キャッシュ・フロー計算書の読み方

マイクロソフト社及び富士通の年次報告書を例にして
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出版物 キャッシュ・フロー計算書の作り方」横山明著、オーエス出版
「この一冊でキャッシュフローがわかる!」横山明監修、三笠書房「知的生き方文庫」

キャッシュ・フロー計算書で何をどのように開示するのか(間接法の場合)

キャッシュ・フロー計算書は、資金の流入及び流出を、「営業活動」、「投資活動」及び「財務活動」の三つに区分して表示します。

「営業活動区分」の表示の方法には、直接法と間接法があります。

直接法は、営業収入、原材料又は商品の仕入支出、その他の営業支出を開示する方法ですが、間接法は損益計算書の税引前利益(米国基準は純利益)から開示し資金の流出を伴わない減価償却費、貸倒引当金の繰入額等を加算し、有形固定資産売却益等を減算し、流動資産・負債のうち投資または財務活動に係るものを除いた純増減額を加減算して営業活動から得た又は使用したキャッシュを示すものです。

財務活動区分及び投資活動区分は、直接法及び間接法いずれも同じに表示されます。(直接法の解説は「キャッシュフロー計算書の作り方」に掲載してますのでご参照ください。)

既に公表されているキャッシュフロー計算書は、圧倒的に「間接法」で開示しており、間接法の読み方を解説することにします。

米国を例に取ると、米国公認会計士協会が,「キャッシュ・フロー計算書」の開示が始まった1989年から4年間、600社を調査した結果、15社のみが「直接法」を適用し、残り585社、実に97.5%の会社が「間接法」で開示しています。「直接法」で開示している会社は非常に希少価値です。同様のことが国際会計基準で作成している会社にも言えます。日本の「キャッシュ・フロー計算書」は、国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」の導入といってよいからです。

国際会計基準との関係は、「国際会計基準の基礎」、「国際会計基準の事例」、「国際会計基準と日本の会計の相違点」および「国際会計基準」をご用意してますので,興味のある方はご参照ください。

(1) 間接法は、損益計算書の税引前当期純利益から始まり損益計算書と一致している。
損益計算書の税引前当期純利益(または損失)からはじめ、キャシュフローへの調整が表示されます。 損益計算書の発生主義は、減価償却費の計上,貸倒引当金の計上、売上を出荷時点で計上、材料・商品仕入れの検収時点での計上、利息の期間計算による計上、法人税等の計算による計上などです。 発生主義会計の利益から表示していますので、これをキャッシュ・フローに表現するために調整が必要となります。米国基準では、純利益からはじめます。
(2) 間接法の調整項目には発生主義会計からキャシュ・フローへの調整が表示される。
発生主義会計をキャッシュ・フローに調整する項目は、減価償却費、貸倒引当金の繰入、固定資産の売却損益,売掛金や買掛金の純増減、その他流動資産負債の純増減、受取利息、受取配当金、支払利息、法人税等などです。

減価償却費、貸倒引当金の繰入額は資金の流出を伴わない費用ですから加算項目として表示されます。

固定資産や投資有価証券の売却益(損)を減算調整(加算調整)しますが、キャッシュ・フローでは、損益計算ではなく売却代金で表示されるためです。売却代金は投資活動に表示されます。 売却損益を分解すると次ぎのようになります。
          売却代金入金−帳簿価額(累計減価償却額を控除した後の金額)=売却損益
損益計算書には、売却損益のみが表示されます。 一方、キャシュ・フロー計算書は、売却損益を戻入することで、営業活動のキャッシュ・フロー合計を正しく修正するための表示をすると同時に、売却代金入金を投資活動の区分に表示されます。

 次ぎに,財務活動及び投資活動に関係無い流動資産及び流動負債の期首残高と期末残高の純増減額を加算減算します。

資産である売掛金を例に取ると、商品・製品を出荷したときに売上計上しています。これを、キャッシュ・フローに修正する必要があります。つまり現金の流入に修正する必要があります。期首の売掛残高は前期末にはキャッシュの流入が無かったことを示し、当期に流入があったものとします。当期末残高は当期にキャッシュの流入が無かったものです。当期末売掛残高が増加したとしますと、結果として、増加部分だけキャッシュの流入がなかったのですから、発生主義会計の損益計算書の利益から減算調整することになります。売掛金の回収状況が悪化して期末残高が増加するとマイナスとして表示されます。反対に、前期末残高より当期末残高が減少しているならば,キャッシュの流入があったのですから、加算調整することになります。 「債権管理」が重要であることが再認識されます。
また、在庫を例にしますと、期首残高より期末残高が多い場合は減算調整となります。過剰在庫、不良在庫の増加によって期末在庫が増加すると、在庫の増加としてマイナスで示されることになります。在庫が減少している場合は、加算調整となります。

一方、負債である買掛金は、期首残高より期末残高が多く純増している場合は,支払いをしていない部分の増加があるので加算調整します。減少している場合は当期の支払いがあったので減算調整します。

受取利息や受取配当金及び支払利息は、発生主義で計上した受取利息、受取配当金を戻入(減算調整)をして新たに現金支払額を表示します,支払利息は発生主義で計上した額を戻入(加算調整)し新たに利息支払額を表示します。法人税等は直接支払額を表示します。

間接法による営業活動のキャッシュ・フロー合計は、上記調整項目を加減算して算出されます。

当然のこととして、このキャッシュ・フロー合計額がプラスで多ければキャッシュ・フローの内容は良いことを示してます。
(3) 投資活動のキャッシュ・フロー
投資活動のキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、売却による収入、投資有価証券の取得による支出、売却による収入など投資活動による資金の流出・流入を開示します。

