粉飾決算

不正な財務報告・トレッドウェイ委員会報告の結果と勧告の紹介
COSOリポート(内部統制の統合的枠組み)
2001年12月エンロン破産法申請・・監査担当会計事務所に批判(のちに消滅)
◎ エンロン問題に見る米国の会計制度改革
◎ 企業会計改革法(サーベンス・オクスリー法)成立(2002年7月30日)
カネボウ巨額2000億円の粉飾決算(2005年4月公表、旧経営陣・会計士逮捕)
 日本の対応(担当パートナー5年のローテンションへ)
◎ 担当監査法人業務一部停止2ヶ月(2006年5月10日公表)
◎ PwCが「あらた監査法人」設立(2006年6月1日設立)
 ■4大事務所のPwCが「あらた監査法人」を設立、国際的な大企業の監査を中央青山監査法人から引継ぐ
◎ 金融庁・金融審議会・公認会計士制度部会の「監査法人等のあり方」の議論 
▲ 改正「公認会計士法」成立(2007年6月20日)
   ・政令・府令(9月28日)
◎ 金融庁:公認会計士・監査審査会の4大監査法人の監査結果
2006年6月30日
金融庁・監査審査会が「小規模監査事務所の監査の品質管理」公表(2006年11月8日)
日興コーディアルの不透明なSPCを利用(2005年12月)
 ■監視委員会が課徴金5億円勧告(2006年12月18日)
 ■2006年3月期も利益水増しを公表(2007年2月1日)
 ■担当の「みすず監査法人(旧中央青山監査法人)」が、2007年夏をもって実質消滅
ライブドア・・風説の流布・虚偽の決算容疑で社長ら逮捕2006年1月
◎ 日本版SEC創設による市場監視(watchdog)が望まれる
実質債務超過のTTGに1億3千万円の課徴金! (金融庁2006年12月6日)
日本特有の会計基準の不備が招いた不運な三洋電機のケース
関係者必読の書「公認会計士VS特捜検察」公認会計士細野祐二著
有罪か否かを実質的に決めているのは裁判官ではなく検察官」by内田博文九州大学教授
裁判長のお弁当(東海テレビ)」・・見ました。裁判制度の実態にショックを受けました。
 ・・「被告人が無罪かもしれないということを考える仕組みには日本の裁判はなっていない」そうです。
不正な財務報告に関する監査基準の日米比較
あとがき
参考サイト:コーポレート・ガバナンス」・・キーワードはコーポレート・ガバナンス
         「粉飾決算事件」、「accounting scandals」、「米国ゼロックスのケース

はじめに

1999年6月、長期信用銀行の98年3月期の粉飾決算疑惑で、大野木克信元頭取ら旧経営陣が、不良債権に対して約8千億円を損失として処理する必要があると認識していながら、約6千億円の損失処理にとどめ、約2千億円の引当不足により配当原資を捻出し、71億円の違法配当(商法違反)と有価証券報告書に虚偽記載した(証券取引法違反)疑いがありとして、東京地検特捜部と警視庁捜査二課が捜査を進めている,と報じた。

1998年10月に、特別公的管理(一時国有化)に移行した日本長期信用銀行の債務超過額は、国有化時点で2兆円を上回っていたことが分かった(99年3月18日日本経済新聞報道)。「98年9月末の金融監督庁の検査では、有価証券の含み損を含めて債務超過額は3,400億円だった」、としていたが、たった1ヶ月後には約6倍の2兆円の債務超過という、1兆7千億円の損失拡大にはあきれる。


また、1999年6月11日、日本長期信用銀行は、1999年3月期決算を発表し、「公的資金による損失補填を「特別公的管理勘定」として2兆7800億円を見込んだ結果として、資本金勘定はほぼゼロとなってる。」と発表した(12日日本経済新聞)。究極的には税金を投入することになる。最大の問題は、巨額な損失を生み出した日本的な制度にあるのではないだろうか。2兆7800億円という巨額なコストを払い何も教訓を得ず改善しないとすれば、納税者はやりきれない思いであろう。

1999年9月28日、金融再生委員会(柳沢委員長)は、日本長期信用銀行を米国リップルウッド・ホールディングス(投資会社)に譲渡すると公表した。不良債権の二次損失の負担を含み、公的資金を総額4兆円兆を投入するとある。また、数値は桁違いに膨らんでいる。

同じことが、日本債券信用銀行にも行われるのであろうかとは想像できよう。

銀行ばかりでなく、約2600億円にのぼる巨額の簿外債務を隠蔽し虚偽の有価証券報告書を作成したとして株主と係争中の山一證券は、1999年6月初めに自己破産した。山一證券の債務超過額は、1600億円に上った。
証券会社が資金を拠出し設立した投資者保護基金の残高は、330億円にすぎないうえに、使用目的が万が一資産流用による投資者保護に限られていることから、証券界は投資者保護基金からの負担は無理と、主要な債権者である日銀(日銀特融)に対し支払いを突っぱねている。問題を先送りにしているが、日銀負担といっても究極的には国が負担することになろう。

なにも、米国に教訓を学ばなくても、日本が自ら制度を改善し再発防止のための改革をするならば心強いのであるが、一向に改善の姿が見えてこない。

そこで、残念ではあるが、米国で多発した同じような「不正な財務報告」について、元SEC委員長のトレッドウェイ(James C. Treadway, Jr.)氏が委員長となり「不正な財務報告全米委員会」が行った調査の結果(通称、トレッドウェイ委員会報告)が、参考となるものとおもう。

詳細は,トレッドウェイ委員会報告を翻訳(鳥羽至英・八田進二共訳)した「不正な財務報告・・結論と勧告」トレッドウェイ委員会報告、白桃書房をご覧ください。本書は、「不正な財務報告全米委員会の報告書(Report of National Commission on Fraudulent Financial Reporting, October 1987 )の翻訳です。

米国の研究報告書の結論部分

トレッドウェイ報告は、1985年10月から1987年9月にかけて、合衆国の財務報告システムについて検討を行った。委員会の使命は、不正な財務報告を引き起こす要因を識別するとともに、その発生の原因を減少させるための方策を明かにすることであった。


1987年10月、「不正な財務報告全米委員会」が報告した通称トレッドウェイ(元証券取引委員会(SEC)委員長)委員会報告によれば、不正という問題は、財務報告プロセスに関与するすべての関係者が協調して対処しない限り解決できないと、結論している。

説明責任(Accountability)

企業が社会から資金を調達する場合、その企業は、受託責任を負い、これに応じた説明責任を負うことになる。 企業が一般大衆から信用市場を通じて資金調達する場合は、公共の利益を保護するうえで必要な一定の責務を果たさなければならない。基本的な責務の一つは、財務上の成績を含む企業の財務情報を完全かつ公正に開示することである。

財務情報の適正を担保する監査制度も、重要な要素であり、会計監査人も、誠実に厳正な監査を行い、中立的で、適切な監査意見を述べる責務を負っている。

財務報告のシステムの確立

企業財務の「完全で適正な開示」は、重要な要素である。「完全で適正な開示」は、明文による完成度の高い「会計基準」が求められる。会計基準が不完全であれば、不正な報告ではなくても、財務諸表利用者の判断が正しく行えないという致命的な欠陥となるからである。

財務報告プロセスへの関与者

( 1.) 信頼し得る財務報告をなす責任は、まず何よりも企業の段階にある。社風を決め、財務報告の環境を作り出すのは最高経営責任者をはじめとする最高経営者層である。それゆえに、不正な財務報告リスクを引き下げることは、まず、報告主体である企業内部において始めなければならない。

(a)実務上重要なことは、企業の財務報告を監視するため、取締役会が事情に精通し、有効な監査委員会を設置することである。独立取締役(Independent director)を 複数外部から招請し監査委員会のメンバーを独立取締役が過半数となるようにする。  

(b)また、内部監査機能を確立・維持することである。

(2.) 公認会計士の果たす役割は重要であるが、公認会計士は、財務諸表の正確性や信頼性の保証人ではない。しかしながら、公認会計士の役割を、不正な財務報告の発見という観点から高めることは可能である。

(3.) 監督機関と法の執行機関が提供している抑止力は、不正な財務報告を引き下げるうえで極めて重要である。米国証券取引委員会は、不正な財務報告に対する懲罰の可能性に対する企業の意識を高めてきた。

( 4.) 教育に関しても、不正な財務報告リスクを引き下げる上で重要な役割を担っている。教育は、経営学専攻の学生や会計学専攻の学生に対し、不正な財務報告を招く要因や不正が起こらないようにするために必要な倫理的価値観と健全な経営実践を会得するための準備を与えることができる。

結論



上記の財務報告プロセスへの関与者のそれぞれの役割を分析した結果、不正な財務報告の問題を解決できる唯一の答えというものはない。むしろ、すべての領域において改善が求められている、と結論している。

以上は、トレッドウェイ委員会報告の結論である。 日本では、責任論に終始するが、トレッドウェイ委員会報告は、一歩踏み込んで、「不正を未然に防ぐ社会システムの構築」に目を向けている。予防の費用対効果を,予防に費やす費用の方が効果に比べ少なくて済むと見ている。市場経済は、信用が基礎となるからである。

このトレッドウェイ委員会報告書により、それぞれの分野で改善が図られている。例えば、ナスダックのコーポレートガバナンス要請の規定に、「監査委員会の設置」や「独立取締役(Independent director)」を採用することを要請しており、ナスダックでの株式公開企業の公開基準に取り入れられ勧告が具体化している。

また、米国公認会計士協会は、トレッドウェイ委員会報告をうけて「監査基準」を改定して、監査報告書の文面に経営者の責任を明記することとした。監査報告書に「これらの財務諸表は、同社の経営者に責任がある。These financial statements are the responsibility of the Company's management」と記載することとなった。

制度が高度化している米国でさえ、不正な財務報告の問題は深刻であるが、各界の関係者の弛まぬ改善が必要であるとの結論である。これにより、「不正な財務報告」が全く無くなるかといえば、不可能であろうが、弛まぬ改善の努力が最小限に食い留めることは可能であろう。


米国の良いところは、自浄能力があり、日本に比べて透明度が高く、調査⇒勧告⇒各分野の改善⇒実施を実行していることにある。

トレッドウェイ委員会報告と日本の現状を纏めてみると、概要(詳細は報告書をご覧ください)は、次のようになる。

トレッドウェイ委員会報告と日本の現状
関係者 具体的な勧告 米国の対応 日本の現状
1 最高経営者層 ・監査委員会を設置する
・独立取締役(Independent director)を複数招聘する
・内部監査機能を確立・維持する
ナスダックのコーポレートガバナンス要請に具体化しており、株式公開基準となっている。 ・商法が外部監査役の規定を持っているのみ。実効性を疑問視されている。
2 監査制度 ・公認会計士の役割を、不正な財務報告の発見という観点から高めること
・金融機関の監督機関と公認会計士の監査の対象となった金融機関の入手した情報を相互に利用できるようにすること。
・公認会計士審査会は、登録免許を与える公認会計士の業務の質を定期的に審査する建設的な執行プログラムを推進すべきである。
監査基準等の見直しが行われた。 ・米国と類似のピアーリビューの制度を99年より導入し、公認会計士協会が、監査の内容をチェック
・米国と類似の継続的教育制度を導入
・金融機関の不良債権問題を通じて、初めて金融監督庁と金融機関の公認会計士の監査の相互協力することとなった、と伝えられている。
3 監督機関と法の執行機関 ・米国証券取引委員会は、不正な財務報告に対する懲罰の可能性に対する企業の意識を高めてきた。
・しかし、全員独立的取締役からなる監査委員会の設置の義務付けをSECの規則に盛り込むこと
・CEOや財務担当最高役員(CFO)の署名を付した経営者報告書を株主向けのなかに掲載することを要求するSECの規則を設定すべきことほか
米国SECは改善に向けて精力的に対応している。 ・大蔵省(対応は不明)
4 教育 ・教育は、経営学専攻の学生や会計学専攻の学生に対し、不正な財務報告を招く要因や不正が起こらないようにするために必要な倫理的価値観と健全な経営実践を会得するための準備を与えることができる。 アメリカ会計学会は、本報告書5章(教育に対する勧告)を受けて会計のカリキュラムに倫理教育を促進させるため研究プロジェクト(Project on Professionalism and Ethics)を企画し、書籍として公表・出版された。 日本の「会計のトライアングル体制(商法、証券取引法、税法)」のなかで、倫理的価値観と健全な経営実践を会得することは困難であろう。


翻って、日本では、債務超過2兆7800億円という巨額な損失を、やがては税金を補填することで国民負担となるにもかかわらず、制度整備の兆しはない。すでに、株主は損失を負担し、株主の株券は紙くずとなった。

トレッドウェイ委員会報告書に見る勧告を実施するような制度整備に2兆7800億円ものコストが掛かるであろうか。元経営陣に71億円の違法配当の商法違反を問うことも必要ではあるにしても、スケープゴートを罰して一罰百戒の考え方だけでは、複雑化した現代にはそぐわない。責任追及されている旧経営陣の立場は特殊でなく、日本の現行の仕組みでは、誰でもが同じ立場に置かれる可能性が高い。そうした構造を放置しておくことが問題である。不正を未然に防ぐシステムの構築により、巨額な損失を生まない、倒産や不幸な犯罪者を輩出しないよう英知を傾けるべきであろう。

日本の不正な財務報告(「企業不祥事」参照)は、バブル崩壊後急激に表面化した。しかし、制度上の改革は遅々として進まない。日本版トレッドウェイ委員会報告・勧告が望まれよう。 2兆7800億円のコストと、株式が紙くずとなったことによる損失(相当な額に上るはず)を無駄にしないために・・

