ペンギン通信

ペンギン通信  1999年7月号(第15号)
吊り具図



= 折りたたんで持ち運べる介護リフト =

介護リフト。

日本の住宅事情では邪魔になるのが普通だろう。だいたい居室が8畳くらいあっても、ベットと車椅子の移動空間を考えたら、介護リフトなどのスペースを取るものは置きづらい。

しかし、今回紹介する岡山県のメカテック製の“CareLift SUKETTO”は、折りたたみが可能で省スペース化がされている。

もともと、“CareLift SUKETTO”は、車椅子から自動車に乗り移ることを目的として開発がなされている。そのため、以下に掲げるスペックを満たしている。


その1.折りたたみが可能である。(収納時寸法:103×47×40cm)

その2.重量は、女性でも持ち上げ可能な16Kg

その3.上昇ハンドルが軽い[3Kgの力で上がる(利用者の体重は80Kgまで)]

その4.電源が不要である。


よって以上の条件から、ポータブルとしての性能を持ち、車載が可能となっている。

このおそらく世界でも類を見ない“CareLift SUKETTO”も完璧という訳ではない。

その1.ハンドルの間隔が狭いためか、床走行時に走行と方向転換において力の入れ方が難しい。

その2.独特の専用のスリング・シートを使用するが、これの装着に知識と慣れが必要である。


これら2点に関しては、「慣れる」ということが一番のポイントになると思うが、1点目については「介護リフトはそもそも長い距離を移動するものではない。ベット~車椅子とか、車椅子~自動車であるから、大きな問題とはならないだろう。

2点目は、マニュアルをよく参考にし、上手く吊り上らなかったら、遠慮なくメーカーの設計者に直接連絡を取ってアドバイスを乞うのが良いだろう。


参考までに、上図のスリング・シートの装着時のポイントを挙げる。

1.座面用のシートは、アールの付いているもので、アール側が前側である。

2.背部用上部のループは、上体が起きる様に調整する。

  (上体のバランスが悪い場合は、別売の「背当てボード」も用意されている。)

3.座面用後部のループは、背部用下部のループに通して、これを搾るように強く引くこと。


福祉制度ミニ知識

「リフター」と「リフト」、福祉用具としてはよく聞く名だが、皆さんは両者の違いを知っておられるだろうか。

福祉の制度では、「ハンガーが上下・水平に電動もしくは手動で移動するもの」が住宅設備改善の屋内移動設備の「リフター」であり、「上下しか移動しないもの」は日常生活用具の「介護リフト」となる。

床走行式のリフトは、介助者が床を走行させるので介護リフトとなり、ベットに備え付けのタイプでポールを支点に回転するタイプは、本体が水平移動する訳ではないので、やはり「介護リフト」となる。


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