海に鳴る碑』は本作の序章であり、『遠ざかった明日』は終章の役割を担っています。
現在は勉誠出版より完全版が発行されています。これは芹沢氏が存命中に加筆訂正をした原稿を元に再構成された最新刊です。詳しくはこちらをご覧ください。
とにかく、この1冊を読めばという本をお探しの方は
芹沢文学の集大成である90歳からの書き下ろし作品の第1作目。TOPページの冒頭の言葉(文学は~)により始まる、宗教に頼らない、ひとりの人間としての生き方を模索し続けた芹沢文学の結晶とも言える記念碑的作品です。
大袈裟だと笑われるかもしれませんが、この作品を地球上のすべての人に読んでほしいと思います。本作の魅力に気づかれた方は、『神の計画(はからい)』までの神シリーズの3部作を読まれるのではないでしょうか。特に第2作『神の慈愛』は神シリーズのなかでも最高傑作だと言われています。
2004年2月から新潮社より文庫版が発売されましたが、残念ながら続編は文庫化されず、本作も絶版となりました。その後、『神と人間』という晩年の8冊をセットにした蔵書が発売となりましたので、現在はそちらで読むことが出来ます。
ただし、本作を読んで『人間の運命』を読まないのは、この作品の魅力を半減させることになります。こちらも是非ご一読ください。
初期からの代表作をじっくりと読みたいとお考えの方は
『ブルジョア』 処女作。正宗白鳥氏から絶賛された、芹沢文学を知る上では欠かせない書。
『愛と死の書』 8年目に書いた初期の代表作。
『孤絶』 『離愁』 芹沢氏が自分のスタイルを作ったと言う作品。
『死者との対話』 戦争で散った若き魂が残していった問題を真摯に受け止めた必読の書。
『一つの世界-サムライの末裔-』 仏訳第2弾。原爆がテーマで、本作によりノーベル賞候補にも挙がる。
『教祖様』 芹沢氏に生涯にわたり色々な意味で影響を与えた天理教の教祖中山みきの伝記。
『愛と知と悲しみと』 中国の作家巴金氏に捧げた作品。『人間の運命』とも関わりがある。
現在入手可能な作品集『芹沢光治良文学館』(新潮社)の中からのみ選びました。
ここにあげた作品はいわゆる代表作です。代表作にこだわらないのであれば、作品表のタイトルバックが金銀の作品を参考にしてください。どれもここにあがったものに劣らず魅力のある作品ばかりです。
芹沢文学の完全制覇を目指す方は
少し前までは、初めて芹沢文学を読まれる方の殆どが『神の微笑』から入られたようですが、最近では『巴里に死す』や完全版『人間の運命』が出版されましたので、こちらを起点にした完全制覇の道順の一例を示します。
『巴里に死す』→完全版『人間の運命』(『人間の運命』全14巻+『海に鳴る碑』、『遠ざかった明日』)→
→『神と人間』(『神の微笑』からの8作品)→『芹沢光治良文学館』(全12巻)→「芹沢光治良記念館」を訪ねる→
→芹沢光治良文学愛好会に加入して会報で届けられる未読作品を読んだり、読書会等のイベントに参加する。
作品を読んだら
作品を読んで、より芹沢氏を知りたくなった方は写真館をご覧ください。芹沢氏に関する写真、記事など貴重な情報が掲載されています。また芹沢氏の生涯を追いたいときは年表を参考にしてください。
そうして読んだ作品や芹沢文学との思い出など投稿フォームにてご投稿くだされば幸いです。愛読者の横の和としてこころの窓(読者のお便り)にて紹介させていただきます。
また本館には、月報や作品一覧からだけ行けるあまり目立たないページも多数存在します。時々はそんなページを探しながら芹沢文学の世界をゆっくり楽しんでいただければと思います。
まだ芹沢文学を読んだことが無いという方に、文庫本を無料で差し上げています。詳しくはこちらをご覧ください。
芹沢文学に関するご質問にも随時お答えしております。おたよりはこちらまでどうぞ。