金融再生委員会の株価算定委員会(委員長・落合誠一東大教授)は破綻して特別公的管理(一時国有化)された日本債券銀行について政府が取得した同行の株式の価格を「ゼロ」とする方針を固めた。特別公的管理となった1998年12月の時点で、3兆466億円の債務超過に陥っていることが判明した。今回判明した債務超過分も、日債銀が受け皿銀行に事業譲渡されるときまでに、公的資金で穴埋めする見込み、と報じている(1999年6月13日付け日本経済新聞)。

長銀の債務超過額おおむね3兆円と同規模の債務超過で合計6兆円の公的資金が投入されようとしているのである。

COSOリポート(内部統制の統合的枠組み)

1992年、上記トレッドウェイ委員会( the committee of sponsoring organizations of the Treadway Commission (COSO) は、「内部統制に関する統合的枠組み(a landmark report on internal control)」を公表した。いわゆる委員会の名称の頭文字「committee of sponsoring organizations」をとって「コーソー・リポート(COSO Report)」と呼ばれている。

不正な財務報告の再発防止には内部統制の整備充実することが必要とし、内部統制について理論およびツールについて纏め上げたものである。内部統制の整備充実は、財務報告に不正が生じないという「絶対的な保証」を与えるものではないが、「理論的な保証」を与えるものとして、SEC、米国会計士協会(AICPA・・(1995年に米国監査基準55号を改訂し78号を公表)、国際財務責任者協会(FEI)、会計学会(AAA)、内部監査人協会(IIA)、管理会計士協会(IMA)に支持されている。(COSOのホームページ参照)

COSO Definition of Internal Control COSOによる内部統制の定義
Internal control is a process, effected by an entity's board of directors, management and other personnel, designed to provide reasonable assurance regarding the achievement of objectives in the following categories:
・ Effectiveness and efficiency of operations
・ Reliability of financial reporting
・ Compliance with applicable laws and regulations
内部統制とは、取締役会、経営者およびその他の人々によって行われ、下記カテゴリーの目的を達成するため合理的保証を提供するよう設計された過程である。
・業務の有効性および効率性
・財務報告の信頼性
・該当する法律および規則の準拠性
Key Concepts キー概念
・ Internal control is a process. It is a means to an end, not an end in itself.
・ Internal control is effected by people. It's not merely policy manuals and forms, but people at every level of an organization.
・ Internal control can be expected to provide only reasonable assurance, not absolute assurance, to an entity's management and board.
・ Internal control is geared to the achievement of objectives in one or more separate but overlapping categories.
・内部統制は過程である。それは、元来終わり(終わりではなく)のための手段である。
・内部統制は人々によって行われる。それは単に方針マニュアルや形式ではなく、組織のあらゆるレベルの人々によって行われる。
・内部統制は、経営者や取締役会に対して合理的保証(絶対的保証ではない)のみを提供することが期待されている。
・内部統制は、一つ一つは別々であるが、重なり合うカテゴリーにおいて目的の達成に連動している。
出展:COSOのHP「Key Concepts」より  (「COSOの出版物」 より)
COSOの「内部統制の枠組み」の概要は、「Internal Control -Executive Summary」を参照してください。

現在、COSOリポートの理念を基礎にして、ボーイング社など内部監査人が内部統制に関する調査報告を行っている。(「ボーイング社の事例」参照)

日本語への翻訳本では、「内部統制の統合的枠組み・理論編」「内部統制の統合的枠組み・ツール編」白桃書房がある。

なお、米国公認会計士協会の監査基準SAS55号/78号、経営者(COSO)、内部監査人(SAC)、情報システム監査人(COBIT)のそれぞれの為に、内部統制に関する基準がそれぞれ出されているが、COSOリポートが大きく影響している。

サーベンス・オクスリー法404条に関する内部統制の監査報告書は株式時価総額75百万ドルを超える米国企業は2004年11月15日(従前は6月15日であったのを延期)以降終了する事業年度から適用し、小会社、外国会社、社債のみ上場する会社には2005年7月15日(当初は4月15日であったのを延期)以降終了する事業年度までに適用させるとしている。(SEC速報 SEC最終ルール 参照)
2005年3月2日
、SECは中小企業および外国会社の適用時期を2006年7月15日以降終了する事業年度からとして更に1年間延期したCOSOが2005年夏に「中小企業に関する内部統制の枠組みのガイダンス」を公表するのを待つとしている。(SEC速報 最終ルール 参照)

米国企業改革法のインパクト「財務情報を以下に”管理””開示”すべきか」CIO Magazine 2003年11月号に掲載

2001年12月、エンロン破産法申請・・監査担当会計事務所に批判(のちに消滅)

上記、トレッド委員会の努力にもかかわらず巨大企業の粉飾決算が発覚した。いかなる制度も完璧ではない。しかし、立法府である議会、証券監督局であるSEC、証券取引所、監査人である会計士、企業など、それぞれが即座に改善案を模索して、人々の記憶が生々しいうちに、市場の信頼を取り戻そうとする米国の自浄能力は健全に機能しているものといえよう(12月の会社更正法新制から8ヶ月で企業改革法案2002年サーべンス・オクスリー法案(SARBANES−OXLEY ACT OF 2002〕を7月に成立させている)。社会のシステムが機能していることは学ぶべきであろう。資本市場に関係する責任ある者が迅速に対応しなければ、投資家の不信は深いものとなって、投資家は市場へは戻ってこない。米国は、迅速に対応することで市場の信頼を取り戻そうとしたものといえよう。

翻って、日本では、信頼を失ったまま人々の記憶が薄れた頃、再発防止のためと称して、時間を掛けて○○審議会や○○研究会で提言書を作成し、官僚の手によって法律にしてもその実効性は極めて疑わしいものがある。現に、同じような事件の再発が見られる。
情報開示の基本である会計には、現在、証券取引法で作成された財務諸表を基礎に作成した英文財務諸表にレジェンド(警告文)が付されるという残念な状況にある。レジェンド問題は、一企業の問題ではなく国家の会計制度の問題であるが、当局は沈黙しているのみで、投資家の信頼を回復しようとする努力は見えない。
投資家にしてみれば信頼できる仕組みとなっていない。個人の金融資産に占める株式投資の割合4.6%(ドイツ12.7%、米国18.3%)は、その信頼性のバロメータである。官が動かなければ動かない仕組みから(官主主義)、議会、証券監督局、証券取引所、監査人、企業などそれぞれの関係者が迅速に対処できるシステムが望まれよう(民主主義への改革が望まれる)。

通信事業の失敗や簿外債務の膨張で深刻な経営危機に陥った米国総合エネルギー会社のエンロン(ENRON)は、2001年12月2日、ニューヨークの連邦破産裁判所に米連邦破産法第11条(会社更正法に相当)の適用を申請し、会社構成手続きに入った。エンロンがSECへ提出したForm 8-K(重要事項が発生した場合の様式)参照。グループ全体の債務残高は11月中旬時点で約160億ドル(約1兆9千6百億円)、総資産額は約618億ドル。米国市場では過去最大の会社倒産となった。

担当会計事務所のアーサーアンダーセン監査担当責任者が、監査調書を破棄したとして解雇されたり、SEC委員長ビット氏はかつてアーサーアンダーセンの顧問弁護士であったり、エンロンのレイ会長はブッシュ親子に献金していたりと、当分世間の注目の的になりそうである。

エンロン事件と米国のコーポレートガバナンス改革」By鎌田信男氏 参照

米国公認会計士協会(AICPA)は、会計制度及び監査制度の不信に対し「会計規制改正の概観(The Changing Accounting Regulatory Landscape)・・旧”エンロン危機(Enron crisis)”」と題するホームページを公開し、会計監査の直接の問題点であった関連会社間取引(related party transaction 特別目的会社に関わるエンロンの取引が関連会社間取引)の強化するとして監査手続書、情報開示のチェックリスト、関連会社に対する書簡などの具体的手順を監査人に提供すると同時に、議会、SEC、会計検査院等の対応をまとめて見られるようにしている。

2002年2月13日下院資本市場小委員会は、企業、監査の説明責任と職責、および透明性に関する法案(Corporate and Auditing Accountability, Responsibility, and Transparency Act、 CARTA)を提出する、と発表。@同一会計事務所が監査と相反するコンサルティング業務の禁止、ASECの直接指揮の元に、3分の2以上が会計業界以外の者から構成される会計監査人の監視機構(Public regulatory organizations、PRO)を設置する、Bオフバランス(簿外の資産及び負債)やインサイダー取引のリアルタイムな情報開示、C異なる会計処理がある場合、SECが経営者に説明を求めることができるようにする、DSECの年度予算を4億5千万ドルから7億ドルに増額などを盛り込んだ法案である。市場の信頼を取り戻すべく議会も迅速な対応を急いでいるようである。

なお、SECは、かねてから検討していた登録期限短縮を、エンロン問題を契機として、2002年2月13日、年次報告書Form10-Kを60日以内(現行90日以内)に、四半期報告書Form10-Qを30日以内(現行45日以内)にすること、及び、経営者の説明及び検討(MD&A)をなお一層充実する方針を明かにしました。2002年4月11日、SECは3対0で登録期限の短縮を決定した。国内企業のみ適用としている。ただし、企業改革法により、四半期報告書は段階的に35日以内とされました。(SEC速報 参照)

エンロン問題に見る米国の会計制度改革
2001年12月2日 通信事業の失敗や簿外債務の膨張で深刻な経営危機に陥った米国総合エネルギー会社の
エンロン(ENRON)は、2001年12月2日、ニューヨークの連邦破産裁判所に米連邦破産法第11条
(会社更正法に相当)の適用を申請し、会社構成手続きに入った。エンロンがSECへ提出したForm 8-K
(重要事項が発生した場合の様式)参照。グループ全体の債務残高は11月中旬時点で約160億ドル
(約1兆9千6百億円)、総資産額は約618億ドル。米国市場では過去最大の会社倒産となった。
2002年2月22日 米国証券委員会(SEC)議長ハーベイ・ピット氏、SECは@FASBの取上げるテーマに対する影響力の強化
A迅速な設定を促すとしている。
2002年3月16日 ブッシュ大統領、下記10項目(10-Point Plan)に上る改善案をスピーチした。
@投資家に、投資判断に資するために四半期ごとの会社の業績、財政状態、及びリスクに関しての情報を
見られる状況にすべきである。
A投資家は、会社のリスクの多い情報(critical information)に即座に見られる状況にすべきである。
B最高経営責任者(CEO)は、自社の財務情報を含む公開情報について、真実性、適時性、公正性を
個人的に保証すべきである。
CCEOまたは他の役員は、不正な財務諸表から利益を得てはならない。
D明かに地位を利用して悪用したCEOまたは他の役員は、会社の指導的地位を失うべきである。
E会社の指導的立場にある人間は、自社株の売却・取得のときは、即座に公表すべきである。
F会計監査人の独立性、誠実性について、投資家が完全に信頼できるようにすべきである。
G独立した規制当局が、会計プロフェションが最高の倫理規範を持って行っていることを確認すべきである。
H会計基準の作成者は、投資家のニーズに対応しなければならない。
I会社の会計システムは、最低の実務に合わせるのではなく、最高の実務に合わせるべきである。
2002年5月4日 ワシントンポストは、アーサーアンダーセンの再建を託された独立監視委員会委員長ポール・ボルカー氏
(元連邦準備制度理事会(FRB)議長)が、再建を断念したと報じた。
2002年5月8日 SECは、規則(Reguration S-T)を改正し、2002年11月4日以降、外国会社についてもEDGAR 
Fillingを求めることとなった
SECプレス・リリース参照)。従来外国会社は免除されていた。
2002年6月6日 ニューヨーク証券取引所は、「企業の説明責任及び上場規定委員会」が纏めた改善提案を公表した。
独立取締役(Independent directors)の強化が提言されている。(プレスリリース 参照)
コーポレートガバナンス 参照 (原文およびNYSE取締役会への提言 参照)
2002年6月12日 SECは、投資家の信頼を促進するため、@四半期報告書及び年次報告書に、社長及び財務担当
責任者の証明を求める
、A特別な契約を締結、事業関係の解消、偶発債務の発生、リストラ、除却
、毀損、格付けの変更、会計監査人の意見の差替え、経営者の変更などをForm 8-K(臨時報告書)
で報告を義務付け
、BForm 8-Kの報告期日を現在の5日から15日内を2事業日内に短縮する、などの
方針を固めた。(SEC速報 参照) 上記3月16日のブッシュ大統領の10ポイント・プランが反映されている。
2002年6月15日
SECは、連邦地方裁判所で司法妨害(Obstruction of justice)に関して有罪の評決が下され、アンダーセン
から2002年8月末までに上場会社の監査業務を取りやめる意向
を受理している、と公表した。
実質ビッグ4になった。(SEC速報 アンダーセンの監査を受けている会社の報告に関する速報 参照)
2002年6月20日 SECは、会計事務所の監査を監視するための新たな監査監視機関(Public Accountability Board)の設置案を
承認した。旧監視機関(Public Oversight Board、POB)が機能しなかったとして3月末で廃止していたもの。
SEC速報 参照)
2002年6月28日 SECは、ワールド・コム、ゼロックスなど度重なる粉飾決算が明かになり、投資家への信頼回復のため、直近の
財務情報に最高経営責任者及び財務責任者から「網羅し正確である」ことの証明書を提出する義務を課すこと
を決めた。対象となる企業は、947社、総収入12億ドル以上の企業。(SEC速報および宣誓書の文例参照)
直近のFSについての宣誓書2002年8月14日報告分・・・SEC速報 及び 947社のリスト 参照
2002年7月1日 米国財務会計審議会(FASB)は、「特別目的会社(SPE)の連結原則・・解釈指針」の公開草案を公表した。
従来から支配している会社は連結範囲としていたが、SPEの場合、支配形態が異なることや、リスクの分散
など固有の問題があることから連結除外とされるケースがあった。これを明確にするため今回の草案を公開
することになった。総資産の3%ルールは10%になった。2003年3月以降適用。(ニュース・リリース参照)
2002年7月21日 かねて38億ドルの通信ラインのコスト(費用とすべきもの)を設備投資として会計処理した粉飾決算が明かと
なっていたワールドコム(WorldCom)が破産申請を行った。エンロンを超える米史上最大の経営破綻。
ニュースの詳細、 日経ネット  NewsCom 参照    SEC登録書類 参照
2002年7月24日 米国上院及び下院が独自に企業改革法案を作成していたが、両院の意見を調整して「2002年サーべンス
・オクスリー法案(SARBANES−OXLEY ACT OF 2002〕
」にまとめた報告書を公表した。
@上場会社会計監視審議会(Public Company Accounting Oversight Board)を設置、A監査以外のコンサル
ティング業務の兼業禁止、B監査証拠等の書類を5年間保管、C担当パートナーの5年ごとのローテーション
(203条)、D罰則規程を強化して禁固刑5年から最長20年の禁固刑とし、E外国の会計事務所もSEC登録
会社に関して「上場会社会計監視審議会」の監視に服するほか、法制化されることとなった。
同法案は、上下両院が可決し、7月30日、ブッシュ大統領が署名して成立した
7月及び8月 7月24日、「ナスダックのコーポレートガバナンス改革案」が承認された。
8月1日、ニューヨーク証券取引所の「企業の説明責任強化案」が承認された。
コーポレートガバナンス 参照
2002年8月27日 SECは、企業改革法(2002年サーべンス・オクスリー法案(SARBANES−OXLEY ACT OF 
2002〕
)が求めていたルールを承認した。@年次報告書(From 10-K)を現行の90日から段階的に60日へ
四半期報告書(Form 10-Q)を45日から段階的に35日以内の登録期間の短縮、A正確性及び内部統制の
整備状況の宣誓書提出などである。なお、CEO及びCFOの宣誓書の提出は、SEC登録の外国会社にも
適用
としている。この規則は8月29日までに発効。(SEC速報 参照)