投資活動のキャッシュ・フローの代表的な項目はなんと言っても、有形固定資産の取得です。つまり設備投資額です。特に製造会社においては、工場の生産能力を増強したり、省力化投資などを測定する重要な数値です。財務活動の資金調達が主に設備投資額に関連しますので、投資額の大きさは注目すべき点です。

時には、固定資産を売却する場合がありますが、土地建物などの売却代金がこの区分に表示することになっています。また、純然たる投資及び有価証券等取得・売却や短期投資の純増減額がこの区分に表示されます。
(4) 財務活動のキャッシュ・フロー
財務活動のキャッシュ・フローは、長期借入金の新規借入額・返済額、社債発行額・償還額、新株式発行額、配当金の支払額など財務活動に係る項目が表示されます。ただし、短期借入金等の短期資金に関しては借入総額及び返済額を両建てで示す場合と、期首と期末の純増減額で示す場合があり、いずれも認められています。

財務活動区分の差引合計が示されますが、この合計がプラスであればよいというものでもなくマイナスが悪いというわけではありません。財務活動はそれ単独では機能しているものではなく、投資活動や営業活動資金のための資金調達などがあり、資金調達の使用目的は投資活動、営業活動等などの項目を見ながら総合して判断することになります。
(5) すべてが表示されるものではない。
上記のように企業活動を、営業活動、投資活動、財務活動区分に表示しますが、限られたスペース(例えばA4の用紙)でキャシュ・フローを表現しますので、簡潔明瞭にするために、僅少なキャッシュ・フローを表示することはありません。

詳細過ぎると読者にとって却って見づらく読みにくくなってしまいます。また、簡潔過ぎて判断できないという欠陥をなくす努力をして判りやすい計算書を作成します。そこで、会計基準では重要性の無いものは、"その他"にまとめて表示してもよいことになっています。これを会計基準では"重要性の原則"といい、世界基準となっています。

例えば,ある企業にとっては、役員賞与や自己株式など表示するほどの重要な金額でないため"その他"に含めて表示しています。ただし、役員賞与は利益剰余金計算書の利益処分に開示されますので情報は入手できます。
(6) 「現金及び現金同等物」の期末残高は貸借対照表と一致する。
現金及び現金同等物は、期末貸借対照表の現金及び現金同等物と一致します。当然ですが,前期末の残高は前期末の残高と一致します。

日本の場合、注意すべき点があります。大蔵省の省令によれば、連結貸借対照表の様式には、「現金及び現金同等物」の用語を使ってはならないことになっています。そこで、キャッシュ・フロー計算書で使用している「現金及び現金同等物」の期末残高の内容を注記し、貸借対照表との関連を明らかにすることを求めています。

ちなみに、国際会計基準及び米国会計基準では、貸借対照表に「現金及び現金同等物」の用語を使用するようになっていますので,キャシュ・フロー計算書との関連が一目瞭然となっています。

キャッシュ・フロー計算書とは,一時点である期首の貸借対照表に示された(実在していた)現金及び現金同等物が、当期(期間)にどのような資金の流入及び流出(キャッシュ・フロー)があって当期末の残高になったかを簡潔明瞭に情報開示するものです。


キャッシュ・フロー計算書の読み方--マイクロソフト社の例

下記のマイクロソフト社の財務情報は、インターネットで企業財務情報を公開している米国SEC(証券取引委員会)のEDGAR Databaseからマイクロソフト社の98年6月決算年次報告書(Form 10k 日本の有価証券報告書に該当)をダウンロードしたものです。 なお、マイクロソフト社の財務諸表は連結(Consolidated)の用語を使用していませんが、重要な会計方針で連結方針を開示していることと、連結子会社がある場合は、米国会計基準では当然連結財務諸表となります。

マイクロソフト社は、米国ナスダックに株式を公開している会社で,財務諸表は米国会計基準に準拠していると同時に、国際会計基準に準拠していることを財務諸表の注記に記載しています。わが国の「連結キャッシュフロー計算書の会計基準」は、国際会計基準の一部導入と言っていいほどほとんど類似しています。

キャッシュ・フロー計算書を見ますと,営業活動、財務活動、投資活動の三つの区分に分けて表示しています。 営業活動区分は、損益計算書の純利益(法人所得税控除後)から始めているので間接法で開示していることが分かります。間接法の場合、米国会計基準が法人所得税後の純利益から表示することを求めていますが、国際会計基準が求めている「税引前利益」から記載していないと危惧されますが、注記において法人税支払い額を、96年度は7億5千8百万ドル、97年は11億ドル、98年は11億ドルと開示しています。加えて,損益計算書の税引前利益に対する法人所得税の割合(実効税率)は、96年35%、97年35%、98年はWebTVの仕掛技術の償却が税務上控除できないため36.9%である旨の注記がある。下記の富士通の実効税率が50%を超えているのと比較すると、アメリカの法人所得税の低さは目を見張るものがある。

受取利息等の開示については、発生主義の受取利息等は損益計算書に開示しており、かつ、「受取利息」とキャッシュ・フローの「利息受取額」とほぼ一致していることが分かります。 なぜ、「受取利息」と「利息受取額」がほぼ一致しているかというと,貸借対照表に未収利息の金額が表示されていないことと、「現金及び短期投資」の内容が注記により、社債、政府債、譲渡性預金などから構成されており重要な未収利息が無いことが分かるからです。

減価償却費の加算調整からその他の流動資産の増減額までは、発生主義会計で計上された純利益をキャッシュの流入・流出に読みかえるための調整項目です。

マイクロソフト社の場合はソフト開発・販売ですが、営業活動からのキャッシュの流入が98年6月期には68億8千万ドルと巨額に上っていることを示しています。

財務活動を見ると、ストック・オプション制度のために自社株を市場から購入している「普通株式の買戻し」が98年6月期には24億68百万ドル(97年6月期は31億1百万ドル)とすさまじい金額で支出していることが示されています。

