Traditional Japanese Fly Tenkara 2 |
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これらの毛鉤は、各地へ釣行した際に入手したり、または 複製、再現したその土地土地の特徴のあるテンカラ毛鉤です。 |
Takami mountains area
奈良と三重の県境、高見山地から西へ流れる高見川と東へ流れる櫛田川の源流部で行われてきた二本の毛鉤を使う釣り。
飯高町落方の近藤という方が1960年代に考案され、地元ではシバキ釣りと呼ばれました。
2.4から2.7mの胴調子のかなり柔らかい竿に、極端なテーパーのついた重いラインが使われ、
1.5から2号のハリス、約1mの先端につけられた毛鉤は水中に沈め、
約40cm上につけられた20cmの枝鉤は水面すれすれを竿のしなりで毛鉤を躍らせるように操作されました。
毛鉤はみの毛のしっかりしたドライ系で、シーズン初期は白毛、盛期にはグレーか茶毛が使われました。
同時代に考案され、二本の鉤やドライ系の毛鉤を使うことなど、奥吉野十津川村の仕掛けに似ていて何か引っかかるところはあるけれど、
伝播するには街道筋が違ったり、釣法のコンセプトも少し異なるため同じ起源とするには無理がありそうです。
毛鉤は私が再現したものです。 参考資料: 今井浩次 (1993).「高見山地に伝わる2本バリ テンカラ」,『週刊釣りサンデー別冊 渓流スペシャル'93』週刊釣りサンデー. |
Okuyoshino Totsukawa area
奈良県の最南端にある日本で最大の十津川村、西中の光野直計氏考案の毛鉤。
釣法が固定されたのが1965年頃と新しい。
鉤は袖型金鉤9号、みの毛は雄チャボ(猩々種)の頸羽を厚く巻き羽弁を切り揃える、胴はクジャク。
竿は4.8m、道糸とハリスは1号の通し5.4-5.5m、末端に鮎掛鉤の矢島型9号、毛鉤は掛鉤の上4-5cmの位置に直結、毛鉤の上1.5mに散弾錘2号、さらに上30cmにススキの茎の目印をつけ、回し振りで振り込み、毛鉤を水面に浮かせて動きを与えて釣ったとのこと。
また掛鉤にも鉤が光るのをふせぐためクジャクが巻かれました。
毛鉤は私が再現したものです。 参考資料: 鈴野藤夫 (1993).『山漁: 渓流魚と人の自然誌』農山漁村文化協会. |
Banshu area
播州毛鉤の由来は播州多可郡比延村(現在の兵庫県西脇市)あたりに端を発します。
江戸時代後期(天保年間 1830-1844年)に毛鉤の先進地である京都の製作技法が伝えられ、
次第に完成度を高めながら今日まで継承されてきました。
播州は「ドブ釣り」や「流し釣り」などに欠かせない毛鉤の産地として、加賀、土佐と共によく知られています。
長い歴史の中で培われた技術で作られる播州毛鉤は経済産業大臣により伝統工芸品に指定されています。
写真の毛鉤は鮎用のものではなく、伝統的な山女毛鉤、ハス毛鉤のパターンをアレンジして、環付きの鉤に巻かれた龍王鈎本舗のヤマメ(アマゴ)やイワナ用の現代の毛鉤です。
参考資料: 『播州毛鉤』 2004年10月 リーフレット, 播州釣針協同組合・北播磨地場産業開発機構. |
Banshu area
播州の西脇市黒田庄町の中山光男商店で作られた岩魚用の毛鉤。
鉤は袖丸軸の11号、胴はクジャク、みの毛はキジの胸毛で巻かれ、1号から1.2号ぐらいのハリスが約30cm付けられています。
袋には「毛鈎 岩魚針 中山作」とあります。
右端の毛鉤はユニークな形をしていて、いかにも岩魚に効きそうに思えます。
これらは飛騨庄川や日光と同じパターンの毛鉤で、テンカラ毛鉤の伝統的なパターンとしてよく知られていますが、この毛鉤の起源は良く分かりません。 |
Western Chugoku Mountains Yoshikagawa area
山口と島根の県境に位置する吉賀川(よしかがわ)で行われた掛鉤仕掛の特異な毛鉤釣り。
竿は4.2 - 4.5m。
仕掛けは0.8号の糸(約2m)の先端に鮎掛鉤狐型8号の蝶鉤、
5 - 6cm上に鮎掛鉤狐型8号の錨鉤に雄ヤマドリの羽根の先端(約1.5cm)を木綿糸で括りつけただけの毛鉤がつけられています。
障害物の多い支流を釣るために考えられた釣り方で、毛鉤を水面で逆引きしたり、上下させて流したりして釣られました。
先端の蝶鉤は魚を掛けるためというより、沈めて毛鉤をコントロールするためにつけられたそうです。
また、仕掛けの中間には目印の羽根もつけられていました。
上流域にはゴギが生息しているようですが、これはヤマメを釣るために使われました。
毛鉤は私が再現したものです。 参考資料: 鈴野藤夫 (1993).『山漁: 渓流魚と人の自然誌』農山漁村文化協会. |
Awa Nakagawa area
徳島県那賀川流域に伝承されてきた毛鉤釣り「トバセ釣り」を修得し、剣山周辺で猟や山仕事のかたわら旅館に依頼されてアメゴ(アマゴ)を釣る半職漁を行った丸山理吉氏の毛鉤。
木綿糸とクジャクの胴に、みの毛は土佐の尾長鶏の羽根で、器具を使わず、あぐらを組んで足の親指に糸をからませて巻かれました。
アイはつけられず、巻き上げた毛鉤の首に直接ハリスを結んで使われました。
竿は2間半 (4.5m) のグラスの鯉竿(昔の竹竿と調子が似ているため)に、3号の道糸を竿と同寸から倍まで川幅に応じて使い分け、
その先に0.8-1号の60cmのハリスが結ばれました。
スリークォーター気味に肩口から振り下ろしてキャストされました。
毛鉤は私が複製したものです。 参考資料: 山本素石編 (1989).『てんから Fishing: 毛鉤つりのすべて』池田書店. |
Traditional Tenkara Kebari Pictures
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これらの伝承毛鉤は、インクと透明水彩絵の具によって描いた一点しかない原画です。
伝承毛鉤もしくはこれらの絵に興味をお持ちでしたら、ぜひ STUDIO TROUT & SEASONS をご覧ください。 |
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Paper Craft of Japanese Trout and the World Trout 「渓魚と山里の四季」の絵をご希望でしたら、こちらをご覧ください。 © 1997 Yoshikazu Fujioka |