参考:直近のFSについての宣誓書2002年8月14日報告分
・・・SEC速報 及び 947社のリスト 
2002年10月16日 SECは、企業改革法(2002年サーべンス・オクスリー法(SARBANES−OXLEY ACT OF 
2002〕
)が求めていたルールなど施行するための情報開示の追加規則案を承認した。規則草案は近日中
に公表し30日間コメントを求めるとしている。(SEC速報 参照) 年次報告書への開示内容は次の通り。
・407条に関して、監査委員会の財務専門家(audit committee financial experts)の数、氏名、
経営者からの独立性についての情報開示、
・406条に関して、最高経営責任者に関する会社の倫理規定の開示( company codes of ethics)
無ければその理由等を開示、
・404条に関して、内部統制報告書(internal control reports)を年次報告書に開示する。
2002年10月16日 SECは、5月8日に公表していた外国会社のEDGAR Databaseでの情報開示について、2002年
11月4日が適用開始時期であることを再確認している。(SEC速報 参照)
2002年10月21日 財務会計基準審議会(FASB)は、企業改革法(2002年サーべンス・オクスリー法(SARBANES−
OXLEY ACT OF 2002
)が求めている米国会計基準の設定に関し、原則を基礎とした方法による
a principles-based approach)基準作りのため「原則を基礎とする会計基準・・草案」を公表した。
企業改革法では、SECに対し米国会計基準を「原則を基礎とする会計基準」とする調査結果を来年7月
までに上院および下院の両院に報告することになっている(企業改革法108条(d))。
2002年10月24日 SECは、上場会社会計監視審議会(Public Company Accounting Oversight Board、PCAOB)
創設メンバー5名を選出し、氏名、経歴を公表した。議長は、ウイリアムH.ウエブスター氏(法曹界の出で、
ジミー・カーター政権でFBI長官、レーガン政権ではCIA長官、議長就任直前は法律事務所のパートナー、数社
の監査委員会委員)ほか2名が会計士であり弁護士、1名がカルパースなどで企業統治に関するガイドライン作
成に従事、ほか1名を約450名の候補者及び申請者から選出したとしている。(SEC速報 参照)
2002年10月29日 財務会計基準審議会(FASB)は、国際会計基準審議会(IASB)とグローバルな会計基準の統一に関して
協働することで合意した。(SEC速報、 IASB速報、 FASBとIASBの共同声明、 欧州委員会速報 参照)
2002年11月5日 米国証券委員会(SEC)議長ハーベイ・ピット氏任期を待たず辞任(更迭)。後任は未定。
2002年11月6日 Citigate Financial Intelligence (CFI)(英国のIRの会社)が、米国に上場している欧州企業297社中50社に
サーベンス・オクスリー法の適用に関するアンケート調査を行った。多くの会社は、同法に従うとしているが、
社外取締役及び監査委員会に関してはドイツ等の国では同国の法令に矛盾してしまうとしている。
プレス・リリース 参照)
2002年11月12日 SECのハーベイ・ビット議長は、上場会社会計監視審議会(Public Company Accounting Oversight
Board、PCAOB)
の議長に選出したウイリアムH.ウエブスター氏の辞任を公表した。(SEC速報 参照)
ウエブスター氏は、証券詐欺の疑いで捜査当局が動いているといわれ、破綻状態にある投資会社の監査委員
会に在籍していたことが問題視されていた。後任は未定。
2002年11月19日 SECは、サーベンス・オクスリー法の要請していた、監査人の独立性(担当パートナー5年でのローテーション
、前1年前に監査担当者が被監査会社の経営者に就任できない、非監査業務の事前承認、非監査業務の報酬
額に情報開示など)、監査調書の保管期間を5年間とするなど、規則案を公表2003年1月26日までにコメントを
求めている。(SEC速報 参照)
2002年11月14日 SECの企業財務部では、サーベンス・オクスリー法に対する「よくある質問と回答 Q&A」を公表している。
2002年12月3日 金融庁は、監査役協会、三菱東京ファイナンシャルグループ、公認会計士協会、経済団体連合会、経済産業省と
合同で、12月4日、5日の両日、「官民合同ミッション」がSEC、ニューヨーク証券取引所(NYSE)等を訪問する予定。
 本ミッションは、米国サーベーンズ=オクスリー法(企業会計改革法)の適用が我が国の監査法人及び米国上場
の日本企業に及ぼす影響等にかんがみ、我が国監査法人及び企業について、106条(外国監査法人の監督)及び
301条(公開会社の監査委員会)からの適用除外を求めている。 日本は、欧州企業の調査結果と多少異なる。
金融庁・・ 官民合同ミッションの米国訪問について (米国サーベーンズ=オクスリー法への対応) 参照
2002年12月5日 SECは、米国サーベーンズ=オクスリー法(企業会計改革法)が要求する「監査人の独立性」に関する国際的影響
を検討するため各国の規制当局、会計基準設定主体、監査法人、司法関係者などの参加の元に公開円卓会議を
12月17日開催し、最終規則作成期限である2003年1月26日の参考にしたいとしている。欧州委員会、英国会計
財団、ドイツ会計士協会、イタリア取引所などが参加としている。(SEC速報 12月17日円卓会議生放送 参照)
日本は、12月4日、5日に陳情している。官民合同米国訪問参照
2002年12月10日 欧州連合(EU)の駐米大使が、米国に大西洋を横断する証券市場(Transatlantic Securities Market)
の創設、上場規制の統一
を呼びかけた。(欧州連合の”スピーチ”参照)
欧州の対応は、上場基準の統一という建設的な提案に対して、日本は上記4日5日の理念無き”陳情”という対応。
2002年12月11日 ブッシュ大統領は、元ニューヨーク証券取引所会長のウイリアム・ドナルドソン(William Donaldson )氏を、ビット氏
の後任のSEC新委員長として起用することを発表。5年間の任期で2007年までの予定。(ニュース 参照)
2002年12月17日 SECは、米国サーベーンズ=オクスリー法(企業会計改革法)が要求する「監査人の独立性」に関する国際的影響
を検討するため各国の規制当局、会計基準設定主体、監査法人、司法関係者などの参加の元に公開円卓会議を
12月17日開催
した。その中で日本は「公認会計士監査制度の充実・強化」の中身を円卓会議で話している。
公表前に中身を知っている者(金融庁)が出席していたようだ。(SEC速報 12月17日のSEC円卓会議生放送
 参照)
2003年1月8日 SECは、サーベンス・オクスリー法が要求している「”監査委員会”に独立性のない企業には上場をさせない規則」を
制定することになっているが、外国の規制当局や企業からの意見聴取の結果、規則草案を作成した、とSEC速報
は伝えている。規則の草案そのものは可能な限り早くSECのWebsiteに掲載するとしており詳細は現在不明。
2003年1月15日 SECは、サーベンス・オクスリー法が要求している「非会計基準情報の開示、改正臨時報告書(Form8-K)、取引
停止期間の取引、監査委員会の財務専門家の要求」について規則を適用する、とSEC速報は伝えている。
・407条に関して、監査委員会の財務専門家(audit committee financial experts)の数、氏名、
経営者からの独立性についての情報開示、いなければいない旨および理由の開示を求める
・406条に関して、最高経営責任者に関する会社の倫理規定の開示( company codes of ethics)
無ければその理由等を開示については、日本企業は要件を満たさない企業が多い。その開示が求められよう。
2003年1月17日 米国財務会計基準委員会(FASB)は、かねて検討していた特別目的会社(SPE)の連結について、FASB解釈指針
46号「変動持分実体の連結(Consolidation of Variable Interest Entities)」
を公表し、従来より連結範囲を拡大し
(従来、総資産の3%以上を外部から出資いている場合は非連結としていたのを、10%に引上げた)、連結対象としな
場合で重要な場合は注記による開示が必要となる。適用は、1月末以降設立する特別目的会社は新基準が適用、
過去に設立した特別目的会社についても7月以降は新基準を適用する。(FASBニュース 参照)
2003年1月22日 SECはサーべンス・オクスリー法の求めている下記の四つの項目に関する追加規定を決めた。
・(802条関係)監査及びレビューに関する記録の保管期間のルール・・7年間とする。PCAOBが7年間を要求。
・(401条a関係)オフバランス契約及び契約債務の総計の情報開示のルール
・(タイトルU関係)監査人の独立性の強化のルール・・監査人の独立性を毀損するような非監査業務の禁止、担当
  パートナーの5年から7年のローテーション(小規模会計事務所は免除)ほか
・(302条関係)管理投資会社の株主報告書
2003年3月4日 SECは、空席となってしまった上場会社会計監視審議会(Public Company Accounting Oversight Board、
PCAOB)
の議長の候補者を公募するとし、応募条件を公開して、3月14日までに応募を受付けるとしている。
SEC速報 参照)
2003年4月15日、SECは、かねて公募していた上場会社会計監視審議会(PCAOB)議長(5名のメンバ
ーの長)
に元ニューヨーク連邦準備銀行総裁ウイリアム・マクドナー氏(William J. McDonough )を無記名投票で
選出したと公表した。(SEC速報 参照)
2003年3月7日 上場会社会計監視審議会(Public Company Accounting Oversight Board、PCAOBは、米国証券
市場に上場している企業の監査報告書を発行している会計事務所の登録ルール草案(免除規定は含まない)
を公表し3月31日までにコメントを求めている。同時に、3月31日にPCAOBに興味を持つ人々で円卓会議を開催
するとしている。(円卓会議の日時・場所は「SEC速報」 参照)日本は、金融庁が出席し日本の主張をしている。
PCAOB録音放送 参照)
2003年3月21日 SECは、サーべンス・オクスリー法の302条および906条が求めている「CEOとCFOの正確性の証明書」に
関し年次報告書、四半期報告書に含めるように修正案を公表し、45日以内のコメントを求めている。
外国会社の年次報告書(20−F)にも適用され、証明書の様式も掲載されている。(SEC速報 参照)
2003年4月1日 SECは、サーべンス・オクスリー法301条の監査委員会の独立性の要件を満たしていない会社の上場を禁
止する旨の規則を決定した。 米国会社の場合は、2004年1月15日後最初の株主総会の日まで(遅くとも2004年
10月31日まで)に整備することを求めている。外国会社の場合は、2005年7月31日までに求めている。(SEC
速報
 参照)
なお、日本の金融庁は「米国SEC規則案へのパブリック・コメントの発出について」(平成15年2月14日)を行い日本
企業に対して適用免除を求めていた。(「米国企業会計改革法第301条の概要と問題点等」 参照)
2003年4月15日 SECは、かねて公募していた上場会社会計監視審議会(PCAOB)議長(5名のメンバーの長)
元ニューヨーク連邦準備銀行総裁ウイリアム・マクドナー氏(William J. McDonough )を無記名投票で選出した
と発表した。(SEC速報 参照)
2003年4月16日 PCAOBは、サーベンス・オクスリー法103条に従い監査基準書をPCAOBが設定することに決定した(ロイター)。
監査基準は、従来、会計業界の米国公認会計士協会(AICPA)・監査基準審議会(ASB)が設定していた。
PCAOB-Online 参照  参考として米国会計の英国人の父・・ジョージ・オリバー・メイ」 参照)
2003年4月25日 SECは、サーベンス・オクスリー法第108条が求めていた会計基準設定主体の見直しについて、米国財務会計基準
審議会(FASB)を「一般に認められた会計基準」の設定主体に相応しいことを再確認した。(SEC方針書 参照)
2003年5月6日 PCAOBは会計事務所の登録に関する最終ルールを公表した。2003年10月22日までに、米国上場会社
の監査報告書を表明する米国会計事務所はPCAOBに登録しなければならない。外国の会計事務所で米国で
上場している会社の監査報告書を表明する場合は、2004年4月19日までに登録しなければならない。ただし、
この最終ルールはSECの承認を必要としている。登録は、PCAOBのWebsiteからOn-Line 登録システム
2003年7月18日より行われている。
2003年5月9日 SECは、SAB103(Staff Accounting Bulletin No. 103, "Update of Codification of Staff Accounting Bulletins")の
改正を公表した。また、国内外の米国上場会社のEDGAR Databaseへの登録に関し、EDGAR FILER Manual
の改正版を公表。外国会社も、昨年11月以降EDGARへの登録が求められている(SECプレス・リリース参照)。
2003年5月27日 SECは、サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(
management's report on internal control over financial reporting)」の最終ルールを採択した。
米国上場会社は2004年6月15日以降終了の事業年度から、外国会社および米国中小会社は2005年
4月15日以降終了する事業年度から適用する。(SEC最終ルール 参照)
2003年6月10日 米国財務会計基準審議会(FASB)は、特定目的会社のうちオフ・バランス(簿外)とすることができる適格特定目的会社
を制限するSFAS140号の改定基準を公表した。特定目的会社の債務履行するために資産譲渡者が追加的に金銭の
支出を伴う特定目的会社は、連結除外となる適格特定目的会社(qualifying special-purpose entity )とはなら
ない
とするものである。7月31日までにコメントを求めている。(公開草案 FASBニュース 参照)
2003年7月25日 SECは、第108条(d)の規定に従って、米国の財務報告のための原則に基づく会計システムの適用に関する
スタッフによる研究
Principles-Based Accounting System)を国会の両院の委員会に提出した。
SECニュースリリース 本文 参照)
2003年9月3日 米国上院金融サービス委員会(委員長オクスリー氏)は、サーベンス・オクスリー法成立から1年経過した影響を
投資家の信頼再構築、米国資本市場の保護」と題して公表した。報告書には、2003年6月30日までの1年間に、
354 社が利益の修正(restated)をし、そのうち158社の修正は2003年の初めの6ヶ月で行われたものであるという
コンサルタントの報告が含まれている。会計ルールの適用の問題点は、人的およびシステム的な誤謬や不正をしよう
とする動機が会計上の修正の3大原因であった。(Problems applying accounting rules, human and system errors,
and fraudulent behavior were the three primary causes for accounting restatements. )としている。
2003年9月26日 オンライン・クレジットカード会社(NextCard Inc.)の倒産(10ヶ月前に倒産)に絡んで、担当パートナーがFBIに
書類破棄容疑で逮捕された。サーベンス・オクスリー法の適用第一号となったとしている。(SmartPros 参照)
エンロン事件で担当会計士が監査調書等の破棄により証拠隠滅を図ったとしてサーベンス・オクスリー法で罪に
問えるようになった。
2003年10月7日 上場会社会計監視審議会(PCAOBは、「財務諸表に係る内部統制のための監査基準案」を公表した。
サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(
management's report on internal control over financial reporting)」と、103条に従い監査基準を
PCAOBが設定することになっているためのものである。
内部統制の監査報告書は株式時価総額75百万ドルを超える米国企業は2004年6月15日以降終了する事業
年度から適用し、小会社、外国会社、社債のみ上場する会社には2005年4月15日以降終了する事業年度までに
適用させるとしている。
2003年10月8日 米国SECは、一定の株主が取締役候補者名を株主総会委任状(proxy material)に推薦できるような規則案を
提示した。現行規則では、取締役候補を推薦できても、取締役会が承認しない限り選任されないが、新規則では、
取締役会の承認がなくても株主の意向が直接選任過程に反映させることができるというもの。
取締役会のガバナンス機能を強化するため、株主の取締役選任をできるようにしている。提案権を持つ株主の
保有株式数などは意見を公募して決める。
外国会社は対象外。60日間のコメント期間を設けて最終規則の是非を投票で決める。(「SEC速報」 
2003年7月15日付、取締役候補者と選任に関する委任手続きの再検討・・スタッフ報告書staff report:
Review of the Proxy Process Regarding the Nomination and Election of Directors
)」 参照)
2003年11月4日、 SECは、ニューヨーク証券取引所およびNASDAQに上場している企業(外国企業を含む)に適用する
コーポレートガバナンス強化に関する新たなルールを承認した。独立取締役の定義など具体的で詳細な
規定となっている