ストック・オプション制度は、役員や従業員が自社株式を一定の行使価額で買えるという制度です。役員や従業員に売却する自社株式を事前に、会社は自社株式を市場から買戻しておく必要があるのです。株価が右肩上がりで高騰していますので、購入資金は巨額な金額になっています。ストック・オプションの税効果は、米国の法人所得税が企業のストック・オプションに一定の条件で優遇税制を行っている免税の税効果です。従業員や役員がストック・オプションを行使した場合は、普通株の発行として開示されています。ストック・オプション関連の金額は、株主持分計算書の「普通株及び資本準備金」と「剰余金」に示された金額の合計額と一致します。 また、ストック・オプションの内容は注記(ここでは省略)に説明されています。

投資活動を見ると,有形固定資産の取得は、設備投資額です。マイクロソフト社の場合は、金額的に大きな項目は、投資持分及び短期投資の増加です。投資持分とは、連結会社以外の株式の取得です。 短期投資の増加は、潤沢な資金を短期で運用していることを示しています。

98年6月期の純現金及び現金同等物の増加額は、然程大きくはありませんが、48億28百万ドルと巨額な資金が短期投資に回されていることが分かります。

現金及び現金同等物の期末残高は、上記のキャッシュの流入・流出の結果は、ほぼ微増に留め、短期資金投資を増加させていることがこのキャッシュ・フロー計算書に示されていることになります。また、通常は、「現金及び現金同等物」が、貸借対照表と一致させるのですが,マイクロソフト社の場合は,「現金及び短期投資」の用語で貸借対照表に掲載して一致させ、注記により、「現金及び短期投資」の内容を「現金及び現金同等物」と「短期投資」の内容をそれぞれ示して、マイクロソフト社の資金事情を的確に、かつ簡潔に表現しています。

キャッシュ・フロー計算書

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

MICROSOFT CORP  マイクロソフト社
CASH FLOWS STATEMENTS  キャッシュ・フロー計算書
(In millions)  (単位百万) 
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Year Ended June 30 6月30日に終了の事業年度 1996 1997 1998
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Operations  営業活動
  Net income 純利益 $ 2,195 $ 3,454 $ 4,490
  Depreciation and amortization 減価償却費及び減耗費 480 557 1,024
  Write-off of acquired in-process technology 仕掛技術の購入代償却 -- -- 296
  Unearned revenue 繰延利益の計上 983 1,601 3,268
  Recognition of unearned revenue from
       prior periods
過年度計上の繰延利益の当期利益計上 (477) (743) (1,798)
  Other current liabilities その他の流動負債 584 321 208
  Accounts receivable 売掛金 (71) (336) (520)
  Other current assets その他の流動資産 25 (165) (88)
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net cash from operations 営業活動からの純キャッシュ 3,719 4,689 6,880
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Financing   財務活動
  Common stock issued 普通株式の発行 504 744 959
  Common stock repurchased 普通株式の買戻し (1,385) (3,101) (2,468)
   Put warrant proceeds プットワラント代金 124 95 538
  Preferred stock issued 優先株の発行 -- 980 --
  Preferred stock dividends 優先株配当金 -- (15) (28)
  Stock option income tax benefits ストックオプションの税効果 352 796 1,553
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net cash from (used for) financing   財務活動から(使用)の純キャッシュ (405) (501) 554
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Investments  投資活動
  Additions to property and equipment   有形固定資産の増加 (494) (499) (656)
  Cash portion of WebTV purchase price WebTV買収代金のうちキャッシュ部分 -- -- (190)
  Equity investments and other 持分投資ほか (625) (1,669) (1,598)
  Short-term investments 短期投資 (1,551) (921) (4,828)
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net cash used for investments    投資で使用した純キャッシュ (2,670) (3,089) (7,272)
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net change in cash and equivalents 純現金及び同等物 644 1,099 162
Effect of exchange rates on cash and equivalents 現金及び同等物の為替変動の影響額 (5) 6 (29)
Cash and equivalents, beginning of year 現金及び同等物の期首残高 1,962 2,601 3,706
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Cash and equivalents, end of year 現金及び同等物の期末残高  2,601 3,706 3,839
Short-term investments 短期投資 4,339 5,260 10,088
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Cash and short-term investments 現金及び短期投資合計 $ 6,940 $ 8,966 $13,927
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------

See accompanying notes.添付の注記参照

                                                                  

損益計算書

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

MICROSOFT CORP  マイクロソフト社
INCOME STATEMENTS 損益計算書
(In millions, except earnings per share) (単位百万、一株当たり利益を除く)
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Year Ended June 30 6月30日に終了の事業年度 1996 1997 1998
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Revenue   収入 $8,671 $11,358 $14,484
Operating expenses:  営業費用:
  Cost of revenue 収入原価 1,188 1,085 1,197
  Research and development 研究開発費 1,432 1,925 2,502
  Acquired in-process technology 仕掛技術の購入費 -- -- 296
  Sales and marketing 販売費 2,657 2,856 3,412
  General and administrative 一般管理費 316 362 433
  Other expenses その他の費用 19 259 230
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Total operating expenses 営業費用合計 5,612 6,487 8,070
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Operating income 営業利益 3,059 4,871 6,414
Interest income 受取利息 320 443 703
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Income before income taxes 税引前利益 3,379 5,314 7,117
Provision for income taxes 法人所得税繰入額 1,184 1,860 2,627
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net income 純利益 2,195 3,454 4,490
Preferred stock dividends 優先株配当金 -- 15 28
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Net income available for common shareholders 普通株の株主に対する分配可能の純利益 $2,195 $ 3,439 $ 4,462
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Earnings per share (1):   一株当たり利益
  Basic 基本 $ 0.93 $ 1.44 $ 1.83
  Diluted 希薄化 $ 0.86 $ 1.32 $ 1.67
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------

   一株当たり利益は、1998年2月の1株当たり2株の株式分割を遡及調整計算しています。
(1) Earnings per share have been restated to reflect a two-for-one stock split in February 1998.