SEC速報 「NASD and NYSE Rulemaking: Relating to Corporate Governance
November 4, 2003 参照)
2003年12月9日 PCAOBは、外国の会計事務所に関しては外国の監視システムに依拠する案を公表し、登録を
2004年7月19日
までとし90日間延期した。
2003年12月18日 PCAOBは監査基準第1号監査報告書にPCAOBの基準に準拠して監査(年次報告書)した旨
またはリビュー(四半期報告書)した旨記載する基準」を公表した。従来は、「一般に認められた監査基準
(generally accepted auditing standards)に準拠して監査した旨」記載していたが、この基準により上場会社
の監査報告書は「PCAOBの基準(the standards of the Public Company Accounting Oversight Board
(United States))に準拠して監査した旨」記載される。(提案中の基準 
2004年4月7日SECが適用を要請した速報 2004年5月18日SECが承認5月24日施行 参照)
2004年2月24日 SECは、サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(
management's report on internal control over financial reporting)」の最終ルールを採択した。
米国上場会社(株価総額75百万ドル)は2004年11月15日以降終了する事業年度から(従前は6月15日
以降終了の事業年度からとしていた)、外国会社および米国中小会社は2005年7月15日以降終了する
事業年度から(従前は4月15日以降終了する事業年度から適用するとしていた)適用する、と延期した。
SEC速報  SEC最終ルール 参照)
2004年4月8日 SECは、PCAOBが設定した監査基準第2号「財諸表の監査に関して実施した財務報告に関する
内部統制の監査An Audit of Internal Control Over Financial Reporting Performed in Conjunction
with an Audit of Financial Statements
)」を適用することを要請した。(SEC速報 参照)
2004年6月9日 PCAOBは、米国の証券取引所に上場している会社の監査を担当している外国の会計事務所に対する
監督についてのルール採用を決定した
。ただし、SECの承認を要する。これによると、外国の同様の監視
制度と重複しないようにPCAOBが外国の監視制度の評価を行い評価が高いと判断した場合は、その範囲で
それに依拠する、としている。(PCAOBの登録に関するHP 参照)
2004年7月19日 かねて検討を要請されていた米国財務会計審議会(FASB)は、SECが2003年7月に議会に提出した案
を歓迎し合意するとし、より具体的な改革案をSECに提出した。原則重視と類似した目的重視基準を主張している。
The "objectives-oriented" approach to setting standards described above (and expanded upon in the Study)
is similar to the principles-based approach described in the Board's Proposal.
2004年8月26日 サーベンス・オクスリー法104条および105条に従いPCAOBが4大会計事務所の監査に関する2003年度
限定的調査報告公表:

Deloitte & Touche, LLP (8/26/2004)
Ernst & Young, LLP (8/26/2004)
KPMG, LLP (8/26/2004)
PricewaterhouseCoopers, LLP (8/26/2004)
(日経金融新聞2004年8月31日「監査の一部調査公表 米会計監査委 リボ払いなど対象」 参照)
2004年11月22日 2004年11月22日サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の
経営者報告書
」適用期限を、米国上場会社(株価総額75百万ドル以上の大会社)は2004年11月15日以降
終了する事業年度から年次報告書は75日以内、四半期報告書は40日以内のまま、2005年12月15日以降
終了する事業年度からは年次報告書は60日以内、四半期報告書は35日以内に登録する
よう登録期限
の短縮を1年延期する案を提出した。(SmartPro記事 SEC最終ルール 参照)

11月30日には、内部統制に関する経営者の報告書と監査人の報告書のSEC登録について45日間延期された
SEC速報 参照)
2005年3月2日 SECは、サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(
management's report on internal control over financial reporting)」に関する外国会社の
適用時期を
2006年7月15日以降終了する事業年度からとして更に1年間延期した
COSOが2005年夏に「中小企業に関する内部統制の枠組みのガイダンス」を公表するのを待つとしている。
SEC速報 最終ルール 参照)
2005年9月21日の会議において、SECは5対0で、中小企業および外国会社(非早期適用会社)について
適用時期を更に1年延期し2007年7月15日以降終了する事業年度から適用とした。
外国会社で早期適用会社(時価総額75百万ドル以上)は2006年7月15日以降適用とする
ニュース SEC速報 参照)。
2005年10月 COSOは「財務報告に関する内部統制の報告:小さな公開会社のガイダンスGuidance for Smaller Public
Companies Reporting on Internal Control over Financial Reporting
)207ページ」を公表した。12月31日までに
コメントを求めている。
2005年11月30日 PCAOBは、監査基準書2号の「財務報告に関する内部統制の監査」に関する初年度監査について調査した結果を
報告書にまとめて公表
した(ニュース 監査基準2号の初年度適用の調査報告書 SmartPro 参照)。
2005年12月14日 SECのオープン・ミーイティングで年次報告書(Form 10-K)および四半期報告書(Form10-Q)の登録期限が改正
された。同時に大会社で早期登録会社(Large accereleted filers・・時価総額7億ドル以上)が新たに区分
され、早期登録会社(Accelerated filers)は最低7千5百万ドル・最高7億ドル未満の時価総額の会社とされた。
登録期限はそれぞれ以下の通り。(SECニュース 参照)
Form 10-K Deadline Form 10-Q Deadline
Large accelerated filers:
  Fiscal years ending prior to
  December 15, 2006
75 days after year end 40 days after quarter end
 Fiscal years ending on or after
  December 15, 2006
60 days after year end 40 days after quarter end
Accelerated filers 75 days after year end 40 days after quarter end
Non-accelerated filers 90 days after year end 45 days after quarter end
2006年3月6日 SECは1年前立ち上げた「小さな上場企業に関する諮問委員会」が「報告書(Exposure Draft of Final Report of
Advisory Committee on Smaller Public Companies.
)」を公表し、小企業の上場会社にはサーベンス・オクスリ
ー法404条の免除を提案
し、2006年4月3日までにコメントを求めている。SEC Advisory Committee on Smaller
Public Companies
 (概要) 参照
2006年5月17日 SECは、小会社を含めたすべての登録会社に2006年12月16日以降開始する事業年度から
サーベンス・オクスリー法404条の適用を予定していると公表した。当初小会社の免除が提案されていたものを
退け、監査ルールを緩和するというもの。 (
SEC速報 英文ニュース 参照)
SEC: Small Companies Not Exempt From Law
2006年5月25日 テキサス州ヒューストンの連邦地方裁陪審は、ケネス・レイ元会長(64)とジェフリー・スキリング元最高経営責任者
=CEO=(52)に対して有罪の評決を言い渡した。ケネス・レイ被告は詐欺など6つの罪すべてが有罪で最長で
禁固45年、ジェフリー・スキリング被告(52)は28の罪のうち詐欺やインサイダー取引など19の罪で有罪となり、
最長で禁固185年になる。量刑は9月11日に言い渡される。
巨額の粉飾決算や不透明な簿外取引に両被告が関与したとする検察側に対し、両被告側は「すべてファストウ
元最高財務責任者(CFO)=禁固10年が確定=の責任」として無罪を主張していた。日経
 SmartPro 参照
2006年月5日

小規模上場会社については、SOX404条適用に際し効果的・効率的適用できるよう期限を更に延期している。
非早期国内の適用会社については、経営者報告書は、2007年7月15日以降終了する事業年度からではなく
2007年12月15日以降終了する事業年度か
ら適用を延期し、監査人の監査報告書は、2008年12月15日
以降
終了する事業年度に変更する。

早期登録の外国会社については、経営者報告書は2006年7月15日以降終了する事業年度から
監査人の監査報告書は2007年7月15日から適用するとしている。
SEC速報・200689 参照)

簿外債務の原因となった「特別目的会社の連結対象外について」
最大270億ドルとも指摘されている簿外債務膨張の原因は、特別目的会社を連結対象外としたことにある。当初は、米国会計基準では連結対象でもよいものであったが、監査後にエンロンと特別目的会社が資金取引で密接に関連していたことが判明し一部を連結対象に加えたという。
特別目的会社については、トリニティ大学のボブ・ジェンセン経営学教授が、エンロン不正に関して「特別目的会社(SPE)の何が良くて何が悪いのか」というタイトルで概観していますので参照してください。

日本でも企業会計審議会(旧大蔵省)の公表した「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い(平成10年10月30日)」では特別目的会社は連結対象外としている。米国基準(SFAS98及びEITF90-15でSPEの資産価値の3%以上の第三者持分がある場合連結除外とする基準)と類似した基準としている。日本の基準は、金融庁(旧大蔵省時代の「答申・報告書等」)参照。

国際会計基準(解釈指針SIC12号「連結・特定目的会社)では、特別目的会社であっても支配している場合は連結対象とするとしている。米国会計基準とは特別目的会社の取扱が異なっている。

米国財務会計審議会(FASB)は、特別目的会社の資産の3%以上を第三者が出資していれば連結対象から除外できる規定を10%以上に引き上げ、かつ、実質支配している場合は連結除外できないようにする方向で検討していると報じている(日経ネット02年3月21日ニュース参照)。

カネボウ巨額粉飾決算2005年4月公表

報道各社は、2005年4月13日、カネボウの粉飾決算を次のように伝えた。

カネボウ粉飾決算2000億円 11年度から5年間 事業会社で最大規模
 産業再生機構の支援を受けて経営再建中のカネボウで、平成十二年三月期から十六年三月期にかけて、旧経営陣による不適正な会計処理が行われ、連結最終利益の粉飾額が計約二千億円に上ることが十三日、分かった。同日午後に発表する。金融機関を除いた事業会社の利益操作としては、過去最大規模とみられる。同社は旧経営陣を刑事告発し、損害賠償も請求する方針。カネボウは数年間にわたり、債務超過に陥っていた可能性が強まった。

 決算の修正は株主総会の承認を得る必要はないものの、現経営陣は粉飾が長期間にわたるため、四月下旬に臨時株主総会を開き、株主に決算修正や、有価証券報告書の訂正について理解を求める。

 同社の経営浄化調査委員会(委員長・鈴木祐一弁護士)は昨年十月、売上高の水増しや経費の過少計上により、十四年と十五年三月期に最大三百億円の連結最終利益の粉飾があったと指摘。その後、同社は監査法人のトーマツと、昨年までカネボウを担当していた中央青山監査法人とともに、現行の会計基準に沿って十二年三月期までさかのぼって調査した。

 この結果、売上高の水増しなどのほかに、取引先である毛布メーカー「興洋染織」など関連会社の連結対象外しや在庫の損失未処理分などを合わせ、連結最終利益の粉飾額は五年間で計約二千億円に上ったという。(産経新聞平成17(2005)年4月13日[水]

カネボウ(Wikipedia百科事典) 参照

金融庁のEDINETからは訂正報告等を調べるが不明であるので、カネボウのホームページから決算書を入手し比較財務諸表にしてみると驚くべき姿が示されている(下記参照)。ニュースによると「平成11年度から5年間粉飾決算を行っていた」とあるが、2004年3月決算でほぼ修正すべきものが会計処理されていたにしては1年も遅れて公表されるのは不思議。(カネボウ旧経営陣が300億円粉飾決算、裏金作りも」by読売新聞2004年10月28日参照)

なお、東京証券取引所の一部上場維持できるか検討される模様(西武鉄道は有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となっている)。なお、平成16年5月31日以降支援している産業再生機構」は、4月13日付で「カネボウ株式会社による過年度決算の訂正発表について」を公表し上場維持を要請している。 株価平成16年年初からの1年間の株式取引高が急増しているのに注目) 
 東京証券取引所は2005年5月12日、カネボウの上場廃止を決定した。6月10日(金曜日)で取引は終了し、終値は360円であった。上場廃止日は6月13日(月曜日)。同社株式は13日から整理ポストに割り当てられる。上場廃止理由は「財務諸表等への虚偽記載」及び「監査報告書において『意見の表明をしない』旨が記載され、かつその影響が重大であると東証が認めたため」。有価証券報告書への虚偽記載については「投資者の証券市場に対する信頼を著しく毀損するものと認められる」としている。2005年9月13日、担当公認会計士4名が逮捕された。 (「公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等の考え方(注意:「平成16年4月1日施行された改正公認会計士法の下における適用の考え方を示したものである」としている。)」by金融庁2005年3月31日 参照)

カネボウ(株) 個別財務諸表 再生処理期
化粧品事業部
譲渡
粉飾清算処理期 粉飾のまま 単位:百万円
比較貸借対照表 2005年
平成17年
2004年
平成16年
2003年
平成15年
3月31日 3月31日 3月31日 比較増減
流動資産:
現金及び預金 3,024 9,256 1,234 8,022
平成15年は、事業規模に比べ預金が極端に少ない
再生計画にしたがって平成16年度上期に営業債権が
譲渡され平成16年9月末で預金が350億円増加している。
営業債権(受取手形・売掛金) 18,338 53,882 123,649 △ 69,767
極端に減少
たな卸資産 7,862 25,772 50,317 △ 24,545
極端に減少
短期貸付金 72,886 238,133 184,528 53,605
平成16年上期に約1000億円関係会社貸付金増加
貸倒引当465億円追加繰入計上している
繰延税金資産 90,801 12,612 78,189
平成16年、短期で9百億円計上・巨額である。
平成16年度上期に化粧品事業部の譲渡益3382億円計上
に対する税効果として実現可能。
その他の流動資産 6,947 16,848 22,248 △ 5,400
貸倒引当金 △39,725 △ 184,356 △ 25,617 △ 158,739
平成16年、不良債権取立不能見込額巨額計上
流動資産合計 69,335 241,265 368,975 △ 127,710
有形固定資産 49,537 22,220 21,511 709
無形固定資産 860 1,802 1,415 387
投資その他の資産:
投資有価証券 15,931 9,283 10,956 △ 1,673
子会社株式 13,190 5,021 125,477 △ 120,456
平成16年、子会社株式評価損巨額計上
出資金 536 1,336 1,974 △ 638
繰延税金資産 0 10,334 △ 10,334
その他の投資 11,967 9,685 9,034 651
貸倒引当金 △7,792 △ 6,369 △ 1,446 △ 4,923
投資その他の資産合計 33,835 18,959 156,332 △ 137,373
資産合計 118,873 284,248 548,235 △ 263,987
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流動負債:
営業債務(支払手形・買掛金) 14,218 41,468 58,821 △ 17,353
短期借入金 395,401 280,367 115,034
平成16年、極端に増加
未払金 759 16,751 41,742 △ 24,991
預り金 4,528 48,721 45,891 2,830
未払法人税等 950 22 7,345 △ 7,323
未払消費税 19,015
子会社支援損失引当金 1,024 19,100 19,100
債務保証損失引当金 38,047 38,047
構造改善費用引当金 3,974 8,906 8,906
その他の流動負債 7,137 11,118 9,153 1,965
流動負債合計 51,605 579,538 443,323 136,215
固定負債:
長期借入金 51,736 22,902 37,791 △ 14,889
退職給付引当金 363 5,248 7,841 △ 2,593
繰延税金負債 73 1,389 1,389
その他の固定負債 1,254 324 361 △ 37
負債合計 105,032 609,404 489,317 120,087
資本の部:
資本金 25,099 31,341 31,341 0
資本剰余金 24,999 14,518 14,518 0
利益準備金・諸積立金合計 10,622 14,862 14,862 0
△未処理損失 △46,678 △ 387,747 △ 900 △ 386,847
平成16年、4472億円特別損失計上(損益計算書参照)
小計 △14,042 △ 327,026 59,821 △ 386,847
株式等評価差額 107 2,025 △ 774 2,799
自己株式 △311 △ 156 △ 130 △ 26
再生計画にしたがって、平成16年度上期に、
@
化粧品事業部譲渡により譲渡益3382億円計上、
A債務免除益
995億円計上で債務超過解消
資本の部合計(△債務超過) 13,840 △ 325,156 58,917 △ 384,073
資本の部がマイナス(△)は債務超過を示す
負債及び資本の部合計 118,873 284,248 548,235 △ 263,987
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比較損益計算書 平成17年 平成16年 平成15年 比較増減
売上高 74,593 179,305 233,216 △ 53,911
売上原価 49,435 98,547 112,764 △ 14,217
売上総利益 25,158 80,758 120,452 △ 39,694
販売費・一般管理費 30,158 89,412 98,468 △ 9,056
営業利益(△損失) △5,001 △ 8,654 △ 21,984 13,330
営業外収益:
受取利息・配当金 7,352 6,926 5,215 1,711
その他雑収入 824 1,012 1,357 △ 345
8,177 7,939 6,573 1,366
営業外費用:
支払利息 6,687 10,327 9,102 1,225
雑損失 3,948 4,717 4,989 △ 272
10,636 15,044 14,092 952
経常利益(△損失) △7,460 △ 15,759 14,464 △ 30,223
特別利益:
固定資産売却益 415 30 △ 30
投資有価証券売却益 3,112 815 815
営業譲渡益 341,479 @化粧品事業部を(株)カネボウ化粧品に譲渡し
  譲渡益3382億円計上して債務超過解消
債務免除益 98,002 A債務免除益995億円計上で債務超過解消
子会社支援損失引当戻入益 944
厚生年金基金代行部分返上益 - 7,402 - 7,402
459,390 8,218 30 8,188
特別損失: ⇒平成16年(2004年3月期)で主要修正部分は計上した模様。
固定資産処分損・減損 808
投資有価証券売却損 152 139 139
投資有価証券評価損 36 3,915 2,322 1,593
出資金評価損売却損 632 632
子会社株式評価損・売却損 2,070 121,999 3,596 118,403
子会社支援損失引当金繰入 1,526 19,100 19,100
貸倒引当金繰入額 46,532 187,481 1,110 186,371
債務保証損失引当金繰入 38,047 38,047
たな卸資産評価損・処分損 140 2,219 △ 2,079
構造改善費用 3,147
その他 59
54,371 447,263 9,249 438,014
税引前当期純利益(△損失) 382,122 △ 454,804 5,245 △ 460,049
法人税、住民税・事業税 251 458 11,972 △ 11,514
法人税等調整額 90,801 △ 68,417 △ 8,771 △ 59,646
平成16年上期の再生計画を見込んで繰延税金計上。
税金合計 91,052 △ 67,959 3,201 △ 71,160
当期純利益(△損失) 291,070 △ 386,845 2,044 △ 388,889
前期繰越損失 △ 387,747 △ 900 △ 2,944 2,044
自己株式処分差額 1
利益準備金・欠損補填 4,239
資本準備金・欠損補填 14,518
資本減少・欠損補填 31,241
損失補填合計 49,999
△未処理損失 △46,678 △ 387,747 △ 900 △ 386,847
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カネボウ粉飾決算事件、帆足元社長ら3人逮捕

 産業再生機構の支援下で経営再建中のカネボウを巡る粉飾決算事件で、東京地検特捜部は2005年7月29日、2003年3月期まで2年間の連結決算で総額約750億円の粉飾をしたとして、元社長、帆足隆容疑者(69)ら元役員3人を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。3人はいずれも大筋で容疑を認めているもようだ。

 名門企業の経営破綻に至った巨額の不正経理は、当時の経営トップの逮捕へ発展した。連結ベースの粉飾決算の刑事責任が問われるのは初めて。

 他に逮捕されたのは元副社長、同社のメーンバンクだった旧さくら銀行(現三井住友銀行)出身の宮原卓(63)、財務・経理担当の元常務、嶋田賢三郎(59)の両容疑者。特捜部は同日、証券取引等監視委員会と合同で三容疑者の自宅のほか、関連先として会計監査を担当した中央青山監査法人(東京・千代田)などを家宅捜索した。

 調べによると、帆足容疑者らは、02年3月期の連結決算が約744億円の債務超過や約57億円の最終赤字だったにもかかわらず、「資産超過・黒字」と偽った有価証券報告書を提出したほか、03年3月期も虚偽の報告書を提出した疑いが持たれている。 日本経済新聞2005年7月30日(19:15) 日本経済新聞「特集 カネボウ粉飾決算」「特集 産業再生機構」 その他カネボウ・粉飾決算の記事 参照

米国エンロン事件では、2001年12月2日エンロンが会社更生法適用をSECに報告し、8ヵ月後2002年7月30日にはサーベンス・オクスリー法という企業改革法が成立し、@上場会社会計監視審議会(PCAOB)を創設し、APCAOBが監査基準を設定し上場会社の会計監査人を監視することになり、B経営者に財務諸表の正確性の宣誓書を提出させ、C経営者および監査人に内部統制の監査報告を実施など大改革を行った。事件発覚後5ヵ月後の2002年5月4日には、担当会計事務所アーサー・アンダーセンの再建委員会委員長ポール・ボルカー氏は再建断念を表明し、翌6月には、アンダーセンは実質崩壊した。(米国の会計制度改革 参照)

一方、日本では1997年11月24日、山一証券社長が号泣しながら自主廃業に関する記者会見は、世界に報道され見る者に驚きを与えた。巨額な「飛ばし取引」で自主廃業に追い込まれたのである。日本の歴史に永く記憶に残されることだろう。 1998年4月16日、山一の社内調査委員会は、経営陣が、2600億円の含み損を「飛ばし」という手法で、含み損の処理を先延ばしにし、傷を大きくしたことが致命傷になったことを公表した。このような歴史的な経済事件であったが、日本では、米国のような会計改革が行われたということはない。(2005年になって、ようやく、「財務報告に関する内部統制の監査」や「四半期報告書の制度化」が議論されるようになった。

カネボウ事件でも、上記分析の通り過去の粉飾経理に関し、2004年3月期に修正し実態を把握した後、再建策を策定しているようである。少なくとも財務諸表を見る限り、早くから粉飾決算は判っていたような節がある。しかし、カネボウの粉飾決算を報道各社が伝えたのは2005年4月13日で1年以上経ってからである。支援をしていた産業再生機構の上場維持の要望むなしく東証への上場が廃止されたのは2ヵ月後の6月13日である役員逮捕が7月30日、担当会計士4名の異例の逮捕が9月13日、検察は、監査法人の立件は現法律(法律が法人を予定していない法の未整備のため)ではできないとして監査法人を起訴しないこととなった。監査法人に対する措置は、従来どおり金融庁の行政指導にかかっている。

(山一證券の役職員らによる著しい監査妨害が行なわれたことを具体的に明らかにし」ようとして和解した中央青山監査法人の主張(2003年11月)は、今回の会計士の逮捕後、奥山理事長のコメントで「(カネボウに)だまされたという会計士の言葉を信頼していた」という妨害とだましの違いはあっても論理に近いものを感じる。会計士はそうした妨害ないし「だまし」があっても「財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる」と洋の東西を問わず監査基準は規定している。したがって、会計士は、専門家としての正当な注意を怠っていなかったと胸を張って言える仕事(documentationが必要)をする必要があるし、そのほかに道はない。)

現在、日本では会計監査人の担当パートナーの交代(ローテーション)」を7年にしてある(公認会計士法の一部を改正する法律第24条の3、施行令等)が、米国サーベンス・オクスレー法203条では監査担当パートナー5年のローテーション(SECルールセクション208−4「パートナー・ローテーション」参照)、欧州連合では、EU第八会社法指令案監査担当パートナー5年のローテーションと監査担当会計事務所7年交代の、いずれかを選択する選択制となっており、カネボウの粉飾決算を契機に担当パートナーの任期を7年から5年に短縮する議論がされはじめており奥山公認会計士協会前理事長(現中央青山監査法人理事長)が主張し7年となったローテーション期間は、5年に短縮されそうな雲行きである。

監査担当会計士(パートナー)の交代(ローテーション)
日本 米国 欧州連合
公認会計士が、七会計期間以上当該大会社等に対して監査関連業務を行うことを禁止する。2年のインターバル。公認会計士法施行令第8条の2、および第8条の3
公認会計士法の一部を改正する法律第24条の3、施行令等 参照)