See accompanying notes. 添付の注記参照。

貸借対照表

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

MICROSOFT CORP  マイクロソフト社
BALANCE SHEETS 貸借対照表
(In millions) (単位百万)
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
June 30 6月30日現在 1997 1998
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
ASSETS 資産
Current assets: 流動資産:
  Cash and short-term investments 現金及び短期投資 $ 8,966 $13,927
  Accounts receivable 売掛金 980 1,460
  Other その他 427 502
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Total current assets 流動資産合計 10,373 15,889
Property and equipment 有形固定資産 1,465 1,505
Equity investments 持分投資 2,346 4,703
Other assets その他の資産 203 260
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Total assets 資産合計 $14,387 $22,357
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
LIABILITIES AND STOCKHOLDERS' EQUITY 負債及び株主持分
Current liabilities: 流動負債:
Accounts payable 買掛金 $ 721 $ 759
Accrued compensation 未払報酬 336 359
Income taxes payable 未払法人所得税 466 915
Unearned revenue 繰延利益 1,418 2,888
Other その他 669 809
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Total current liabilities 流動負債合計 3,610 5,730
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Commitments and contingencies  契約債務及び偶発事象
Stockholders' equity:  株主持分:
  Convertible preferred stock--shares       authorized 100; 転換優先株式 授権株100百万株
    shares issued and outstanding 13 発行株済み13百万株 980 980
  Common stock and paid-in             capital--shares authorized 8,000;   普通株及び資本準備金 授権株8000百万株
    shares issued and outstanding 2,408        and 2,470 発行済み2408百万株及び2470百万株 4,509 8,025
Retained earnings 剰余金 5,288 7,622
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Total stockholders' equity 株主持分合計 10,777 16,627
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------
Total liabilities and stockholders' equity 負債及び株主持分合計 $14,387 $22,357
------------------------------------ ----------------------------- ------- -------

See accompanying notes.添付の注記参照

株主持分計算書

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

MICROSOFT CORP  マイクロソフト社
STOCKHOLDERS' EQUITY STATEMENTS  株主持分計算書
(In millions) (単位百万)
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Year Ended June 30 6月30日の終了の事業年度 1996 1997 1998
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
CONVERTIBLE PREFERRED STOCK 転換優先株式
  Balance, beginning of year 期首残高 -- -- $ 980
  Convertible preferred stock issued 転換優先株発行 -- $ 980 --
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Balance, end of year 期末残高 -- 980 980
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
COMMON STOCK AND PAID-IN CAPITAL 普通株及び資本準備金
  Balance, beginning of year 期首残高 $ 2,005 2,924 4,509
  Common stock issued 普通株発行 504 744 1,262
  Common stock repurchased 普通株買戻し (41) (91) (165)
  Structured repurchases price differential 買戻し価格の差異 -- -- 328
  Proceeds from sale of put warrants プットワラントの発行代金 124 95 538
  Reclassification of put warrant obligation プットワラント債務の組替え (20) 45 --
  Stock option income tax benefits ストックオプションの税効果 352 792 1,553
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Balance, end of year 期末残高 2,924 4,509 8,025
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
RETAINED EARNINGS 剰余金
  Balance, beginning of year 期首残高 3,328 3,984 5,288
  Net income 純利益 2,195 3,454 4,490
  Preferred stock dividends 優先株の配当金 -- (15) (28)
  Common stock repurchased 普通株買戻し (1,344) (3,010) (2,631)
  Reclassification of put warrant obligation プットワラント債務の組替え (210) 590 --
  Net unrealized investment gains and other 投資の未実現利益ほか 15 285 503
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Balance, end of year 期末残高 3,984 5,288 7,622
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------
Total stockholders' equity 株主持分合計 $ 6,908 $10,777 $16,627
------------------------------------ ----------------------------- ------- ------- -------

See accompanying notes.添付の注記参照

現金及び短期投資の注記

CASH AND SHORT-TERM INVESTMENTS 現金及び短期投資 June 30
Cash and equivalents: 現金及び同等物: 1997 1998
 Cash  現・預金 $ 246 $ 195
 Commercial paper  コマーシャルペーパー 1,660 2,771
 Money market preferreds  マネーマーケット優先株 946 454
 Certificates of deposit  譲渡性預金 854 419
---------------------------------- ------------------------------ ---------- ----------
Cash and equivalents 現金及び同等物 3,706 3,839
---------------------------------- ------------------------------ ---------- ----------
Short-term investments: 短期投資:
 Commercial paper  コマーシャルペーパー 261 868
 Municipal securities  市発行証券 571 1,361
 Corporate notes and bonds  社債 1,907 3,998
 U.S. government and agency securities  米国政府及びエイジェンシー発行証券 1,513 3,511
 Certificates of deposit  譲渡性預金 1,008 350
---------------------------------- ------------------------------ ---------- ----------
Short-term investments 短期投資 5,260 10,088
---------------------------------- ------------------------------ ---------- ----------
Cash and short-term investments 現金及び短期投資 $8,966 $13,927
---------------------------------- ------------------------------ ---------- ----------

マイクロソフト社は、重要な会計方針の注記に同等物の注記がないが,上記のように内容の注記をしている。

キャッシュ・フロー計算書の読み方--富士通の例

下記の富士通の連結キャッシュ・フロー計算書を含む連結財務諸表は、国際会計基準に準拠して作成されています。日本のキャッシュ・フロー計算書は、国際会計基準をコピーしたようなものですので、開示される内容はほぼ同一と考えて良いものです。