注:
自民党「公認会計士法の改正における諸課題について(中間論点整理)2002年12月13日」は、5年を主張していた。


2005年10月21日同党の法務部会・商法小委員会、金融調査会の企業会計に関する小委員会が継続監査5年に短縮、インターバル5年(現2年)を提言。

2005年10月25日金融庁・公認会計士・監査審査会の「適正なディスクロージャーと厳正な会計監査の確保に向けた対応策」の要望を受けて、日本公認会計士協会会長は、「公認会計士監査の信頼性の回復に向けて」と題する声明を発表し、4大監査法人の上場会社の監査を担当する業務執行社員のうち主任会計士については、継続監査期間5年・インターバル期間5年とし、その他の執行社員は7年・2年とするようローテーションを見直すことを要請し、新たな自主規制ルールを作成するとした。
監査担当パートナーは5年を超えて担当してはならない。
(SECルールセクション208−4「パートナー・ローテーション」参照)
EU第八会社法指令案
会計事務所内の監査担当パートナーは5年を超えて担当してはならない("internal rotation")、または、7年で監査担当会計事務所を変えなければならない("external rotation")、いずれかを選択(option)する。
EU第八会社法指令案 参照)


2005年9月28日EU議会は、担当パートナーの交代を7年とし、会計事務所の交代は行わない、と修正した。
AccountingWEB  29-Sep-2005 参照

Another controversial measure proposed by the Commission’s was the requirement that publicly-listed firms should change auditors every five years and audit firms every seven - the so-called rotation.
MEPs have amended this to a seven-year rotation only for the statutory auditor or key audit partner, and not for audit firms.
欧州議会ニュース EU Directives 参照

なお、国際会計士連盟(IFAC)の倫理委員会の規定では、日本に配慮してか、担当パートナーを7年で交代すべきとしている。(「職業会計士の倫理規定(改正案)Revision to Code of Ethics for Professional Accountants」にある・・「担当パートナーのローテーションは7年、連続する会計期間経過後の監査関連業務禁止期間は2年間」参照)

2005年10月13日、自民党は「会計士監査、5年に短縮を=企業不祥事防止で自民提言案−13日取りまとめ」・・企業統治委のほか、同党の法務部会・商法小委員会、金融調査会の企業会計に関する小委員会が13日に合同会議を開いて取りまとめる。今後は金融庁や法務省などの関係省庁に対して、省令の改正などを働き掛けていく方針。(時事通信)

400人が7年超監査 4大監査法人会計士の30%
日本公認会計士協会の藤沼亜起会長が、2005年10月13日、企業会計に関する自民党の委員会で、あずさと新日本、中央青山、トーマツの4大監査法人に、今年3月期末時点で同一企業の監査を7年を超えて担当している社員(公認会計士)が計約400人いたことを明らかにした。監査現場で責任を持つ全社員の約30%に相当するという。
 カネボウの粉飾決算事件の背景に企業と会計士のなれ合いがあるとの指摘を受け同協会は、7年超の継続監査を禁じた改正公認会計士法適用を前倒して、来年3月末までに原則的にすべての会計士を交代する方針を決めている。
 同協会によると、同一企業の監査を7年を超えて担当していた社員は総計392人。内訳は10年超が125人で全社員の9・6%。15年超は65人(5%)で、20年超も24人(1・8%)いた。企業数は580社だった。<河北新報ニュース2005年10月13日木曜日> 「7年超監査に関する記事

2006年5月10日金融庁は、「監査法人及び公認会計士の懲戒処分について」を公表し、カネボウ株式会社(以下「カネボウ」とする。)が作成した財務書類について、監査証明を行った中央青山監査法人及び同監査法人の関与社員に対し、監査法人に対しては、業務の一部停止2ヶ月(平成18年7月1日から平成18年8月31日まで)を行うと発表した。
(別紙1)処分範囲(PDF:78K)  
(別紙2)審査・教育体制及び業務管理体制を含む監査法人の運営の不備(PDF:51K) 「B投書への対応について、十分な仕組みが用意されていなかった。」とのこと・・・・・
金融庁の上記不備の内容は、中央青山監査法人の国際部門プライスウオータークーパー(PwC)にとっては仰天の内容であったろう。米国4大会計事務所の教育・品質管理・審査体制はかなりの水準に達しているにも関わらずである。かつ、実務的に、1961年からニューヨーク証券取引所に上場し米国SECに登録しているソニーは古くからPwCが単独監査人となっている。
金融庁の処分は、「味噌も糞も一緒くたにした」処分内容となっているといえよう。今後のPwCの去就が注目される。他の国際的な2大会計事務所(KPMG、E&Y)もPwCと同じ境遇にあるといえるのである。(英語ニュース 参照 PwC中国では、「現在6,500人規模で今年1,200人を雇用し、5年内に少なくとも1万人とするとしている」⇒これは、日本の4大監査法人の合計に等しい規模。)
なお、米国の公開会社会計監視審議会(PCAOB)監査法人の監査の内容の調査報告は金融庁のものより監査基準に照らして専門的で具体的である。


報道によると、中央青山監査法人の監査する会社数は約5,500社、そのうち処分対象となった法定監査は約2,300社に上る。監査法人は、業務停止処分を受けると、企業決算を監査する法的な資格を失い、相手企業との契約をいったん解除しなければならない。

金融庁の上記処分に先立つ、2006年4月21日証券取引等監視委員会は、「監査法人の責任のあり方についての建議(H18.4.21)」を公表し、「現行の証券取引法には、虚偽有価証券報告書を提出した上場会社の役員らと共謀した公認会計士が所属する監査法人の刑事責任を追及できる規定はないなど、上記公認会計士が所属していた監査法人に対しては、刑事責任を追及することは困難である。」としていた。

金融庁の処分を受けた2006年5月10日プライスウオータークーパー・グローバル、ニューヨークは、日本に新たな恒久的な事務所(PwCのメンバーファーム)を設立する旨表明した。(PricewaterhouseCoopers Global 参照)

2006年5月22日、日経ビジネスは「中央青山、解体の瀬戸際」を報道。中央青山監査法人・広報はこの報道に対し「プレスリリース」を公表して対抗。(⇒中央青山監査法人は、2006年9月1日より名称を「みすず監査法人」に変更と報道。2006年9月1日みすず監査法人」のHP、海外事務所が苦しい表現・・どうするのであろう。)

2007年2月20日報道各社は、「みすず、監査業務移管要請 3法人に、事実上解体へ」とし、大手監査法人の「みすず監査法人」(旧中央青山監査法人)が新日本、トーマツ、あずさの大手3監査法人に監査業務を全面移管することを検討していることが、明らかになったと伝えている。(監査難民2007年5月 参照)


2007年7月31日付で「みすず監査法人」は解散した。

2006年6月7日、かねてPwCが公表していた新法人設立について、1日付で「あらた監査法人」を設立登記したと報道された。(ニュース PwC Japan home  あらた監査法人検索結果 参照)

会計士以外の専門職員らも含め年内に計800人体制を整える方針であることが13日明らかになった。4大監査法人に次ぐ業界5位の監査法人になる。監査以外の業務も含めた顧客企業数は初年度で700社程度になる見込みだ。2010年には1700人体制まで拡大する計画だ(日経2006年6月14日朝刊)。

2006年からの公認会計士の新試験制度では、「業務補助等の2年以上の経験は公認会計士試験の前後を問わない」とされ、欧米と同様となり、欧米の会計事務所のように会計士試験前の者でも作業が出来るようになった。欧米の事務所では、通常、アシスタントからシニアーに昇進するまでに試験に合格し資格を取得する。あらた監査法人がそうするかどうかは判らないが、あらた監査法人の計画は無謀ではない。(米国会計事務所の経営実態 参照)

日本の監査のターニング・ポイント
2006年6月27日 米国PCAOB
金融庁
米国内の会計事務所を監督する独立機関、米上場企業会計監視委員会(PCAOB)
幹部が7月に来日し、日本の監査法人に対する監督の在り方などについて金融庁
や公認会計士・監査審査会と協議することを明らかにした。(ニュース
2006年7月3日 あらた監査法人 あらた監査法人は、PwCのメンバー・ファームとして、会計および監査において
PwCの手法に完全に準拠した国際的なベスト・プラクティスを採用します
2006年7月7日 金融庁 金融庁は、4大監査法人に対する業務改善指示について、「監査の品質管理のため
の組織的な業務運営について、改善策を策定し確実に実施すること
」を指示した。
2006年7月7日 日本政府 骨太の方針2006」を閣議決定し、その12ページには、「平成21年(2009年)に
向けた国際的な動向
を踏まえ、会計基準の国際的な収斂の推進を図る
。」と指示
している。

米国上場企業会計監視委員会(PCAOB)の来日による会計事務所の検査は、金融庁の4大監査法人に対する業務改善指示を発する重要な要素であったことは予想される。なぜなら、金融庁が出さなくてもPCAOBの検査結果として指摘するのは予想されたからである。換言すれば、指摘しなければ金融庁自身の検査・監督能力の問題とされかねないからである。金融庁は、わざわざ英語版を公表していることからも窺い知れる。サーベンス・オクスリー法104条に従い、PCAOBの検査は継続して行われる。

金融庁の業務改善指示は、日本の監査・会計が敗北し、国際事務所の方針が日本に導入されようとするターニング・ポイントとなろう。他の3大監査法人も、あらた監査法人と同様に国際的な企業の監査を行っている以上国際的なベスト・プラクティスを採用しなければ生き残れないであろう。その意味で、日本の監査はターニング・ポイントを迎えたといってよい。同時に、会計も無関係ではありえない。

2006年9月6日金融庁第20回金融審議会総会・第8回金融分科会議事次第、C 監査法人制度等の在り方について「資料4.監査法人制度等の在り方について(PDF:1,268K)」が掲載されました。資料には、上場会社のみで、会社法の法定監査の数が含まれていません。議事録は未だ掲載されていません。監査法人自体の責任を追及する法制度を検討中。

金融庁・金融審議会・公認会計士制度部会の議論

カネボウ、ライブドアの件に関して、監査法人等のあり方について、金融庁・金融審議会・公認会計士制度部会は下記の通り議論し始めた。
上記米国エンロンのケースでは、議会・SECが動き対応は迅速であったが、カネボウのケースは昨年4月に粉飾が明らかになってから1年以上を経過してからの対応である。カネボウ(Wikipedia百科事典) 参照

金融庁・金融審議会・公認会計士制度部会
2006年4月26日 第5回会議 議事要旨 議事録 資料 日本の監査法人制度等をめぐる状況等について
2006年5月29日 第6回会議 議事要旨 議事録 諸外国の監査法人制度等の比較 
米企業改革法の概要 
EU第8次会社法指令の概要
2006年6月23日 第7回会議 議事要旨 議事録 監査法人等を巡る議論に向けて」by公認会計士協会
公開会社会計監督委員会(PCAOB)の概要注1
2006年7月10日 第8回会議 議事要旨 議事録(注2) 「金融庁への報告書の提出について」by中央青山監査法人(6月12日)
中央青山監査法人の改革への取組み
  資料
2006年12月22日 第15回会議 −公認会計士・監査法人制度の充実・強化について−
金融審議会公認会計士制度部会報告(案)(PDF:1,274K)
←2007年6月法制化された

注1:PCAOBが日本の登録会計士事務所に対して、7月に来日し調査することを受けて。(ニュース 6月26日五味金融庁長官記者会見わざわざ訪米しPCAOBと会談しているに関わらず歯切れの悪い回答。日本の認識のずれがよく現われている。 参照)
注2:公認会計士・監査審査会委員の4大監査法人の審査の概要が説明されている(ほとんど一般論に終始)。SECに上場している企業の経団連の委員からSEC監査についても品質管理についてどうであったか質問され(21ページ)、監査審査委員が不思議な回答(21ページ〜22ページ)をしているのは興味深い。

改正「公認会計士法」成立(2007年6月20日)

2007年6月20日、公認会計士法が改正された。概要は下記の通りである。(成立した法律  ・政令・府令(9月28日) 参照)

2.監査法人の社員資格の非公認会計士への拡大
・ 監査法人の社員資格の非公認会計士(「特定社員」)への拡大
・ 特定社員の日本公認会計士協会への登録
・ 社員及び業務運営に関する意思決定機関の参加者に占める特定社員の割合について、一定の上限を設定
3.監査法人による情報開示の義務づけ
・ 業務及び財産の状況に関する説明書類の公衆縦覧

2.就職制限の範囲を被監査会社の親会社や連結子会社等へ拡大
・ 監査証明業務に関与した監査法人の社員が、退職後、被監査会社のみならずその親会社又は連結子会社等の役員等に就任することを禁止
3.いわゆるローテーション・ルールの整備
・ 大規模監査法人において上場会社の監査を担当する主任会計士のローテーション・ルール(継続監査期間5年、インターバル期間5年)を法定化
(現行法では、継続監査期間7年、インターバル期間2年の一般ルール)
・ 新規公開企業に係る公開後の最初の継続監査期間を短縮
4.不正・違法行為発見時の対応
・ 監査人が財務書類に重要な影響を及ぼす不正・違法行為を発見した場合であって、監査役等に通知するなど、被監査会社の自主的な是正措置を促す手続きを踏んだ上で
もなお適切な措置がとられないと認めるときは、監査人は当局へ申出

1.行政処分の多様化(現行法では、戒告、業務停止、解散命令のみ)
・ 監査法人に対する行政処分の類型として次のものを追加
− 業務管理体制の改善命令
− 違反行為に重大な責任を有すると認められる社員について、一定期間、当該監査法人の業務及び意思決定の全部又は一部に関与することの禁止(注)命令
(注)例えば、品質管理の方針を策定する者やその実施者について、一定期間、その職務に従事することの禁止
・ 個人の公認会計士が著しく不当と認められる業務の運営を行った場合を、当局による必要な指示や処分の対象に追加
2.課徴金納付命令の創設
・ 公認会計士・監査法人に対し、違反行為を適切に抑止する観点から利得相当額を基準とする課徴金を賦課(一定の戒告・業務停止、解散命令等を行う場合であって、課徴金の賦課が適当でないと認められるときは、命じないことができる)
− 故意の場合 :認定した虚偽証明期間に係る監査報酬額の1.5倍
− 相当の注意を怠った場合:認定した虚偽証明期間に係る監査報酬額の 1倍
・ 除斥期間は7年
3.有限責任組織形態の監査法人制度の創設
・ 有限責任組織形態の監査法人については、内閣総理大臣への登録を求め、次の要件を整備
− 最低資本金
− 供託金(損害賠償責任保険によりその全部又は一部を代替可能)
− 計算書類の開示(一定規模の監査法人については監査報告書を添付)
・ 虚偽証明事案に係る業務執行社員については無限連帯責任
4.報告徴収・立入検査の権限の公認会計士・監査審査会への委任の範囲
・ 監査法人等に対する報告徴収・立入検査の権限を金融庁長官から公認会計士・監査審査会へ委任する範囲の見直し(日本公認会計士協会の品質管理レビューに関して行われるものその他業務の運営の状況に関するもの)
5.外国監査法人等の届出制度等の整備
・ 外国会社等から提出される有価証券報告書等に係る監査証明業務を行う外国監査事務所(「外国監査法人等」)の内閣総理大臣への届出
・ 外国監査法人等に対する当局の権限(必要な指示、報告徴収、立入検査)を整備

公認会計士法等の一部を改正する法律案要綱
有限責任監査法人制度に関するQ&A」by日本公認会計士協会(平成2 0年6月10日)

上記改正は、金融審議会で審議していたもの

金融庁:公認会計士・監査審査会の4大監査法人の監査結果

2006年6月30日金融庁:公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は4大監査法人の監査の調査結果「4大監査法人の品質管理について」を公表した。内容は、等しく「監査の品質管理のための組織的な業務運営が不十分であると認められる」「監査基準等に準拠していない手続がみられる監査業務、また、監査調書の作成が不十分なため、監査手続の検討過程が明らかでない監査業務が認められる」とする文章に、4大監査法人(あずさ、トーマツ、新日本、中央青山)宛てにしており、具体性に欠ける勧告となっている。官僚の権力を誇示する作文という印象である。専門的な具体性のある納得できるものにならないものか・・・金融庁に専門家で実務経験豊かな優秀な人材を期待したいものである。

2006年7月7日金融庁は、上記の検査結果を受けて、4大監査法人に対して「監査法人に対する業務改善指示」を行った。

なお、根拠となる基準は、2005年10月28日金融庁・企業会計審議会が、「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について」を公表したものである。2007年(平成19年)3月期から適用し、早期適用可。

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書
(PDF:229KB)・・本文たった5ページ」参照
監査基準の改訂に関する意見書
(PDF:237KB)・・本文たった8ページ」参照
中間監査基準の改訂に関する意見書
(PDF:222KB)・・本文たった4ページ」参照

米国公開会社会計監視審議会(PCAOB)監査法人の監査の内容の調査報告を真似ているのであろうが、米国のものは、監査基準に具体的に準拠し、抽出した監査調書を実際に調査し具体的に欠陥を指摘しており専門的であるのと、会計事務所に反論ないし言い分についての文章も添付してフェアーな印象を与えている。

ライブドア・・風説の流布・虚偽の決算容疑で社長ら逮捕

 2006年1月16日、ライブドアの関連会社が2004年、企業を現金で買収した後に、株式交換で買収するとの偽った情報を開示し、虚偽の決算を公表していた疑いが強まり、東京地検特捜部は16日、証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)の疑いで、六本木ヒルズ(東京・港)内のライブドア本社や堀江貴文社長(33)の自宅など関係先十数カ所を証券取引等監視委員会と合同で家宅捜索した。今後、堀江社長ら幹部の事情聴取と押収資料の分析を進める。

 堀江社長が創業し、インターネット関連を軸に企業の合併・買収(M&A)で急成長してきたライブドアの不明朗な「錬金術」は、刑事事件に発展。ニッポン放送株の大量取得に端を発し、2カ月余の攻防を繰り広げた末、昨年4月に和解したフジテレビジョンとの資本・業務提携の行方や、証券・金融市場、経済界にも影響が及びそうだ。

 調べによると、東証マザーズ上場の関連会社、ライブドアマーケティング(当時バリュークリックジャパン)は04年10月、出版業のマネーライフ社を株式交換で買収すると公表したが、実際には公表前にライブドア側が実質支配する投資組合から買収先企業の株主に現金を渡して事実上、傘下に収めており、開示した内容が虚偽だった偽計取引の疑いが持たれている。[1月17日/日本経済新聞 朝刊]

証券取引法第百五十八条  何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

1月23日、ライブドアグループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日、関連会社の企業買収や業績を巡り虚偽情報を開示したとして、同社社長、堀江貴文(33)ら4容疑者を同法違反(偽計取引、風説の流布)容疑で逮捕した。特捜部は株式交換目的で発行した自社株売却収入の不正な利益計上などについて、同容疑者が指示・了承していたとみて追及する。
ほかに逮捕されたのは、ナンバー2で投資・金融担当取締役、宮内亮治(38)、取締役兼ライブドアマーケティング(LDM)社長、岡本文人(38)、執行役兼金融子会社ライブドアファイナンス社長、中村長也(38)の3容疑者。[1月24日/日本経済新聞 朝刊]

ライブドア堀江被告らを粉飾決算容疑で再逮捕・熊谷取締役も

 ライブドアグループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は2月22日午後、ライブドア本体の2004年9月期決算で約50億円を粉飾したとして、前社長、堀江貴文(33)ら4被告=証取法違反(偽計など)罪で起訴=を同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで再逮捕するとともに、代表取締役、熊谷史人容疑者(28)を新たに同容疑で逮捕した。

 ライブドア関連会社の企業買収などを巡る虚偽公表に端を発した事件は、ライブドア本体の不正経理事件に発展。同社株の上場廃止が濃厚となるなど事態は重大局面を迎えた。

 ほかに再逮捕されたのは、前取締役、宮内亮治(38)、同、岡本文人(38)、金融子会社ライブドアファイナンス(LDF)前社長、中村長也(38)の3容疑者。

 調べなどによると、堀江容疑者らはライブドアが04年3月、金融仲介サービスのウェッブキャッシング・ドットコムなど3社を買収する際、株式交換名目で発行した新株を傘下の投資事業組合を通じて売却し、収入の一部をLDFに還流。 (日本経済新聞2006年2月22日16:28)

関連記事 ライブドア4月14日上場廃止

フジテレビ、ライブドア株の含み損で賠償請求へ
フジは昨年5月、ニッポン放送の経営権を巡る和解の一環でライブドアの第三者割当増資440億円分を1株329円で引き受けた。株価が78円まで下落した3月9日時点での含み損は335億7000万円に達し、2006年3月期決算での多額の株式評価損の計上が避けられなくなっている。

金融商品取引法で投資事業組合も規制・金融庁方針

 金融庁は今国会に提出する「金融商品取引法(投資サービス法)」案に、ライブドア問題などで不透明さが指摘されている私募の投資事業組合への規制を盛り込む方針を固めた。同庁に名称や所在地の届け出を義務づけたうえで、必要があれば立ち入り検査する。ただ同規制が入っても誰が組合の支配者なのか一般投資家が知らされない可能性は残る。開示ルールの整備はなお課題だ。

 金融商品取引法は、元本割れの恐れがある金融・投資商品の規制を一元化する消費者保護法。投資事業組合に対しては民法上の任意組合など実態が分かりにくい組合もあるため、少数の投資家からお金を集める場合でも、株式を自ら運用していたり出資の募集を行ったりしている場合は金融庁の監督下に置くことにした。  (日本経済新聞2006年1月24日07:00)

貧弱 不正チェック体制

「世界2位の経済大国が株式市場を監督する独立した機関を保有していない」

 ライブドアグループの証券取引法違反事件で前社長の堀江貴文容疑者が逮捕された1月23日、AP通信はこう伝え、日本の証券取引等監視委員会が、米証券取引委員会(SEC)のような強力な機関ではないことに懸念を示した。

与謝野金融相も24日の記者会見で、「不正な取引形態を排除するため、人員の充実を検討したい」と述べ、監視委を増員する方針を打ち出した。市場の監視機能の抜本的な強化は、もはや内外共通の認識だ。

自民党は投資事業組合への新たな規制などの検討に入った。民主党も日本版SEC設置法案提出を検討している。

2006年1月27日企業会計基準委員会は、めずらしく対応が早く、「実務対応報告公開草案第19号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」を公表した。

内容は特に新しいことは無く、個別財務諸表では、持分相当額の資産・負債および損益を計上する、または、持分相当額の損益を計上することも認められるものと考えられる、としている。
連結財務諸表では、「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」および「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」には、子会社の範囲を、会社のほか、会社に順ずる事業体が含まれるとしており、有限責任事業組合を含むと考えられるとしている。

実質債務超過のTTGに1億3千万円の課徴金! 株主保護? (金融庁2006年12月6日)

金融庁証券取引等監視委員会は、2006年12月6日、ジャスダック上場の電気通信設備工事会社、TTGに対し、約1億3000万円の課徴金の納付を命令するよう金融庁に勧告した。有価証券の募集や売り出しをする際、当局に提出する有価証券届出書に虚偽記載があったため。昨年4月の課徴金制度の導入以降、有価証券届出書の虚偽記載で勧告するのは初めてで、金額も最大規模となる。

 証券監視委によると、TTGは昨年5月から今年3月の4回にわたり、虚偽記載のある有価証券届出書を関東財務局に提出。これに伴い、約6500億円の資金を調達した。

 平成17年3月期の連結決算で約1億1800万円の経常損失を出していたにもかかわらず約3億2300万円水増し計上していたほか、資産を約18億8600万円過大に計上し、約18億5100万円の債務超過を隠していた。

証券監視委は、同社に有価証券届出書の訂正届出書の提出を命じるよう金融庁に勧告。同庁は今後、TTGの監査を担当していた麹町監査法人(平成17年(2005年)3月期まで)と監査法人つばき(平成17年(2005年)9月中間から)の監査が妥当だったかも検証する方針。(産経新聞2006/12/06 23:31) EDINET→平成17年3月期と平成18年3月期は監査法人が変更されても監査報告書にサインしている会計士は同一人→移籍したか監査法人の名称変更か?   監査法人上場準備室の監査法人別クライアント一覧 参照

TTGは6日、2002年3月期から06年3月期の有価証券報告書の訂正報告書を関東財務局に提出した。03年から3期連続の債務超過だった。これを受けてジャスダック証券取引所は同社を7日から整理ポストに割り当て、2007年1月7日付で上場廃止にすると発表した。(日経 新聞各紙 参照)

実質債務超過の企業に課徴金!これって株主保護?

会計基準の不備が招いた三洋電機のケース・・日本特有の事件

経営再建中の三洋電機が2004年3月期決算で不適切な損失処理を行っていた疑いがあるとして、証券取引等監視委員会の調査を受けていることが2007年2月23日、明らかになった。保有する子会社や関連会社の株式の評価損を圧縮することで利益を水増し黒字を確保していた粉飾決算の疑いがある。

 三洋は同日、「調査には全面的に協力している。通常の資料提出と理解している」とのコメントを発表した。同社では、「適正に処理したと認識している」(広報担当)と説明している。また、会計監査を担当した中央青山監査法人(現みすず監査法人)は、「適正」と認定している。

三洋の2004年3月期の単独決算は、最終利益が44億円で前期の539億円の赤字から黒字転換したが、業績が悪化していた子会社や関連会社の株式評価損を十分に適切に計上しなかった疑いが持たれている。

日本の会計基準では、関係会社(子会社および関連会社)の株式については取得原価法を原則とし、著しくその価値が下落した場合に、評価損を計上しなければならないという非常に曖昧な規定となっている。また、現行の会計基準では、子会社が債務超過(投資額を食いつぶし加えて損失となっている状態)である場合でも親会社は投資額をゼロまで減損するだけであるが、持分法であれば子会社の債務超過のうち親会社が負担する額も債務として損失計上する必要がある。現行の会計基準では個別財務諸表として企業の実態を表さないものとなっている。(企業会計基準委員会「改正金融商品に係る会計基準」(2006年8月)、旧大蔵省(現金融庁)企業会計審議会「金融商品に係る会計基準」(1999年1月)参照・・なお、株式のような金融商品は金融商品に係る会計基準が適用され、固定資産の減損に係る会計基準(5ページ参照)の対象資産ではない。)

米国会計基準および国際会計基準では、関係会社の株式評価は、関係会社の業績等のうち親会社持分を反映する「持分法(Equity method)」を適用しなければならないので、個別財務諸表であっても連結財務諸表の連結純利益と一致する会計処理を求めているので、三洋電機のような問題は起こりえない。日本でも、個別財務諸表に持分法の導入が検討されたことがあるが議論のみに終わった。⇒企業経営と財務報告に関する研究会第6回および第7回(最終回2002年3月)(ちなみに、韓国サムスン電子は、国際基準同様に個別財務諸表で関係会社株式を持分法で開示している⇒韓国の事例 参照)

また、欧米のように連結財務諸表のみ開示し、個別財務諸表の開示がなければ三洋のケースは事件になりようがない。したがって、この視点からも日本特有の事件となったもの。

1997年10月、旧大蔵省(現金融庁)・企業会計審議会が「連結財務諸表を中心とした国際的にも遜色のないディスクロージャー制度を構 築しようとする ものであり、21世紀に向けての、活力あり、かつ、秩序ある証券市場の確立に貢 献しうると考えるものである」として「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書(連結財務諸表原則)」を公表したが、有価証券報告書の中で、個別財務諸表の前に連結財務諸表を差し入れる、前後の並び替えをしたのみで、個別財務諸表の開示は従来どおりである。(注1)