例えば,「営業活動」を間接法で表示する場合,税引前利益から表示し発生主義会計の損益計算書の支払利息、受取利息・受取配当金を戻入して、再度利息支払額、利息受取額・配当金受取額を表示する方法は、国際会計基準の付録1に例示している通りです。

富士通の連結キャッシュ・フロー計算書は、間接法による開示であることが分かります。営業活動区分が「税引前利益」から始め連結損益計算書との関係を明らかにしているからです。

税引前利益から営業から得たキャッシュまで、つまり、減価償却費、退職給与引当金繰入、受取利息及び配当金、売掛金の増加減少、買掛金の増加減少、その他流動資産・負債の増加減少は、発生主義会計の調整項目です。

減価償却費は発生主義会計で費用として税引前利益を既に控除してあるが資金の流出していないので加算します。同様に退職給与引当金の繰入も同様の趣旨です。受取利息及び受取配当金は、損益計算書に表示されている金額は発生主義の金額を戻入(減算)して、実際の利息受取額及び配当金受取額を表示しています。

有形固定資産の処分損は、有形固定資産の処分代金(資金の流入)―帳簿価額=有形固定資産の処分損(損益計算書計上額)となっていますので、損益計算書計上の処分損を戻入(加算)して、投資活動に有形固定資産の処分代金を表示するための調整項目です。処分益の場合は減算することになります。

売掛金の増加減少は、期首と期末の残高の純増または純減ですが、増加の場合はマイナス調整し、減少の場合はプラス調整します。なぜならば,期末に増加している場合は、期末までに資金の流入の無い売上高の増加をマイナス調整し、逆であればプラス調整することで、営業から得たキャッシュを資金の流出入に直すのです。負債サイドの買掛金等は売掛金と逆になり、買掛金の増加はプラス調整し、減少はマイナス調整します。

このように、発生主義の損益計算書(税引前利益)を、キャッシュ・フローに調整した金額を「営業から得たキャッシュ」(日本の会計基準では「小計」です)として示しています。この金額は、直接法で作成しても一致します。

「営業から得たキャッシュ」(日本の会計基準では「小計」です)以下は、日本及び国際会計基準で開示を求められている「利息支払い額」「利息受取額」「配当金受取額」「法人所得税支払い額」の資金流出・流入が開示され「営業活動から得た純キャッシュ」が示されます。プラスで,安定して増加することが望ましいのは言うまでもありません。

投資活動は,なんと言っても、製造会社においては設備投資額の大きさが生産能力を推定する上で大きな指標となります。有形固定資産の取得が該当します。有価証券報告書には設備投資の状況を記載する個所があります。記載してある内容を参考にすることができます。

優良会社の場合には、見ることはできませんが,土地の含み益を吐き出し土地等を売却すると売却代金がこの区分に出ます。

投資活動は、通常マイナスとなりますが、その源泉は、財務活動ないし営業活動になります。
財務活動は資金の調達及び返済が示されます。長期借入金や社債や株式の発行は総額主義で表示されますが,短期のものは期首と期末の差額増減を示すのが通常です。支払配当金はこの区分に示されます。

現金及び現金同等物の為替変動の影響額は、海外子会社の財務諸表を円貨に換算する際に、現金及び現金同等物にかかる換算差を示したものです。ここの金額が大きい場合は、為替レートの変動によりますが,海外子会社がかなり大きな事業を営んでいることを示しています。

現金及び現金同等物の純増(純減)は、営業活動、投資活動、財務活動及び為替変動の影響額を合計した金額です。プラスが望ましいのですが、マイナス即悪いというのではなく、キャッシュ・フローの内容を見て読者が判断することになります。

現金及び現金同等物の期末残高は、連結貸借対照表の数値と一致します。

つまり、連結キャッシュ・フロー計算書は、期首の現金及び現金同等物が、事業年度中にどのような資金の流入・流出があり、結果として、期末残高(会社が所有する現金等)となっていることを、区分整理して情報開示しているものです。開示された情報の評価・判断は、自己責任を持って皆様が行うことです。

なお、すべてが開示されることはありません。重要な事項のみが開示されます。詳細過ぎて読みにくくなったり、簡潔過ぎて分かりにくくなることを避けるようになっています。これを、「重要性の原則」といい、国際的な基準となっています。富士通のキャッシュ・フロー計算書では役員賞与は「その他」に含めています。剰余金計算書で分かるので二重に開示することもないこと以上に重要性が無いからです。また、非資金取引として転換社債の転換がありますが,株主持分計算書に既に開示されており、キャッシュ・フロー計算書の注記への重複開示を避けているもの。


また、将来の資金の流出については表示されません。将来の資金の流出の一部は貸借対照表の負債が該当します。特に、長期借入金や社債がいくらあるのか見ることは大切です。連結附属明細書として借入金等および社債の明細が含まれることになりました。その中に,将来5年間について1年ごとの返済額を記載することになりました。見ておくことも大切です。


連結キャッシュ・フロー計算書(富士通)