事業というものは、企業集団で行っている場合が多く、持株会社のように事業を行っている子会社株式を保有している会社(大銀行やソニーのような持株会社を想像してみてください)の親会社の個別財務諸表は投資家の投資判断には殆ど役に立たないし、投資家にとっては個別・連結と二つの数値を見せられても判断に迷うばかりで、欧米では、企業集団の場合は連結財務諸表(連結する子会社がない場合は個別財務諸表)のみを開示している。

日本は、曖昧な会計基準を排除して、会計基準を整備し完成度を高めることが望まれる。会計基準の完成度が高ければ起こりえない無用な混乱を市場に招き、投資家、企業、監査人等に、不運な人を生まないためにも・・・・

曖昧な会計基準は、企業にとっても監査人にとっても不安定な立場に立たされ、結果、投資家に対する財務情報も不安定で曖昧になる。三洋電機のケースは、その典型的な例といっていい。監督当局は、ルールは誰のためにあるのか十分に考慮・配慮して、ルールの完成度を高めて知識・経験豊かな人の納得いくものにして欲しいものである。

「経済大国2位」に奢り、「我が国会計基準は、高品質である・・」と漫然としていては(尤も、会計基準を所管している金融庁が会計基準に不備があると(自らの責任を)認めることはないが・・)、国際機関が評価している「監査及び会計プラクティスの競争力ランキングで日本は51位!」と国際的評価とのずれはいつまでたっても縮まらない。

いずれにしても、曖昧な基準を基礎に、訂正を勧告するのも慎重にして欲しい。マスコミ・世論は、一斉に企業・監査人に批判を浴びせる。一方、企業は、国家権力の恫喝を受け(担当大臣は課徴金を実質ちらつかせた)、従順に従うことでことを収めようとする。監督当局の権限を誇示した形となった。正常とは思えない。監督当局が人材不足なら、せめて、関係者が納得できる完成度の高い明確なルールを構築して欲しいものである。課徴金千数百万円(2007年12月「証券取引等監視委員会」)

注1日本は、内外の会社によって開示の取り扱いが異なる:
金融庁は、内国会社に対して個別財務諸表も開示を求めている。日本で上場している外国会社には個別財務諸表の開示を求めていない。三洋に対する当局の扱いは、内外の企業に対して公平な取り扱いをしているとは決して言えないのである。この不公平な取り扱いは日本企業の活性化の妨げとなっている。(EDINETの有価証券報告書の開示では、外国会社には連結財務諸表のみ開示し個別財務諸表の開示はない。)

これは不公平処罰で不明瞭な基準・不愉快な課徴金のケースである(・・金額の多寡ではなく)
担当公認会計士は業務停止の処分(2008年7月)・・ひどい

日経は2007年12月16日日曜版
に、金融庁証券取引等監視委員会が課徴金(8百30万円)を課すように勧告する旨の報道がされた。
2005年(平成17年)9月中間決算で有価証券報告書の虚偽記載に当たると判断したというものである。ご丁寧に「複数の期で原資不足のまま配当する違法配当も監査法人などの調べで明らかになっている」としている。

1.記事は、明らかに「金融庁・証券取引等監視委員会」の報道させるための意図的なリークによるものであることは、監視委員会のホームページには12月16日に掲載されていないことで分かる。(年末25日に「三洋電機株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令の勧告について」勧告した)
2.違法配当に関しては会社法のことであり、金融商品取引法の管轄である取引委員会からすると管轄外のことである。
3.金融商品の会計基準は、子会社・関連会社の株式は原則として取得原価とし、市場価格のない株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない、とする非常に曖昧な規定である。富士通、日立が続いて損失処理したと言うことは同様なことが多いことを立証している。三洋はスケープゴートか。アンフェアーである。
ちなみに、国際基準では、持分法という明快な会計基準となっている。
4.三洋電機が問われている虚偽記載は個別財務諸表の関連会社株式の評価であり、投資判断に利用される連結財務諸表では、虚偽記載には問われていない
また、東京証券取引所に上場している外国企業には連結財務諸表のみで個別財務諸表の開示は求められていない。内外会社の開示に差異があり公平であるとはいえない。国内会社の個別財務諸表に対してのみ虚偽記載を主張するのは公平とはいえずかなり疑問である。そもそも、個別財務諸表の開示廃止に反対しているのは金融庁である。
5.海外の証券取引所では、ドイツを初め上場企業は連結財務諸表を開示はしているが個別財務諸表を開示しているところはない

個別財務諸表の開示は、国際基準同様に廃止すべきである。無益な違法社をむやみに作るべきではない。このケースに課徴金を課すのは権限の乱用としか思えない。
どうしても個別財務諸表を開示させたいのであれば、明確にするため、国際基準同様に、子会社・関連会社の株式の会計基準を持分法に改正すべきなのだ。


金融庁の課徴金は企業に対する不信を増幅することになろう。このケースは、無用な国民の不信を招き無用な課徴金と思う。

(「三洋電機、富士通、日立と子会社評価損計上が続く(2007年4月18日)」 「2007年12月15日金融庁が三洋電機に課徴金8.3百万を」 参照)

2008年2月9日東京証券取引所は、三洋電機株式会社 株式について有価証券報告書に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大であると当取引所が認める場合に該当しないと認めたため 監理銘柄(審査中)指定を解除するという決定をしました。金融庁の課徴金はなんなのだ

2008年7月11日金融庁は、三洋電機の担当公認会計士4名に対し「業務停止(2名が2年の業務停止、9ヶ月と6ヶ月の業務停止がそれぞれ1名)」の行政処分を行ったと公表した。理由は子会社等株式に係る減損について子会社の減損処理がされず虚偽記載の個別財務諸表に適正の監査意見を表明したとのこと。投資の判断には、子会社の債務超過を反映した連結財務諸表が利用されており、処分の対象となった個別財務諸表は関係ないといってよい。海外では投資判断に不要な個別財務諸表の開示はない。不幸な者を出さないためにも、国際基準に整合させ、関連会社株式について原価法を廃止し、個別財務諸表にも持分法の適用を求め会計基準を明確にするか(IAS 28関連会社に対する投資)、個別財務諸表の開示を廃止すべきであろう。東京証券取引所が「その影響が重大であると当取引所が認める場合に該当しないと認めた」案件を、業務停止という不明朗な行政処分は止めるべきだ。

■ 不正な財務報告に関する監査基準の日米比較

不正に関する監査基準の部分のみを日米比較すると次のようになる。

日本の監査基準は、金融庁・企業会計審議会(会長 若杉 明 高千穂大学教授)が、監査基準の一層の充実について審議を行っていたが、今般、平成14年(2002年)1月25日監査基準の改訂に関する意見書」を取りまとめ公表することとした。平成15年(2003年)3月期の財務諸表の決算監査から実施するとしている。「監査基準の改訂に関する意見書」本文(PDF)は26ページであるが、「監査基準」そのものはたった8ページである。画期的なことは、監査の目的が、米国監査基準AU Section110のパラグラフ0.1と0.2をたたき台に、日本で初めて規定されたことです。そのうち、不正な財務報告については下記の通り、監査の目的に「財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる。」として、重要な虚偽の表示がない事が明示され国際基準に準ずるようになり、一般基準の4では「留意」することが記載された。

日本の監査基準
監査基準

第一 監査の目的
  財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。
 財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる

第二 一般基準
4 監査人は、財務諸表の利用者に対する不正な報告あるいは資産の流用の隠蔽を目的とした重要な虚偽の表示が、財務諸表に含まれる可能性を考慮しなければならない。また、違法行為が財務諸表に重要な影響を及ぼす場合があることにも留意しなければならない。

日本公認会計士協会が実務指針を作成しており、監査基準委員会報告書第10号(中間報告)「不正及び誤謬」を参照・・米国監査基準を基礎としている。


日本の監査基準は、不正に関して上記の通り数行で、かつ、監査人の責任(responsibilities)については判り易く明示した記述はない。
一方、米国の監査基準には、詳細な規定となっており一部を抜粋すると次のように記載されています。従来の監査は、誤謬・不正を発見するのは監査の一義的目的ではないとされていいましたが、上記記載のトレッドウェイ委員会報告により改正され、財務諸表に重要な誤謬・不正がないことを読者は期待していることから、監査は、「重要な誤謬・不正がない」ことを保証しているとされるようになった。米国監査基準書AU316号は、そうした監査人の重要な不正・誤謬に関するガイダンスである。
米国公認会計士協会(AICPA)がまとめた「Understanding the CPA's Fraud-Related Responsibilities 」参照
米国の監査基準
AU Section 316
Cosideration of Fraud in a Financial Statement Audit 財務諸表監査における不正の考慮

Introduction and Overview 序および概観
.01     Section 110, Responsibilities and Functions of the Independent Auditor, paragraph .02, states, "The auditor has a responsibility to plan and perform the audit to obtain reasonable assurance about whether the financial statements are free of material misstatement, whether caused by error or fraud. This section establishes standards and provides guidance to auditors in fulfilling that responsibility, as it relates to fraud, in an audit of financial statements conducted in accordance with generally accepted auditing standards (GAAS).

.01 セクション110の「独立監査人の責任と機能」、パラグラフ02には「監査人は、誤謬または不正に基因するかどうかに関係なく、財務諸表が重要な虚偽又は誤謬がないかどうかについての合理的保証を得るために計画して、監査を実施する責任がある。」と規定している。このセクションは基準を確立して、一般に認められた監査基準(GAAS)に従って実施される財務報告書の監査において、不正に関連する、その責任を成し遂げる際に監査人にガイダンスを提供するものである。

エンロン事件を契機として、2002年サーベンス・オクスリー法が成立。上場会社会計監視審議会(PCAOBは、監査基準第2号「財務諸表に係る内部統制のための監査基準」(全161ページ)を公表した。サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(management's report on internal control over financial reporting)」を経営者および独立監査人はこの基準により2004年度の決算から実施することとなった。

2005年7月13日、西武鉄道等の有価証券報告書の虚偽記載を受けて、金融庁は、米国同様に、企業会計審議会財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)(全28ページ)を公表した。

内部統制の有効性についての監査
日本の基準 米国の基準
企業会計審議会財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)全28ページ)を公表。(2005年7月13日)
内部統制の有効性の監査」 参照
上場会社会計監視審議会(PCAOBは、監査基準第2号「財務諸表に係る内部統制のための監査基準」(全161ページ)を公表。(2004年3月9日)
米国PCAOBが内部統制に関する監査基準書公表」 参照

2005年7月20日金融庁・企業会計審議会は、「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)」を公表した。

(1)

 監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)

(2)

 監査基準(案)・・全8ページ変わらず

(3)

 中間監査基準(案)・・全5ページ変わらず

(4)

 監査に関する品質管理基準(案)・・新基準・全6ページ

(5)

 参考資料 監査基準新旧対照表(案)

(6)

 参考資料 中間監査基準新旧対照表(案)

(7)

 参考図表 事業上のリスクを重視したリスク・アプローチに基づく監査の流れ

2005年8月2日伊藤金融担当大臣閣議後記者会見で、「今朝の一部報道で、会計監査の過程で粉飾決算まで繋がる不正を発見した場合には、監査法人に対して証券取引等監視委員会に告発を義務付ける方向で検討に入っていると報道がされていますが、このことについてもお伺いしたいと思います。」との質問に、「私共として記事に書かれているような方針を決めた事実はございません。」と応えた。

あとがき

適正な情報開示ができない原因には、@会計基準が未整備、A監査基準が不十分、B監査人の監査の失敗、C監査人の独立性の欠如、D経営者の倫理観が不十分、E内部統制が未整備・未機能、F企業統治(コーポレート・ガバナンス・・証券取引所やナスダックの規定)が機能しない、G証券監督局が十分に機能していない、H未然防止の機能する不正に対する罰則が軽い、I大学教育が適切でない(1987年10月公表の「不正な財務報告」を防止する研究報告−トレッドウェイ委員会報告−では、経営者の資質向上のため事前の大学教育も重要としている。)など広範囲にわたる。

適正な情報開示が保証されるためには@からIを整備・充実することによって実現できると従前には思われていた。残念ながら、日本の場合は、すべて未整備といえよう。日本の最大の問題は、主務官庁を含めて、「日本は国際的な水準に達している」と表明しており、未整備であると認識していない点にある。

エンロン事件では、企業改革法(2002年サーべンス・オクスリー法案(SARBANES−OXLEY ACT OF 2002〕)に改革の内容は纏められたが、非常に広範囲に及んでいる。米国会計基準についても言及しており、現行の詳細な会計基準から、原則を基礎とした基準にするよう検討し、1年以内に検討結果を報告するよう求めている。新たな視点で改革したものに、会計事務所の自主規制機関である監視機構(POB, Public Oversight Board)が機能しなかったとして3月末で解散し、SECの下に第三者機関として上場会社会計監視審議会(PCAOB、Public Company Accounting Oversight Board)を設置したり、会計事務所に同一被監査会社に対してコンサルティング業務の禁止、担当パートナーの監査期間を最長5年間のローテーションとするなど加えられた。(企業改革法の要約サマリー 参照)

(「エンロン事件に学ぶコーポレートガバナンスの課題」byACCJ代表、WHITE&CASE LLP パートナーロバート・グロンディン、2002年11月 参照)

一方、英国においても同様に不正な財務報告に頻発し、ガバンアンス(統治)の用語を残したキャドベリー委員会報告など、企業不祥事にコーポレート・ガバナンスの整備・確立に腐心している。エンロン事件では欧州を巻き込んで企業不祥事の再発防止の努力が傾けられている。欧州では会社法に、コーポレート・ガバナンスの規定が盛り込まれるケースが多い。(「英国キャドベリー委員会報告と最近の統合規範(Combined Code)」 「コーポレート・ガバナンス」 参照)


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