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

Fujitsu Limited 富士通
Consolidated Statements of Cash Flows  連結キャッシュ・フロー計算書
Yen(millions)単位(百万円)
Years ended March 31 3月31日に終了の事業年度 1995 1996 1997
Cash flows from operating activities: 営業活動からのキャシュフロー
Income before income taxes 税引前利益 85,371 127,686 143,074
Adjustments to reconcile income before
income taxes to net cash provided
by operating activities:
営業活動から得たキャシュフロー
と税引前利益との調整:
Depreciation and amortization 減価償却費および減耗償却 211,805 241,543 299,892
Accrual for severance benefits, less payments 退職給付繰入,支払控除後 11,700 13,822 14,781
Provision for loss on repurchase of computers 電算機買戻損失引当金繰入 62,029 54,066 53,272
Reversal of provision for loss
on repurchase of computers
電算機買戻損失引当金戻入 (70,733) (61,846) (57,697)
Interest charges 支払利息 55,454 48,589 49,276
Interest and dividend income 受取利息及び受取配当金 (13,858) (10,976) (9,758)
Loss on disposal of property, plant and equipment 有形固定資産処分損 6,333 9,824 11,656
(Increase) decrease in receivables, trade 売掛金の(増加)減少 2,880 (146,983) (155,299)
(Increase) in inventories 棚卸資産の(増加) (65,242) (177,681) (26,835)
(Increase) decrease in other current assets その他流動資産の(増加)減少 (17,377) (21,736) 941
Increase in payables, trade 買掛金の増加 58,175 146,323 103,991
Increase (decrease) in other current liabilities その他流動負債の増加(減少) 17,806 58,338 (31,831)
Other, net その他、純額 1,063 (5,258) (5,505)
------- ------- -------
Cash generated from operations 営業から得たキャッシュ 345,406 275,711 389,958
Interest paid 利息支払額 (64,493) (49,196) (48,113)
Interest received 利息受取額 11,188 10,059 6,829
Dividends received 配当金受取額 2,203 2,095 2,808
Income taxes paid 法人所得税支払額 (42,707) (66,967) (68,450)
------- ------- -------
Net cash provided by operating activities 営業活動から得た純キャッシュ 251,597 171,702 283,032
------- ------- -------
Cash flows from investing activities: 投資活動からのキャッシュ
Acquisitions of property, plant and equipment 有形固定資産の取得 (228,293) (388,860) (438,969)
Proceeds from sales of equipment 有形固定資産の売却収入 3,312 2,541 8,250
Increase in investments and long-term loans 投資及び長期貸付金の増加 (5,262) (41,761) (22,699)
(Increase) decrease in short-term investments 短期投資の(増加)減少 (5,875) 14,452 (11,153)
Other, net その他、純額 (1,661) (15,998) 19,914
------- ------- -------
Net cash used in investing activities 投資活動で使用した純キャッシュ (237,779) (429,626) (444,657)
------- ------- -------
Cash flows from financing activities: 財務活動からのキャッシュフロー
Proceeds from long-term debt 長期借入債務(社債含む)借入 184,722 206,483 274,100
Repayment of long-term debt 長期借入債務(社債含む)返済 (181,788) (88,564) (128,399)
Increase (decrease) in short-term borrowings 短期借入金の増加(減少) (2,276) 176,176 (1,416)
Proceeds from issuance of common stock
to minority interests
少数株主持分への株式発行代金 16,497 9,795 8,828
Dividends paid 支払配当金 (18,166) (18,289) (18,413)
Other, net その他,純額 (676) 8,367 (5,721)
------- ------- -------
Net cash provided by
(used in) financing activities
財務活動から(で使用)
の純キャッシュ
(1,687) 293,968 128,979
------- ------- -------
Effect of exchange rate changes on cash
and cash equivalents
現金及び現金同等物の為替変動の影響額 (4,368) 8,843 12,608
Net increase (decrease) in cash and cash equivalents 現金及び現金同等物の純増(減) 7,763 44,887 (20,038)
Cash and cash equivalents at beginning of year 現金及び現金同等物の期首残高 381,288 389,051 433,938
------- ------- -------
Cash and cash equivalents at end of year 現金及び現金同等物の期末残高 389,051 433,938 413,900
======= ======= =======
The accompanying Notes to Consolidated Financial Statements are an integral part of these statements.
添付の連結財務諸表の注記は、この計算書の一部を構成しています。

連結損益計算書(富士通)

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

Fujitsu Limited  富士通
Consolidated Statements of Income 連結損益計算書
Yen(millions)単位(百万円)
Years ended March 31 3月31日に終了の事業年度 1995 1996 1997
Net Sales 純売上高 3,257,706 3,761,966 4,503,474
Operating costs and expenses: 原価及び営業費
Cost of goods sold 製品売上原価 2,117,777 2,495,014 3,149,607
Selling, general and administrative expenses 販売費及び一般管理費 974,054 1,061,070 1,153,186
--------- --------- ---------
3,091,831 3,556,084 4,302,793
--------- --------- ---------
Operating income 営業利益 165,875 205,882 200,681
Other income (expenses): その他の利益(費用):
Interest and dividend income 受取利息及び受取配当金 13,858 10,976 9,758
Interest charges 支払利息 (55,454) (48,589) (49,276)
Other, net その他,純額 (38,908) (40,583) (18,089)
--------- --------- ---------
(80,504) (78,196) (57,607)
--------- --------- ---------
Income before income taxes 税引前利益 85,371 127,686 143,074
Income taxes 法人所得税:
Current 当年度(法人税等) 52,152 71,675 96,620
Deferred 繰延(税金等調整額) (1,772) (19) (121)
--------- --------- ---------
50,380 71,656 96,449
--------- --------- ---------
Income before minority interests
and equity in earnings
少数株主持分利益前利益 34,991 56,030 46,575
Minority interests in income
of consolidated subsidiaries
少数株主持分利益 (1,197) (4,818) (4,175)
Equity in earnings of affiliates, net 関連会社の持分利益、純額 11,226 11,901 3,747
--------- --------- ---------
Net income 純利益 45,020 63,113 46,147
========= ========= =========
The accompanying Notes to Consolidated Financial Statements are an integral part of these statements.
添付の連結財務諸表の注記は、この計算書の一部を構成しています。

連結貸借対照表(富士通 )

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

Fujitsu Limited  富士通
Consolidated Balance Sheets 連結貸借対照表 Yen (millions)単位(百万円)
March 31 3月31日現在 1996 1997
Assets 資産
Current assets: 流動資産
Cash and cash equivalents 現金及び現金同等物 433,938 413,900
Short-term investments 短期投資 26,992 38,239
Receivables, trade 売掛金 963,381 1,172,583
Allowance for doubtful accounts 貸倒引当金 (14,048) (18,942)
Inventories たな卸資産 822,735 880,582
Other current assets その他の流動資産 190,899 173,237
Total current assets 流動資産合計 2,423,897 2,659,599
Investments and long-term loans: 投資及び長期貸付金
Affiliates 関連会社 331,934 339,241
Other その他 291,545 312,002
623,479 651,243
Property, plant and equipment: 有形固定資産
Land 土地 111,865 122,798
Buildings 建物 689,855 738,603
Machinery and equipment 機械及び装置 2,011,630 2,239,680
Construction in progress 建設仮勘定 64,236 96,077
2,877,586 3,197,158
Less accumulated depreciation 差引減価償却累計額 1,752,669 1,935,882
Property, plant and equipment, net 有形固定資産、純額 1,124,917 1,261,276
Other assets その他の資産 152,197 155,569
4,324,490 4,727,687


負債及び株主持分

Fujitsu Limited 
Consolidated Balance Sheets 連結貸借対照表 Yen (millions)単位(百万円)
March 31 3月31日現在 1996 1997
Liabilities and shareholders' equity 負債及び株主持分
Current liabilities: 流動負債
Short-term borrowings 短期借入金 641,463 665,387
Current portion of long-term debt 1年内返済長期債務 116,128 202,692
Payables, trade 買掛金 599,488 753,606
Accrued expenses 未払費用 284,665 296,286
Customers' advances 顧客前受金 23,593 29,936
Accrued income taxes 未払法人税等 44,813 74,433
Employees' savings deposits 従業員預金 44,453 39,134
Other current liabilities その他の流動負債 201,323 182,799
Total current liabilities 流動負債合計 1,955,926 2,244,273
Long-term liabilities: 長期負債:
Long-term debt 長期債務 774,851 843,831
Accrued severance benefits 未払退職給付 122,473 137,330
Provision for loss on repurchase of computers 電算機買戻損失引当金 100,861 96,436
Other long-term liabilities その他の長期負債 63,192 57,001
1,061,377 1,134,598
Minority interests in consolidated subsidiaries 少数株主持分 157,788 167,326
Shareholders' equity: 株主持分:
Common stock: Authorized - 5,000,000,000 shares
Issued (50 yen per value)
1996 - 1,841,272,768 shares
1997 - 1,841,435,783 shares
普通株 237,626 237,674
Capital surplus 資本準備金 419,780 424,578
Legal reserve 法定準備金 25,907 27,767
Retained earnings 剰余金 466,086 491,471
Total shareholders' equity 株主持分合計 1,149,399 1,181,490
4,324,490 4,727,687
The accompanying Notes to Consolidated Financial Statements are an integral part of these statements.
添付の連結財務諸表の注記は、この計算書の一部を構成しています。

連結株主持分計算書(富士通)

注意:キャッシュフロー計算書の読み方を解説するための事例として抜粋したもので注記などを省略しています。

Fujitsu Limited  富士通
Consolidated Statements of Shareholders' Equity 連結株主持分計算書 Yen (millions)単位(百万円)
Years ended March 31 3月31日に終了する事業年度 1995 1996 1997
Common stock: 普通株
Balance at beginning of year 期首残高 223,483 223,650 237,626
Conversion of bonds 転換社債の転換 167 13,976 48
Balance at end of year 期末残高 223,650 237,626 237,674
Capital surplus: 資本準備金
Balance at beginning of year 期首残高 398,546 398,801 419,780
Conversion of bonds 転換社債の転換 170 13,951 79
Other, net その他、純額 85 7,028 4,719
Balance at end of year 期末残高 398,801 419,780 424,578
Legal reserve: 法定準備金
Balance at beginning of year 期首残高 22,218 24,056 25,907
Transfer from retained earnings 利益剰余金からの振り替え 1,838 1,851 1,860
Balance at end of year 期末残高 24,056 25,907 27,767
Retained earnings: 利益剰余金
Balance at beginning of year 期首残高 413,660 453,808 466,086
Net income 純利益 45,020 63,113 46,147
Cash dividends paid 支払い配当金 (18,166) (18,289) (18,413)
Transfer to legal reserve 法定準備金への振り替え (1,838) (1,851) (1,860)
Bonuses to directors and statutory auditors 取締役及び監査役賞与 (648) (726) (869)
Translation adjustments 換算調整 13,770 (23,438) -
Other, net その他、純額 2,010 (6,531) 380
Balance at end of year 期末残高 453,808 466,086 491,471
The accompanying Notes to Consolidated Financial Statements are an integral part of these statements.
添付の連結財務諸表の注記は、この計算書の一部を構成しています。

重要な会計方針の注記

富士通のキャッシュフロー計算書に関する注記は「重要な会計方針」として次ぎのように「現金同等物」に関する注記がある。富士通の場合は,マイクロソフト社のような現金及び現金同等物の内訳を開示しています。一方、マイクロソフト社は重要な会計方針の注記がない。

(c) Cash equivalents
For the purpose of the statement of cash flows, the Company considers all short-term, highly liquid instruments with a maturity of three months or less to be cash equivalents.
(c)現金同等物
キャッシュフロー計算書の目的で、3ヶ月以内の短期期日の流動性の高い金融商品のすべてを現金同等物とした。

キャッシュフロー計算書分析

キャッシュフロー計算書分析には定着した明確なものは無い。フリー・キャッシュフローの用語さえ明確な概念は成立していない。フリー・キャッシュフロー(Free cash flow, FCF)は、「経営者から見て自由となる資金」を意味するが、その内容は様々である。フリーキャッシュフローは、経営者の立場から、自分の意思で自由に使用できる資金である。基本的には、営業キャッシュフローから経営上必然的に支出する項目を除いて残された資金といえよう。

例としては、営業活動から生じたキャッシュフローに継続企業として必要な設備投資額(生産設備等への投資)などを控除した後の資金がある。または、営業キャッシュフローから必要な設備投資額、優先株式の配当金、普通株式に対する必要最低配当額を控除する場合などである。

キャッシュフロー・マネジメント

キャッシュフロー計算書を見る場合、キャッシュフローが悪化する理由を検証すると、在庫を高めたのか、売掛金の回収が遅れているのか、急激な成長のためお金が足りないのか、資金が余っているのに有利な投資を怠っていたのか分かる。適時に、こうした分析を怠りなく行うことでキャッシュローの有効なマネジメントを行うことができる。

EBITDA(イービットディーエー)

EBITDA(Earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization 税金、支払利息及び減価償却費控除前利益)を重視する米国企業(通信最大手のAOL、米長距離通信最大手のAT&Tやワールドコムなど)がある。年次報告書の初めにEBITDAを開示しオペレーティング・キャッシュフローが健全に推移していることをアピールしている場合がある。これはハイテク企業などのニューエコノミーは、先行投資が多い企業で損益計算書は利益が出ていないため一株当たりの利益が算出できず、株価収益率(PER)が計算できないために、EBITDAがプラスに出ていることで収益性(事業の将来性)をアピールするというものである。ニューエコノミーにとって一つの重要な指標であるが、利益が出てくるとPER(Price Earnings Ratio、株価収益率=株価/一株当たり利益)で株価を評価するのが自然であるとされている。

EBITDAは損益計算書の税引前利益から支払利息を加算し、キャッシュフロー計算書に表示された減価償却費及び営業権(のれん)の償却(アモーチゼーション)を加算して求める。無論、EBITDAが大きいことが望ましい。なお、アモーチゼーションとは営業権(のれん)等の償却費をいい、企業買収及び合併(M&A)に付随して巨額なのれんが計上され償却負担が大きいので損益計算書上損失要因になる。

EVA (Economic Value Added) とNOPAT

EVAとはコンサルタント会社のスターン・スチワート社の登録商標で経済付加価値(Economic Value Added)の略称である。

計算式は:EVA=NOPAT(税引後事業利益)―投下資本X資本コスト(%)

NOPAT (Net Operating Profit After Tax、 税引後事業利益)は、税引後純利益に支払利息を加算する(利息控除前、税引後利益)。研究開発費を繰延資産計上したように調整する場合もある。
投下資本は、総資本(他人資本と自己資本)から無利子負債(買掛金や未払費用など)を控除した額。
資本コストとは、株主が期待する収益率で理論値である。

資本コストの簡単な例;
株主の期待する収益率が13%とし(これ以下であれば他の投資に向ける)、投下資本に対する株主資本の割合は60%とする。
有利子負債の利子率は8%とし、投下資本に対する有利子負債の割合は40%とする。
資本コスト(%)=13%X60%+8%X40%=10% (利息の税効果を考慮していない場合)
利息の税効果を考慮した資本コスト(%)=13%X60%+8%X40%X(1-0.4)=8.08% (税率を40%と仮定した場合) 

このEVAは、投下資本から生み出された利益(NOPAT)から投下資本のコストを引いたものである。EVAが大きいということは「株主の期待する収益率を超過していること」を意味する。

この算式は株価を必要とせず、損益計算書及び貸借対照表から算出できることから、中小企業、上場会社の事業部門ごとの業績評価に使用したり、不採算部門の撤退などの意思決定に使用されつつある。

なお、株主の投下資本(株主資本)に対する収益性は、従来から、ROE(Return On Equity 株主資本利益率=純利益/株主資本)という指標がある。この指標は重要な指標であるが、一方、@ 事業に必要な資金を借入金によって賄うことでROEを上昇させることができる(借金経営)、A 自己株式を取得して株主資本を減少させる(事業縮小)の危険があるとする意見がある。

また、EVAを開発したスチワートが批判するように、収益性の指標の一つROA(Return On Assets 総資本利益率=純利益/総資産)では、新規投資をせず成長を犠牲にすれば上昇する。つまり、純利益一定でも、分母の総資産に含まれる設備が減価償却費相当分減少するためROAは上昇してしまうというのである。

ROE、ROA、EVAそれぞれの重要であり、重要なのはその意味を正しく理解して利用することであろう。

MVA(Market Value Added)

MVA(Market Value Added、市場付加価値)はつぎの算式で求める。

MVA=市場価値(Market value)―投下資本(株主資本)
つまり、MVA=株式時価総額―株主資本で、すでに投下された資本がどれだけの市場価値を生み出しているかという指標である。この場合の投下資本は株主資本を意味する。株価のある上場会社にのみ適用される。外部の投資家が投資の判断材料として使用される。


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なお、会社によって勘定科目等が区々ですので、勉強用としてご利用ください。ただし、修正して各社のキャッシュ・フロー計算書を作成することは可能です。なお、「直接法」をご所望の方には、上記と同一の資料を基礎に同価格で用意しています。どうしても必要であればその旨記載してください。

日米双方の連結実務の豊富な経験を基礎にキーポントを上記に記しました。本格的な連結決算制度の体制確立に参考となれば幸いです。なお、企業に合わせ正確かつ効果的・効率的な連結決算体制の確立について支援しています。興味がありましたら、下記宛てご連絡ください。

公認会計士 横山明

E-mail: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp
TEL:047-346-5214 FAX 047-346-9636


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